インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第153話

「お前と……か?」

「うん……ダメ、かな?」

 

 一夏は眉を顰めながらシャルに訊ねると、彼女は怯えながらも頷き、再び聞き返した。彼女は一夏に対し、自分と共に学年別トーナメントを勝ち抜きしないかと、誘ったのだ。

 理由は色々あるが一番と言えば、織斑一夏と言う男性操縦者のデータだろう。彼の、一夏のISであるジャック・ザ・リッパーが目的でもあるのだ。

 それを手に入れ、自分の父が経営して居るでデュノア社、もしくはその背後に蠢く強大な権力者達が喉から手が出る程、欲しがっているのだ。

 彼女はそれらの存在に飼われる狗と化している。父を盾にされて居るのもそうであるがスパイ活動をしているのだ。それには彼、一夏に接触するのが最優先でもあるのだ。

 しかし、それらに接触する機会は幾度もあれば全て失敗している。と言うよりも、彼女自身がそれをしたく無いからであり、一夏自身がある理由で彼女を避けているからである。

 が、あるチャンスが巡って来た。それは月末に行なわれる学年別トーナメントである。二、三年の先輩方と組む事は出来ない、同学年でなければ組む事は出来ない。

 シャルはそれを知り、同時に彼、一夏と手を組めば接触する機会が増え、彼のデータを奪うチャンスが増えるからでもあった。彼女はその事を隠し、彼に自分のパートナーとして組んで欲しいとお願いしている。

 利益もあるが警戒もしているのだ。シャルは一夏に対して、更に言葉を続ける。

 

「もしもだけど……もしも織斑君が誰もパートナーを決めていないのなら、僕が立候補して良い、かな?」

「…………」

「も、勿論、僕は出来る限りのサポートもするし、それに……もしもだけど」

 

 シャルは簪の方を見る。

 

「もしかして、簪が織斑君のパートナーなら、僕は諦めるけど……」

「えっ? ち、違うよシャル、わ、私……もう、決まっているよ……本音と」

「えっ? 本音?」

 

 シャルの言葉に簪は困惑しながら頷く。実は簪は、彼女は既に他の者とパートナーを決めていた。それは本音である。彼女は簪の従者にして親友でもあるがパートナーとしては申し分ないのだ。

 基本のほほんとしているがいざという時は強く、頼りにもなるからだ。簪は本音に決まっているが一夏を入れていない。彼は誰と組むかまでは兎も角、長年一緒にいる彼女の方がいいからでもあった。

 それは簪がシャルに対して一夏と組んでいない事を意味しているがシャルはぎこちなく笑う。

 

「そっか……だったら」

 

 シャルは一夏を見る。彼は眉を顰めているがシャルは微かに震える。機嫌が悪そうにも思えたからだ。気に障る発言をした訳でもないが彼女は一夏に言った。

 

「ど、どうしてもと言えないけど……僕は君をパートナーにしたい……ダメかな?」

 

 シャルは一夏に懇願する。自分と組んで欲しい。その裏腹に自分の父を守る為にもだ。彼女は一夏を見据える。そんな彼女とは反対に簪は心配そうに一夏を見ていた。

 二人は彼の言葉を待っていた。是か非かの何方を選ぶのかを待っていた。もしも、賛成ならば彼女のパートナーになり、否定ならば彼は当日まで誰かを推さなければならない。自らのパートなになる存在を選ばなければならないのだ。

 二人は彼の言葉を待つ中、一夏は答えた。

 

「……断る」

「えっ……!?」

 

 一夏は否定した。彼女と組む事を拒否したのだ。彼の性格から言えば仕方ない事だろう。彼は一人でいる事を好み、誰とも行動しない。

いざという時以外であるが彼は基本、一人だ。

 彼の言葉にシャルは驚くが一夏は理由を話す。

 

「……俺は誰とも組まない……それに俺と組んでも、俺の動きを理解出来るかどうかも、絶妙なコンビネーションが出来るのかも判らないからな?」

「そ、それって……」

 

 シャルは愕然とするが一夏は彼女を指す。

 

「お前はそれに見合う事が出来るのかも判らない……第一、お前を信用していない」

 

 一夏はきっぱりと言い放った。これにはシャルも更に愕然とするが、そんな彼を怒る者がいた。簪だ。

 

「織斑さん……! シャルは貴方を思っていったのに……何でそんな事を言うの……!?」

 

 簪は一夏に怒る。シャルの願いを彼が否定したからだ。彼女は自分達のクラスに転校して来た新たなる同級生だ。同時に彼女は転校して来たばかりかつ、未だ日は浅いのだ。

 彼女との交流もあるが彼女は一夏の為に自らトーナメントのパートナーを志願して来たのだ。それを彼は、一夏は思いを無駄にしたのだ。断ったのだ。

 簪は一夏に対して微かな怒りを感じるが彼、一夏は簪を見る。刹那、簪は肩を震わす。彼の視線にたじろいだからだ。が、一夏は何も言わずに簪から目を逸らすと、彼女達を退かし、ピットを出ようとした。

 

「ま、待って……!」

 

 そんな彼にシャルは呼び止める。何故拒むのか? それを知りたいからでもあった。 すると、彼女の思いが届いたかのように彼は立ち止まり、彼女を肩越しで見る。無表情であるが視線は険しかった。

 これにはシャルも肩を震わすがどうしても知りたかった。同時に父が危ない、それを危惧しているからでもあった。

 

「ど、どうして厭なの? 僕が転校生だから?」

「…………違う」

「だったら……どうして?」

 

 シャルの言葉に一夏は舌打ちした。そして、それを話した。

 

「……お前が信用出来ないからだ」

「えっ……?」

 

 一夏の言葉にシャルは目を見開く。が、一夏は身を翻すと、彼女を見据える。表情は険しいままであるがある事を指摘した。

 

「お前……何を隠している?」

「えっ?」

「……惚けるな……貴様、俺に関わりたいようにも思えるのと、俺に何かをしようと考えているだろう?」

「っ!?」

 

 刹那、シャルは肩を震わす。同時に冷や汗を流した。気づかれた、そう思ったからだ。しかし、一夏がそう思うのも無理はない。彼はシャルが何かを隠して、自分に接触して来ている事に気づいていた。

 まるで誰かに言われ、自分に交流と言う意味で接触を謀ろうとしている事にも気づいたのだ。それは何かまでは判らないが彼はがそう思うのは彼がゲームを制し、暗部に入った事で精神が強くなっただけであるのと、他人を警戒しているからだ。

 そのせいで彼はシャルを信じるに値しない存在として認識していた。否、それを彼が友人として認めていない事をも意味している。そんなシャルに一夏は睨むが視線を簪の方へと向ける。

 簪は何故か驚いているが震えている。彼の視線にだろう。それでも彼は優しい視線を送る気もなく、それをしようともしない。彼は簪を見ながらある事を指摘した。

 

「簪……アンタは人の見る目がない……そこを成長させなければアンタは近い将来、痛い思いをする……」

「……っ……」

 

 簪は下唇を噛む。しかし、一夏はそう言った後、彼女等に背中を向けると、肩越しで彼女等を見る。

 

「俺は学生寮に戻る……お前達は外に居る奴等に警備してもらいながら帰れば良い……もしくば此処で練習していても良い……お前達の自由だ」

 

 一夏はそう言った後、一人外に出る。二人を置いてだった。彼が外に出ると、二人のSPが居た。が、彼女等は一夏の存在に気づくと、少し肩を震わせる。

 彼の視線と雰囲気に押しつぶされそうになったのだ。一介の学生であり、自分達よりも年下の彼に畏怖している。情けないとも言えるが彼は彼女等とは潜り抜けた修羅場は違うからでもあり、死をも恐れ、殺しをも平然とやってのけているからだ。

 醸し出す雰囲気が一般人とは違うのも無理はない、一夏は二人を見ているがその内の一人が彼に訊ねる。

 

「何所に、行くの?」

「……学生寮」

「そう……だったら、私と戻りましょう? それにあの二人は……?」

 

 SPの一人がピットの中に居る簪とシャルを見る。二人は青褪めているが気にもなっている。エスピハー二人を心配そうに見るがそれをある事で勘違いしてしまった。

 

「喧嘩……したの?」

「…………否、違う……」

 

 一夏は首を左右に振る。

 

「織斑」

 

 刹那、遠くから声が聞こえた。この声に一夏は眉を顰め、SPの二人は声がした方を見やる。そこは奥の通路からであった。そこには一人の女教師がいた。

 彼女はハイヒールの音を立てながら歩いている。表情は困惑しているが美しい顔立ちであるにも関わらずだ。しかし、その教師はある人物を見て困惑しているのだ。

 その表情も彼女の哀しみの表れでもあるのだ。そして、その教師は一夏の良く知る人物であり身内、更識家の勝手な行動に怒りを覚えつつも誰よりも彼の事を気遣っている存在であり、自分が推したISを専用機にしている。

 その人物のなは織斑千冬、一夏の姉であり、彼の居るクラスの担任でもある。彼女は一夏を見て困惑しているが彼に近づきながら歩くと、こう言った。

 

「織斑、話がある」

 

 彼女はそう言った。これには一夏は眉を顰めるがち冬は彼の前に立ち止まると、彼を見据えていた。そして数分後、彼と彼女は話をする。教師と生徒ではなく、姉弟としてだった……。

 

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