インフィニット・デスゲーム 作:ホラー
青白い肌の顔面ブサイクの化物『ディセント』
案山子の化物『案山子男』
巨大な鋏を持っている少年の化物『クロックタワー』
「…………!!」
一也はアサルトライフルで一夏の肩口を噛み裂いた青白い肌の化物を撃った。銃弾は怪物の顔面に軽く銃弾の雨を浴びせた。化物は声を上げないが仰向けに倒れた。
身体をピクピクと動かしていたが直ぐに止まった。息もしていないが白目を剥いていた……事切れたのだった。
「ウグッ……」
一也が青白い肌の化物を撃ち殺した後、一夏は膝を突く。脇腹から出る血を左手で押さえるが血は止まらなかった。肩口からも血が出ているが止まる気配はない。
このまま出血多量で死ぬ危険もあったが汗を流していた。激痛もそうだが彼は眉を顰めながら目を閉じ、歯を食い縛っている。立とうとしたが直ぐに膝を突いてしまう。
肩口と脇腹から血が出続けているのもそうだが彼は微かに目を開き、視線を彼、一也の方へと向ける。彼はアサルトライフルを肩に掛けながら一夏を冷ややかな目で見ていた。
軽蔑や憎悪と言った負の感情が籠っているが一夏に対してだった。彼には借りがあるが助けた訳ではない。彼は一彦を倒す為に共闘している。
しかし、今の彼は負傷している。一彦を倒す為に共闘出来るかどうかも、見ただけで判断出来る。今の彼には一彦を倒せる確率は限りなく低い、自分が対等に渡り合えても彼は足手纏いでしかない。
一也はそう考えているが一夏は激痛に耐えきれず、俯せになる。息を何度も吐いているがどうなるのかは彼は自分でも気付いていた。自分は脱落する、そう気付いたのだ。
風前の灯とも言え、その命は尽きかけていた。一夏はそれに気付くが歯を食い縛る。刹那、一夏はある者達を思い出す。何方も良く似た顔立ちをしていた。
水色の髪に赤い瞳、瓜二つとも言えるが片方はお茶目かつ、もう片方はオドオドしているが彼女等の性格を良く現していた。その者達は姉妹、更識姉妹だった。
一夏はそれに気付くが微かに瞼を開き、その後に歯を食い縛った。何故、彼女等を思い出したのか? と。彼はそれに気付かないが血を吐く。
命が尽きかけている……一夏はそれに気付いたからだ。そして、彼は目を閉じた……。彼の死を意味しているようにも思えたのだった。
「…………」
そんな彼を一也は冷ややかな視線を送り続けていた、見下ろしていた。彼は何の反応もない、血も出続けているが出血多量で死ぬかもしれない。
一也はそれに気付いているが彼は舌打ちすると、何も言わずその場に屈み、彼の頭を鷲掴みにする。刹那、彼は一夏を連れて行く意味で風のように消えた。
そして彼等が消えた後、そこにいるのは顔が焼け爛れているような男、レザーらしき大男に、青白い肌の怪物だけだった。
「一美ちゃん、どうして私を連れて離れたの……!?」
その頃、一美は楯無を連れて、廃工場の何処かに避難していた。が、楯無は一美に対して困惑しながら訊ね続けていた。因みに一美が彼女を連れて避難した場所は書類仕事をメインとするデスク等が幾つもある部屋だった。
が、デスクや椅子は錆びついており、書類も長年放置されているのか変色している。それに彼女達がいるのは部屋の奥にあるデスク近くだった。それでも、楯無は一美に訊ね続けているが一美は俯きながら怯えていた。
彼女はさっきの化物達を見て恐怖していたからだ。彼女は幼女であり、トラウマにも近い怪物達だった。あんなのと闘うのは兎も角、一夏に言われて楯無を連れて行ったのは良いが、戻りたくなかった。
戻ればあの化物達と闘う事になる。必然でもあるが今の自分にはそう言った度胸はない。彼女は楯無に訊かれ続けている中、耳を塞ぎながら泣き始める。
「一美ちゃん……!?」
楯無は一美の様子に気付くが彼女は泣きながらしゃがんだ。
「厭だ……厭だよ……! 闘いたくない……!」
一美は泣きながら戦いを否定した。幼いが故でもあるが今の彼女にはそう言った度胸もない。早く此処から脱出したい、ゲームから目を背きたい、そう思っていた。
そんな彼女に楯無は哀しそうに見ていたがその場で屈むと。
「一美ちゃん……」
楯無は泣きじゃくる彼女を抱き締めながら彼女の頭を撫でる。楯無はゲームの事を良く知らない。知っているとすれば、殺し合いのゲームである事、負けた者は死ぬ事。
恐ろしくも危険なゲームである事を知った。しかし、今は一美を慰めるのが、落ち着かせるのが先だった。それに、彼女は何かを思うように目を閉じる。
一夏の安否を気にしていた。彼はどうしているのか? 無事でいるのだろうか? と。ISを使えば彼の居場所を把握出来るが迂闊に使えば敵、化物達に居場所を教えるような物だった。
それに、こういう時にISが使えない、楯無はそれに気付くが彼女は一夏を心配していた。無事でいてくれ、と。彼は強いが一抹の不安が彼女を支配していたのだった。
同時に今は一美を慰めるのが先だった。楯無はそれに気付きながらも下唇を噛み締めた。刹那、ガタン! と大きな音が聴こえた。
楯無はそれに気付くが扉の方からだった。自分達がいる場所とは離れた場所だが楯無は扉の方を覗くように窺う。楯無は戦慄した。扉の方には、ある化物がいたのだ。
その化物は屈強な体つきかつ、巨躯の男。革製とも言える胴付き長靴らしき服装、更には右腕には何かが埋め込まれたような物が幾つもあった。
そして最大的な特徴と言えば、顔に笑顔を浮かべているような白いマスクを着けている事だった。が、右手には鉈らしき物を持っていた。
その化物を見た楯無は戦慄すると、近くのデスクの、椅子の下半分が入れるスペースに一美を抱き締めながら音を立てずにそこへと入った。
「お姉ち……!」
「喋っちゃダメ……!」
一美が何かを言う前に楯無は小さく言った。二人はデスクの、椅子の下半分が入れるスペースに身を隠しているが二人分では狭く、楯無の足ははみ出ていた。それでも、楯無は一美と共に隠れていた。
あの化物はこの部屋を調べる。そう感じたからだ。
「…………」
そしてそれが当たったのか、化物は何かを引き摺りながら部屋の中に入る。辺りを調べている。
「お姉ちゃん……!」
一美は泣きながら楯無に訊ねる。彼女も気付いたのだ。何者かがこの部屋の中へと足を踏み入れてきた。同時に調べている。彼女はそれに気付いたのと同時に怯えていた。
自分達は殺される、見つかったら殺される。一美はそれに気付いたのだが楯無は彼女に対して困惑しながら。
「声を出しちゃダメ……! 見つかっちゃうわよ……!」
楯無はそう言いながら彼女に言う。楯無も気付いていた。見つかれば殺される、と。それに今の自分達に出来るのは声を殺し、化物が部屋から出て行く事を願うしかないのだ。
身を潜めているが楯無だって怖いのだ。異形の化物を何人も見てきたからだがそれが影響してもいたのだった。同時に一夏の安否も気にしている為、余計、彼女を不安に追い込んでいるのだ。
「…………」
そんな中、化物は楯無や一美が隠れているデスク近くまで来ていた。化物は辺りを窺っていた。誰かいないかを警戒していた。
「っぐ……!」
「ウウッ……っ!」
彼女達は化物が近くにいる事に気付いた。楯無は声を殺し、一美は泣きながら声を出さないように我慢していた。早く向こうに行け、消えてくれ、彼女達はそう願っていた。
化物は未だにデスク近くを調べているが何かを思うようにその場を離れるように歩き出す。
「…………っ」
楯無は化物が離れて行く事に気付いた。足音が遠くへ行くように小さくなっていくからだ。楯無は一抹の不安を感じながらも目を閉じる。刹那、楯無は目に涙を溜める。
恐怖で泣いてしまったのだ。そして、こう呟いてしまった。
「助けて……織斑君……!」
彼女は一夏に助けを求めてしまった。ISがあるにも拘らず、彼女は彼に助けを求めてしまったのだ。そんな彼女に一美は泣きながら見ていたが何も言えなかった。
彼女も怖いのだが楯無も怖がっている。化物に怯えている。当たり前か、それとも彼女だって怖いのだろうか? 一美は彼女が泣いているのは何かまでは判らない中、扉が閉じる。
「「…………」」
この音に二人は反応するが彼女達はそこから出ない。が、その数分後に楯無は一美を抱き締めながらスペースを出るデスク下のスペースから出ると、楯無は一美に対し、
「私が窺うから、一美ちゃんは顔を出しちゃダメよ」
楯無は彼女にそう言いながら辺りを窺おうと立ち上がった。
「っ!?」
刹那、楯無は瞠目した。同時に戦慄していた。何故なら、彼女が見ている場所は扉の方だがそこには一人の大男がいた。それはさっきの、
否、出たばかりの筈の大男がいたのだった。
楯無は彼を見て戦慄するが、それ以上に彼の周りに、二体の化物が風のように現れた。それは、さっき逢ったばかりの目や歯釘剥き出しの白衣の男と顔が焼け爛れている男も現れた。が、彼等の持ってる武器は少し違っていた。
白衣の男は電流が流れている鉄の棒を、顔が焼け爛れている男はチェーンソーを持っていた。
楯無は更に戦慄するが一美は彼女の様子に気付き、立ち上がる。
「ひっ!?」
彼女も戦慄した。が、白い仮面を着けている大男は手に持っている鉈を上げると、それを楯無や一美に対して、向けた。
「「……!!」」
刹那、近くにいた目や歯釘が剥き出しの白衣の男と、顔が焼け爛れた男は何も言わずに、持っている武器を振り回しながら彼女達に迫った。