インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第156話

「お前は……っ!」

 

 一夏は箒の気を失わせ、尚且つ突然変な事を言いだした彼、夢見一彦に対して眉を顰め、歯を食い縛りながらジャックのナイフを展開する。

 彼は数日前、壮大な計画をすると言い出し、更にはそれ以外の行動を起こしていないのだ。しかし、彼がいると云う事はゲームの再開を意味しているのだ。

 一夏はそれに警戒し、一彦を睨む。同時に彼の言葉に違和感を覚えているのだ。彼は突然、組まないかと言い出してきたのだ。これには一夏も怒りや不信感を抱く。

 彼と手を組む? それは一夏にとって苦痛かつ、箒よりもタチが悪いのだ。彼は敵であり、味方ではない。裏切る行為を起こすのは目に見えており、更には彼は色々と問題がある。

 襲撃者である事や彼の存在は一部に知れ渡っている為、他の者達に捕われる危険もある。が、捕まえても彼は直ぐに逃げる事が出来る為、捕まえる事は出来ないのだ。

 彼は、一彦は何しに来たのか? それに何故、自分と組まないのかと言いだしてきたのか? それ以上に何故、この学年別トーナメントを知っているのか? 色々と疑問が膨らんでいく。

 一夏は一彦に対して警戒する中、当の本人である彼、一彦は一夏を見て首を傾げる。

 

「どうしたの? そんなに組むのが厭なの?」

「当たり前だ……俺達は敵同士だ……それに俺達が組むのは……莫迦げている……!」

 

 一夏は一彦の計画を知りたく、訊ねようとした。しかし、それが出来ないでいる。迂闊に動けば、迂闊に喋れば何をしてくるのかも判らない。

 ジェイソンを呼ぶ事が出来るが迂闊に暴れる事が出来ない。大騒ぎになればそれこそ大問題だ。逃げる事は出来るのと、同時に彼が逃げてしまうからだ。

 一夏はそれを危惧しているが一彦は不思議そうに口を開いた。

 

「……何言ってるの? 僕じゃないよ? 君と組むのは」

「……何だと?」

 

 一彦の言葉に一夏は更に眉を顰める。彼じゃない? では、誰なのか、と。が、一彦は彼の言い分を理解しているのか理解していないのかは一彦自身にしか判らない中、一彦は更に続ける。

 

「……組むと言ったけど、僕と組むと言った訳じゃないよ?」

「……あっ」

 

 一夏は不意を突かれる。確かにあの時、彼は組むと言ったが自分とは一言も口にしていない。一夏はそれに気づくが一彦は軽く笑う。

 

「組むのは……彼だよ?」

 

 刹那、一彦は指を軽くならす。更に刹那、近くからとある人物が現れた。

 

「……お前は……!?」

 

 一夏は彼を見て驚く。一方で一彦は彼を見て笑うが不意に視線を走らせる。一夏が見ている人物を見ているが更に軽く笑う。

 

「頼んだよ? 君の初陣だから君の自由だし、派手にやっても、良いよ?」

 

 一彦がそう言うと彼は頷く。そして今、箒の代わりとして、彼が一夏のタッグパートナーとなった……。

 

 

 

「遅い……!」

 

 その頃、此処はアリーナの中央。そこには二機のISが待機していた。シャルとラウラである。彼女等は一夏達の相手かつ、籤引きで選ばれたペアでもある。 

 しかし、ラウラは対戦相手である彼、一夏を待っていた。彼女は表情を険しくしているが一夏と言う憎むべき存在を待っていた。彼は千冬の汚点でしかない。

 千冬の哀しみを拭うには彼を倒すしかないと思っていた。歪んだ感情を向けているが恩人でもある彼女の為に闘おうとしていた。そんな彼女に彼女のペアでもある少女、シャルは困惑していた。

 

「……何でだろう」

 

 シャルはラウラを見て困惑する中、呟いた。何故彼女と組む事になったのだろうか? 他にも彼女よりも良い人達はいた筈だ。なのに最悪な事に彼女と組む事になったのだ。

 くじ運がないだけか、賭け事には縁がないがギャンブルには向いていないのか、とシャルは思った。が、彼女と勝ち進むしか方法はない。それに相手は自分が求めている彼、織斑一夏と言う世界初の男性操縦者だ。

 彼のデータを奪うにはまたとないチャンスでもある。否、動きを調べる事が出来ると言い替えれば良いだろう。彼女はラウラと組むのを理不尽に思い、一夏のデータを奪うのを考えている中、反対側のピットから何かを噴かす音に反応する。

 ラウラも反応するが彼女達は自分達が出てきたピットから別の、向かい側のピットから一機のISが出てきた。ジャック・ザ・リッパーを纏った一夏である。

 彼はISを使って彼女達の少し離れた場所に停まる。

 

「来たか……!」

 

 ラウラは一夏を見て舌打ちする。漸と彼を倒せる。そう思っていた。彼を倒し、全てを終わらせる。この戦いに全てを賭ける。ラウラはそう決意した。

 一方でシャルはラウラの気持ちを露知らず、一夏と闘う事に警戒していた。二人は一夏と言う人物に憎悪、警戒と言う感情を抱くが箒の事は目に入っていない。

 彼女は専用機ではないのと、直ぐに片付ける事が出来るからだ。今は織斑一夏という青年に集中しているのだ。

 

「…………」

 

 一方で彼、一夏は何故か顔を引き攣らせていた。ある人物がパートナーになった事に困惑しているのだ。あれは自分と……否、一夏は首を左右に振る。

 私情を挟む場合ではない、と。そして、彼のパートナーである彼が何かを噴かす音を発しながらアリーナの、一夏の方へと向かった。

 

「なっ!?」

「えっ!?」

「「「!!!?」」」

 

 刹那、シャルとラウラ、観客席やモニターを観ている生徒や教師達は驚愕した。その人物は一夏のパートナーである彼女、箒ではないからだ。

 それだけならまだしも、その人物は周りが見れば驚きでしかない。その人物は、とあるISを纏っている。軽装であるが白銀の鎧を纏っている。

 擦り傷が一つもない綺麗なIS。ウィングスラスターもあるが鷹の翼を模している。が、その人物に驚いているのだ。黒髪であるが肌の色は白く、瞳も紅い。ISスーツを着ているが黒を基準としている。

 が、右腕だけは日本人特有の肌色であった。それだけが疑問でもあるが彼女等が驚いているのはそこではない。何故だ? 箒ではない事には気づいているがそれ以上に驚いているのだ。

 それを、ラウラが代表と言う意味で代弁する。

 

「お、織斑が二人……!?」

 

 ラウラはそこに驚いていた。そう、一夏のパートナーは彼、織斑一夏であるのだ。髪の色は兎も角、姿形は彼と瓜二つであった。ISも白であるが騎士を沸騰させている。

 しかし、そのISを見て驚いているのが、来客席にいるフランス政府の者達だ。

 

「あ、あれは……ジルドレ!?」

 

 フランス政府の者達は驚いていた。それだけでなく、近くにいる他国の重鎮達も彼らの発言に驚いている。何故ならフランス政府は、一夏らしき人物のISを良く知っていた。

 あれは自分達が開発したISである事に。それは数日前、否、かなり前に盗まれた物であった。一機ではなく、二機もだったのだ。彼等はそのISの行方を探していたが何故か彼、一夏らしき人物が纏っている事に驚きを隠せないでいた。

 フランス政府の面々はそれで驚く中、周りがざわつく中、誰もが彼の正体を知りたいようにも思えた。

 

「…………」

 

 そんな中、ジャックの方を纏っている一夏は視線を自分と瓜二つの彼に向ける。彼は瓜二つであるが表情は哀しい。まるで幼き頃の自分を見ているようにも思えた。

 が、彼から醸し出されるオーラは負の感情が孕んでいるようのも思えた。只者ではない、一夏はそう思った。同時に彼はジルドレと言う、一彦が纏っている物とは色が違う。

 自分が纏っているのは黒を基準とし、禍々しい姿のIS、ジャック・ザ・リッパー。彼はジルドレと言う白銀の騎士を沸騰とさせるISを纏っている。

 表裏一体のようにも思え、太極図のようにも思える。自分は黒であり裏の世界に身を置いている。一方の彼は明るい方の白、つまり表の世界にいるようにも思えた。

 一夏は彼を警戒する中、一夏らしき人物は彼を見て微かに哀しそうに微笑む。不安があるようにも思えるが彼は負けない自信があるようにも思えた。

 一夏は彼の表情を見て顔を引き攣らすが今は、ラウラとシャルを相手にするのが先であった。

 

 

「フフフ〜〜」

 

 その頃、一彦は一人、人気のないロッカー室でモニターを見ていた。その表情は悦びその物であるが愉しんでいるようにしか思えなかった。

 何故なら、一夏と瓜二つの彼の初陣でもあり、彼がどんな戦いをするのかを気にしていた。同時に彼は強いと言う事を彼自身は知っている。

 知勇は豊富であるが彼は産まれて間もないのだ。勿論、彼は容姿は瓜二つだけでなく、彼の、一夏の血液や細胞も同じなのだ。そして一彦は彼に対して、こう言った。

 

「頼むよ贋作君? 否……クローンと言う方が良いかな?」

 

 一彦はそう呟いた。そう、彼は織斑一夏のクローンである。そして、その元は彼の、一夏の右腕からであった。そう、彼は右腕を奪ったのはクローンを造る為だったのだ。

 そして彼は一夏の右腕を付けているが一夏のクローンだけでなく、弟的な存在でもあった。そして彼の名は一彦が決めたのだが、二夏(ふなつ)と言う名前であった。

 

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