インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第146話

「全く、最近は何がどうなってやがる!?」

 

 あれから一時間後、ここは学長室。室内には十蔵と千冬、二人のスーツ姿の男性がいた。彼等はソファーに腰を下ろしているが向かい合うように座っていた。その内の一人、中年間近の男性が最近の事で頭を抱えながら怒りを隠せないでいる。

 それは、最近遭った事にだ。それは幾ら考えても判らず、尚且つ組織内でも問題となっていた。彼はそれでに悲観し、憤怒している。幾ら考えても解決の糸口は見えず、その手掛かりさえも無い事に困惑さえもしているのだ。

 

「落ち着いてください警部、そう怒ってばかりでは解決出来ません」

「それは判っているが……っ」

 

 隣にいる男性、未だ若い男が困惑しながら中年男性、否、警部と呼びながら宥める。そんな彼の言葉に警部は返事をするが何処か哀しそうであった。

 彼等は警察であった。中年男性は警部であるが若い方は新米刑事である。彼等が来た理由は一つ、この学園で起きた事件の件で呼ばれたからだ。

 それは……が、それは千冬が口を開く。彼女が一番良く知っているからであり、十蔵はこの件で、学園の一番偉い者として一緒に話を聞く事になったのだ。

 

「わざわざ済みません。ですがあれは、あの大男は再び、この学園へと来たのです。それも、私達が授業をしている最中に」

 

 千冬は二人の警官に対し、答えた。その問に刑事は表情を険しくも、困惑していた。手にはメモ帳を持っているが、もう片方はペンを手にしている。

 が、彼は聞き返す。

 

「と言うと、大男は貴方方や生徒達を見ているだけで、何処かへと消えた、と?」

「はい、ですが……」

 

 千冬はそれ以上言わなくなった。そう、彼等が話をしているのは、警察が来たのは、ある事件が発生したからだ。それは大男がアリーナに現れた事。

 それは一組と二組の生徒達が目撃し、尚且つその後消えたのだ。生徒達は怖がっているのと、現在、取り調べ、否、話を訊いている。勿論、そこを配慮して全員女性警官達と話をしている。

 一方で鑑識等がアリーナ内を調べ、後の大半が辺りを調べている。大男が近くに居ないかを警戒しているのだ。警察はその件で来たのだが警部は頭を抱え続けていた。

 

「どうなってやがる! ……あの事件は未だ解決していないのに、それも今度は大男を捕え、更に逃げ出しては大男がまた学園へと来た……それだけでなく、世界はどうなってやがる……!?」

 

 警部は頭を抱えながら言葉を続ける。何故なら警察は今、ある事件を追い掛けている最中であった。それは、倉持技研での事件である。彼等はその事で調べていた。

 しかし、それはどんなに調べても手掛かりは無く、更には大物政治家が裏で取引をしていると言うスキャンダルな事が世間に明るみになっていた。

 政治家を捕えるのは兎も角、事件を起こした犯人を未だ捕らえていないのだ。同時に他にも学園に襲撃してきた者達や、他の国で起きている事件も世間を賑わせ、震わせている。

 海外の捜査まではいかないが倉持技研の捜査だけはしておかなければならないのだ。にも関わらず、また事件が起きたのだ。学園で身柄を引き渡され、更には逃げ出し、再び学園へと来たのだ。

 大男は誰の目から見ても怯え、震わせる。それが逃げたとなれば、警察は無能な組織として世間からバッシングされてしまうのだ。上層部はそれを良しともせず、更には何とかしろと言ってきたのだ。

 警部から見たらどうする事も出来ず、無駄なあがきとしか言えない。彼はその事で悲観する中、十蔵が心配そうに慰める。

 

「警部さん、自身を責めないでください。貴方が悪い訳ではありません」

「いえ、私達警察が怠慢だと、世間からも言われておりますので……」

「いえいえ、貴方は警察として立派に働いてらっしゃる。それだけは自信を持ってください」

「……済みません」

 

 警部は十蔵の言葉に救われたかのように微かに哀しそうに笑う。が、十蔵はある事を話始める。

 

「取り敢えず今後の事で話をしましょう」

 

 十蔵の言葉に千冬、警察の二人は頷く。そして彼等等は今後の学園での警備での話でもあった……。

 

 

 

「大丈夫です。ゆっくりと話をするだけです」

 

 じその頃、IS学園の一室。そこには一組と二組を含めた女子生徒達と数名の婦警、教師が居た。が、女子生徒達は皆、困惑し、震え、泣きじゃくっていた。

 そんな彼女等を婦警や教師が彼女達を慰めている。が、一人一人話をしている。それは別室であるがカウンセラーをする意味でもあった。女子生徒達が泣いているのは彼女等があの大男に逢った事が原因でもある。

 あれは恐怖し、戦慄もする。トラウマをも引き出すが婦警、教師達は何とか慰める。しかし、効果はない方にも近い。

 

「…………莫迦が」

 

 そんな彼女等の中に一人だけ男子生徒が居た。一夏である。彼は、一夏は周りを見て微かに怒りを感じた。が、ジェイソンにも怒りを感じていたのだ。

 彼は何故、あそこに現れたのか。何の為に彼女等を怖がらせるような事をしたのか、と。一夏はその事で気にする中、彼の近くには、ある女子生徒が居た。簪だ。

 

「織斑さん……」

 

 簪は彼に訊ねる。彼女も困惑しているのだ。ジェイソンの事は良く知っているが慣れないのだ。彼を見て何度叫んだのかは判らない。しかし、彼が何故現れたのかは彼女にも判らない。

 簪は項垂れるが震えていた。彼がアリーナに現れた事と、自分達を見ていた事。それは事実でもあるが多くの同級生達に目撃されたのだ。恐らく今までで一番、目撃されたに違いない。

 同時に彼は学園内を迂闊に動けないだろう。どうする事も出来ないのと、彼が目撃された事で学園は危険な場所に変わるだろう。警察もそれを危惧し、尚且つ国全体にも多くの問題を抱える事にもなるのだ。

 全世界からバッシングの嵐は愚か、日本政府はそれ相応の対処は難しいのだ。理由は学園には多くの留学生がいる。国が大事にし、日本へと送った生徒達がいるのだ。

 それを危険な状況へと陥らせたら大問題でもあるのだ。簪はその事を気にする中、身体を震わせている。本音は近くにいない。理由は彼女が今、別室で話を訊かれているからであった。

 今は一夏しかおらず、知り合いは彼しかいないのだ。その為、彼に甘える事しか出来ない。無責任でもあるが今は彼に甘えたい一心でもあった。

 が、彼に甘える事はしたいのだがそれが出来ない。こんな状況に甘えるのは彼を困惑させるだけだとも気づいていた。

 

 

「…………」

 

 そんな彼女を見た一夏は何も言わなかった。彼女が震えている事だけは気づいているが彼は慰める気配はない。利用しているのと、自分には彼女を慰める理由も無いからだ。

 もしも慰めても私情でしかない。あの時、守ると言っても利用でしかなかった。なのに、今はそれをする義務も無いのだ。否、彼自身、気づいていないだけであるが心の何処かで、微かな情が蘇りつつある。

 それに気づくまでは彼は何も知らないのと、今の現状を何とかしなければならない。ジェイソンを咎めるのもそうであるが内心、微かにチャンスとも感じていた。

 ゲームの最中でもあるが今は他のプレイヤー達に動く気配はない。ドイツ軍基地を襲撃した奴は顔を見られ、動けない。一也も何かの計画の為に一時的に身を潜めている。

 一美も学生寮にいるが何をしているのかも判らない。一夏はこのような状況になってもそんな事を考えていた。しかし、彼はある事を気にしていた。

 最後の一人、ピンヘッドのプレイヤーだけが何もして来ないでいた。彼は何をしているのか、何故動かないのかを気にしていた。一夏は彼の動きを調べようにも察知しようにもそれが出来ない。

 一夏は軽く舌打ちするが彼はピンヘッドの動きを何とか詠もうとしていた。が、何故か詠めないでいる

 

「…………っ」

 

 一夏は下唇を噛む。彼だけ詠めないのだ。どうしてかは判らない。彼はその事で悩む。何とか詠もうにも、それが出来ない。彼は頭を抱えるが今は、他の事にも気がかりな事がある為、迂闊に動けない。

 それはドイツ軍基地にいるあの大男の事だ。彼は何者かを知りたい。そう思った直後、

 

「次の方、織斑君?」

 

 一夏は自分の名を呼ぶ者の声に反応し、声をした方を見る。婦警が居たが恐らく、自分の番と言う意味での事情聴取だろう。一夏はその事に気づき溜め息を吐くが逆らう事が出来ず溜め息を吐くと、立ち上がり、婦警の方へと向かった。

 

 

 しかし、一夏は知らない。最後の一人、ピンヘッドのプレイヤーが直ぐ身近に居る事を……それも強大な権力を持つ者である事を。




 次回、土曜日での投稿をお休み致します。次回は日曜日からの投稿となります。
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