インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第77話

 

 セシリアが一夏に対しプライドを粉々にし、恥ずかしめを受けさせるような挑発を言った少し後、

 

『そ、それでは、織斑一夏対セシリア・オルコットのクラス代表決定戦を始めます!』

 

 放送室が、アリーナやピット内にあるスピーカーで会場全体に通す意味で声を出す。それは始まりの警告であり、二人が戦うことを意味している。

 その声に会場席にいる女子生徒達の歓声が響き渡る。僅かにブーイングの声が入り混じっているが試合が始まったことで喜びを隠せないでいる。

 一方、セシリアは溜息を漏らす。無駄であったと思ったのだ。しかし、彼を無様に負かせると期待しているのか不敵に笑うと狙撃銃を片手でも持つと、宣言した。

 

「さあおいでなさい! このセシリア……」

 

 刹那、セシリアの腹に一本の矢が突き刺さる意味でダメージを与える。これにはセシリアも困惑するが矢はポリゴンのように散って逝った。

 セシリアは矢が放たれた場所を見据える。矢が放たれた所には、弓を構えている一夏がいる。彼は眉間に皺を寄せているが狙いを定めていたのだ。無防備なセシリアに対して……。

 これにはセシリアは怒る。

 

「な、何するんですの!? 人が喋っている間に……」

 

 刹那、再び矢が放たれる。セシリアは躱すが遅く、矢は隼のように速く、セシリアを獲物という意味で彼女の胸に刺さる。セシリアは痛みを感じるが矢はポリゴンのように砕け散った。

 が、一夏は弓を構えたまま、矢を何本も放つ。矢はセシリア目掛けて突き進むがセシリアはなんとか躱していくも、一本が右肩に擦る。下手な鉄砲、数打てば当たるにも等しかった。

 

「い、いい加減にして下さいまし!!」

 

 セシリアは怒ると、大型の狙撃銃、いや、レーザーライフルであるスターライトmkIIIを持ち構えると、一夏目掛けて引き金を引く。

 銃口からレーザーが放たれ、レーザーは一夏目掛けて突き進む。刹那、レーザーは一夏の横を擦りもせずに通り過ぎた。

 

「なっ!?」

 

 セシリアは驚くが一夏は弓を構えたままだが、直ぐ近くに矢の形を模したポリゴンが現れ、一夏が弓を使ってはなった。刹那、矢はセシリア目掛けて突き進むと、彼女の胸を射貫いた。

 

「がはっ!」

 

 セシリアは胸にダメージを感じるが一夏は無言でセシリアを見ていた。無表情であるが彼なりの怒りでもあった。彼はセシリアを殺そうとしていた。

 いや、痛めつける意味でジワジワと追い詰めようとしていた。さっきの攻撃が当たらなかったのは、運がよかっただけであるが一夏は気にもしていない。

 

「っ……くらいなさいまし!!」

 

 セシリアは胸の痛みを感じつつも、スターライトmkIIIを一夏に向けながら引き金を引き続けた。しかし、それは一夏に当たるどころか、彼は素早く動きながら、躱していく。

 セシリアは瞠目するが、彼女は奥歯を噛み締めると、近くに浮いている四基のウィングスラスターに対し、言った。

 

「行きなさいまし!」

 

 彼女がそう言うと四基のウィングスラスターは動き始める。そして、四基のウィングスラスターは一夏目掛けて移動するが先端からレーザーを放つ。

 一夏は驚きはしないが彼はそれを難なく躱していく。セシリアは再び驚くが一夏はその隙を突くように弓矢でセシリアを攻撃した。

 

 

 

「す、凄い……!」

 

 そんな一夏を、ピットにあるモニターで観ていた簪は驚きながら感想を漏らす。一夏は徐々にセシリアを追い詰めていったのだ。が、それは霧の影響とは言え、彼は一般人よりも体力はあり、力もある。

 狙いも外していないのは霧がそうでもあるが彼は冷静であった。しかし、セシリアは追い詰められながらも抵抗していた。

 しかし、彼女は武器が有利でありながらも、追い詰められている。簪から見れば凄いだろうが彼女は一夏を応援していた。

 できることなら勝ってほしい、彼の初陣は勝利で終わってほしいことを願っていた。

 

「……織斑君……!」

 

 しかし、簪とは対照的に楯無は危惧していた。彼の戦い方は冷静かつ的確に思えた。ISに乗ってまだ日が浅いが最大限にこなしている。

 ジャック・ザ・リッパーを相棒としても認めている。楯無から見れば彼への謎が更に深まったようにも思えた。従者としての仕事を軽くこなしていることもそうであるが、従者としてでもなく、更識家の当主としても相応しいと感じていた。

 が、彼女はどこか不安を拭いきれないでいた。彼は何かを待っているようにも思えたのだ。その何かは判らない。楯無はそれを直感しながらも彼の戦いを見守っていた。

 モニターにはアリーナの様子が映し出されている。更識姉妹はモニターを観ているが一夏を応援していることには変わりなかった。同時に一夏はセシリアを徐々に追い詰めているのだ。

 一夏は無表情であるが余裕である。一方、セシリアは徐々に追い詰められているのか憤りを隠せないでいた。

 

 

「い、一夏……!」

 

 その頃、放送室にいる千冬は一夏の戦い振りを見て感想を漏らしていた。彼女もまた、一夏を応援していた。

 同時に彼女は驚いていた。彼の戦い方は冷静であるが的確であったからだ。彼はISを容易く扱っている。自分の命を預ける存在と認めているようにも感じたのだ。

 自分の弟が空白の三年間を誰にも言わぬまま、自分がいない所で成長していのだ。千冬は嬉しかった。が、一夏の乗ってるISはジャック・ザ・リッパーである。

 もしもあれが白式であったのならば……いや、もう別に良かった。彼女は白式を諦めた。彼には白式は相応しくない。が、和解したいことには変わりはない。

 できることなら見守ろうと思った。白式を与えるのは彼女なりの謝罪でもあった。が、間違いであることも判った。千冬はそう感じた。しかし、白式はどうなるのだろうか? あれはずっと放りっぱなしになるのだろうか、と。

 千冬は白式を不憫に思った。が、彼女なりの優しさでもあった。彼女は徐々に変わりつつあった。彼女なりの反省でもあった。時々一夏に接しょうとしていたのも、彼女なりの行動でもあった。

 千冬はそれに気がつきつつも姉としての想いは消えていない……。

 

「一夏……勝ってくれ!」

 

 千冬はそう願った。そんな千冬に近くにいた真耶は微笑んでいたが千冬の姉らしい姿を見て、彼女の優しさを改めて知った。彼女はアリーナの方を見る。

 未だに戦っているが一夏とセシリア……一夏が押しているのであった。

 

 

「っ、な、なぜ当たらないのですの!?」

 

 セシリアは憤りを隠せないでいた。スターライトmkIIIを一夏に向けて撃ち続けるが彼は難なく躱している。四基のウィングスラスターも一夏を攻撃しているが彼に当たらない。

 一方、一夏は弓矢を使って戦っているが無表情であり、沈黙を貫き通している。まるでロボットのようにも思えた。しかし、彼の怒りその者でもあった。

 無慈悲であり冷酷であった。彼は静かに怒ってもいる。

 

「何やってんのよ!? さっさと倒しなさい!」

「男なんて、負ければいいのよ!」

「倒さなければ許さないわ!」

 

 同時にアリーナの方でも一夏へのブーイングが飛び交う。セシリアを応援している女尊男卑主義者であった。が、セシリアが押されていることに焦りと憤りを隠せないでいる。

 しかし、戦っているのはセシリアであり、彼女達ではない。セシリアはブーイングを周りから受け止めているが、セシリアは下唇を噛んでいた。

 悔しい。なのに当たらない。相手は時代遅れの武器なのに、同じイギリスで造られた武器なのに自分のよりも高性能とも感じていた。が、負けることは自分のプライドを傷付けられる物であった。

 セシリアは微かに身体を震わせる。スターライトmkIIIを持っている両手にも力を入れる。微かに目に涙を浮かべる。泣きたかった。

 

「……そろそろだな」

 

 刹那、一夏はそう呟いた。同時に、彼の周りを浮いているコートらしきウィングスラスターから煙が噴き出る。

 

「なっ!?」

 

 セシリアは驚くがそれは黒く、一瞬にしてアリーナ全体を暗闇に包ませる。

 

「な、何!?」

 

 そんなアリーナをモニターで観ていた簪は驚き声を上げる。楯無は目を見開くが会場席にいる女子生徒達や職員達も驚きを隠せず、戸惑う。

 何が遭ったのだろうか? 誰もがそう思った。刹那、何かの爆発する音が聴こえた。

 

「おい、どうした!?」

 

 千冬は真耶に訊ねるが真耶も何も解らないと言った。確かにそうであった。が、戦慄なことが起きた。

 

「い、イヤァァァぁっ〜〜〜!!!」

 

 刹那、悲鳴が響き渡った。これには会場席にいる者達や放送室にいる千冬や真耶、ピットにいる更識姉妹も驚く。が、戦慄していたと言い替えればいいだろう。

 しかし、同時に何かの爆発する音が三回も聴こえた。しかし、更に悲鳴が響き渡っていた。それはセシリアの物であるが黒い煙の中では悲鳴がアリーナ全体に響き渡っていた。

 

「や、止めて下さいまし! ゆ、許して!! キ、キャアアアアア〜〜〜!! や、止めてぇぇぇ っ!!」

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