インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第184話

「ゲームって何なの……ねえ、何なのよ!?」

 

 楯無は青褪めながら一夏、一美、一也の三人に訊ねていた。彼、一也の口から出た「殺し合い」。それは楯無にとって、驚愕と戦慄、否、愕然と言える。

 彼等は此処に集まったのは殺し合いをする。それも一也の口からでもあるが楯無は訊ね続けていた。

 

「どうした殺し合うの!? どうしてそんな危険なゲームに身を投じたのよ……答えなさい!!」

 

 楯無は三人に対して怒る。が、誰もそれに答えようとはしなかった。一夏は眉を顰めながら目を逸らし、一美は泣きながら俯き、一也は舌打ちしながら俯いている。

 誰一人、それを教える気はなかった。言えばややこしくなるが楯無は知りたがっている。彼女は未だに彼らに訊ね続けているが一也が口を開く。

 

「いい加減にしろ……!」

 

 一也は静かに怒りながら楯無に言った。彼の言葉に楯無は目を見開くが一也は楯無を睨みながら言葉を続ける。

 

「俺達は殺し合いをするゲームをしているに過ぎない、俺達がそれをする為のプレイヤーだ……!」

「それが違うって言うのよ!? 何で自分の命を引き換えに……」

「俺は好きでゲームをしている訳じゃねぇ……!」

 

 楯無が言い終わる前に一也が遮る。その言葉には怒りが孕んでいるが彼は怒っている事を意味していた。ゲームを侮辱しているのと、彼女のゲームを止めろ発言に怒りを沸かしていた。

 部外者が口出しするな、彼はそう言っていた。

 

「俺はゲームに生き残る為に、願いを叶える為に殺し合いに参加したんだよ……部外者の貴様が口出しするな……!」

「そんなの……私は貴方達が自分の命を顧みない事に怒っているのよ!? それなのにどうして願いを叶える為に……どうしてなのよ!?」

「俺は澪香を、大切な人を生き返らせる為だ……!」

 

 楯無の問いに一也は答えた。その言葉に楯無は目を見開き、一夏は視線を彼の方へと向け、一美は驚きながら顔を上げる。彼の発言に驚きと、彼の思惑があるように思えたからだ。

 彼は一夏達を見ながら先を続ける。

 

「俺は大切な人を生き返らせる為にゲームに参加した……! その為に俺は此処に居る……ソイツ等を倒す為にもな……!」

「そんなのって……そんなのは間違っているわ! 織斑君や一美ちゃんは生贄と言う意味で殺すつもりなの!?」

「当たり前だ……! 俺はアイツを……澪香を生き返らせる為にも……家族をな……!」

「だからってその人は、貴方の家族は喜ぶと思うの!? 織斑君達を殺して、それを無しに出来る訳ないじゃない!?」

「そんなのは俺が厭でも良く……判るんだよ!!」

 

 一也はそう言いながら立ち上がった。が、彼は激痛を感じているのか顔を歪ませている。さっきの、一夏の攻撃が原因でもあるが彼は歯を食い縛っている。耐えるのがやっとの状態だったからだ。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 楯無は一也の様子に気付くが一也は激痛を堪えつつ、彼女を睨む。

 

「俺は……あいつを……助けられなかったあいつを、家族を生き返らせる為にもな……闘う……!」

 

 一也は楯無に近づく。否、一夏に止めを刺そうとしているのだ。

 

「その為には……先ずは……っ!」

 

 彼は強く目を閉じながら片膝を突き、俯く。激痛で立ち上がるのがやっとだからだ。楯無は驚くが一夏は舌打ちし、一美は怯える。彼は話合った後のように息を吐くが顔を上げ、一夏と楯無、一美を睨む。

 

「俺は……織斑一夏と……その小娘を殺し……それに夢見、一彦……ピンヘッドのプレイヤーを……倒すまで、死な、ない……!」

 

 一也はそう言い放った。彼の執念とも言えるが彼等を倒す為でもだった。大切な人や家族を生き返らせる為にもだった。彼を変えたのはあの日からだろう。

 しかし、その過去は一夏達には判らない。否、彼自らそれを教える事はしない限り、調べない限り、判らないだろう。一夏は彼を冷めた目で見据え、楯無と一美は彼を見て驚いていた。

 一方の一也は一夏達を睨み続けているがその場を動けないでいた。否、身体の激痛が和らぐまで、動けないからだった。

 

『あ、あーーマイクの調整オーケー?』

 

 刹那、何所からか声が聴こえた。その声に全員反応した。が、一夏と一也はその声に聴き憶えがあった。その声の主は、奴だった。

 

『折角僕がその場を離れたのに、未だいるの〜〜?』

 

 一彦だった。彼は飄々とした口調で彼等に言っていた。侮辱かつ、莫迦にしているようにも思えるが彼は彼等がその場にいる事に気付いていた。

 同時に何所から見ているのかは彼等には判らないが一彦は先を続ける。

 

『まあ良っか? 僕は今何所にいるのかは教えられないけど、君達はもう、脱落したら?』

「巫山戯るな!」

 

 彼の言葉に一也は怒る。

 

「巫山戯るな! 何故俺が脱落しなければならない!?」

『う〜〜ん、怒ってるみたいだね?……まあ、無理もないかな〜〜?』

「当たり前だ! 俺はお前には怨みがある! 借りがある! それを返す意味で俺はお前を倒さなければならない……!」

「え〜〜っ? でも僕を倒すと言っても、君はISを使える状態じゃないし? ブギーマンも暫くは復活出来ないでしょ?』

 

 一彦の言葉に一也は舌打ちした。が、一彦の言葉には一理あった。自分のIS、ゾディアックは使える状態じゃない……訳ではない、暫くは身体に走る痛みが和らぐまで使えない。

 ブギーマンは彼一彦が発射した砲弾で爆発四散したが復活するまで時間が掛かる。それは自分が闘える状態ではない事、援軍が望まれない事を意味していた。所謂、詰んだ状態であるが一也はそれに気付き歯を食い縛り、身体を震わせる。

 侮辱とも言えるが闘える状態ではない事に怒りしか沸いて来ないからだ。

 

『それに織斑もISやジェイソンは使えないし、さっきも言ったけど君も脱落したら〜〜?』

「…………」

 

 一方で、一夏も一彦に脱落を勧めていた。彼の言葉に一夏は舌打ちするが彼もまた、詰んだ状態である。一夏はそれに気付いているが闘える状態ではなかった。

 一夏は何とか打開策を練るがない、訳ではなかった。あるにはあるのだがそれは危険かつ、結果はどうなるのかは誰にも判らない。最悪、脱落する危険もあるが自分はそれを納得しないのと誰一人、反対するからだ。

 命を賭ける意味にも等しいのだ。一夏はそれに気付くが一彦は先を続けていた。

 

『どちらにしても、君達は勝つ事は出来ない……まあ、逃げるが勝ちでもあるから、逃げれば〜〜? 勿論、僕は此処に居るから一旦放送斬切るね? バイバイ〜〜』

 

 一彦はそう言いながらその先を言わなくなった。確かに切った証拠でもあり、連絡を絶ったようにも思える。が、それは警告とも言えた、慈悲とも言えた。

 自分達を殺す事を意味し、逃がす意味とも捉える事が出来る。一夏達はそれに気付くが誰一人、その事に触れない。否、触れる事が出来ないからだ。楯無を除いては……。

 

「織斑君……」

 

 楯無は一夏を見る。彼は目を逸らしているが表情は硬い。彼の言葉に何かを思っている事に気付くが不意に一美の方を見る。彼女はその場に座りながら俯いている。

 恐怖しているのだ、脱落する事に。彼女はそれに気付いているからだろうがゲーム自体は兎も角、プレイヤーになって間もないからだろう。

 

「一美ちゃん……」

 

 楯無は彼女に声を掛ける。気遣いとも言えるが彼女は一美を思っての事だった。しかし、彼女は俯いたまま震えている。一彦に殺されると思っているからだろうが何時殺されるのかは判らないからだ。

 楯無がどんなに言っても無駄だろうが今はどうすれば良いのかは楯無にも判らなかった。彼女は哀しい目で一美を見ていたがふと、一夏の方を見る。

 彼はさっきから視線をある方へと向けていた。その先には彼、一也がいた。一也は一彦の言葉に歯を食い縛っているが怒りしかないからだ。

 彼を倒したい、そう思っているからだ。が、彼は一夏の視線に気付く。

 

「何だよ……!?」

 

 一也は一夏を見て呟く。何かの趣味があるのか? そう思ってしまった。が、一夏は一也を見てある事を考えていたからだ。それは一彦が放送を流している間だったがその作戦を考えていたからだ。

 反対はされるだろうか一か八かの賭けでもあった。が、それは一彦を倒せる唯一の方法でもあり、返り討ちに遭う危険も伴っている。それでも、一夏はそれを実行するかどうかを考えていた。

 

「何を見てやがる……おい……!」

 

 一也は一夏に対して怒る。彼は兎も角、楯無は一夏に気付く。

 

「織斑君?」

 

 楯無は一夏に訊ねるが彼は一也を見据え続けていた。一美は俯いているがその場を動く気配はない。一也は一夏の視線にたじろがないが睨み返している。

 一夏は彼を見据え続けているが考えていた。が、直ぐに決まった。最早これしかない、一彦を倒せる唯一の方法はこれしかないのだ。一夏はそれを、一也に言った。

 

「……貴様、俺と共に奴を倒す事を考えているか?」

 

 刹那、一也は瞠目し、楯無は驚き、一美は目を見開きながら顔を上げる。全員、一夏の言葉に驚いていた。しかし、一夏は一也に対してそう言ったのはある事を意味していた。

 彼の考えとは、一か八かの考えとは、一彦を倒せる唯一の方法とは、一也と共闘して一彦を倒す物だったのだ。

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