インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第197話

「とりゃっ!」

 

 廃工場が爆弾により、敷地内一面が炎の海と化す中、一夏と一也は共同前線で一彦を相手にしていた。しかし、彼等は一彦に対し、苦戦していた。

 一彦のIS、ジルドレは第二形態かつ、強力なISである。一夏と一也は第一形態かつ、ボロボロの状態であり、勝てるかどうかも判らない。否、勝てる確率は限りなく低くなっていた。

 勝てるかどうか以前に彼等は敗北が濃厚となっていたのだ。一夏と一也は何とか抗うがそれは無駄でもあった。そんな中、一彦は武器を解除しながら一也に迫る。

 一也は舌打ちするが一彦は彼の前に来ると、一也の脇腹に右フックを入れる。一彦の右フックは一也の脇腹にヒットし、一也は激痛を感じ、怯む。が、一彦は彼を見た後、そのまま、回し蹴りを喰らわす。

 

「あがっ!」

 

 一也は一彦に蹴られるが吹っ飛ばされるが遠方へとだった。一彦はそれを見た後、一夏の方を見る。彼はランスを持って一彦目掛けて突き進む。

 刹那、大きな音が響いた。一夏のランスが一彦の腹を突く……事は出来なかった。一彦が一夏のランスの先端を掴んでいるのだった。

 

「っ!?」

 

 一夏は舌打ちするが一彦はランスの先端を掴んだまま振り回す。

 

「ああっ!」

 

 一夏は身体を回されるが一彦は彼を火の海と化した廃工場の方へと投げ捨てた。一夏は廃工場の方へと落下していくが火の海の中へと消えて行った。

 上がってくる気配はない。焼死したとも言えた。そんな彼を見た一彦は笑う。

 

「あらら? 二人共、やられちゃったの?」

 

 一彦は笑いながら言った。彼は勝利したと感じていた。何方も傷だらけとは言え、自分はほぼ無傷とは言え、勝った事に喜びを隠せないでいた。

 が、彼等は完全に死んだ訳ではない。一夏は火の海に巻き込まれているが彼はどうなっているのかは判らない。それでも、一彦は笑いを止める事は出来ないでいた。

 が、一彦は不意に視線を横へと走らせる。何故なら、音が聴こえたからだ。それも、何かを噴かす音に良く似た物でもあったからだ。言わずとも、ISの奴だった。

 そのISは恐らく、それを扱っているのは奴しかいない。その人物は、一也だった。

 

「っ……!」

 

 一也はISを噴かしながら一彦の方へと戻ったが舌打ちすると、彼を睨む。彼は一彦とは少し離れた場所に止まっているが警戒していた。彼が強い事には気付いているがどう闘えば良いのかを捜していた。

 何処かに泣き所がある。同時にそこを突けば勝てると思っていた。しかし、それを見つける以前に彼は強いのだ。自分のISはボロボロであり、修復しなければならないのだ。

 同時にあまり使えない。最悪、破壊される危険もあったからだ。一也はそれに気付くが一彦は笑っていた。勝てると思っていた。一也を見たからでもあるが彼は指を鳴らしている。

 それを見た一也は舌打ちするが身体を震わせていた。恐怖していたのだ。彼、夢見一彦に対して。彼は強いだけでなく余裕な表情が一也は追い詰めていたのだ。

 どう闘えば良いか以前に勝てないと思っているからだ。それが身体を震わせ、恐怖させている。一也は彼に対して退こうとするが一彦は彼に対し訊ねる。

 

「どうしたの?」

「……っ」

 

 彼の言葉に一也は更に震える。が、一彦は更に続ける。

 

「僕が怖いの? それに……」

 

 一彦は更に笑みを浮かべる。

 

「君は勝てないと思っているからじゃ無いの?」

「……っぐ!!」

 

 一也は言葉を詰まらせる。否、一彦は彼の様子とそれを指摘したのだ。彼は自分に勝てない事に気付いているが敢えて訊ねていた。もしも自分の言ってる事が本当ならば、彼はどう反応するのかを窺っていた。

 どう出るか以前に反応を愉しんでいるのだ。が、一也は身体を震わせる中、冷や汗を流す。怖い、こんなに怖い相手は初めて見たからだ。彼は恐怖で震え続ける中、一彦は笑い続けていた。

 

「まあ、良っか?」

「っぐ!?」

 

 彼の言葉に一也は驚く。刹那、一彦は彼の方へと迫る。一也はそれに気付くがからだが言う事を聞かないように動けなかった。彼はそれに気付く前に一彦は彼の脇腹を殴る。

 

「っグあ……!」

 

 一也は腹に激痛を感じるが一彦は彼の頭を鷲掴みにした。一也は頭を掴まれるが抵抗出来ないでいた。しかし、一彦はもう片方の手で彼の腹を殴る。

 

「ぐはっ! あがっ……!」

 

 一也は声を上げるが一彦は止めない。が、一也はこのまま負けるのではないかと思っていた。脱落するのではないのかと思っていた。一也にとって屈辱的でもあった。

 抵抗出来ないのは彼に恐怖しているからでもあった。なすがままにされているのもそれであるが一也に抵抗出来る意志はない。勝てないと言う現実が彼の心に大きな衝撃を与えていた。

 

「……澪香」

 

 一也はある人物の名を呟く。同時に彼女の顔を思い浮かべた。それは、幼き頃に遊んだ日々。懐かしくも、戻れぬ日々だった。共に遊び、喧嘩もした。

 が、それは彼女が無くなった後、過去の遺物とも言えた。しかし、それは、一也がゲームに参加し、願いを叶える為に、生き返らせたい大切な人に変わりはない。あの時の事件で死別したがゲームに勝ち残り、生き返らせたい人。

 その少女の為にも勝たなければならない……一也はそれに気付くと表情を険しくする。刹那、彼は全ての力を振り絞って、自分の頭を掴んでいる彼の手を掴む。自分の手よりも一回りデカい中でも彼は諦めなかった。

 否、恐怖させている中で大切な人の存在が彼の心に大きな励みを与え、大きな力を与えてくれていた。

 

「おや?」

 

 一彦はそれに気付くが一也は力を入れる。諦める物か、諦めたらそこでおしまいではないか。彼はそれに気付くと何とか逃げようとした。

 

「無理だ……」

 

 刹那、一彦の背中を一本の矢が突き刺さると、それは爆発し、四散した。

 

「おわっ!?」

 

 一彦は背中を攻撃され声を上げるが一也を放してしまう。刹那、一也は表情を険しくすると、彼の鳩尾に渾身の一撃を咥える意味で殴った。

 それは第二形態のISを纏っている一彦にとって軽い物だった。一彦はそれに気付くが首を傾げる素振りは愚か、それを注視している暇もない。

 彼は後ろを攻撃してきた者を見ようとしていた。そこにいたのは、IS・ジャック・ザ・リッパーを纏っている一夏がいた。彼は表情を険しくしているが火の海の中から生還したのだ。

 否、彼は気を失っていなかったのだ。同時に幸いな事に、偶然な事に炎に巻き込まれなかったのだ。それだけでなく彼は煙を吸わないように口を抑えていたが体温が上昇していく事に気付いていたが、骨が溶ける感覚にも陥っていたが彼はそれを待っていたのだ。

 同時に彼はそれをチャンスと言わんばかりに彼に迫る。

 

「えっ?」

 

 一彦は一夏が迫ってくる事に気付き、キョトンとするが一夏は彼に体当たりした。

 

「……熱っ!?」

 

 一彦は彼の身体が熱い事に気付いた。しかし、それは一夏の考えでもあった。彼はISを熱くさせていたのだ。それは一彦のISに対抗する為であり、一領の鎧を纏っている彼にとって熱い鉄板を触らせる意味にも近いからだった。

 一彦は彼の身体が熱い事に顔を歪める中、一夏は彼から離れると、彼の頭を片手で掴む。

 

「あちちちっ!!」

 

 一彦は熱さを感じるが脳が溶けるほとでもあったからだ。しかし、一夏は放す気配はなく、同時に彼に密着する。放さないと言う意味でもあるが一彦は熱さに怯む中、一也が彼に攻撃する。

 

「てやっ!!」

 

 彼は彼の胸に膝蹴りを喰らわす。ボロボロの状態であるがダメージは少ない方だった。それでも何とか倒そうとしていた。一夏も放す気配はないが一也は一彦にダメージを与えようとしていた。

 しかし、一彦も負けてはいない。彼は脳が溶ける感覚に陥りながらも一夏を掴む。彼の身体は熱いが一彦は一夏の頭を掴むと、彼を背負い投げするように前へと投げた。

 

「うぐっ!?」

 

 一夏は投げられるが一彦は更に一也の肩を掴む。一也は一彦に掴まれるが一也は彼を一夏を投げた方へと投げた。一也も投げられる。一方で一夏は何とか踏ん張るが一也と激突した。

 

「があっ!」

「ぐあっ!」

 

 一夏と一也は衝突するが激痛の声を上げた。今までのダメージが蓄積されているのと、それが原因でもあるからだ。同時に彼等は炎の海へと落ちていった。

 

「……っ」

 

 一方で一彦は頭を抱えていた。脳が高温で溶ける感覚に陥っていたからだ。意識は朦朧としており、闘えるかどうかも判らないからだ。一彦は激痛を感じながらも何とか持ち直そうとした。

 

「……ウグッ!?」

 

 刹那、彼は胸に激痛を感じ、目を見開いた。同時に彼は身体を震わせ、冷や汗をも流す。胸に痛みを感じていた。それは今までの激痛よりも、何倍も痛い。

 何かまでは判らないが何かが貫通している事には気付いていた。彼はそれを見る意味で恐る恐る、胸の方を見た。刹那、彼は瞠目した。

 視線の先にはある物が胸を貫通していたのだ。先端には臓器の肉片みたいのが見えていたがそれは自分の心臓の肉片でもあった。しかし、血の色は紅くはない、白だった。

 一彦はそれに気付くが彼は気付いたのだ。何かが、自分の胸を貫通するような攻撃をしてきた事に。同時に彼は更に気付いたのだった。

 次の脱落者は自分である事にだった……。




 次回、最終回です。
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