インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第8話

「取り敢えず、どうにか手がかりを見つけなければな……」

 

 翌日、一夏はジェイソンに断ってから日本にある某所――街の中を歩いていた。周りには人が行き交う中、彼はあの時の青年の凄惨な殺され方と、ジェイソンが選び警戒しているフレディを候補にしつつもそのデスプレイヤーが何者なのかを調べる為に歩いていた。

 しかし、歩いているだけでは手がかりは得られない――同時に推理する事しか出来なかった。殺人鬼は兎も角、デスプレイヤー達の正体は判らない――。

 彼等か、彼女等か、最悪老人か子供と言う線もある。しかし、殺人鬼達の動向については一年半の間、何とか知る事は出来る。その内の一人、フレディだ。

 

(確か奴は主催者の話によると……奴は火傷を負う前は子供を大量に殺したと聞いた……だとすれば……)

 

 一夏はフレディが殺したと思われる者達を調べていた。フレディ――彼は火傷を負う前は児童を大量に殺していた。捕まったのには捕まったが裁判では精神鑑定で無罪となった。が、それを良しとしない遺族達により殺された。

 裁判は仕方ないとは言え、子供を喪った親達の哀しみには同情出来る。子供を殺されたら誰だって怒り、我を忘れる。一夏はそれに気付きながらも同時に不安も感じていた。

 

(もし奴が今でも子供を襲うとなれば……否、子供ばかり襲うとは限らない……)

 

 一夏はフレディが子供を襲うとは限らないと思っていた。理由は一つ、子供ばかり殺したら流石に他のデスプレイヤー達に気付かれ、最初に狙われる危険も伴う。

 それにデスゲームは人を殺してもいいが大抵は殺人を犯した者達のみに限られる。理由は一般市民を殺しても良いが何の罪も無い者を殺すのは馬鹿らしいと感じていた。

 自分の所にいるジェイソンを含めた殺人鬼達は皆、何十、何百人と言う人を殺してきた。他人とは言え、無差別に殺したのは死刑に値される。

 彼等が殺人鬼であるのも、その名を知られているのも彼等が快楽を得る為に殺人を起こしている事が原因だろう。が、ジェイソンの場合は自分を苛め、監視を疎かにしたキャンプの指導員に怒りを覚えたが為に殺したのだ。

 ジェイソンの生い立ちには同情出来るが彼も殺人鬼の一人に過ぎない――しかし、自分の半霊である事にも変わりなかった。

 

(今はジェイソンの事を考えている場合ではない――今はフレディの情報を集めるのが先だな)

 

 一夏は本来の目的を忘れそうになり我に返ると一旦立ち止まり、フレディを調べる為に子供が沢山居そうな場所を思い出そうと思考を走らせる為に瞑目した。

 周りから人の声や車の走る音が聴こえる中、一夏はフレディが現れるであろう場所を思い出そうとしていた。

 

(フレディは子供好きで生前は児童連続殺人事件を犯した男だ――子供好きな奴の事だ……子供が沢山いる場所に現れる可能性が高い……だが)

 

 一夏は別の二つの推測を立てる。一つは幾ら彼が人前で姿を現すのは自殺行為だ。それに彼にはデスプレイヤーがいるが彼が何者で如何言った目的があるかまでは判らなかった。

 もう一つは青年を殺した事――彼が何故、子供を殺すのを楽しむ筈のフレディが青年を殺したのかを疑問に思っていた。どちらも謎が深まるばかりであるが後者は何とか調べる事が出来る。

 青年の身元を調べれば何とか判るがそう言った手がかりは今の自分の手元には無い――一夏は悩んだ。しかし、彼は目を開けると、今の事を忘れずに前者の事を思い出す。

 先ずは子供が沢山居そうな場所を見つけるのが先であった。

 

「…………待てよ、彼処なら……」

 

 一夏は何かを思い出すと深く頷き、再び歩き出した。彼処なら子供が沢山居るのと、彼処ならフレディを半霊としているデスプレイヤーがいるのではないかと思っていた。

 それは賭けにしか思えないが一夏はそれに賭けようとしていた。例え賭けに失敗しても、彼は次の場所にも賭けようとしていた。一夏はある場所へと向かう為に歩く。

 たとえそれが間違っていても彼は仕方ないと言う理由で片付けるしかないと考えていた。

 

 

 

 

「取り敢えず最初は、子供が居そうな場所は、此所か……」

 

 三時間後、一夏は子供が沢山居そうな場所へと着た。其処はデパートの五階にある玩具コーナー。そこには十代か最悪、十代後半の少年少女が居る。保護者も居るが一人で来た子供もいる。

 一夏が来たのも勿論、フレディが好きそうな子供達が居る事だろう。何処も彼処も賑やかであるが一番賑やかなのは、このフロアだろうと一夏は思った。

 同時に、フレディが此所に居たら子供好きの奴の事だ、ここにいる者達を全て快楽を得る為に殺すだろうと感じた。

 しかし、此所はその一つにしか過ぎない――それでも一夏は自分が見たであろうデスプレイヤーらしき存在を捜す為に歩く。

 

(奴は、フレディは子供を殺すのを楽しんでいた……が)

 

 一夏は歩きながらも思考を走らせる。フレディは何故子供を殺すのかを疑問に思っていた。

 フレディの子供を殺す事に怒り所か彼の目的としている殺し方を問うつもりは無かった。今は自分は子供を殺すよりも、自分以外のデスプレイヤーを殺し、死のバトルロワイヤルを制し、願いで全てのISを破壊し、自分を苛め、迫害した者達を絶望に叩き落す目的があった。

 その為に彼は一年半の修行で多くの物を得るのと同時に一つの物を失った。

 それは感情であった。彼は感情を忘れた。理由は修行のみでありながら楽しみを忘れた。楽しみを得ると言う事は快楽を得るのと同じであり、人殺しでもある自分が快楽を得る為に人を殺している訳でもないからだ。

 彼が楽しみや喜びを忘れてしまったのは、誰とも接触しなかった事であった。接触すれば本来の目的を忘れ、復讐の事を話し、最悪の場合、あの女に連絡される危険もあったからだ。

 一夏はそれを良しとせず、姉を毛嫌いしている彼から見れば全てが水の泡と化すからだ。彼はジェイソン以外の者達とは接触しなかった。が、同時に寂しさを積もらせていった。

 ジェイソンがいながらも最初は彼とは意思疎通は出来なかった。それが原因か何度も衝突したが最終的には目的を達成する為に意思疎通は出来る様になった。

 ――否、復讐をしたいと言う彼を自分と同じ境遇と感じていたからだろう。しかし、彼は全ての感情を忘れた訳ではない――彼には一つだけ感情は残っていた――怨みだ。

 自分を迫害した者達と、自分を裏切った姉への憎しみ、そして自分をこんな目に遭わせたISへの憎悪を募らせていった。今の彼が性格が変わったのはISのせいだ――否、ISと言う存在が彼を変えたとしか言えないだろう。

 一夏は歩きながら子供達を見続けていたがどの子も欲しかった物が見つかった事に喜び、買ってとせがむも保護者に無理と言われ、泣いている子も見受けられた。

 子供達は子供らしく感情を吐き出しているが一夏は子供達を見て怒りが沸いて来るのを感じた。妬ましくも感じていた。自分とは違う様にも感じた。

 自分も昔、あんなに笑う日があったにも関わらず、一夏は怒りを抑えきれなかった。刹那、一夏は歯軋りを擦ると、踵を返しその場から立ち去る様に階を降りていった。

 出来る事なら暴れたかったが警察沙汰になれば身内にバレる危険もあり、逃げる事が出来ても、顔写真を作られ、全国に出回る危険もあったからだ。勿論、身内にもバレる危険も伴っているからであった……。

 

「クソが……!」

 

 一夏は階段を下りる最中、怒りを抑えきれないでいた。さっきの子供達を見たせいで怒りが込み上げてくる。抑えようにも抑える事が出来ない。

 フレディを捜しにきただけなのに、他のデスプレイヤーを捜しにきただけなのに、此所へ来たのは全て間違いであった。全て後の祭りであるが彼は帰路に着こうとしていた。

 彼は一階に着いたが其処はあの時言ったエントランスとは違う。そこは小さいながらも人は行き来していた。が、一夏は不意に視線をある方向へと向けた。

 それは最初は気にもしなかったが憎い印象しかなかった。子供達を見ていたから尚更怒りが更に込み上げてくるのを感じた。

 其処は人はいるが大抵は女性だった。女性達が見ている物――それはISだった。あの時のISとは違い、自衛隊の様な地味な色をしており、軍事関係とかにありそうなISだった。

 

「…………っ」

 

 一夏はISを見るや否や、歩み寄る。せめて、無駄足になるのならばあのISを蹴ろうと考えていた。ISが憎いからであるが一夏はそれを吐き出す意味でもあった。

 一夏はISに近づくと、ISを見上げる。待機状態であるが人の様にも思えた、しかし、一夏はそれを機にもせずに蹴った。刹那、彼は光に包まれた。

 ――!? ――一夏は瞠目するが気がついた時には既に遅しであった。周りは何故か驚いているが何かを叫んでいる。しかし、彼の耳には届いていなかった。彼は今、自分の立場に気付いていなかった。

 否、気付いていたが思考が停止していた――何故なら彼は今、周りに衝撃を与えていた――それは彼がISを――纏っていたからであった。

 

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