インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第150話

「ふぅ……」

 

 翌日、ここはIS学園近くにあるアリーナ。そこには、観客席には数名のSPと、アリーナには二機のISが居た。片方はIS委員会が派遣した女性操縦者であり、もう片方は、此処の学園の生徒であり、一年一組の生徒かつ、ブルー・ティアーズを纏ったセシリアであった。

 彼女は今,大きな溜息を漏らす。不安と恐怖を意味しているようにも思えるが今はそう言った感情を吐き出す気はなかった。

 

「どうしたの?」

 

 そんな彼女を女性が訊ねるがセシリアは不安そうになりながらも首を左右に振る。

 

「何でもありませんわ……ただ」

 

 彼女はふと、辺りを見渡す。観客席には女性達がいる。それは昨日現れた大男の件で警察や他方から派遣された女性達がいる。警備と言う意味でもあるが彼女から見れば不安を拭いきれないでいる。

 大男が何所から現れるのか、何所で自分達を見ているのかを気にしている。同時にセシリアが此処にいるのは,ある行事関係で練習しに来たのだ。

 月末に行なわれる学園別トーナメント。その為に練習しに来たのだ。しかし、ある存在が彼女を邪魔し、練習に身を入らせないでいる。ジェイソンだ。

 彼を二度も目撃した。それはセシリアにとって恐怖を与えている。同時に彼女は目撃者でもある為、彼女だけは少し長めの事情聴取を受けた。

 特徴もあるが彼女がそれを払う事も出来ない。同時に練習しなければならない。その日にはイギリス政府の面々も来るのだ。無様な所を見せたら恥その物であり、家を取り潰される。

 亡き両親が遺し、大切な帰る場所でもあり、守る場所でもある。自分は両親の為に家を大きくするのが彼女の役目だ。セシリアはそう考えている中、女性は再び訊ねる。

 

「どうかしたの? 顔色悪いわよ?」

「えっ……いえ、大丈夫ですわ」

 

 セシリアは不意に目を閉じると、再び瞼を開き、彼女に尋ねた。

 

「あの、もし、よろしかったら鍛錬に付き合ってもらいませんでしょうか?」

「えっ? 別に良いけど、貴女は大丈夫なの?」

「何がですの?」

「……あの行事、パートナーが居なきゃ出来ないでしょう?」

「っ……」

 

 女性の言葉にセシリアは項垂れる。確かにそうであった。あれはタッグで参加しなければならないのだ、それには相棒を捜さなければならない。

 申請すれば契約にもなる。しかし、彼女にはそう言った存在は居ない。居たとしても、自分には接する事は出来ない。入学初日の件もあるが高貴な態度が災いしているのだ。

 彼女は今までの愚行を振り返るが一夏との対決では屈辱かつ、後ろ指を指される事が多くなった。そんな自分にパートナーになって欲しいと言える人は居るのか? 居ない方が等しいだろう。

 セシリアはその事で悩む中、誰が良いのかと悩む。

 

「……出来る事なら……っ」

 

 セシリアはある人物を思い出す。それは学園で唯一かつ、強者にも入るであろう存在。今の一年では一番ともいえ、襲撃者と戦った事もあり、自分達のクラスの代表でもある男子生徒、織斑一夏である。

 彼は未だにパートナーを見つけられないでいるだろう。しかし、彼に頼んでも拒否されると思っていた。自分に対して良い印象はないだろう。

 出来る事なら彼と組みたい。謝罪と言う意味で彼をサポートしたい。が、それが出来ればだが今の自分にはそう言った度胸はない。嫌われている事を自覚しており、それが自分を邪魔しているのだ。

 セシリアはその事で悩む中、下唇を噛む。そんな彼女を女性は心配そうに見ているがセシリアは顔を上げると言った。

 

「取り敢えず今はその件は置いときます。ですが今は鍛錬に付き合ってくだ……?」

 

 刹那、セシリアは遠方から音が聴こえ、反応する意味で振り返る。それはISの音でもあったが此方へと来る。恐らく、練習に来たのだろう。

 セシリアはそれに気づくがそのISは二機であった。もう一機は量産型である打鉄を、もう一機は甲龍を纏っている鈴音であった。

 

「あら、あれは?」

 

 鈴はセシリアに気づき、近づく。

 

「あっ、アンタは確か一組の……」

「セシリア・オルコットと申します。以後、お見知りおきを」

 

 セシリアは優雅に挨拶する。それを聞いた鈴は軽く微笑む。

 

「そう、私は鳳鈴音、中国から来たわ」

「そうですか……ところで」

「鈴で良いわ」

「あっ……り、鈴さんは何故此処に? 貴女も練習ですか?」

 

 セシリアの言葉に鈴は軽く頷く。

 

「まあそうよ? 学年別トーナメントの為にも練習をね?」

「そうですか……それよりも鈴さんは誰かいますか?」

「えっ?」

「いえ……貴女もその行事の事ならば、誰かと組んでいますの?」

「…………」

 

 鈴は不意に項垂れる。

 

「鈴さん?」

 

 セシリアは彼女の様子に気づき声を掛ける。が、鈴は呟いた。

 

「出来る事なら……あいつと組みたい」

 

 鈴の言葉にセシリアは目を見開いた。が、鈴はあいつと言ったがそれは彼、一夏の事であった。想い人でもあるが後悔さえもしている。中国政府の事で傷付いている自分に力を貸してくれた。

 同時にあの大男を使った事も知っている。それを言えないでいたのも彼の事を心配しているからだ。同時に虚との会話も聞いたのだが彼はある所に身を置いている。

 それを咎める事も出来ないのと、ある事を知った。それは彼は危険な場所に身を置き、あの大男は仲間ではないのかとも悟ったのだ。それを、千冬に言えないのは彼を思い、両親を思っての事でもあった。

 鈴はその事で悩む中、セシリアは訊ねる。

 

「も、もしかして鈴さん、お、織斑さんと組みたいのですか?」

 

 彼女の言葉に鈴は顔を上げると、微かに頬を紅くすると首を左右に振る。

 

「ゼ、全然違うわよ!? そ、それにあいつ、根暗そう出し、なんか人が変わったから、棘もあるし……その」

「鈴さん?」

 

 鈴は項垂れる。確かにそうだった。根暗は兎も角、彼はあんな人ではなかった。誰よりも優しく、他人を優先するお人好し。それなのに、あれは別人であった。

 何が遭ったのか、何故あの大男を引き連れているのかを知りたかった。が、それは出来ない。同時にそれを、危険並みにおいている彼を他人にも漏らせないでいた。

 鈴はその事で後悔する中、顔を上げる。セシリアは困惑しているが鈴は哀しそうに微笑む。

 

「まあ、何とかなるし……それに」

 

 鈴はある事を訊ねる。

 

「それよりも私と手合わせしない?」

「手合わせ、ですか?」

 

 鈴は頷く。

 

「ええ、私達、丁度戦っていないし、それにパートナーも居ない。でも、手合わせくらいは出来るわよ?」

「そ、それはそうですけど……」

「それに……ああ〜何て言えば良いの?」

「えっ……あっ、セシリアで良いですわよ?」

「そう……セシリア、私と戦いましょう。お互いの力を知る事も出来るし、何より今は他の生徒達も居ないし、居るのは私達だけとIS委員会から派遣された……あっ、そうだわ!」

 

 鈴は近くに居る女性達を見る。二人は不思議そうに鈴を見ているが鈴は言った。

 

「あ、あの出来る事なら私達と手合わせしてくれませんか!?」

「「えっ?」」

 

 鈴の言葉に女性達はキョトンとした。が、鈴はその理由を述べた。自分達は手合わせ出来る。が、彼女達はIS委員会から派遣された操縦者達。

 彼女達と手合わせ出来るのも中々ないのだ。それにある理由もあるがセシリアに言った。

 

「それにセシリア。貴女、トーナメントでパートナーは決まったの?」

「いえ、未だですけど……それが何か?」

「だったら、出来る事なら、私と組まない!?」

 

 鈴の言葉にセシリアは驚く。しかし、鈴から見れば都合が良かった。自分も今、パートナーがいない。セシリアもフリーならば好都合でもあったのだ。

 他のクラスと手を組む事は禁じられている訳ではない。それに彼女の実力を知るのと、彼女がパートナーならば心強いとも思っていた。過信しているのもそうであるが今は誰でも良いとかではない。

 彼女の力を知り、どう戦うのかを知る為でもある。彼女と戦術を練るのも悪く無いのだ。鈴は彼女に対してそう言い続ける中、セシリアは少し困惑した。

 

「ですが、私でよろしいのですか?」

「別に良いわよ! それに……ん?」

 

 刹那、鈴とセシリア、女性達は反応した。それは音が聴こえるからだ。その音は此処を出入り出来る場所からであった。そして、一機のISが出て来た。

 それは全身が黒く、巨大なレールガンが備えられている。そして、そのISを纏っているのは銀髪紅目の少女であった。

 

「アンタは……!」

「ボーデヴィッヒ ……!」

 

 凛とセシリアはその少女を知っていた。その少女は一組の生徒であり最近転校して来たドイツ人留学生、ラウラ・ボーデヴィッヒ であった。

 

「ム? ……フン」

 

 刹那、ラウラは二人を見て軽く不敵に笑う。そして、それが悲劇を巻き起こす数分前である事を意味していた……。

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