好きな言葉はパルプンテ   作:熱帯地域予報者

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明けましておめでとう御座います!
今回は説明というか、ただの前振りなので短く、話も進みません。

次回からはこんな感じでさっくりやっていき、すぐに原作に入りたいと思います。


旅立ち準備と別れ

「まさかあのラクサスがやられるなんて思いもしなかったぜ」

「あいつがあそこまで追い詰められたところなんて見たの初めてかもしれねえ」

 

謎の訪問者がラクサスとの勝負に挑んで余裕勝ち

 

既にSランク魔道士、それに近い実力を有しているラクサスとの勝負に勝つことはフェアリーテイル内では十二分に異常である。

ましてや、それを破ったのが名前も聞いたことのない人物ときた。これ以上の衝撃は最近までなかった。

 

中には密かに勝敗を賭けていた者までおり、ラクサスに賭けていた大多数が盛大に負けて大穴の『私』に賭けていた少数派が大勝ちしたというお祭り騒ぎにまで発展していた。オッズの関係で大勝ちの懸賞金は計り知れない額となった。

そこで大負けした連中はせめてもの腹いせに大勝ちした連中を囃し立てて盛大に宴会を開かせた。対する大勝ち組も思わぬ収入に気を良くして結局は宴会に興じるのであった。

 

すっかり騒がしくなった乾杯の音頭をBGMにカウンターに乗っかるマスターマカロフと話している。

なんでも、ラクサスがやらかしたことへの謝罪の意があるとのことで奢ってもらっている。

私の方にも用があったためちょうど良かったと言える。

 

「親バカという訳ではないが、ラクサスを負かすとは流石じゃのう。あんなんでも実力は確かなんじゃよ」

 

それは分かる。うちのエリックたちを育てているが、彼は明らかにエリックたちよりも格上だ。

それだけでラクサスが特別だということが分かる。

 

そう言うとマカロフは酒を片手に高笑いする。

 

「はっはっは! お前さんの方がよっぽど親バカではないか!」

 

自分でもそこは驚いている。私は自分で思っている以上に甘い性格らしい。今日に至るまでそう言った自覚はなかった。

でも、甘いからと言って悲観する理由はない。

 

親バカといえばラクサスはどうなっているだろうか。

あの後、意識のないラクサスをフェアリーテイルの仲間がどこかへ運んで行ったから大事には至っていないだろう。

 

「あやつとて魔道士の端くれ、これくらいは乗り越えてしかるべきじゃ。お主も手加減してくれたしの」

 

今回はラクサスが半狂乱状態だったから隙を付けたということと、彼自身の弱点を付けたと言うのが大きい要因だ。

彼がドラゴンスレイヤーということだったので弱点もすぐに分かった。

 

そう伝えるとマカロフは飲んでいた酒を吐き出して咳き込んだ後、私の口を塞いだ。

さっきまでの機嫌が一変して、焦りに染まっていた。

 

「お、お主、なんでそのことを!?」

 

それは魔力の質としかいいようがない。エリックは毒のドラゴンスレイヤーだから僅かな魔力の質というものは酷似するもの。

それに、ドラゴンスレイヤーの性質が似通っていたから、それも特定の手がかりになった。

 

「あの僅かな時間でその真実に達したのか!? 何という洞察力じゃ……」

 

魔力を使えるのに魔法を使えなかったから磨いた技術だ。人間に限らず、あらゆる生物の隙を見つけるための観察眼だ。

それによって他人の一挙一動を見据え、戦闘においてはその人の意識の先を把握し、筋肉の動き、魔力の流れから精度の高い先読みができる。

ある意味では私の魔法と言えよう。その気になれば誰にでも会得できるという点を除けば。

 

「できれば、ラクサスの魔法のことはあまり口外しないようにして欲しいんじゃ」

 

それも当然だろう。この時代に来てからというもの、一度もドラゴンの噂すら聞いたことも見たこともない。

それどころかとうの昔に絶滅したと聞く。

 

それなら何故、ラクサスがドラゴンスレイヤーになっているかというと、ラクリマしか考えられない。

ラクリマの原理は知らないが、過去のドラゴンスレイヤーに必要な要素が発掘なり復活なりしたのなら不可能ではないはずだ。

 

ゼレフ曰く、生物の死体や物体にエンチャントされた魔法を取り出す、もしくは開発や復元は可能らしい。

 

それがラクサスの正体の秘匿に繋がるのだろう。

 

ロストマジックを聞きつけた輩はラクサスを狙い、ドラゴンの魔法を取り出そうとするのだろう。

金儲けにしろドラゴンの強大な力を手に入れるにしろ。

 

私とて最初からこのことを言いふらすつもりはない。それをするメリットもないのだから。

ただ、私だけが条件を突きつけられると、後で不平等が生まれるかもしれないため、私も交換条件でマカロフに提案する。

 

エリックたちの居住の世話と仕事の紹介

 

できればミラたちには魔法の指導をお願いしたい旨を伝えると、意外にも即決で呑んでくれた。

 

「それは構わんが、お前さんはどうする気じゃ? まさかとは言わんが、このまま放っておく訳じゃあるまいな。あの子たちには酷すぎる話じゃ」

 

もちろん、私にその気はない。既に彼らに情が移ってしまったのを自覚しているほどだ。

だから、ここで一旦預かってもらいたいのだ。私はまだまだ学ばなければならないことが山ほどある。

特に、金の問題もできれば解決させたいのだ。

 

「それくらいならここの本さえあれば事足りると思うんじゃが。なんならここに入ってもらっても構わんぞ」

 

それは考えさせてもらう。まだ本格的な魔道士ギルドを見た訳じゃないのだ。

まだ他に私たちの肌に合うようなギルドがあるかもしれないのだから。

 

それとは別に少々、興味のある技術や知識を身に付けたいというのが本音だが。

魔法が使えない分、どんなものでも使えるものは身につけるに限る。

 

「むぅ……そこまで言うなら引き止める理由はないのう……」

 

ここでしつこい様なら私の持てる全てを駆使して排除する。ミラやリサーナ、ソラノに売春まがいなことをさせるとしれば殺さず、この世に生まれて来たことを後悔させる。相手が老人だろうが女だろうが一般人だろうがか弱い幼女だろうが。

 

「んなことせんわ! 子どものことになると熱くなりすぎじゃろ!」

 

私としたことが失敬失敬、私とて感情はあるのだから子供を心配してしまったのだ。

 

「急に真顔に戻られると怖いんじゃよ……お主の事情は分かった。あの子達は責任持って預かろう。ただ、旅立ちの件はお主から直接伝えてやれ」

 

それは当然だ。彼女たちを連れて来た自分の責務くらい弁えている。

 

「それが分かっているならワシから言うことはない。お主の旅の成功を祈っておるよ」

 

話はここで終わった。あとは旅立つだけだが、どこに行くか。

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