インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第134話

「織斑一夏ーーーーっ! 出て来やがれーーーーっ!!」

 

 あれから五分も経たない頃、一也はISを纏いながらマグナムを乱射していた。彼は軍事基地内で暴れているが辺りは災害であり、惨劇と化していた。

 辺りには一也が破壊した戦車や戦闘機が無惨な姿で転がっている。炎が軍事基地内の至る所で発生し、灰色の煙が立ち込める。が、それらを引き起こした元凶は一也である。

 彼の怒りでもあるが八つ当たりでもあるだろう。同時に彼はISを手に入れている。強大すぎるISを我が物としている。そのISは少し前に主催者が一也に与えてくれた、否、教えてくれたからだ。

 彼はそのIS、ゾディアックを使ってゲームを制しようとしていた。これで一夏と一彦と対等に渡り合える。そして、澪香を生き返らせる為に、だ。

 彼は一夏を見つけるべくマグナムで辺りを乱射する。刹那、その内の一発が戦車に直撃し、それは爆発四散した。煙も発生するが近くには数人のドイツ軍の男性達が物陰に隠れながら応戦している。

 ショットガンやアサルトライフル等でだが相手はISかつ、上空に浮いている。どう見ても効果はない。

 

「おい! 他の戦車や戦闘機はどうした!?」

 

 そんな中、建物近くの物陰には五人の男性がいた。その内の一人、三十代前半の男が自分よりも年下かつ地位が低い男性に怒りながら訊ねる。

 

「それがここら辺の全てはあのISのお陰で殆どが破壊され、使用不能! 戦闘機も使えれば問題ないのですがあんな低くは飛べません!」

「くそっ! 何故奴が来た所を誰も見てない!?」

 

 彼の言葉に男性は遣る瀬ない思いをし、壁を殴る。それもその筈だった。戦車や戦闘機は殆ど破壊され、使えない。残りは他の場所にあるが動かすのには時間が掛かり、戦闘機も低くは飛べない。

 つまり、兵器は使えないと言う事だ。同時に小型武器で応戦するしかないのだ。が、全て手詰まりではない。男性は何かを思い出したかのように訊ねた。

 

「そう言えば……!」

 

 刹那、彼等の近くで爆発が起きた。これには男達は驚くがリーダー格の男は上空を見る。そこにはISを纏っている一也がいた。手にはマグナム……否、何も持っていない。その代わり、近くには大砲が浮いている。

 辺りは、地上は炎、上空は煙や立ち込められ、火の粉が何十、何百も舞っている。軍事基地内は惨劇と化しているが一也の憤りは治まる気配はない。

 

「織斑一夏ーーーーーーッ!!」

 

 一也はそう叫びながら手に持っている大砲を地上へと向ける。刹那、砲口から砲弾が放たれた……。

 

「……あいつは……!」

 

 その頃、一夏は資料探しを一旦止め、建物内にある窓から外の様子を伺っていた。辺りは戦火となっている。が、上空ひは一機のISが浮いているがそれが元凶である事にも気づいていた。

 しかし、彼はそのISの操縦者は誰かまでは判断出来た。あいつは黒峯一也だ。そう気付いたからだ。が、奴は何時ISを手に入れたのか? そこは何所から出てきたのか? 何故自分がドイツ軍の基地に居た事を知ったのかを疑問に思っていた。

 一夏は思考を走らせる。が、事の発端が浮かばない。他のプレイヤーの動きを全て把握している訳ではないのだ。一夏は一也を見て舌打ちする。

 刹那、スマートフォンから着信音が聴こえた。一夏はそのせいで現実に引き戻されるが画面を観る。彼は眉を顰めた。それは紅い手紙、メールが来たからだ。

 一夏はそのメールの送り主があの男、主催者である事に気づいた。何かの用事か? 一夏はそう思いながらメールを開く。刹那、一夏は舌打ちした。その内容を見て怒りが込み上げてきたからだ。

 

『織斑一夏、お前はISを手に入れたが、更には俺の勧めでレクター博士と言う強力な味方や得た。それだけでなく、チャッキーとティフアニーを引き連れているプレイヤーと同盟した。

 それではお前が有利かつ、ゲームに面白みが無くなる。俺はデメリットを与える意味でお前と対等に渡り合える夢見一彦の他、ブギーマンを引き連れている奴にISの存在を教えた。

 そして、お前がいる場所がドイツ軍の基地である事も教えた。お前がどうなるのかは俺には知った事ではないが生き残る事を願う。ゲームを面白くさせる為にも、な?』

「……あの男か……!」

 

 一夏はメールの内容を見て怒りを覚える。一也にISを与えたのは主催者である事に気づいたのだ。それだけでなく、彼は自分の周りに起きた事を全て把握している。

 何故か一美の事にも関係している事を知っている。まるで生活その者を覗いている変態としか思えない。が、今はこの状況をどうにかしなければならない。

 一也は、奴は暴れ続けている。自分という獲物を探している狩人のようにも思えるが理性を失っている。否、自分を一番の標的としても認識し、ゲームを制したいと言う焦躁感に嘖まれているとしか思えなかった。

 一夏はそれに気づくが今は逃げるよりも、軽く見る事にした。チャンスだと思っていた。相手の動きを読めるからだ。相手は未知のISを纏っている。

 ならば、動きを見切れるくらいかつ、癖を見つければ良いのだ。ISの性能は愚か、操縦者の実力も判る筈だ。一夏はそう思いながらも高みの見物をする。

 無理に暴れさせるのを止める意味で割り込むつもりは無い。ドイツという国に怨みがある為に助ける気もない。それにラウラからも何故か怨恨を抱かれている為でもあるが彼は無言で見ていた。

 相手の動きを知る為に……そして一旦、資料探しを止めたのだ。一夏は窓から一也の様子を見る。

 

「ああああーーーーっ!!」

 

 一方、彼は未だに暴れていた。が、その場を動かず、無闇に砲弾を辺りへと撒き散らすように乱射している。ドイツ軍の兵士達は手も足も出ず、苦戦を強いられていた。

 戦車や戦闘機が使えない今、更には夜襲と言う事もあって兵士の数は徐々に集結しつつあるが応戦していながらも爆風に巻き込まれたそ事で死亡したり、砲弾を諸に直撃して肉片と化したり、となっている。

 警察にも連絡したかったが軍事基地内は混乱しているからだ。自分達はドイツ軍の兵士としてドイツを守る使命がある。それを高が一機のISに、否、一機だけでも手こずるのだ。

 このまま壊滅するのか? 誰もがそう思って……いない。何故なら、この軍事基地にはあれがあるのだ。目には目、歯には歯、という事があるが正にそれであった。

 

「そこのIS! 何所から来た!!」

 

 刹那、遠くから叫び声が耳に響く。一也と、地上にいる者達は声がした方を見る。そこには、九機のISが一也目掛けて迫る。この国あるIS全てが一也を捕えるか殺すべく、出てきたのだ。

 これには男性隊員達は少し喜ぶ。これで逆転出来る。そう思っていた。そして、そのISはドイツ軍が誇る特殊部隊、シュヴァルツェ・ハーゼ、通称、黒ウサギ部隊だ。

 中央にいて先頭にいるのは、二十代前半の女性。紺色のショートカットに紺碧色の瞳、左目を眼帯で隠している。整った顔立ちであるが怒っている。理由は軍事基地を破壊した彼、一也に対してだ。

 そして、その女性の名はクラリッサ・ハルフォーフ、部隊の副隊長である。隊長がいない今、彼女が一時的な指揮官だ。クラリッサを含めた彼女達は一也目掛けて迫る。彼女達の任務は一也を倒す事だろう。

 

「……掛かってきやがれ!」

 

 一也は応戦する構えであった。彼は大砲を彼女等目掛けて向ける。刹那、轟音が響き渡るが砲口から砲弾が放たれた音であった……。否、一也とクラリッサ率いるシュヴァルツェ・ハーゼの戦いの火ぶたが切って落とされる音にも近かった……。

 

 

「ほう……面白くなってきたな……」

 

 そんな彼等を窓から見ていた一夏は表情を険しくしながら不意に呟く。が、彼はある事を期待していた。それは一也が死ぬ事を期待していたのだ。

 彼が死ねばプレイヤーは一人減る。後は一彦と、ピンヘッドを引き連れているプレイヤーを倒せば問題ない。一美は後から殺せば問題ない。が、本当はあの時殺すべきだと一夏は思った。

 あれは使えるかどうかは判らないからだ。サンドイッチを上げたのもワザとであったからだ。睡眠薬を含めたのは人形達を黙らせる為でもあった。

 しかし、利用した後に殺せば良い。そう思ったのだ。一夏は優しさを与えた訳ではない、利用する道具としか思っていないからだ。そして彼は思った。

 

「……死ねば良いのにな……あの野郎」

 

 一夏は不意に呟く。それは窓の外にいる一也に対してであった。出来る事なら死んで欲しい、そう思っていた。そして、轟音が幾つも響き渡るが彼はジッと見たまま、その場を動かなかった……。




 次回、土曜日からの投稿はお休み致します。次回は日曜日からの投稿となります。
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