好きな言葉はパルプンテ 作:熱帯地域予報者
現在、私は一人で旅をしている。マグノリアの都市を離れて一人旅の最中である。
エリックたちをフェアリーテイルに預け、数年で戻って来ると確約し、私の道具の一部も一緒に預けた。
当初はエリックたちにそのことを伝えると、予想に反して私について行こうと食らいついて来た。
全員が私について行こうと抗議する中、フェアリーテイル組も何故か参戦してきた。意識を取り戻したラクサスが私とのリベンジに燃え、何故か興奮して私に向かってきたナツも私を引き止めようとしてきた。ナツはともかく一緒に回収していたグレイは私を見て震えていた。雲の上まで投げただけで特別に何かしただろうか?
この一人旅は最初から決めていたということもあるので、心苦しかったけど彼らの言い分を全て却下した。
まだまだ未熟なミラたちを連れて行くことができないと伝えると、自身の実力不足悔やみながら納得してくれた。
『今はまだ、それでいいよ……でも、次に会うときはあんたに相応しくなってやる!』
この発言の後、ミラは全員から茶化されてキレた。あの年頃だと色恋沙汰に興味が湧くのだろう。
そして、残ったフェアリーテイル側は面倒だったので肉体言語で解決した。
特に猪突猛進の気を見せていたナツはあまりにしつこかったので、頭を抑えて『かしこさのたね』を300個すり潰してバナナ風味にしたスムージーを管でナツの食道に直接流し込んだ。
嗚咽を響かせながら涙と鼻水流し終える頃にはスムージーはナツの胃袋に全て流し込んでいた。
全ては少し言いすぎた。一部は逆流して鼻から出てたから鼻栓も突っ込んだ。
これで彼に落ち着きというものが身につけばいいのだが。
それ以来、ラクサスも面白半分で盛り上がっていた道楽者たちも統率のとれた動きで私を見送ってくれた。
そんな経緯で私は晴れて再び一人旅続行中だ。
ただ、その目的は昔と違う。
ひたすらに己を鍛えてアクノロギアを追いかけ続けていた。
ただ、それは昔の時代での話だ。
今の私は一人じゃない。
それと同時に、この時代に根付いた一個の生命でもある。
たとえ、神の悪戯の結果であろうとも、だ。
ここで生きるには、学ばなければならない。
生活に不可欠な要素を知識として
この世界の常識はもちろん、役に立つ知識は全てだ。
マカロフから聞いた魔法工学、魔法機械学というのも面白そうだ。
私は魔力があるのに自由に魔法を使えない。
なら、私は知識と技術を魔法に変える。
私にしか使えないオリジナルの魔法を会得する。
この旅はその第一歩だ。
でも、それには何にしても金だ。
文化を学ぶには文化的価値のあるものを使わなければならない。
手っ取り早く稼ぐにはどうするか。
それは私の《スキル》が役に立つ。
《スキル》
たまにパルプンテを唱えると特典で会得できる。魔法とは違い、私個人の特技として定着する。
この世界にはない概念だ。
100年以上も戦ってきても五つしか会得できなかった。
《豪運》何かのイベントが近くで起きれば必ず巻き込まれる。被害も利益も一手に引き受けることとなる。
《勝者の特権》倒した相手を肉片、もしくはその世界の財へと変える。肉片は食すことができる。どちらも望まないときは別の形で返ってくる。
《食事は万能薬》裂傷、火傷など傷の種類問わず食事でダメージの回復が可能。生命力がある限り、このスキルは適用される。
《風邪の予防》マスク装備で毒性物質を無効化。十字架装備で呪いの類を無効化。両者とも装備の材質は問わない。
《峰打ち》武器、素手、魔法に限らず過分ダメージを与えても死に至らしめることはない。元から瀕死の相手にも有効である。
私はその中の《勝者の特権》でしばらくの費用を稼ぐ。
そのためにひたすらにモンスターか無法者を狩り尽くすつもりで、散策している。
ただ、弱いモンスターだと効率が悪いので、無法者がオススメだ。
奴らの肉など興味はないが、奴らの所持金があるし、ゴミ掃除も兼ねている。
とりあえず《豪運》を駆使しよう。
イベントを自分で起こせばいいのだ。
うわー、急に熱が出て魔法も使えなくなったー
こんな所を襲われたら大変だー(棒)
「へへ、兄ちゃんよ。病院に連れて行ってやろうか?」
「その代わり、俺たちに金くれないか? その財布でいいよ」
「嫌ならこわーい獣のいるところに捨てちゃうよーん。俺たち
はいビンゴ。あまりに簡単に話が進みすぎて拍子抜けだ。
しかも、最近聞いたギルド名所属だと自白もした。
明らかに質の悪い魔道士だ。こんなのを容認するギルドも知れて一石二鳥というやつだ。
今後のギルド判定にも役立つ。
これ以上に得るものはないと判断した私は仮病を止めて男の一人の胸に隠し持っていたナイフを突き刺した。
「……は? え?」
男は状況に対応できず、根元まで刺さったナイフを凝視しながら血を吹き出して倒れた。
本来なら心臓に達しているだろうその怪我も《峰打ち》のスキルで死に至っていない。
これはパルプンテを取得した同じ時期に付いていた特典だ。
パルプンテ神曰く、無用な殺生はしないとのことだ。
そのまま崩れ落ちる男からナイフを回収し、他の取り巻きに向き合う。
すると、さっきまでの威勢が嘘のように尻すぼみになっていた。
あの目は追いつめられた者の目か、状況を分かっていない目だ。
どちらにせよ構わん。奴らはただの物盗りだ。
ここはありがたく徴収させてもらおう。
「て、てめぇ、なんてことゴバァ!」
「や、やめ……ひぎいいいいいいぃぃ!!」
この調子でしばらくは金策に集中しよう。
ぐわーー、モンスターに襲われるー
ダレカタスケテー
「おいおい、こんな所に死にかけぐええええぇぇぇぇぇ!!」
悲しいけど、これって天罰なのよね。
私の小遣い稼ぎはしばらく続きそうだ。
身ぐるみ剥いで、盗品っぽいのは警備隊に引き渡そう。
エリック「旅に同行させてもらえるよう心の声を聞いて弱みを握ってやる」
ーーーちくわ大明神
エリック「なんだ今の!?」