インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第133話

「ファァ〜〜」

 

 ここはメルヘンの国、ドイツ。今は深夜であるが辺りは静寂に包まれ、漆黒に包まれている。人はあまり見かけなく、車もあまり通らない。

 その代わり、町の至る所には警察官が二人一組みでパトロールしている。町の治安を維持する為でもあるが当の本人達は表情を険しくしている。

 犯罪を見逃さないと意味でもあるが流石としか言いようが無い。それに町の至る所には灯りが点いている。それでも彼等は徒歩で、あるいはパトカーを走らせながら安全を考えている事に変わりは無いだろう。

 

「…………」

 

 そんな中、街外れには、とある基地があった。そこには如何にも危険な乗り物が幾つもあり、建物もある。管制塔らしき物もあるが面積は広い。警備も厳重であるが仕方ない事だろう。

 そこは軍事基地であり、戦車や戦闘機等があるからだ。それだけでなく、侵入者を見逃さないように多くのドイツ軍人が深夜にも関わらず、目を光らせている。

 そんな中、基地の中にある建物の物陰には一人の青年が身を潜めていた。一夏である。彼は全身が黒で統一された服を纏っている。彼は眉を顰めているが思考を走らせていた。

 それは昨晩、レクター博士から教えられた人物の存在を気にしていたからだ。その人物はとうの昔に亡くなっている。が、それを良く知る者である血縁者は一人もいないらしい。が、そんな奴に関する資料はドイツの軍事基地にあるらしい。

 かなり昔であるが残っている可能性があると教えてくれた。彼がドイツにいるのは軍事基地に潜入する為でもある。それに彼は基地の近くにまで来ている。身を潜めているのは見つかったら掴まる危険があるからだ。

 彼はドイツにまで来たのは良いのだが不法入国でもあるからだ。その為、迂闊に動けないでいる。軍事基地にまで移動すれば良いのだが

 希望とも言えるが絶望とも言える。しかし、調べる価値はあるのだ。義手を造れる存在がいるからだ。ドイツの技術は認める。が、人に関係する技術を造れるかどうかでは無い、自分が認める義手を造れるかどうかだ。

 一夏はそれを考えていた。しかし、今は動くのが先であり、彼は深く頷くと、口元を黒い布で覆い隠す。刹那、彼は風のように消えた……。

 

 

「異常なし」

 

 その頃、軍事基地内にある通路では一人の男性がいた。此処のドイツ軍人であるが今回の見廻りの当番でもあるからだ。彼は紐の付いたアサルトライフルを肩に掛けているがだらける様子は無い。真面目であるからだろう。

 彼は通路を見回るが人の気配はあるかどうかも判らない。が、不審者ならば容赦しないだろう。男性は未だに辺りを見回る中、彼いる場所から少し離れた先は曲がり角になっていた。が、その近くには一夏がいた。彼は風のように消えながら警備の目をかいくぐりながら移動していたのだ。

 今は壁に凭れ掛かりながら辺りを窺っている。が、奥には男性が一人いる事には気づいていた。警備をしている事にも気づいていた。一夏はその先を行きたかったのだが彼が邪魔して通れない。

 見つかる危険もあるのだが彼の他にも、見廻りのドイツ軍人も此処に来る危険があるからだ。それに監視カメラが幾つも設置されている為、更に見つかる危険が増す。

 一夏はそれに気づきながらも奥にいる奴を何とかしなければならないからだ。彼の向こう側には、ある部屋があるからだ。それは資料室である。

 そこには軍事関係の事や貴重な書類があるからだ。それもレクター博士から教えられた情報でもあるが一夏はそこへ行こうとしているのだ。

 あの男性がいなければ、難なく進む事が出来るのだ。一夏は未だにその場を動けないでいる中、一夏は溜め息を吐くと一旦そこを下がると、口笛を吹く。

 

「ん!?」

 

 刹那、男はそれに気づき、振り返る。

 

「誰かいるのか!?」

 

 男性は怒りながらこちらへと駆け寄る。そして、曲がり角を曲がる。

 

「……あれ?」

 

 しかし、そこには誰もいなかった。奥まで続いている通路や扉からは開いた音や気配さえもない。これには男性も驚くが辺りを見渡す。自分以外、誰もいない。

 

「おい!? 誰かの悪戯か!?」

 

 男は気味が悪く辺りを見渡しながら訊ねるように叫ぶ。悪戯ならまだしも誰もいない事が余計に不気味であったからだ。男は辺りを見渡すが誰もいない事に変わりは無い。

 そして、男がいた通路の奥には一夏がいた。口笛を吹いた後、男が近くにまで来たら風のように消え、風のようにそこに居たのだ。そして彼は足早とその場を去って行った。未だに困惑している彼を置いて……。

 

 

「……ここか」

 

 少し経った頃、一夏は、ある部屋を出入り出来る扉の前に居た。そこは軍事基地内では古いとも言える扉であった。所々錆があるが長年開けられていないようにも思えた。

 しかし、扉近くにはドイツ語で書かれた文字があった。ドイツ語である為判らないが一夏はポケットから一枚の紙切れを取り出す。そこには黒文字でドイツ語の文字が書かれていた。

 それは扉の近くにある文字と同じであるがそのメモはレクター博士から貰った物である。書いたのはレクター博士であるが、ドイツ語で資料室と言う字を教えて貰う意味で書いてくれたのだ。

 彼には感謝するが一夏はメモをポケットに仕舞うと風のように消えた……。それは資料室の中へと入る為でもあった。

 

「…………」

 

 一夏は資料室に入るや否や、眉を顰める。そこは、此処は資料室である事には気づいた。レクター博士のメモのお陰でもある。しかし、室内は薄暗く、蛍光灯も長年放置されているのか点かない。

 が、そこは今までの歴史が積み重ねられているかのように多くの書類が山のように詰められていた。机の上にも、棚の中にも多くの書類やファイルが見受けられる。

 否、中には塵芥の意味でも関係ない資料があるだろう。それだけでなく、長年放置されているかのように至る所に埃が溜まっており、天井の隅には蜘蛛の巣が張っている。部屋自体も換気していないのか黴臭い。

 こんな場所は基地内の人間、軍事関係者から忘れ去られているとしか思えなかった。

 捨てれば良いのに整理すれば良いのにいつまでも捨てられないのは貴重な資料を処分出来ないからだろう。が、時間が無い。一夏が探しているのは義手に関する人物が纏められている資料である。それは膨大な資料の中から見つけるのには骨が折れるだろう。

 一夏はそう思っていたが仕方なく、懐からスマートフォンを取り出す。灯りの役目をする為でもある。刹那、スマートフォンの明かりを頼りに床に屈むと彼は近くにある資料から調べる事にした。

 調べ方は書類を床の上に置くと、それをスマートフォンの灯りで照らすように近づけながらであった。左腕しか無い為でもあるが仕方ない事であった。

 

「……外れか」

 

 一夏はそう言うと、書類を放り捨てた。が、それだけにも関わらず埃が舞う。吸い込んだら身体に悪いだろうが一夏は口元を布で覆い隠している為に問題は無い。が、鼻から吸い込んだら……否、それも口と共に布で覆い隠している為にそれも問題ない。

 彼は書類を一つ一つ調べる。が、どれも違った。それは書類を見たりは捨て、見たりは捨ての繰り返しであった。それは永遠とも言えるが調べるのには時間が掛かる。

 一夏はそれに気づくが黙々と書類に目を通している。普通の者なら音を上げるが彼は違った。義手を造れる存在を見つける為である。彼は書類を調べるが部屋には誰も入って来ない。

 それで安心出来る訳ではない、誰かが部屋に入る事も想定しなければならないのだ。一夏はそれに気づきながらも調べていた。

 

「……!?」

 

 刹那、一夏は何かに反応した。扉の方から音がしたのだ。それは足音ではない。大きな音であった。轟音にも誓いが爆発音でもあったのだ。

 一夏は音に反応したのにも関わらず、軽く舌打ちした。まさか……。彼は厭な予感をしたのだ。最悪な事ではないか、と。無論、彼の直感は当たっていた。何故なら……。

 

 

『軍事基地内に未知のIS! 繰り返す! 軍事基地内に未知のISが出現した!』

 

 軍事基地では警報が鳴る。同時に大きな爆発が幾つも響き渡る。否、破壊されているからだ、戦車や戦闘機等の兵器が、だ。

 軍事基地内は爆発や爆風が発生するが炎も広がっている。惨劇とも言えるが災害とも言えるだろう。しかし、それを行なったのは、一丁のマグナムを片手に持っている一機のISでああった。

 そのISが全身が黒く禍々しい。が、赤い血で塗られたような星や魔方陣が幾つも描かれている。そして、そのISに乗っているのは一也であった。

 

「織斑一夏ーーーーッ!! 出て来やがれぇぇーーーーっ!!」

 

 一也は怒りながら叫んだ。そして、手に持っているマグナムを近くに停まっている戦車目掛けて撃った。刹那、戦車は爆発四散して、周囲に爆風を起こす。

 それは静寂に包まれたドイツを一瞬で惨劇にする意味でもあった……。

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