インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第110話

「う〜〜ん、どうして僕を攻撃したの?」

 

 一彦は自身をロケットランチャーで攻撃してきた一也を見る。一也は一彦を見て歯を食い縛るが後退る。勝てないと判断したのだ。その証拠に彼は身体を震わせている。

 一彦への恐怖と自身に対し嫌悪している。ゲームに生き残る為とはいえ、一彦は自分よりも何倍も強い。ISを持っているのもそうであるが一也は一彦に対し、憎悪の視線を送る。

 唯一の抵抗でもあるが一彦には効果はない。一彦は一也の視線に気づいているのか気づいていないのか彼にしか判らない中、彼は視線を変える意味で移す。

 そこは、気を失っている一夏を介抱しながら一彦を睨んでいる楯無へ、であった。彼女は一彦を睨んでいたが泣いている。一夏を倒した一彦への怒りと憎しみが籠められている。

 一也同様、何も出来ない彼女の唯一の抵抗だろう。一彦はそれに気づくが首を傾げると、ある事に気づく。

 

「うん? フレディ?」

 

 一彦は耳元で誰かが囁いている事に気づく。それは彼が引き連れている殺人鬼、フレディからであった。フレディは一彦に対して何かを教えている。近くには誰もおらず、一彦自身の独り言としか思えない。が、彼はフレディと話をしているのだ。

 

「えっ、そう? うん、うん……ありがとう」

 

 一彦の表情は柔らかくなってくる。無邪気な子供としか思えなかったがフレディは成功したのだ。一彦が囮となっている間、上手くいったのだ。それが原因でもあるが良い意味でもあったからだ。

 となれば、もうここには用はない、後は撤退するだけであった。

 

「何を話しているの、アイツ?」

 

 そんな一彦を楯無は不審そうに見ていた。彼は独り言を言っているようにも思えた。彼の様子はどこか嬉しそうである事にも気づいていたが悪い予感しかしなかった。

 彼は何か別の理由がある、そう直感した。しかし、彼女は不意に一夏を見る。一夏は気を失っているが目を覚まさない。死んではいないが生きている。

 それだけでも嬉しいのに不安しかなかった。彼を喪う恐怖が再び襲ってくる感覚に陥る。彼が何故逃げなかったのかを疑問に思った。が、それは、彼が自分を守りたいと思ったのではないか、と。

 それが本当ならば、自分が一夏を追い詰めた事になるのだ。勝てない戦を自ら挑んだのだ。楯無はそれに気づくが涙を流し続ける。死なないでくれ、と。

 

「僕、もうそろそろ、逃げるね〜〜?」

 

 そんな中、その楯無の思いをぶち壊すかのように一彦が無邪気な口調で楯無、一也に言う。彼の言葉に楯無は一彦を睨み、一也は歯を食い縛る。

 何方も敵であるが、一彦は共通の敵だからだ。そんな一彦の言葉に二人は怒りを隠しきれないでいる。すると、一彦は楯無、一也を交互に見た後、手を振る。

 

「じゃあね〜〜また逢えるけど、さよなら〜〜」

 

 一彦はそう言いながら風のように消えた。これには楯無は目を見開くが一也は舌打ちした。一彦は学園から消えた。それだけは理解しているが彼の言葉には『また逢える』と彼自身が言い残している。

 それは邂逅する意味でもあり、何れ刃を交えると言う意味とも捉える事が出来る。一彦は再び自分達の前に姿を現す。そう教えていた。楯無は下唇を噛むが一夏を抱き締める両手に力を入れる。

 一方、一也は一也に怒りを感じた。彼は自分の目を負傷させ、二度目はISを持っている事を隠していた。それは怒りしか無かった。自分は一彦の手の平に踊らされている感覚に陥った。

 自然と怒りと憎しみが込み上げてくる。奴はどうしても自分が倒さなければならない、殺さなければならない、そう感じていた。が、今は別の考えもあった。

 それは、一也は実行に移すや否や、風のように消えた。

 

「織斑君……」

 

 一方、楯無は一夏を見て哀しそうに呟いた。彼は目を閉じているが、彼の頬を触る。刹那、楯無の前に一也が姿を現す。

 

「っ!?」

 

 楯無は一也を見て驚くが一也は楯無を見下ろしていた。その瞳には怒りが籠められていた。楯無にではない、一夏にであった。彼には借りがある。

 それは身体を傷付けた事にだ。一也自身が暫くの間活動出来ないでいたのは彼のせいだ。彼のお陰で身体には傷痕が残っている。それを返す意味で彼に死を与えようとしていた。

 自分がここに来たのも一夏を抹殺する為であった。しかし、彼が瀕死の重傷であるのは想定外かつチャンスでもあった。が、一彦やチャッキーが来ている事は想定外かつ更なるチャンスでもあった。

 上手くいけば三人を殺す事が出来る。そう思っていた、なのに全て失敗に終わった。知らない事が多くなり過ぎた。一也は怒りを感じる中、せめて、一夏だけは殺そうと思っていた。

 本来の目的でもあるがこれで四人になる。そう思っていた。一也は一夏を殺すべく、手を伸ばそうとした

 

「触らないで!」

 

 そんな彼に楯無は一夏を強く抱き締めながら彼を睨む。一夏を守ろうとしていた。彼女の言葉に一也は眉間に皺を寄せると手を止める。

 

「触らないで! 貴方は何者なの!?」

「…………」

「応えなさない! それになんの目的で!」

 

 楯無は一也に訊ね続ける。彼が何者かなんの目的で来たのかを知りたかった。が、楯無は彼が多くの従者を殺した真犯人である事に気づいていない。

 彼が従者を殺した事を知れば怒り狂う上、捕まえるだろう。しかし、一夏が何も応えない事が原因でもあるだろう。彼女達は一夏に拘るなと言われながらもそれを破り、多くの従者を喪ったのだ。

 楯無は彼が仲間達を奪った犯人である事を知らない中、一也は舌打ちすると、再び手を伸ばそうした。

 

「止めて! 織斑君に触らないで!」

 

 楯無は一也の手振り払うが一也は手を叩きながら一夏に手を伸ばし続ける。が、楯無は必死に抵抗する。何方も譲らない思いであった。楯無は一夏を守る為、一也は一夏を殺す為に。

 何方も本来の目的の為に行動している中、楯無は押されつつあった。彼が楯無の行動に怒りを感じると無理矢理奪おうとしていた。

 

「止めて! 止めて! 織斑君に近づかないで!」

 

 楯無は一夏を守るように抱き締めるが一也は止めない。そして、一夏が一也に奪われそうになる。楯無は驚くが一也は一夏を楯無から引き剥がそうとした。

 

「チャッキー……! ティファニー……! お姉ちゃんを守って、あのお兄ちゃんに掴まって!」

 

 刹那、近くから声が聴こえた。この声に楯無と一也は反応するが一也の近くに二体の人形が風のように現れ、一也の身体に縋り付くようにつかみかかる。

 

「っ!? お前らは!?」

 

 一也は驚きながら楯無から離れると身体に縋り付いている人形に抵抗する。が、その人形達はチャッキーとティファニーだった。二体の人形は瓦礫の山で埋もれていたが,ある人物の命で前線に戻り、今は一也に掴まっている。

 

「貴様等、放せ!」

「うるせぇ! 俺達だってこんな事をしている訳じゃねんだよ!?」

「そうよ! 私達は主人の命でこうしているだけよ!?」

「だからってなんでだ!? この糞人形共、離れろ!」

 

 一也はチャッキーとティファニーに怒る。が、二体の人形は一也の抵抗にも抗っている。しかし、そんな一也の二体の人形を見た楯無は驚きをを隠せないでいた。

 あの二体が自分達を守っている、それだけでも驚いていた。刹那、誰かが自分の肩に手を置いてきた。楯無は驚きを隠せず振りかえようとした刹那、彼女は一夏と共に風のように消えた。

 

「なっ!?」

 

 これには一也は目を見開くが二体の人形は一也に抵抗する。一也は二体の人形に手こずるが怒りを隠しきれないでいた……。

 

 

 

 

 

 その頃、楯無は一夏と共にある場所に風のように姿を現した。そこは学生寮の一夏と楯無の部屋であった。

 

「あっ……! ここは……!」

 

 楯無は部屋を見て驚きを隠せないでいた。自分帯はさっきまで学園近くにいたのにいつの間にかここへと来ていたのだ。床の上にいるのだが楯無は部屋を見渡していた。

 

「少しは大丈夫だよ……お姉ちゃん」

 

 が、そんな彼女に何者かが声を掛ける。楯無は驚きながら声がした方を見る。

 

「あっ……き、君は?」

 

 楯無は目を見開いた。そこには一人の幼女が立っていた。四、五歳くらいの幼女であった。黒い長髪を両側で纏めている。幼い顔立ちに水が含んだような頬、翡翠色の瞳には汚れが無い。

 ピンク色のシャッに青いスカート、赤い靴を履いていた。が、その幼女は楯無を見て微かに哀しそうに微笑む。

 

「お姉ちゃん、大丈夫だよ……?」

 

 幼女は楯無にそう言った。しかし、楯無は驚きを隠せないでいるが幼女は哀しそうに笑みを浮かんでいるが不安が拭いきれないのだろう。

 しかし、楯無は愚か、一夏や一也、一彦はその幼女が自分達と同じ、プレイヤーである事を、彼等は知らない……。

 




 入れ忘れていましたが次回の土曜日の投稿はお休み致します。次回は日曜日からの投稿です。
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