インフィニット・デスゲーム 作:ホラー
「さ、更識……!?」
一夏は今、一彦の近くにいて、ISを纏っている少女、楯無を見て驚いていた。が、彼女は一夏を見て驚いている。
「織斑君!?」
楯無は驚くが隣にいる一也に気づく。
「それに貴方は……っ!?」
刹那、楯無は一彦の存在に気づく。一彦は楯無を見てキョトンとしているが直ぐに我に返る。
「ありゃりゃ? 君は……」
「どうだって良いわ!! それよりも貴方は何者なの!?」
楯無は手に持ってるランスを彼に向ける。一彦はキョトンとしているが動く気配はない。恐怖や驚愕もしていない。が、一夏は彼女が此処に居る事に驚愕しつつもある事を考えてしまう。
彼女は何故此処に来たのか? それに彼女にはゲームの存在自体、何も教えていない。ジェイソンの事も調べさせていない。が、彼女はゲームの事を知ってしまう。
一夏はそれを危惧しているが楯無には此の事を教えていない。否、それを教えると彼女は咎める危険もあったからだ。彼は楯無が来た事に色々と思考を走らせる……刹那、彼は何かに気付く。
「……あの小娘……!」
一夏は眉を顰め、歯を食い縛る。楯無を呼んだのは恐らく、あの小娘、一美しかいない。彼女は自分が一也と闘っている最中からいない。気を失っていたからだろうが彼女は何をしているのかも判らなかった。
否、彼女はあの時、ジェイソンとブギーマンが手を出せぬよう攻撃される前に気がつき、何かを思うように風のように消え、楯無を呼んだ。
一夏はそう気付いたが楯無は一彦を睨み続けていた。が、一彦は視線を一夏と一彦の方へと向ける。一夏は眉を顰めているが一也は歯を食い縛っていた。
「……ねぇ?」
一彦は一夏と一也に訊ねる。
「喋らないで! 貴方は何者なの!?」
しかし、楯無は一彦の質問を赦しもしなかった。彼が何者である前に彼は何者なのかを知りたかった。何の目的で一夏を傷付けたのかを知りたかったのだ。
彼をやったのは一彦、彼女はそう気付いたのだ。あの時、学園襲撃事件……あれは自分を助ける為でもあるが一夏を倒したからだ。同時に昨日、二夏と言う者もそうであるが学園に来たのだ。それも、ジェイソンと同じであろう者を連れて。
楯無は彼に対して色々と訊きたかったのだ。
「…………」
そんな彼女を一彦はみていたが彼は突然、笑う。
「フフッ」
「何が可笑しいのよ!?」
楯無は笑っている一彦に怒る。彼の笑いが不気味と言うよりも表裏のない笑いとも感じたからだ。楯無は一彦に警戒する中、彼は突然。
「一応、君が来たから少しの間、彼等を手当てしたら良いよ?」
「……えっ?」
彼の言葉に楯無は惚けてしまう。刹那、彼は風のように消えた。これには楯無は驚くが彼は一時、前線離脱したに過ぎない。それでも彼女は辺りを見渡す。
「何所に行ったのよ!? 姿を見せなさい!」
楯無は辺りにいるであろう彼、一彦に訊ねていた。しかし、彼は何所にも居らず、その場にはいない。彼女はそれに気付いていないからでもあるが警戒している為でもあり、何時不意打ちしても可笑しくないと思っているからだ。
彼女は辺りを見渡しながら警戒している中、一夏が彼女に言った。
「もう……いない」
彼の言葉に楯無は一夏を見る。彼は眉を顰めているが楯無は慌てる。
「織斑君!」
楯無はランスを消す意味で解除すると、彼に駆け寄り、彼を抱き起こす。彼は痛々しい姿をしているが服はボロボロかつ、血も少し出ている。
戦いをしていた事を物語っているが誰と闘っていたかまでは解らない。一彦か、或いはそこにいる彼かどうかも判らないのだ。それでも、楯無は哀しい表情を浮かべていた。
彼は傷付いている、それに気付いていたが同時にある思いも込み上げていた。
「無事で……良かった」
楯無は彼をみて安堵する。怒りもあるが今は彼が無事である事を喜びたかった。が、彼女の言葉に一夏は眉を顰め続けているが楯無に訊ねる。
「……何しに来た?」
「…………」
一夏は楯無に指摘した。これには彼女も何も言えず目を逸らす。が、一夏は先を続ける。
「……それに、何故此処を……?」
「…………」
「……お前が来た、と言う事は……おい」
一夏は視線を横に向ける。視線の先には誰もいない。しかし、彼はある者に訊ねていた。あの幼女にだ。刹那、ある人物が風のように姿を現す。
その人物は一美だった。彼女はオドオドしているが一夏の口調に怯えていた。彼は怒っている、楯無を呼んだ事が理由でもあるがそれは一夏を怒らせる原因でもあった。
彼女は呼んだのだ、楯無を。理由は何かまでは解らないが自分達を救おうと楯無を呼んだに過ぎない。否、一夏を救おうとしての行動だったのだ。
幸いな事に彼女はあの時、一夏と一也が闘っている最中に目を覚ましたのだ。そこまでの記憶はないが一美は無我夢中で助けを呼んだのだ、その人物は楯無である。
一美はその事を言えず戸惑っているが一夏は彼女に対して舌打ちする。呼んだ事に怒りもあるが彼はそれを指摘する。
「何故呼んだ……それに……」
「一美ちゃんは何も悪くないわ」
そんな彼の言葉を遮るように楯無が言った。彼女の言葉に一夏は眉を顰めているが楯無は先を続ける。
「一美ちゃん、貴方を心配して助けて欲しいって言ったのよ……それに貴方、現にボロボロでしょ?」
「…………」
「図星ね? それに貴方達は何の集まりなの?」
楯無の言葉に一夏は更に眉を顰める。それだけでない、一美は目を見開き、一也は舌打ちした。しかし、楯無は何かに気付いたのだ。彼等は何かの集まりで此処に来ている。
一夏、一美、一也、そしてさっき逃げた一彦、何れも何かの厭で集まっている、関係している。何かまでは判らないが何か厭な予感がする。
楯無はそれに気付いているが暗部の当主であるが故、そう思っても仕方なかった。が、彼女の言葉に一夏と一美は何も言わない。否、ゲームのことを言わない気でいた。
言えば何かが起こる。そう気付いたからだ。黙秘しているが何れバレる……否、既にバレていた。自分達は殺人鬼を連れている。一夏はジェイソン、一美はチャッキーとティファニー、一也はブギーマン、一彦はフレディ。
何れも危険な人物達ばかりであるが楯無は更に言う。
「貴方達、何を隠しているの……答えなさい!」
彼女は周りに怒る。哀しみを帯びているが怒りもあった。いったい何がどうなっているのか? 何が遭ったのかを知りたかった。彼女の言葉に一夏は舌打ちし、一美は泣きそうになる。
彼等は言わない。しかし、それを破る意味で彼が言った。
「俺達は殺し合いをしている」
その言葉に楯無は目を見開き、声がした方を見る。そこは近くにいる彼、一也がいた。彼が発言したのだが彼は険しい表情を浮かべていた。
「こ、殺し合い……!?」
彼の言葉に楯無は驚きつつも訊ねる。愕然ともしているが衝撃的な発言が原因でもあるからだ。が、一也は言葉を続ける。
「俺達は殺し合いをしている……それも、願いを叶える為にもな」
「そ、そんなのって……!?」
「お前も見ただろうが? 俺達が連れている奴を? それに俺達が此処に居るのも殺し合いをする為だ……最後に生き残る為のゲームでもある」
彼の言葉に楯無は更に戦慄する。同時にある結論に辿り着いていた。それは彼等が殺し合いをする為である事だ。それは負ければ死を意味し、一人になるまで闘う。
危険なゲームであり、命を賭ける意味にも近い。楯無はそれに気付くが今此処でようやく知ったのだ。彼等はゲームをしていた。生き残る為に殺し合うゲームを。
それも、自分と同い年かつ、一回り小さい一美も参加している。彼女はそれに気付くが震えながら言った。
「そ、そんなのって可笑しいわよ!? 生き残る為に殺し合う!? どう見ても危ないゲームじゃない!?」
「何が可笑しいだと? 危ないゲームだと?」
楯無の言葉に鸚鵡返しとも言える事を一也は口にするが彼は怒っていた。彼女に何が解る、と。
「可笑しいわよ!? 何で貴方達はそれを受けているの!? 自分の命を大事にしないの!?」
「「「…………」」」
彼女の言葉に誰も答えない。否、答える義務はないと言う事だった。しかし、一夏と一也は兎も角、一美は泣いている。彼女は答えられる状態ではないからだ。
「貴方達、自分の身を大事にしなさいよ……それにそんなゲーム、止めなさいよ!? 願いを叶えてどうしろって言うの!? その為のだけに人を殺す事に罪悪感はないの!?」
「「「「…………」」」
「答えなさいよ……答えなさいよーーーーっ!!」
楯無は叫んだ。それは彼女の辛い気持ちと恐ろしい事実を知ったが故でもあった。彼等は殺し合う為に集まった。そう気付いたのと同時にゲームの存在を知ってしまったからだ。
が、これからどうなるのかは誰にも判らない、同時に、ゲームは最後の一人になるまで、終わらない。楯無はそれを理解しているが彼等を思ってが故である。
しかし、それは一夏には届かない、一美や一也、一彦にも届かないのだった。