インフィニット・デスゲーム 作:ホラー
「何を考えている、ジェイソン?」
あれから数時間後、一夏は学園での授業を全て終えた後、一人、湖に囲まれた孤島で彼、ジェイソンと話をしていた。ジェイソンは湖を眺めながら佇んでいるが話す気配はない。
一夏は彼の後ろにいるが左手を腰に当てている。表情は呆れその物であるが怒りも微かにあった。彼がアリーナに現れ、多くの生徒に目撃された事だ。
その所為で学園側は多くの女性警官やSPを配置する事になったのだ。襲撃者の事もあるが最善の策だと思っているだろう。しかし、一夏は彼、ジェイソンが現れた事を指摘している。
彼の所為でもあるが存在は前から認識されている為に問題ない。が、警察は彼を危険人物として危険視している。彼は迂闊に動けない。同時に行動範囲を削る事になり、狭くなる。
他のプレイヤー達の動きを詠む事は出来ないのだ。一夏はその事を考えつつも、ジェイソンに指摘するのが先である事にも気づいていた。
「ジェイソン……何故、彼処に現れた?」
一夏は彼に訊ね続ける。しかし、彼は何の反応も見せない。彼は何も言わず、否、元からでもあるが無言であるが湖の水面を静かに見ている。
水中の中を泳ぐ魚が跳ねるのを待っているのか、或いはジッと見ているだけなのかは彼にしか判らない。反面、彼は湖その物を嫌い、忌まわしい過去を蘇らせるにも等しい。
それでも彼は何も言わない。彼は一夏に逆らう意味でもあるが黙秘している。後ろには一夏が何度も訊ねているが背中で受け止めている。
「…………」
一夏は溜息を漏らす。彼は何も言わない事に気づいたのだ。が、彼は暫くの間、活動を控えようと思っていた。夢見一彦の件もあるが黒峯一也の動きも気になるのと、ピンヘッドのプレイヤーが何をしているのかも気になるからだ。
一夏はその事を考えながらも彼、ジェイソンに言った。
「ジェイソン……俺達は暫くの間、活動を自粛する」
「…………」
「世間は最近の事で戦慄と震撼している。その影響でもあるが俺達は迂闊に動けない……」
「…………」
「他の奴等は兎も角、人形共を引き連れている小娘とは一時休戦だが何時かは戦う……それまでの間、お前は此処を動くな」
「…………」
一夏はジェイソンに対し、今後の活動を伝える。暫くは休戦状態になるが何時再開するのかは判らない。それまでの間は自分達は行動を控える事にしたのだ。
学園生活をするのは億劫であるが一夏はそれを受け止めつつも話をしている。ジェイソンは無言であるが彼の話を聞いているのかは彼にしか判らない。
それでも一夏は一通りの話をし終えた後、彼に告げた。
「俺達は暫く、否、六日後の夢見一彦が動くまでの間、充分な休養を摂る。此処最近、ゲームのお陰で休む事は出来なかった……」
「…………」
「お前もゆっくり休め、そして俺が動くまで、俺に何か遭ったら、簪様達に危機が遭ったら、何か遭ったらそちらを優先しろ……じゃあな」
一夏はそう告げた後、風のように消えた。それは学園に戻る為でもあった。居なくなったら不審がられるのと、楯無がち冬に何かを言われたら溜まった物ではないからだ。
一夏はその事でイライラしながらも学園生活をするしかないと気づいていた、無駄な時間と行動をするのか? 一夏はそう思いながらも学園へと戻って行った。
彼がいなくなった後ジェイソンしかいない。否、他にも飼っている鶏や、湖の中を泳ぐ魚等の生き物がいるが食料用でもある為、無駄に等しい。
生き物、否、生き物だった物である化物はジェイソンしかいない。彼は一人で湖を眺めていた。が、ふと、後ろを肩越しで見る。そこは,少し先には家が建っているがその前に居は一夏がいた。
彼は学園に戻る為に消えたが数十秒の前の事だ。しかし、ジェイソンは何も話さなかった。否、元から無言である彼が、あの場所、アリーナに現れたのには、ある理由があった。
それは自分を引き連れているプレイヤー、一夏の為でもあったのだ。彼は最近、多くの事で対応に追われている。何れもゲームの事であるが彼は疲れ切っているのだ。
彼処に現れたのは多くの生徒に目撃される為でもあった。そうすれば他のプレイヤーは厳重な警備と化したIS学園には近づく事が出来ない。
同時に襲撃してきても直ぐに気づかれる可能性が高いからだ。ジェイソンはそこを突くように自ら姿を現したのだ。理由は彼、一夏を休ませる為でもある。
彼は充分に休みを取って欲しい。今の彼は右腕を失い、ゲームに不利な状況である。時間を置いて、彼が対策を練らせるのと、体力を回復する意味でも休養し、温存して欲しいからだ。
彼が死ねば自分も消滅する。それに気づいているが彼には感謝しているからだ。彼のお陰で多くの人を殺す事が出来た。何れも犯罪者であるがストレスを発散させるには丁度いい運動にもなったからだ。
恩返しという意味でもあるが学園を厳重な警備体制にしたのも自ら悪役を買って出た為でもある。彼を休ませたい、ジェイソンの微かな思いがあったからだ。
しかし、それは一夏には届いていないだろう。ジェイソンはそれに気づきながらも再び湖を見る。魚が飛び跳ねる気配はない。それでも、此処で待機する方を選んだ。
自らが何時でも動けるのもそうであるが暫くの間、彼の言う事を聞こうと考えていた。殺人鬼とは言え、元は人間である。彼はその事を自覚しつつも一人、一夏が戻るまでや学園へと言ってる間、此処に居ようと決めていた。
「うっ……」
その頃、一夏は学園近くにある学生寮の自分と楯無が共同生活している部屋にいた。今の時間帯は夕方であるが部屋には楯無は居ない。一美も居ないが恐らく、霧に囲まれた玩具屋にいるのだろう。
が、彼は壁に凭れ掛かりながら頭を抱えていた。脂汗を流しているが疲れが一気に来たからだ。
今までなかったのだが最近起きた事ばかりでそんな事を一向に考えていなかったからだ。しかし、暫くの間動かないの、それが彼に今までの疲れを抑えているからだろう。
それが原因でもあるが暫く動けないと知って何処か安心している自分がいる事にも気づいたのだ。一夏はその事に気づくと舌打ちした。何を考えているのだ、自分は? と。
ゲームを制する為にそんな安心していいのか? とも思っていた。一夏はその事を拭おうとするがそれは出来ないでいた。疲れの方が大きいからだ。
一夏はその事に気づきながらも舌打ちした。が、全身石のように重く感じる。それが証拠でもあるが一夏は歯を食い縛る。
「済まない、一夏はいるか?」
刹那、一夏は声に反応し、声がした方を見る。そこは部屋を出入り出来る扉からであった。一夏はそれに気づきながらも顔を引き攣らす。声の主を知るや否や、怒りを沸かせてくるのだ。
理由は解らないが誰とも話をしたく無いからでもあった。更識姉妹や布仏姉妹達は例外として、今は誰とも話したくは無いのだ。居留守も使いたいのだが声の主はそれを気にするか、気づくのだろう。
「一夏はいないのか? それとも居留守を使っているのか!?」
扉の向こう側にいる主は怒る。一夏はそれに気づく。居留守は無駄である事に気づいたのだ。しかし、何とかしなければならないのだ。余計な噂を呼び、更には疲れが増えるだけでもある。
一夏は疲れ切った意味で石のように重くなった身体を鞭打つように言う事を聞かせると、扉の方へと向かった。そして、扉の前に立つと、扉を開けた。
「……お前か?」
一夏は扉を開けるや否や、扉の向こう側にたっている人物を見て更に顔を引き攣らす。そこに居たのは箒であった。彼女は一夏を見て驚きを隠せない。
「い、一夏、どうしたのだ!?」
箒は一夏の様子に気づき困惑している。彼の疲れ切った顔を見てだからだ。箒は一夏の顔に手を伸ばそうとした。が、一夏はそれを払う。
「……何をする?」
一夏は箒に対して怒りながら訊ねる。彼の行動に箒は驚くが怒る。
「どうしたんだ一夏!? 疲れ切っているではないか!? それに心配して悪いのか!?」
「……悪いに決まっているだろう……それにお前に心配されたくは無い」
「何を言ってるのだ一夏!? 私達は幼馴染みではないか!?」
「……それが何だ? それ以外、何があるんだ?」
「い、一夏!」
箒は一夏の様子に怒りながらも困惑している。しかし、一夏は彼女が此処にいる理由を知りたいである。何しにきたのかと、それに理由も含まれているからでもある。
一夏はそれを箒に指摘した。
「それよりも貴様……何しに来た?」
一夏は疑わしい目つきで彼女を見ながら訊ねる。すると、箒は困惑しながらも答えた。
「字、実はお前にお願いがあるんだが……トーナメントの事で?」
「……昼間の,山田先生の言った事か?」
一夏はそう言うと、箒は深く頷く。
「ああ……もしもだが、一夏、出来る事なら私と組まないか?」