インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第173話

「…………」

 

 あれから数時間後、否、日が変わり朝の六時頃。この日は何故か曇だった。それは誰にも、気象庁以外の者達には判らないだろう。同時にこれから起こる事を告げる意味にも近く、不幸な日として、戦慄の日となる事を教えているようにも思えた。

 それは、IS学園にある学生寮の一夏と楯無が同棲している部屋に居る者、一夏だけだった。彼は天気を見てそう思っているが彼はさっき起きたばかりだった、

 外の景色、否、曇りであるがそれは日本だけでなく、IS学園を見下ろすように浮いている。彼はさっきから空を眺めているが近くにおり、自分のベッドで寝ている少女、楯無の事を気にもしていなかった。

 彼女は寝息を立てているが何処か哀しい。一夏の拒絶と彼の言葉には鈴を思いやらない事に哀しみを抱いている。しかし、それは一夏には判らない。

 彼が鈴を助けるのは彼女を自分に干渉させない為でもある。自分の過去をしつこく聞いてくるのと、それを黙らせる意味でもジェイソンを使ったのだ。

 彼女は今何をしているのかは彼には判らない。判るとすれば、寝ている事だろう。一夏はそれに気づきながらも窓の外を見続けていた。が、彼は何かを思うように歩き始める。

 ベランダに向かう為ではない、部屋を出る為でもない。テレビを観る為であった。今日の出来事を知る為でもあるが殺人事件が起きていないかを知る為でもある。

 他のプレイヤーの動きを知る為でもあるが彼はリモコンを手にすると、電源ボタンを押した。刹那、テレビが点く。更には慌ただしい話が飛び交っていた。

 それを観た一夏は微かに眉を顰めた。テレビにはニュースが流れているがアナウンサーが慌ただしい。まるで何かに戦慄し、驚愕している。

 何か事件が起きた。一夏はそれに気づいたがアナウンサーらしき人物は自分を見ている。否、カメラの画面を見ているのだ。

 

『先ほど速報が入りました! 本日未明、神奈川県横浜市で小学五年生が目を抉られ、更には身体中に……えっ!? また速報!?』

「…………」

『……えっ!? また子供!? これで五十人は……またなの!?』

 

 アナウンサーはテレビで事件の事を報道したかったが更に速報、また更に速報が入ってくる事に戸惑いを隠せないでいた。それらは全て殺人事件であった。

 殺し方は残忍かつ、不可解な点が幾つもあるのだ。しかし、一夏はそれを観て眉を顰めていた。が、彼は何かを思うようにリモコンを使ってチャンネルを切り替える。

 

『本日未明、三重県で』

『速報です、群馬で……』

『更に速報です! 東京で』

 

 しかし、何れも速報ばかりであった。何れも子供が何者かに惨殺される事件だった。目を抉られ、腸を引き裂かれ、切り傷が幾つもあり、中には焼死している子供の遺体もあった。

 何れも小学生、中学生、高校生と言った年もバラバラかつ、共通点も無い。それは今の所であり、新しい情報が入り次第だろう。一夏はテレビから流れる速報を観ているが戦慄は愚か、驚愕も愚か、そう言った恐怖の感情は無い。

 同時に被害者である子供達の遺族、即ち親達は嘆き悲しむ上、日本全土は震撼する。否、既に震撼しているだろう。

 が、この事件は単なる大量殺人ではなかった。一夏はある人物を思い出したのだ。それは……刹那、ある人物が風のように現れた。

 

「織斑さん……!」

 

 その人物は、その幼女は楓一美だった。彼女は一夏同様、チャッキーとティファニーを引き連れているプレイヤーだ。彼女は可愛らしい寝間着姿であるが起きて間もないのだろう。彼女は恐怖で顔を歪ませていたが彼の所に来たのは、彼女もまたある人物を思い出したからだ。

 そんな彼女、一美を一夏は冷ややかな目で見ていた。彼も気づいたからだ。彼女が騒がなくても、彼は既に気づいているのだ。

 

「……奴だな」

「……うん」

 

 一夏と一美はある人物を思い出しているが一夏は天井を仰ぎ、一美は怯える。その人物とは、夢見一彦である。彼がこの事件を起こした張本人である事に気づいたのだ。

 彼が起こす大きな事とは事件であり、生贄とは子供達の事だったのだ。日本を震撼させるとはこの事だったのだ。が、一夏と一美は彼の行動には別々の表情を浮かべている。

 一夏は彼が起こした行動の意味と彼の残した言葉の意味を理解しょうと思考を走らせ、一美は彼の行動に恐怖を抱いている。

 同じプレイヤーとは思えぬ行動かつ、子供を何十人も殺したのだ。が、その数は計り知れないが一彦の行動を、彼の計画が余りにも惨い事には気づいていた。

 

「お、織斑さん……!」

 

 一美は怯えながら一夏を見る。彼は天井を仰いでいるが思考を走らせていた。

 

「お、織斑さん……!!」

 

 一美は再び彼に訊ねる。刹那、彼は彼女の言葉にギロリと鋭い視線を向けた。これには一美も怯えるが一夏は彼女に対して怒っていた。

 思考を走らせている最中を彼女が邪魔した事に怒っているのだ。一彦の計画と彼の目的を知る為に思考を走らせていたのに邪魔したからだ。

 一夏は一美に対して軽蔑するが一美は怯えていた。否、修羅場を潜り抜けていない彼女から見れば恐怖しかない。プレイヤーとしては真っ先に脱落するのは目に見えていた。

 一夏はそれに気づくが敢えて言わないのも彼女の利用価値が無くなると思ったからだ。今は同盟しているのと、他のプレイヤーを倒す為にもだ。

 彼は一美を睨むが彼女は涙を浮かべていた。テレビからは速報が流れているが子供が殺された事ばかりの内容ばかり。戦慄しか無いが恐怖もあるのだ。

 しかし、今はプレイヤー同士で何かをしている。どんな事になるのかは、この先どうなるのかは彼等にしか判らないのだ。

 

「う……ううん……」

 

 刹那、ある少女の声が聴こえ、二人は声がした方を見る。そこは楯無が寝ているベッドからだった。いや、そこには楯無がいるからだ。さっきの声は彼女からだったがある事を意味しいてた。

 それは、楯無が起きたからだ。

 

「……うん?」

 

 刹那、楯無は目を覚ます。そして上半身だけを起き上がらせるが直ぐに目を見開いた。

 

「織斑く……一美ちゃん!?」

 

 彼女は一夏、否、彼の近くにいる幼女、一美を見て驚いた。彼女は泣いていたからだ。楯無から見れば驚きとしか言いようが無いが彼女は慌てて一美に近づく。

 

「一美ちゃん、どうしたの!?」

 

 楯無は一美を慰める。一美の様子が可笑しい。それに気づいているが彼女は一夏を睨もうとしたが……。

 

「……えっ!?」

 

 楯無は不意にテレビを観る。同時に戦慄した。彼女はテレビから流れる内容に目を見開いているのだ。子供が大量に殺された事件であるが楯無はそれに戦慄しているのだ。

 殺され方もバラバラだが衝撃が走っているのだ。楯無はテレビを観ているが一美は彼女に抱き着く。

 

「一美ちゃん!?」

 

 楯無は一美の行動に驚くが一美は彼女の胸の中で泣いていた。テレビから流れる内容に恐怖しているのは当たり前として、誰かに甘えたかったのだ。

 しかし、自分には身寄りは無く、温もりを知らないのだ。四歳で身内とは死別したからでもあるが愛情が欲しいからだ。そんな彼女の行動に楯無は驚いているが哀しそうに彼女を抱き締める。

 大丈夫、貴女は一人じゃない、私がいるとそう伝えていた。言葉ではなく行動で示しているが自分は一美の家族ではない、哀しい事実でもあるが辛い現実でもあるのだ。

 楯無はそう気付きながらも一美を抱き締めている。一美も一美で楯無に甘えるように泣いていた。プレイヤー、一彦の行動に怯え、ゲームの恐ろしい現実を改めて知ったからだ。

 その所為でもあるが楯無に甘えてしまったのだ。楯無はそれに気づいていないが一美を抱き締めながらテレビの方を観る。相変わらずだが子供の大量殺人ばかりである。

 それだけでなく、速報も幾つも流れている。犠牲者が増えていく事を意味しているが楯無から観れば戦慄でしかないが彼女は一夏の方を見る。

 彼はテレビを観ているが表情を険しくしている。一彦の仕業である事を察知したのだが彼は何も言わない。そんな一夏を楯無は辛そうに観ていた。

 彼は何か知っている、楯無はそれに気づいたのだ。しかし、今はそれを言う場合ではない、今は一美を慰める方が先である。が、楯無はある事に気づいていた。

 嫌な予感しかしない、と。それは何かまでは判らないが楯無はそれに気づきながらも一美を慰め、テレビの内容を気にしながらも一夏の事を思っていた。

 室内はテレビからの内容が流れているが一美の嗚咽も微かに響き渡っていた。そして、室内が暗いのも電気を点けていない為でもあるが外が曇でもあるためだった。

 

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