インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第121話

 あれから数時間後、IS学園は今、夕日が沈みつつ有った。この時間帯は学校の授業が終わり、放課後になる。生徒達は部活動ややりたい事をするべき時間でもあるが今はそれが出来ないでいた。

 理由は学園襲撃事件での事もそうだが彼女達は不安を隠せないでいる。部活どころが今は停止している為、それが出来ないでいる。大会が近い所も有るだろうが彼女達のみの安全を考えれば、そう得ざるをならないだろう。

 が、それとは別にもう一つ、大きな大会が有るが学園に関係する事であり、それだけは避けられなかった。理由は諸説あるが一番は各国の政府関係者が祖国の為に送った生徒達の成長を知る為でもあった。

 これには日本政府も怒るが倉持技研での件もあり、あまり強く言えないでいる。しかし、総理大臣だけは違ったが彼は生徒達の安全を最優先に考えての行動でもあったからだ。

 しかし、それは学園の者達には知られていないが彼は各国から送られた生徒達や本国の生徒達を思うが故である事も、知らない。

 

「……ハァ……」

 

 そんな中、ここは学生寮の一夏と楯無の部屋。その室内には一人の幼女がベッドに腰掛けながら哀しそうに俯いていた。その幼女は一美である。

 チャッキーとティフアニーを引き連れ、一夏の同盟相手でもある。しかし、今は部屋で待機していた。一夏に言われたのと、迂闊に外に出ないようにであった。

 出れば大騒ぎとなり、他のプレイヤーに彼女の正体を知られる危険も有ったからだ。一美は部屋で待っている中、扉が開く。

 

「っ!?」

 

 一美は驚くが扉を開けたのは、彼であった。彼は姿を現すように身を出す。一夏であった。手には鞄を持っているが利き手ではないにも関わらず、それを気にもしていない。

 が、彼は一美を見て何も言わない。反面、視線は険しい。一美は彼を見て震えるが彼は何も言わずに鞄を机の上に置くと、彼女と向き合う。

 

「あ、あの……」

 

 一美は彼の様子に気づく。彼が何も言わないからであった。が、一夏は彼女の様子にも気づいたが何も言わないのも、彼女の動向を探っていたからだ。

 彼女は何かをしてくる。それを警戒しての事でもあった

。何かをしてきたのならば殺しに掛かってくる事を意味している。信用している訳でもないのと。彼女が信用に値する者かも怪しいからだ。

 

「あ、あの、楯無お姉ちゃん達は?」

 

 一美は一夏に怯えつつも楯無達の事を訊ねる。彼は一人で行動しているのは判るが楯無達がいない事に気づいていたのだ。まだ四歳でありながらもそれだけは理解している。

 一美の言葉に一夏は応えた。

 

「知るか……それに俺は今日、あいつとは、まだ逢っていない」

「えっ?」

 

 一美は惚けるが一夏は本当の事を言っていた。何故なら一夏は楯無とは、まだ逢っていない。簪と本音はシャルの為に学園内を案内しているが一夏は彼女等とは行動していない。

 ムダな時間や行動を嫌っている為でもあった。しかし、他のプレイヤーがいるかもしれないがそこは一夏は安心している。それは後で話すとして一夏は一美に対して口を開き続ける。

 

「……本当だ、逢っているのならばとっくに逢っているが生憎、今はそれどころでは無い」

 

 一夏は楯無達の事を気にしないように一美に言う。一美は驚くが彼は彼女とは一対一の話をしたかったからだ。

 

「言ったろ? 俺達はゲームのプレイヤーだ。やるべき事は一つだ」

「っ!?」

 

 一美は震えた。まさか、闘うつもりなのか、と? 自分達は同盟している筈なのに、と。あれは嘘であったのか、と、一美は思った。しかし、一夏は舌打ちする。

 

「何を勘違いしている? 俺達がやる事は他のプレイヤーを倒すかだろうが?」

 

 一夏は一美に教えた。彼は一美と話をするのはそれであった。

 

「…………っ」

 

 一美は彼の言葉に微かに安心するが一夏はそれに気づいていた。が、今はやるべき事をする為に口を開く。

 

「取り敢えず、俺達はこれからの事を考える」

 

 一夏は左手を腰に当てながら瞼を閉じる。が、言葉を続ける。

 

「俺等の知っているプレイヤーは俺やお前、黒峯一也や夢見一彦の計四人のプレイヤー……だが、肝心の最後の一人は誰かまでは判断出来ない」

 

 一夏は瞳に対して、ゲームを進める事を優先させようとしていた。自分達は今、同盟しているが他の奴等は同盟しているかどうかも判らないのだ。

 それには先ず、相手の出方を窺い、どう動いてくるのかを考えなければならなかった。相手が何時、学園に責めてくるのかは判らない。が、一夏はそこを探る。

 

「だが、現時点では前日の襲撃で学園側も警戒は愚か、警備も厳重にするだろう」

 

 一夏はそう言いながら瞼を開き、鋭い視線を瞳に向ける。が、一夏は他のプレイヤーの立場になって考えていた。奴等は学園を責める事は出来ない。

 ここはISを持っている奴等が多少はいる。ISを持たない彼等に取って不利でしかないからだ。簪達を彼女達だけにしたのはその為でもあるからだ。それにジェイソンにも近くにいるように言った為に問題は無い。夢見一彦が相手でなければだ、が。

 一夏はそう考えながらも一美を見据える。幼女は彼の威圧的な視線に怯えるが一夏は何かを訴えかけていた。

 

「お前ならどうする?」

「えっ?」

「……だから、お前だったら学園の何所を襲撃する?」

 

 一夏は一美にそう訊ねると、彼女は困惑する。自分なら兎も角、彼女の意見も聞いた方が良いと思ったのだ。得策かどうかは判らないが彼女ならどうするのかも知りたかったのだ。

 自分だったら暗殺と言う線も有るが相手が何所にいるのかも判らず、逆に立場を逆転される意味で窮地に陥る危険も有るからだ。一夏はその事を瞳には言ってない。

 言えば同じ事をしかねないからだ。裏切る事を想定しており、彼女を信用している訳ではない。その為、一夏は一美ならどうするのかを敢えて訊ねていた。

 いや、それは彼の真っ赤な嘘であった。彼女は四歳くらいであり、難しい事は言えないからであった。一夏はそれを想定しているが一美は彼の罠に掛かったように困惑している。

 

「えっと、その……」

 

 一美はオドオドしていた。やはり、この年頃の彼女には難題なのだろう。一夏は彼女を見ているが何かを考えているのかは彼にしか判らない。

 

「おいてめえ! そんな小娘に何を尋ねていやがる!?」

「そうよ! 絶対ワザとでしょ!?」

 

 すると、一美の目の前に二体の人形が現れた。チャッキーとティファニーだ。彼等は一美が困惑しているのを見過ごせないのと、一夏に対しての憤りを感じていた。

 

「チャッキー、ティファニー……!?」

 

 一美は二体の人形が現れた事に小さく驚くが一夏は眉を顰める。が、二体の人形は一夏に対して怒り続けていた。チャッキーは一夏を指差す。

 

「それに貴様! この小娘がいなかったら殺されてたんだぞ!? 少しは恩人の事も考えろ!?」

「そうよ! それに彼女はまだ子供なのに何を考えているのよ!?」

 

 二体の人形は一夏に怒り続ける。それも一美を恩人と言う意味で利用しているが一美は困惑していた。

 

「や、止めなよ二人共……」

 

 一美は涙目になる。一方で一夏は眉を顰めているが人形共に怒りを感じていた。彼等はプレイヤーに逆らっているようにも思えたからだ。それに、彼等は土足でベッドの上にいるからだ。

 一夏はそれを言わないでいるが二体の人形は今も一夏に対して罵倒している。が、チャッキーとティファニーは怒りながら一夏に。

 

「俺達はゲームのプレイヤーだが俺達はお前を信用している訳ではねえ! 俺達は組んでいながらも敵同士だ! それだけは判っとけ!」

「アンタみたいな奴、この娘が言わなかったら殺されても良かったわよ! ゲームが少しでも有利になっていたわよ!」

 

 二人は一夏に怒る。が、一美は二人を宥めようとしていた。

 

「や、止めて二人共! ……わ、私が悪いからお兄ちゃんが悪いんじゃない……!」

 

 一美は止めようとするがチャッキーとティフアニーは更に怒る。

 

「もう良い! お前を殺してやる! 俺は今、誰も殺せないからイライラしているんだよ!」

「私はあれだけど、チャッキーと同意見よ!」

「ああそうだ! 取り敢えず、八つ当たりと言う意味で殺してやる!」

「そうね! このこの為じゃないけど死ねぇ!」

 

 チャッキーとティフアニーはそう言いながら一夏に飛びかかる。

 

「だ、ダメっ!」

 

 一美はそう言いかけるが一夏は無言でチャッキーとティフアニーを左腕だけで薙ぎ払った。

 

「ああっ!」

 

 一美は驚くがチャッキーとティフアニーは近くに転げ落ちる。

 

「イチチ……」

「っ……!」

 

 チャッキーとティフアニーは人形であるが微かに痛みを感じていた。しかし、一美は一夏を見て何も言わず怯えている。そんな彼女に一夏は冷ややかな目で見下ろしていた。

 

「止めろ……俺と闘うのなら同盟は破棄だ……!」

 

 一夏は一美にそう言った。が、それは脅迫でもあったが一美には効いていた。しかし、それは無理も無い、彼はゲームに拘っているが故に人が変わってしまったのだから……。 

 そのため、更識姉妹や周りの意見に耳を傾けていないからであった……。

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