インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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 今回から十二時からの投稿を再開致します。ご迷惑をかけますがこれからも宜しくお願い致します。


第171話

「そうですか……貴女方はその鳳さんと言う中国生まれの少女を?」

「はい。どうかお願い致します。彼女を救えるのは貴方だけなのです!」

 

 その頃、此処は学長室。室内には楯無と虚、十蔵と一義が居た。四人はソファーに腰掛けているが楯無と虚は隣同士に座り、向かい側には十蔵と一義が向かい合うように座っていた。しかし今は楯無は一義に対してあるお願いをしていた。

 一義は学長室に居たが楯無と虚は一義にあるお願いをしに学長室へと来たのだった。

 それは鳳鈴音、鈴の事だった。彼女は中国政府により両親を盾にされ、自身の自由を微かに奪われている。そんな彼女の為に楯無と虚は一義にお願いしていた。総理大臣である彼ならば人民を想いやる彼ならばす喰えるのではないのかと思った。

 

「藤間首相、勝手なお願いかも知れません。ですが彼女は今は苦しい思いをしているのです、彼女を助ける事が出来るのは貴方しかいません!」

 

 楯無はそう言った後、立ち上がり、頭を下げる。

 

「どうかお願い致します! 彼女を、鈴ちゃんを助けて下さい! お願いします!」

 

 

 楯無は頭を下げているが虚も立ち上がり、頭を下げる。

 

「私からもお願い致します! どうか助けて下さい!」

 

 二人は頭を下げるが何方も鈴の事でお願いしていた。が、そんな二人に一義と十蔵は驚きを隠せないでいた。理由は鈴の事だった。彼女は入学式に出られず、一日おくれ出来たのは中国政府が絡んでいたこと。

 織斑一夏のデータを手に入れる為に接触してきた事、両親を盾にされ、泣く泣く従った事。何れも鈴にとって苦痛でしかなかったのだろう。

 彼女は青春を謳歌したかったにも関わらず、人生を棒に振るかもしれない行為かつ、国から処罰を喰らうかもしれない危険もあるだろう。

二人はそれに気づくが十蔵は驚きを隠せないでいる。

 知らなかったとは言え、そんな危険な事に巻き込まれた事に驚くのも無理は無いだろう。一方で一義は楯無の内容を聞いて驚くが不意に歯を食い縛ると、目を逸らす。

 まさか、そんな危険な事を少女に押し付けていたのか、と。中国政府はその私欲の為に少女を出汁にしたのか、と。一義は総理大臣とは言え、一人の人間だが彼等を腐った人間と認識してしまった。

 赦せない、私欲の為にそんな事をさせていたのかと。一義は身体を震わせているが怒りを隠せないでいた。国民を思いやる彼としては怒りしか無いだろう。

 

「藤間首相、如何なされますか?」

 

 刹那、十蔵は彼に訊ねる。十蔵の言葉に一義は我に返ると彼を見る。彼は眉間に皺を寄せていた。彼も怒りを隠せないでいた。学園長である以前に一人の人間として怒っている。

 彼も自分と同じ気持ちだろう。彼は政府関係の人間ではないが生徒を守る教師とも言えるからだ。彼を見た一義は微かに目を見開くが深く頷く。そして、楯無と虚を見た。

 二人は未だに頭を下げているが返事をしない限り、そのままだろう。が、鈴を救いたいと言う気持ちに偽りは無いと見えたのだ。そんな二人には一義は軽く微笑む。

 

「判りました。私が何とか致しましょう」

 

 その言葉に楯無と虚は目を見開きながら顔を上げる。彼は微笑んでいたがその言葉は鈴を助ける意味にも近かった。

 

「外交での問題ともなりますが時間は掛かります、それでもよろしいですか?」

「あ、ありがとうございます!」

 

 楯無はその言葉を聞いて驚きながら頭を下げる。虚も楯無に続くように頭を下げるが一義は軽く微笑んでいた。

 

「貴女方はその鳳さんを助けたい気持ちは充分に知りました。それに彼女の事は……学園長、貴方にお願い致します」

「はい、私がですね?」

 

 一義は十蔵の方を見る。彼は頷くが一義は先を続ける。

 

「彼女は今国内に居ます。それもIS学園の中かつ、学園は学園の校則で国内や海外からの干渉はされません。今の所、彼女の身は安全です。ですが彼女の両親は何所にいるのかは判りませんが中国に居る事はほぼ確実でしょう。国外の事は私に任せて下さい」

「判りました。彼女の事は私たちにお任せください」

「お願い致します」

 

 一義と十蔵は頷き合うと、不意に楯無と虚を見やる。二人は頭を下げているが一義は彼女等に言う。

 

「取り敢えず貴女方は顔を上げて下さい」

 

 その言葉に二人は顔を上げる。何方も微かに喜びを隠せないでいた。が、一義は先を続ける。

 

「貴女方には鳳さんから話を聞いてあげて下さい。こう言うときは年が近く、同性なら話を聞いてあげられるのと、ケアも任してもらいます」

「判りました」

「それと……待てよ確か……」

 

 一義はある事に気づき、顔を引き攣らせながら考える。

 

「どうかしましたか?」

 

 十蔵が訊ねると一義は答えた。

 

「いえ……確か中国は今、あの事件で立て直しの最中だった気がします」

 

 刹那、楯無は微かに戦慄した。彼女だけではない、十蔵と虚も戦慄する。一義の言葉と、あの事件の事を思い出したからだ。あの事件とは数日前に起きた中国政府の重鎮達が大半も殺された悍ましい事件。

 生き残りは犯されそうになりながらも気を失っていた女性だけ。彼女は何が起きたのかも判らなかったが警察も戦慄し、中国全土を震撼させた事件でもあった。

 しかも手掛かりは無く捜査も難航している。迷宮入りするかもしれない事件でもあった。しかし、その所為で中国政府は緊急の立て直しに追われており、多忙を極めている。

 そんな状態で外交は愚か、貿易な友好等構っている暇はないのだ。一義はそんな状態の中国に鈴での話を出来るかどうかも判らないからだ。

 が、一義はあの事件で、ある事を思い出した。

 

「(……確かあの事件……それに)」

 

 一義はあの事を思い出す。あの事件は力ある男が起こした物だと言う事はメディアを通じて知った。首をへし折り、身体を折り紙のように折り畳む事が出来るのは並大抵の者が出来る物ではない。

 だとすれば、一義はある事を思い出す。もしもそれが本当ならば……それに更には、今までの起きた事件を思い出す。倉持技研、ドイツ軍基地襲撃、更には学園襲撃事件、更識家の従者達の大量殺人。

 何れも最近起きたばかりであるが偶然とも思えなかった。まるで誰かを捜し、それが原因で起きたとしか思えなかった。一義は今間の事件を整理すると眉を顰める。

 

「(まさか……)」

 

 彼は考えるがある推測を立てる。まさか、それを起こし、尚且つ全ての元凶かつ、その者達は……。一義はある結論に辿り着くがその証拠は愚か、そうとは言えないからだ。

 彼は思考を走らせる中、楯無が訊ねる。

 

「あの、藤間首相?」

 

 彼女の言葉に一義は我に返り、彼女を見る。彼女は首を傾げていた。それだけでなく、虚や十蔵は彼のよ数に気づくが心配していた。彼は彼女等を見て微かに微笑む。

 

「いえ、何でもありません。それよりも外交は私に任せて下さい。鳳さんを助けましょう、絶対に」

「あっ、は、はい」

 

 一義の言葉に楯無は困惑しながら頷く。鈴を助ける。それは一夏からのお願いでもあった。それに一義ならば何とかしてくれる。彼は権力持ちであり、一独りを助けるのは容易いからだ。

 しかし、中国は立て直しを行なっている為に出来るかどうかも判らない。が、彼を信じるしか方法は無いのだ。楯無はそれに気づくが一義は不意に立ち上がる。

 

「藤間首相?」

 

 十蔵が訊ねると、一義は彼を見る。

 

「済まない、ちょっと用事がある。又今度、ゆっくりと……」

 

 彼はそう言った後、学長室を出た。そして彼は扉を後ろ手で閉める。廊下には誰もいなかった。恐らく、アリーナの方へと向かっているのだろう。が、一人全身が黒で統一されたスーツ姿の男性がいたが彼は俯いている。

 

「…………」

 

 男性は彼を見るが一義は彼を見て頷く。

 

「…………」

 

 男性はそれを見た後、風のように消えた。が、彼はそれを見た後、歩き始める。が、スマートフォンを取り出すと、指で画面をタップした後、耳に当てる。

 

「私だ……お前に頼みがある……ああ、もしそうならば危ない……それに最悪……ああ、出来る限り集団で行動しろ……数で押しても相手は実力ある……そうか、レイス達にはお前から言ってくれ……それとお前から彼に伝えてくれ……ジグゾウ」

 

 一義はそう言った後、スマートフォンをしまうが歩き続けていた。彼は表情を険しくしているが何所に向かうのかは彼にしか判らない。判るとすれば、アリーナの方だろう。

 

 そして二日後、誰かが敗死する。

 

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