インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第109話

 数分後、一夏は一彦と壮絶な戦い、いや、防戦一方で追い詰められていた。手に持っているランスでなんとか応戦する物の、左腕だけでは漸とである。

 一方の一彦は笑いながら槍で一夏を追い詰めている。彼が有利なのな一夏が病み上がりであり、右腕を失っているからだ。もしも彼が万全の状態だったら、どちらに軍配が上がるかは本人達にも判らないだろう。

 

 

「だ、ダメ、織斑君!」

 

 そんな一夏に楯無は止めるよう懇願する。彼は万全ではない状態で一彦に戦いを繰り広げている。ムダな足掻きでもあり、ムダな抗いだった。

 しかし、そんな楯無の切なる願いは一夏には届いていない。彼は一彦相手に苦戦を強いられながらも勝とうとしている。が、一彦は槍で一夏の脇腹を撲る。

 

「っぐ!?」

 

 一夏は苦痛の表情を浮かべる。が、一彦は即座に石突で一夏の腹を突く。

 

「がはっ!」

 

 一夏は後退るが一彦は槍を片手で持ち替えるとある武器を展開する。ハンドガンであった彼は銃を一夏に向けると引き金を引く。銃弾が放たれ、一夏に命中する。

 一発ではない、何発もであった。一夏はダメージを受けるが押されるように後退るが、一彦は攻撃の手を休めない。一彦はその隙にハンドガンを投げ捨てると槍で一夏の左手首を撲った。

 

「うぐっ!?」

 

 一夏は手首を撲られるがランスを落としてしまう、その隙に一彦は槍でバツを描くように彼の身体を二回斬った。

 

「あがっ!」

 

 一夏は悲鳴を上げるが一彦は回し蹴りした。一彦の足は一夏の腹を捉えるが彼にダメージを受けさせるには充分でもあった。一夏は腹を蹴られて前のめりになるが一彦は風のように消える。

 逃げた訳ではない、彼は一夏の真後ろに姿を現す。同時に、彼の背中に回し蹴りした。が、一彦の蹴りには力が籠められていた。そのせいで、一夏の背中からは何かの砕く音が聴こえた。骨の折れる音であった。

 

「ッぐ……!」

 

 一夏は顔を歪める。が、一彦は足を離れさせると、今度は足に力を入れてながら、一夏をサッカーボールのように蹴り跳ばす意味で回し蹴りした。

 一彦の蹴りを喰らった一夏は地上へと落下する。

 

「織斑く……!」

 

 楯無は一夏を見て目を見開きながら何かを言い掛けようとしていた。刹那、彼が地面に直撃すると轟音が響き、同時に楯無を巻き込む意味でも辺りに広がるように煙が発生する。

 楯無は目を閉じているが煙のせいで怯んでしまう。

 

「んんん〜〜?」

 

 そんな煙を上空で見ている一彦は微かに笑っていた。彼は手に持っている槍を肩に掛けるが真下を見続けている。煙は発生しているが微かに消えて行く。

 しかし、この戦いは一彦に軍配が上がった。勝因は一夏が満身創痍の状態であった事だろう。実際はどうなったのかは判らないが一彦は微かに喜んでいる。

 愉しんでいる、としか思えないが彼は不意に学園の方を見る。学園の一室が一部半壊しているが一彦のしわさでもあった。煙が出ているが消えかかっている。

 さほど時間は経っていないだろうが修復するまで時間は掛かるだろう。が、一彦はある事を呟く。

 

「フレディ、もうそろそろかな?」

 

 一彦は自分が引き連れている殺人鬼の名を呟く。その意味は彼にある事を頼んだからだ。それはフレディでなければ無理な物であった。自分も出来るが彼は自ら囮となったのだ。

 理由は他のプレイヤー達の足止めであるからだ。彼はある目的で来たのだが他のプレイヤー達も来ているのではないかと思ったからだ。

 が、本来の目的は例の物を奪う為であり、学園の連中やプレイヤーを足止めする為に過ぎない。自分が相手にしている間、フレディは上手くいったのかを気にしていたのだ。

 彼の事だから上手くいくだろう、そう思っていた。一彦はそう思いながらも再び真下を見る。煙か微かに消えつつあった。が、大きな影が見える。

 それは彼がさっき倒した織斑一夏である。一夏はISを解除しているが気を失っている。回りには一夏を中心にクレーターが発生している。

 彼をあんな風にしたのは一彦であるが一彦は彼を見て噴き出す。自分がしたとはいえ、笑いが止まらないのだ。罪悪感は微塵も無く、悦楽に浸っている。

 

「お、織斑君!」

 

 そんな中、近くにいた楯無は一夏を見て戦慄する。彼女は青褪めると彼の元へと行こうとした。が、身体には痛みがは知っているが彼等が闘っている内に少しづつ和らいでいた。

 それが原因でもあるが功を奏しているだろう。楯無はなんとか覚束無い足取りで一夏の元へと近くと、膝を突き、彼の頬を触る。微かに冷たいがどこか温かい。まだ生きている事を意味している。

 が、彼が気を失っており、目覚める気配はない。

 

「っ……!」

 

 彼は死んでいないが楯無は涙を浮かべていた。彼が無事である事は喜ばしい、なのに、不安もあった。彼は満身創痍、病み上がりの状態で一彦に戦いを挑んだのだ。

 相手は彼と同じ男性でありながらも、未知の敵。そんな奴を一夏は相手にしていたのだ。楯無は一夏が馬鹿な男だと思った。出来る事なら逃げてほしい、そう思っていた。

 なのに自分は何も出来ないでいる、一彦相手に反撃を喰らい、負けたのだ。プライドがどうのこうのの問題ではない、楯無は一夏の惨敗を悔しく思い、自分が当主としても情けないと思っているのだ。

 楯無は一夏を介抱しながら彼を抱き締める。彼女自身、罪悪感で嘖む中、一彦が声を掛ける。

 

「なんなの、その喜劇?」

 

 一彦はわざとらしく、楯無に訊ねる。これには楯無は驚きがキッと一彦を睨む。泣きながらであるが一彦には怒りがあるのだ。楯無は一彦を睨む中、一彦はキョトンと首を傾げていた。

 

「どうしてそんな顔をするの? ソイツを倒したから?」

「当たり前……でしょう!」

「それが理由なの?」

「当たり前よ! 貴方は何者なの!? それになんの為に学園へと来たのよ!?」

 

 楯無は怒りながら一彦に訊ねる。理由を知りたいからだろう。が、一彦はキョトンとしたまま応えた。

 

「どうして詭激に近い事を言うの? 僕は……う〜〜ん」

 

 一彦は何も解らないように唸る。これには楯無も更に怒るが歯を食い縛っていた。余裕かつ、罪悪感の無い様子の彼に憤りを感じた。出来る事なら殴りたい、と。

 が、一彦は何かを思い出すように手を叩くと、楯無を見る。楯無は一夏を介抱しながら彼をに怒っている。一彦は楯無を見る中、ある事を教えようとした。

 

「それよりも君に……ん!?」

 

 刹那、学園の方から大きな音が聴こえた。一彦は音に気づき振り返るが彼の近くで爆発が起きる。いや、何かが彼の身体に直撃し、四散したのだ。

 

「なっ!?」

 

 これには楯無は驚くが彼は爆発した際に発生した煙に巻き込まれている。煙は一彦の姿を消しているがそれは何者かが一彦を攻撃したからだ。

 楯無がそれに気づくのはそう時間は掛からない、彼女は音がした方を見る。楯無は目を見開いた。

 そこは学園であった。半壊した一室からであった。それだけでも判るが驚いたのはそこではない、一室には誰かが立っているのだ。手には重火器らしき物を持っているが銃身が鉄パイプのように細長く、グリップしか無い。

 いや、楯無から見れば遠くであり、判断出来ない。が、持ち主だけは知っている、そして、その持ち主は一也であった。一也は前線離脱したのは一時的であり、目的とはある物を取に戻ったからでもあった。

 それは一彦が良く知り、最強の武器でもある。威力は高く、殺傷能力も高い。が、一発しか使えないのが欠点でもあるが強力な武器でもあるのだ。

 その武器とはグレネードランチャーではない、更に強力なロケットランチャーであった。彼はそれを取りに戻る意味で退却したのだ。楯無に任せたのはその為であった。

 彼は険しい表情を浮かべているが砲身を肩に掛けている。一彦を狙っていたからだ。しかし、一発とはいえ、外れる事もあった。が、彼が何故かポッンと動かなかった為にチャンスだと思い、攻撃したのだ。

 さっきの音は発射音であり、一彦の身体に直撃したのはロケットランチャーから放たれた弾でもあったからだ。

 

「夢見、一彦……!」

 

 一也はそう言いながら歯を食い縛る。彼への怒りが消えていなかったからだ。さっきの事でもあるが一泡吹かせたかったからだ。しかし、一彦は不意に視線を移してしまう。

 それは、楯無と一夏の存在に気づいたからだ。一也は二人を見るが一夏に気づく。

 

「織斑一夏……っ!」

 

 一也は怒る。一彦もそうであるが一夏にも怨みがあるからだ。が……。

 

「うっわ〜〜煙い!」

 

 そんな中、煙りの方から声がした。これには一也も驚くが煙りは徐々に消えて行く。そこには、一彦がいる、ISを纏っているがピンピンとしており、手で埃を叩いている。

 これには一也も目を見開くが直ぐに表情を険しくする。

 

「っ!?」

 

 一方の楯無も一彦の様子に気づくが驚きを隠せない。二人から見れば共通の敵でもあるが一彦は二人を交互に見る。

 

「どうしたの? やっぱり変なの?」

 

 一彦は二人に訊ねる。どちらも応えないが一彦との戦いはまだ終わらない……。

 

 そして同時刻、ある人物がが学園のモノレール付近で現れる。それはチャッキーとティフアニーを引き連れているプレイヤーであった……。

 

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