インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第185話

「お、織斑君……な、何を言ってるの!?」

 

 楯無は一夏の言葉に驚きを隠せないでいた。彼の発言は愕然とする内容だった。それ以上に一也は彼の発言に驚き、そして。

 

「巫山戯るな!? 何故俺がお前と手を組まなきゃならない!?」

 

 一也は彼、一夏に怒った。無理もない、自分と彼は敵対同士かつ、獲物同士。手を組む事は有り得ないのと、何方かが死ぬまで互いの命を賭けあう事にも近いからだ。

 

「俺とお前は敵だ!? 俺達が手を組んで、奴、夢見一彦を倒すだ!? 冗談も程々にしろよ!?」

 

 彼は一夏の発言に怒る中、一夏は険しい表情を浮かべながら彼を見据え続けている。が、苦渋の決断であり、最善の決断でもあるのだ。彼は一也に頼る事は愚か、それさえもしたくなかった。

 しかし、一彦を倒せるのは自分達しかいない。一美もそうであるが彼はISを持っている、フレディを引き連れている。彼女にはフレディの相手をしてもらうがISの方では自分達が対処すれば良い。

 戦闘面では自分達が上だ。一美は後方支援とかが良いだろうが戦闘面は愚か、ISも持っていない。どう見ても闘うのには向いていない。が、一也は違う。

 彼は戦闘面は愚か、ISも持っている。自分や一彦と対等に渡り合えるくらいの力は有るからだ。一彦を倒せるのは自分と彼しかいない。

一夏はそう思っているが彼と手を組む事に多少の躊躇もあった。

 

「無論、俺もお前と組む気は毛頭ない」

「だったら何故そんなことを言う!? 俺は……」

「だが、此の状況は尚更だ」

「何だと?」

 

 一夏の言葉に一也は眉を顰める。それでも彼は先を続けた。

 

「俺達は敵同士である事は理解している……が、お前の目的は俺や夢見だろ?」

「…………」

「それにお前はさっき言ったろ? 奴には借りがあるって……それは何だ?」

「…………」

 

 一夏の言葉に一也は舌打ちしながら目を逸らす。が、一夏は眉を顰める。

 

「まさか……あの時の事か?」

「えっ?」

 

 一夏の言葉に楯無は惚けてしまう。が、一夏は先を続ける。

 

「あの時……倉庫での時か?」

「えっ!?」

 

 彼の言葉に楯無は目を見開く。が、あの時、倉庫の事とは一夏を保護し、一也を捕える為の時だった。しかし、その所為で多くの従者を喪い、半蔵も一時的な前線離脱を余儀なくされたのだ。

 楯無はその事を思い出すが辛く、悲しい思い出でもあった。同時に彼が居た? 楯無はそれに気付くが更に気付いた事があった。もしや……楯無は一也を見て震えつつも怒りを沸かせる。

 

「まさか……貴方なの!?」

「……何がだ?」

 

 楯無の言葉に一也は視線を彼女の方へと向ける。憎悪が籠っているかつ、怒りを向けているようにも思えた。が、楯無も例外ではない。彼女は一也に対し、憎しみが籠った視線を向けていた。

 まさか、此の男が……と。もしも本当ならば、赦せないのだ。楯無は彼に対し怒っているが口を開いた。あの事を、だ。

 

「まさか……従者の皆を殺したのは、貴方なの!?」

「…………」

「答えなさい!」

 

 楯無は一也に対し、怒りながら訊ねていた。彼なのか? 彼が従者達を殺したのか? あの時、倉庫に居たのは、一夏を呼び出したのは彼なのか? と。

 楯無はそれ等を、全ての元凶を彼ではないかと疑っていた。もしも本当ならば彼は敵である。従者達を殺した仇である。楯無はそう考えているが一也は彼女を睨んでいた。

 彼女は自分に対し、何かを言ってる。しかし、それはあの時に関係する事だろう、と。一也はあの時の事を思い出すが直ぐに眉を顰めた。まさか……コイツは。一也は何かに気付くが口を開いた。

 

「ああ……そうだよ」

「っ!?」

 

 彼の言葉に楯無は瞠目した。彼だった、彼が従者達を殺した犯人である事に気づいたのだ。彼の口から自分がやった事を、彼自身が認めているのだ。

 楯無は彼の言葉に驚いていたが彼は先を続ける。

 

「俺は奴等、織斑一夏を保護したであろう奴等を殺したに過ぎない」

「……あ、貴方ね……! 貴方が皆を殺したのね!!」

 

 楯無は一也に対し更に怒る。彼が従者達を殺した。それだけなら未だしも暗部としては犠牲は付き物であるが多かったのだ。半分以上を喪ったのだ。

 その所為で暗部は壊滅的な打撃を受けた。が、生き残った者達や、一夏やジェイソンのお陰で立て直し、更には次世代の者達が頑張ってくれているお陰で何とか立て直したのだ。

 暗部は何とかなったが楯無は一也に対し、更に続ける。

 

「貴方が皆を殺した! 皆従者以前に気のいい人達だった!」

「……だから何だ? 俺には痛くも痒くもない……!」

「巫山戯ないで! 貴方のした事は赦される事じゃない! 最悪、死刑になっても可笑しくない!」

「…………」

「それに少年法で守られようと貴方を一生赦さない! それに無理矢理でも……」

「いい加減にしろ……!」

 

 楯無が言い終わる前に一夏が言った。その言葉には怒りが孕んでいるが楯無は彼の言葉に驚き、そして彼の方を見た。一夏は険しい表情を浮かべていた。

 楯無の言葉は兎も角、私情を挟んできたからだ。今はゲームを進め、一彦を倒す為に一也に共闘を申し出ている。今は此の状況を何とかするのが先だからだ。

 楯無が邪魔したら余計にややこしくなる。更には共闘が難しくなるのだ。一也に対して憎しみを抱くのは構わないが今はそれ所ではないのだ。

 

「更識……死んだ者達を殺した奴を憎むのは構わない……だが、今はそれどころじゃない……!」

「でも! 奴は私の……家族のような存在の皆を殺したのよ!? それどころだと言う理由で片付けられる訳ないじゃない!?」

「……お前の私情はどうだって良いて」

「そんなことを言わないで……!!」

 

 楯無は叫んだ。一夏と一也は眉を顰め、一美はビクッと震える。楯無の叫び声は怒り、哀しみ、憎しみ等の負の感情が孕んでいたからだ。それ等は全て、従者達を喪った事であるが、それどころではない、の言葉で片付けられる訳がない。

 彼女は一夏を見て怒っているが薄ら止めに涙を溜めていた。

 

「彼等は……皆は私、私達家族の為に闘ってくれた……それなのに、皆、命を散らした……!」

「…………」

「誰が殺したのかは判らなかった……でも、奴が……!」

 

 楯無は一也を睨む。憎しみだけが彼女を支配していた。犯人は奴、一也だった。犯人は直ぐ近くにいたのだ。暗部としてではなく、彼女個人の物だった。

 警察に突き出したいが今はそれどころでは無いのだ。それは楯無ではない、一夏の考えだった。

 

「取り敢えず、さっきも言ったがお前の私情はどうだって良い」

 

 彼の言葉に楯無は驚きを隠せず彼を見る。彼はさっきから険しい表情ばかり浮かべていたが彼女は彼の言葉に、自分は言葉を失っていた。彼は暗部の、亡き従者達の事を気にもしていない。

 が、一夏は楯無の事を気にもせず一也を見る。

 

「お前はどうだ? 奴を倒す為に一時共闘するか?」

「……お前と手を組む気はない……それに」

「それでもお前は奴に借りがある……だとすれば、お前の目的は俺だけでなく、奴にもあるだろ?」

 

 一夏の言葉に一也は反論したが更なる言葉に何も言わなくなる。険しい表情を浮かべているが一夏は更に続ける。

 

「俺達はゲームを進める為に殺し合う敵同士だ……だが、強敵を倒す為には同盟も悪くはない」

「…………」

「……訂正する。俺は元々、手を組む気はない……が、夢見は俺達にとって大きな障壁だ……奴を倒さない限り、俺達に勝機は無い」

「……それで共闘か?」

 

 一夏は深く頷く。

 

「ああ。それならば俺達は奴の障壁ともなる。奴は一人だが俺達が組めば奴も慌てるだろ」

「……逆に俺達が倒される確率は高くなる」

「それでも俺達は奴を倒す。奴も俺達を倒しに掛かるのならば俺達も死力を尽くして闘わなければならない」

 

 一夏の言葉に一也は眉を顰める。

 

「……拒否はないのか?」

 

 一夏はまた深く頷く。

 

「ああ。俺達が闘っても勝てるかどうかも判らない……が、俺達が共闘しても互いに足を引っ張るだろ……それでも、俺は奴に借りがあるからな?」

「借りだと?」

「ああ、お前や奴が学園に襲撃してきた事件での事だ……俺は奴と闘ったが負けた」

「……その時の借りを返す為か?」

 

 一也の言葉に一夏は何も言わない。が、彼は一彦に借りがあるのだ。敗北した事が原因でもあるがそれは死で償わせる意味にも近い、勝利を得るには彼を生贄にする他方法はない。

 自分が闘えば勝てるかどうかは自分の行動次第だが一也もまた、奴を倒したいだろう。ならば、借りを返す意味で共闘すれば彼も納得するからだ。

 もしも無理ならば負ける。賭けでもあるが一也と共闘すれば……ガ、一夏はそこまで考えなかった。後は一也の返答次第だ。一夏は彼を見据える。

 彼の言葉を待っているからだ。一夏だけではない、一美は心配そうに見ているが完全に蚊帳の外だ。が、楯無は一也を睨んでいるが一夏の言葉に困惑を隠せないでいるのだ。

 しかし、一夏の視線に一也は何も言わないが彼は舌打ちした。そして、口を開いた。

 

「……いいだろ……組んでやるよ……奴を倒す為にもな……!」

 

 一也はそう言い放った。彼の言葉に楯無と一美は目を見開くが一夏は眉を顰める。しかし、それは一夏と一也が一彦を倒す為の一時的な共闘を意味していた。

 

 そして同時刻、廃工場近くに数人の異形の者達が迫っていた。その中には、一夏を襲った包帯男もいたが他にも人形らしき物が三輪車を漕ぎながら迫っていた。

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