インフィニット・デスゲーム 作:ホラー
「……と言う訳だ」
一時間後、一夏は家に戻るや否や、ジェイソンと緊急会議を行っていた。内容は言わずともエントランスにあった出来事であり、周りから見れば突然の事で戦慄した一方で、一夏から見れば死人が突然出た事に驚きはしない物のデスプレイヤーが近くにいたのではないとか警戒していた。
一応、当てはまる人物はいる――二階にいて、青年の死を微動だにもせずに見ていた者である。あれがデスプレイヤーではないかと疑う一方で、その半霊とも言える殺人鬼は何者かまでは判断出来なかった。
ジェイソンの方はと言うと、静かに耳を傾けていたが一向に話す気配はない。話す事と言えば、キキキ、マママとしか言わない。二人は家の中に居るが向かい合う様にテーブル近くのイスに座っている。が、テーブルの上には一夏が購入した物が入っている袋と、バツ印が付けられている写真以外の五枚の写真が並べられている。
袋は兎も角、写真は一夏がジェイソンを問い質そうと言う意味で用意した物である。一夏は言葉を続けながら写真を指差す。
「ジェイソン――ここには五枚の写真がある――左からブギーマン、チャッキー、ピンヘッド、レザーフェイス、フレディ・クルーガーが写っている写真だ――この五人の中の誰だ?」
一夏はジェイソンに対して訊ねる。殺しの手口はさっき一通り教えたが誰が行ったかまでは判らなかった。全身の血を噴き出させ、目を抉り、躰中に切り傷を作った者が誰かまでは判らない。
あんなに多くいる観衆の中で殺人を行うのは自殺行為かつ無理に等しい。肝心の殺人鬼は何処にもいなかった。遠くから狙撃しても良いが切り傷を作る事までは出来ない。
では誰なのか? 一夏は様々な思考を巡らすが彼はジェイソンにも協力を仰いだ。
「…………」
ジェイソンは写真を眺める。何れも曲者揃いの面々だが殺人鬼の名としては申し分無い者達であった。ジェイソンは青年の殺され方に疑問を抱くどころか、ある人物が写っている写真を手に取る。一番右側の写真であった。
「フレディ? 其奴が殺ったのか……?」
一夏はジェイソンが手に取った写真の者に気付くがその写真は他とは違い、二番目に異形であり、一番凄い皮膚をしている者であった。
フレディ・クルーガー――右手に鉤爪を付け、全身が火傷で覆われた様な殺人鬼――中折れ帽子を被っているが笑っている。
彼の写真を見た時、何処か警戒心が生まれたのを感じた。どの写真もそうだが彼の場合は違う――他の写真に写っている者達もそうであるが彼だけは違う様にも感じた。
笑っている事が気に障るのもあるが彼の場合は悦びを得るが為に笑っている様にしか思えない。典型的な快楽殺人者――一夏はそう感じた。
彼がどんな者達を殺したのかは判らない――しかし、目の前にいるジェイソンだけは知ってる。ジェイソンが殺した者達は大抵、ある理由を持った者達だ。
大抵はキャンプの指導員だがジェイソンから見れば良い思い出は無い。彼等は大抵、性行為や大麻を吸ってる若者達が殆どだ。ジェイソンが彼等を怨むのは幼い頃にいた大人達がそれをしていたが為に自分は湖に沈められたのだ。
ジェイソンから見れば彼等を殺害したのは、キャンプの指導員を殺害したのはそれと同じ事をしていた事か、もしくは指導員と言う事が良い思い出で無かったからだろう。
他人もいたが彼等は単に巻き込まれたに過ぎないだろう。一夏はそう思いながらもジェイソンが手に取った写真を取り上げると、写真を見る。
妖しく光る鉤爪の先端に視線が映るがやはり笑い顔が気に障る。が、彼がどうやって殺害したのかまでは判らない。
「どうやって殺したんだ? この男は……」
一夏は思考を巡らせる。彼はどうやって青年を殺したのだろうか? ジェイソンが単に選んだだけなのだろうか? ジェイソンは前も彼の写真を手に取っていたが彼に何の怨みがあるのだろうか?
一夏は様々な思考を巡らせる。殺し方は元より手口さえも判らないのと突然の事で困惑さえもした。出来る事なら手口を知りたいが同時に警戒さえもした。
かなり手強い――一夏はそう思うと眉間に皺を寄せる。しかし、フレディが殺ったどうかも判らない――別の殺人鬼と言う線があるが一夏は彼を睨んだのはジェイソンが選んだからであった。
ジェイソンが何故彼を選んだのかは未だ判らない――が、今はジェイソンを信じる事しか出来なかった。彼が選んだからではない――他の殺人鬼もマークしているが今は彼等が共にしているデスプレイヤー達の存在も未だ判らない。
その所為で脱落者は四人だけであるのは捜すのは骨が折れるからであった。この死のバトルロワイヤルが始まったのは一年半前、自分を含めたデスプレイヤー達の殺し合いが始まった。
それまでの今日までの間、殺害に成功したのはハリー・ウォーデンとそのデスプレイヤー達だけであり、他の三人は他のデスプレイヤーに殺された。
時間が掛かったのは何千万と言う隠れる場所ば幾つもある地球で捜すのは困難であり、運を味方につけない限り無理に等しいからであった。
が、そのデスプレイヤー達は何処にいるのかも判らないが一応、一人は日本にいる事が判った。あの青年をどんな手口で殺したのかは判らないがその者を捜して殺せば良い。
殺人鬼の方は殺人鬼でもあるジェイソンに任せれば良いが相手が自分よりも強くても問題なかった。その自身は確かにあったのは――一夏が不意に窓の方を見る。
彼が見ているのは窓の外にある湖ではない――霧にであった。
「あの霧、只の霧ではなかった……」
一夏は霧を見ながらそう呟く。実は、家の周りに流れ、漂う霧は普通の霧とは違っていた。この霧はデスプレイヤー達の身体に異常を来す者であった。
悪い方ではない――色んな意味で悪くも良い方向へとしている。実は、この霧はデスプレイヤー達の身体を成長させる成分が含まれていた。
自然的な物ではない――主催者が決めた事である。その霧は体力を大幅に上昇させ、肺活量をも上昇させ、跳躍をも上昇させる。しかし、この成分は効き目が強過ぎる反面、普通の者達の数倍の人力はある反面、効力を失う事は無い。
主催者が自ら決め、自らワクチンを作らないと言う意味で彼等に、霧が漂う場所を与えたが三年前からいさせたのも身体に抗力を作る為でもあり、一年半前に死のバトルロワイヤルを行ったのは完全な抗体を身に付ける為の準備でもあったのだ。
同時に、主催者がワクチンを作っていないと言う事は死ぬまで永遠に消える事の無い、呪いの手枷足枷でもあった。殺人鬼に抗え、デスプレイヤー同士で殺し合いをし、制しろ――そう伝えていた。
一夏は最初は驚いた物の霧による影響は彼の身体に及ぼすだけでなく、ある出来事をも起こしてしまうが元凶でもある事を意味しているが、それもまた別の話であった。
一夏は窓の外に漂う霧を眺め続けていたがその瞳には哀しみ等は籠っていない――呪いを受け入れている事を意味し、諦めているように落ち着いている。
復讐の為に殺し合いを自ら名乗りで、それを重く受け止めていた。そんな彼、一夏をジェイソンは無言であったが彼に声を掛ける。
「キ、キ、キ……マ、マ、マ……」
その頃、此所は日本のとある場所の地下深くにある地下施設か、あるいはラボとも言える場所の一室。そこは十数ものパソコンのモニターやケーブル等が無造作に設けられており、画面には何かの数字や何かの機械の設系図等が映し出されていた。
一つではない――全てのパソコンにだった。部屋自体は狭くはないが薄暗く、モニターの光だけが頼りであった。そんな部屋に住人はいる。
二十代ぐらいの女性で紫色のロングヘアーに琥珀色の瞳。服装は御伽話に出てくる様な青と白を基準としたドレスを着て、ウサ耳を付けている。
女性はキーボードを叩いているが目には涙を浮かべている。暗い事や長時間パソコンを見続けている理由で流している涙ではない。彼女は誰かを捜していた。
愛しくも、自分が心を許せるごく僅かな者達の一人である。が、彼は三年前に行方不明となった。彼女は嘆き悲しんだ。同時に彼の生存を信じ、三年前のあの日から今日まで彼を捜した。
全世界を隈無く捜した。しかし、それは無理に近かった。自分は全てを見る事は出来ない。監視カメラをハッキングしても全てを把握出来る訳でもない。
そして彼女も人間であり、過労死する危険もあった為に何度も睡眠を取らなければならなかった。他の事もあった為に全てを把握出来なかった。
彼女は泣いているがそれは、ある人物の和む様な笑顔を思い浮かべているからであった。思い出せば出す程、涙が止まらず、頬を何度も伝う。
キーボードを叩く音だけが聴こえる中、女性はこう呟いていた。
「いっくん……いっくん……!」
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