インフィニット・デスゲーム 作:ホラー
「うぐっ!?」
数分後、倉持技研の、とある室内では、研究員らしき男とジェイソンがいた。が、男は悲痛の声を上げそうになっていたがそのまま白目を向く。
男はジェイソンに後ろから片腕で首を絞められながら引き寄せられたのだ。そして、彼の腕力で首を圧迫されたことが原因で死亡したのだ。
ジェイソンは男が死んだのを確認した後、男を近くに投げ捨てる。男は大きな音を建てながら転がるが生き返る訳ではない。そしてここは研究室であり、沢山の書類やデスク等が幾つも見受けられる。
ジェイソンには関係ないことだが、彼はここで書類を整理している男を見つけるや否や静かに近寄り、殺害したのだ。
「…………」
ジェイソンは辺りを窺う。誰もいない。仕事を終えた後のようにも思えた。ジェイソンは昼間襲えば良かったと思ったが自分は一夏の半霊、命じられない限り逆らうことはできないのだ。
ジェイソンはそう思いながらも、ある本を、いや、日記を見つけた。書きかけとも思えたが、ジェイソンは興味本位で手に取ると、ページを捲る。
普通ならそんなことはしない。が、一夏が本を読んでいるのを真似してしまうこともあるし、作業するときもそうであった。
一夏と出会う前は殺人の限りを尽くしていたために、獲物を恐怖に落とす意味で色んなことをしたり、追い詰めたりしていたのだ。
しかし、ジェイソンはその日記に書かれている内容を見て何も言わなかった。
『三月十二日。今日は研究員全員でISの開発を上から命じられた。理由は、かの有名な織斑千冬から「弟のISを造ってほしい」と頼まれたからだ。俺達は渋ったが上層部はなぜか喜んでいた。その理由は政府から織斑千冬に内緒で、織斑千冬の弟のISを造れと言ってきたからだ。それも、多額の援助金を手渡しで』
『三月十三日。今日は織斑一夏の専用ISについての会議があった。デザインや機動力、それ以前に様々な問題があったが問題は別にあった。日本代表候補生の、もうすぐ完成間近のISはどうなるのか、と。無論、上層部は『そんなのほっとけ、できないといって断ればいい』と言ってきたのだ。これには俺達も困惑した。が、それは少数であり、大半は金に目がくらみ、有名になりたいがために気にもしていなかった』
『三月十四日。織斑一夏の専用ISの件は決まった。同時に名前は千冬が『白式』と命名したために問題はない。が、武器が刀一本と言うのは強引でもあった。最近の武器は連射型の武器も多い上、接近戦や遠距離戦を交互に使える武器でなければならないのだ。なのに周りは腐っているのか気にもしていなかった……』
『三月十五日。織斑一夏の専用ISは欠陥機を使うことになった。だが、日本代表候補生は可哀想であった。彼女にはISの制作を中止することを電話で伝えたのだが微かに泣いていたのだ。胸が痛く、つらかった。丁重に断ることは愚か、後悔さえもした。できることなら完成させたい。が、逆らうこともできない……』
『三月十六日。織斑一夏の専用ISを造っている最中、一人の女子高生が倉持技研にきた。日本代表候補生の姉と名乗る娘だった。彼女は妹のISが完成中止になったことを怒っていた。が、周りは忙しいからと気にもしないように断っていた。これには彼女もつらそうであったが俺は何も言えなかった……』
『三月十七日。いつものようにISを造るために研究したりしていたのだが、眼鏡をかけた日本代表候補生の娘が来た。ISを取りに来たらしい。ISはIS学園へと移されるが、その時の彼女は泣きそうであった。もうすぐ完成できる所で中止になったのだ。俺達は彼女を見て同情したのだが金に目がくらんだ奴等は気にもしていなかった……』
「…………」
ジェイソンは日記に書かれている内容の一部を見て何も言わなかった。が、微かに怒りを感じていた。金に目がくらみ、千冬に内緒で命令した政府と、有名になりたいがための倉持技研の連中にだった。
彼等彼女等は一人の少女を狂わせた。が、それは自分と同じ境遇のようにも感じていたのだ。幼い頃に周りは自分を助けなかったこと。それがジェイソンの性格を歪ませ、人殺しへと変貌する原因にもなっていた。
コイツらはそれと同じだった。ジェイソンは彼等に怒りを感じたが不意に日記を閉じると、懐へとしまう。持って帰ろうとしているのだ。
理由は一夏への手土産であった。ゲームを制する時に有利な物は持って帰ろ、一夏がそう言ったからだ。日記は何かの理由ができる。そう思ったのだ。
同時にジェイソンは腰に携えている鉈を取り出す。腐った連中には死が相応しい。そう思うと同時に、彼は倉持技研に居る研究員を捜すために、研究室を出た。
「へへっ。有名になれば、俺達の所に製造依頼が沢山来る」
「うふふ、そうね〜そうなれば私達は食っていける金は愚か、遊びにいくお金もあるわね〜」
ここは倉持技研にある休憩室。そこは広く、テレビや自動販売機等が置かれていた。テーブルもあるが食事するために置かれたに過ぎない。
テレビの前にはソファーと間にはテーブルが置かれていた。が、ソファーには男性と、黒く長い髪の女性が隣同士で座っていた。どちらも白衣を着ている研究員であるが恋人同士でもある。
二人は手には缶ビールを持っているがテーブルにはおつまみがあった。二人はなぜか喜んでいる。酔っているのもそうであるが、ある理由でもあった。
それは一夏のISを造ったことである。政府から多額の援助金を渡されただけでなく、有名になれる、と天狗気分を味わっていた。それは祝いという理由でもあった。
「それにしても、あの織斑千冬の弟のISを造るのは夢みたいだな?」
男はそう言いながらがビールを飲む。
「別にいいでしょう? それに彼が世界初の男性操縦者なのに〜なんかいやね〜」
女性はそう言うと男に擦り寄る。甘えているのだ。が、男はビールを飲んだ後、女性を見ながら笑う。
「別にいいだろ? それに俺達には関係ない! 俺達は有名になれるのならば、な!」
男性の言葉に女性は笑う。
「そうよね〜〜でもさ、あれはどうなの?」
女性は何かを思いだしたのか男に訊ねる。
「何がだ?」
「日本代表候補生のISよ? あれは良かったの?」
女性の言葉に男性は笑う。
「なんだそんなことかよ!? そんなのは別にいいぜ? あんなの造るより、有名人のISを造る方がいいに決まってらあ!」
「うふふ。そうよね? 私達は有名になりたいから、別にいいわよね!?」
二人は笑い合う。それは一夏のISを造るために簪のISをムダにしたのだ。が、二人は気にもしなかった。金に目が眩んだからだ。名誉を得たいからであった。
しかし、そんな彼等を遠くから見ている人物がいた、ジェイソンだ。が、二人はそれに気づいていない。
「取り敢えず飲もうぜ! 有名になった記念にな!」
「そうね! では、乾杯!」
二人は手に持ってた缶ビールを当て、その後にビールを飲む。ふと、女性は何かを思い出すように男性に訊ねる。
「それよりもさ……」
「うん?」
男性は女性を見る。が、女性は頬を赤らめながら耳元で囁いた。
「しない…………私と」
「はう!?」
男性は耳を赤くする。が、女性は缶ビールを置くと白衣を脱ぎ始めようとした。これには男性は驚くが軽く笑う。
「へへっ……いいぜ!」
男性はそう言いながら缶ビールを投げ捨て女性を押し倒す。女性が暴れる前に唇を奪う。女性は男のキスを受け止めるが互いに舌を絡め合う。
同時に服を脱ごうと身体を動かしていた。刹那、そんな二人に近づく物がいた。ジェイソンだ。彼は鉈を逆手に持ち替える。
一方で二人は服を脱ぎ合っていた。が、ジェイソンは二人を見下ろす位置にまで来ていた。彼等はソファーで求め合ってたのだ。
「……ひっ!?」
そんな中、女性はジェイソンに気づく。同時に男性も悲鳴を上げるが、時既に遅しであった。ジェイソンは男性の頭を押さえ付ける。
男性は暴れるが女性も逃げようと暴れるが男性が邪魔しているため、逃げることはできない。その間にジェイソンは鉈を振り翳すと男性の背中目掛けて振り下ろした。
刹那、大きな音が木霊する。刺される音であった。それも男性の背中を鉈で刺したのだ。男性は口から血を吐くが女性も口から血を履いていた。
なぜなら、女性は腹を刺されたのだ、鉈は男性の背中だけでなく女性の腹にまで貫通させていたのだ。その所為でもあるが二人の身体から血が流れ始める。
ソファーを血に染めるがジェイソンは二人を見下ろしていた。どちらも身体をピクピクと痙攣させている。が、ジェイソンは二人を見たまま何も言わずに鉈を引き抜く。
同時に男性の身体が動いたが鉈を引き抜いた直後であった。男性や女性が生き返る訳ではない。二人は死んだのだ。
「…………」
ジェイソンは鉈を見る。血に染まっていた。が、少しだけに肉片が付いている。ジェイソンは鉈を眺めていたが鉈を軽く振ると腰に携えてあ。
彼は不意に二人を見る。服は乱れているようにも思えるが男性の背中には刺された痕があり、白衣は血に染まっている。ジェイソンは二人を見て何も言わなかった。
同時に彼は何を思ったのかそのままその場を離れると、風のように消えた。理由は研究所内に居る者を全て殺したからであった。それも、犠牲は六人しかいないがジェイソンは一夏の元へと帰還したのであった……。