インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第32話

 

「お、織斑君!?」

 

 楯無は自分を後ろから拘束した者が一夏である事に気付いた。それは楯無が一番逢いたがっていた者であるが一夏は突然、彼女を放すと、離れた。

 楯無は一夏が離れている事に気付き、立ち上がりながら即座に振り返る。そこには一夏がいた。しかし、隣には誰かがいた。それは……ホッケーマスクを付けている大男、ジェイソンであった。

 

「ひっ!?」

「なっ!?」

 

 楯無と半蔵は一夏の隣にいるジェイソンを見て声を上げる。が、一夏の隣にいるジェイソンは無言で壁を見ていたが自分よりも一回り小さい楯無を見ていなかった。

 楯無は何かを言う前に何かを行動をしょうとしたがその前に一夏が楯無の口元を片手で押さえながら壁に当てる。

 半蔵は一夏の行動や楯無を見て何かを言おうとしたが、その前にジェイソンが携えていた鉈を半蔵の顔へと突きつけた。

 

「ぐっ!?」

 

 半蔵はジェイソンを見て歯を食い縛る。が、ジェイソンが手にしている鉈は銀色の輝きを放っているのと、切れ味が良さそう、人の首を軽く斬り落とす事は出来るであろう。

 ジェイソンはホッケーマスクを着けているが視線は半蔵に向けている。獲物を見つけ、狙いを定めている様にも思える。

 半蔵は自分も従者であるが暗部の人間であり、人殺しもしなければならない時がある。が、ジェイソンもまたその一人である事に気付いた。

 同じ匂いを感じたからでもあるが、半蔵はジェイソンは人でありながら人ではない化物である事にも気付いた。否、既に昨日から知っている。

 マスクのしたの素顔は、この世の物とは思えない物であった。あの時、近くには虚がいたが彼女はジェイソンの素顔を見て怯えていた。

 本音は別の部屋へと移っていたが、もし見ていたら、虚とは違いトラウマになっていたのだろう。半蔵はそう思いつつも生唾を吞んだ。

 殺される、そう感じたのだが今は楯無の方が先であった。

 

「お、織斑君……うっ」

 

 楯無は一夏に口元を押さえられながら壁に当てられていた。同時に自分を壁に当てている一夏を恐る恐る見る。一夏は怒っていた。

 彼が怒っているのには理由があった。それは楯無達が自分の事で首に突っ込んできた事だろう。

 此処にいるのも彼を保護する為でもあるが、彼の逆鱗にも触れる行為であった。

 楯無は一夏を見て何も言えなくなるが、一夏は顔を楯無の方へと近づけた。鼻と鼻が触れる距離であるが彼の吐息が微かに鼻に突く。

 臭いと言う訳ではない、何処か荒れているよりも、怒っているように吐息をしていたのだ。

 

「何しにきた?」

 

 一夏は静かに訊ねる。口調は怒っているが楯無は何も言えなかった。口元を押さえられている為、言い返せない。

 

「……まあ、俺が押さえているのが理由だろうが、貴様等は何故此処にいる?」

 

 楯無は何かを言おうとしているが一夏は舌打ちした。

 

「まあ、理由は俺の保護だろうが貴様等が此処にいる理由は知らない……何故いる?」

 

 一夏は訊ねる。同じ様なことを言ってるが彼女等が此処にいる理由は知らない。居場所は愚か、接触さえもしなかったのだ。

 楯無達がいる事に疑問を持つ中、半蔵が答えようとした。

 

「じ……実は……」

 

 刹那、ジェイソンは鉈を半蔵の顔へと近づける。此れには半蔵は驚くが一夏は視線を半蔵の方へと向ける。

 

「……ジェイソン、鉈を下ろせ」

 

 一夏の言葉にジェイソンは一夏を見る。一夏は視線をジェイソンへと向けているが何かを悟り、鉈を下ろす。

 しかし、そんな一夏を見ていた楯無は何かに気付く。彼とジェイソンは知り合いなのか、と。一夏は最初、ジェイソンに連れて行かれたのだ。

 なのに今は平然と会話している。普通、見ただけでも怖いとしか言いようがない。簪が目撃した後の悲鳴を上げたのは判るが自分だって悲鳴を上げそうになったのだ。

 それ以上に一夏が連れ去られた事が堪えた。彼が化物である事には気付いたが一夏はそれを知りながらも平気でいる。

 楯無は一夏に疑問を抱くが困惑さえもした。彼は何者で、何の為に大男と一緒にいるのだろうか? それに従者達を殺したであろう大男や、青年とはどういう関係なのだろうか、と。

 楯無は何も解らず戸惑う中、一夏は半蔵を見ながら口を開こうとした。

 刹那、銃声が響いた。これには楯無と半蔵は驚き、一夏とジェイソンは関心ないように振り返るが、辺りは暗く、何処にいるのかさえも判らない。

 しかし、一夏は何かに気付いた。まさか……と思いつつも、楯無を乱暴に放す。楯無は一夏の行動に驚くが一夏は楯無に背を向く。

 その後ろ姿は寂しそうではなく、何処か決意しているようにも思えた。が、一夏は腰に携えている鉈を抜く。それは鋭い物であったがジェイソンが持っている鉈同様なのだろう。

 楯無は一夏の行動に驚くが、一夏はジェイソンを見る。ジェイソンはその間に身を翻しているが彼もまた、何かに気付いていた。一夏はジェイソンを見た後、楯無を肩越しで見る。

 楯無は困惑していた。突然の事であるが一夏は楯無を睨んでいた。怒っていた、と思えるが彼は突然、銃声がした方へと走り出した。

 

「織斑君!?」

 

 楯無は一夏を追い掛けようとした。が、突然、ジェイソンが彼女の前に立ちふさがると、彼女の胸ぐらを掴む。

 

「ああっ!!」

 

 楯無は首を掴まれるがジェイソンは無言で彼女を持ち上げる。彼から見れば軽い方だろうが楯無は胸ぐらを掴まれているのか激痛を感じていた。

 半蔵は「お嬢さ……!」と言うが激痛で顔を歪める。しかし、ジェイソンに掴まれている楯無は激痛を感じながらもジェイソンを見た。

 彼はホッケーマスクを着けているが何処か不気味であった。化物である事には変わりないが何故か何もして来ない事にも気付いた。

 

「ね、ねえ……貴方は,何故?」

 

 楯無は何かを問い掛けるがジェイソンは無言で楯無を見続けていた。それはまるで、一夏の邪魔をしてはいけない、と言う意味でも警告しているようにも思えた。

 同時に、奥から銃声が何発も聴こえた……。

 

 

 

「おいおい、無防備な奴を撃ち殺そうとするなよな〜〜〜!?」

 

 銃声がした方では一人の女性が何かに気付き、物陰に隠れながら何かを話している。が、その奥の物陰には、一人の青年が隠れながら肩膝を突いていた。

 青年は顔には暗視コーグルを付けており、両手にはハンドガンを持っている。その青年とは、ガトリングガンを両手に持っていた青年でもあった。

 彼は今、ガトリングガンの代わりにハンドガンを持っているがガトリングガンは、精神病院へと置いてきたのだ。

 その代わり、暗視コーグルを装備し、ハンドガンを新しい武器としても装備したのだ。

 が、それには時間が掛かり、神谷と村上が殺すのにも時間が掛かってしまったのだ。しかし、暗視コーグルを装備した事により、青年は有利になった。

 それに従者達は偽物である美川と瀕死の半蔵、山川と神山を残し他は死んだ。楯無もいるが彼は女だと油断しているのと、軽く殺せるだろうと思っていた。

 そして、暗視コーグルにより女性、美川を見つけたのだが彼女を標的にしていた。

 狙っている訳ではない。美川が美川ではない事に気付いているのと、その正体を知っているからだ。

 

「それよりも貴様に問う!!」

 

 青年は向かい側にいて、物陰に隠れている女性、美川に訊ねるように叫んだ。

 

「なんだ〜〜?」

「貴様は何故、織斑一夏がプレイヤーである事を知ってる!? それに貴様は何故美川に変装している……夢見一彦!!」

 

 青年はそう言った後に身を出すと、両手に持っているハンドガンで辺りを乱射した。これには美川……否、一彦は驚かなかったが彼は物陰に隠れているが、何故か笑うと答えた。

 

「そんなのは簡単だよ〜〜でも俺は物陰に隠れているから効果無しだよ〜〜ん!」

 

 一彦は笑いながら青年に答えた。それは挑発とも思える発言であるが、一彦の言葉に青年は眉間に皺を寄せながら下唇を噛むと再び物陰に隠れる。

 彼は一彦の言葉に怒りを覚えていた。ウザく感じているが彼を殺そうとしていた。一夏もそうであるが彼、一彦がいる方が彼にとって怒りしかなかった。

 彼の飄々とした笑いと、彼が何処にいるのかも判らないからだ。風のように消えて攻撃する事も可能だが、逆にやられる危険も伴っていたからだ。

 彼も風のように消える事は可能であり、風のように姿を消して、彼を殺す事は可能であるが生憎、かなりの体力を使う為、無闇に仕えないからだ。

 青年はそれに気付きながらも辺りを警戒する。刹那、青年は後ろから走る足音に気付き、振り返るが、誰かが迫ってくる。一夏であった。

 青年は即座にハンドガンを構えると、一夏目掛けて引き金を引いた……。

 

 

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