好きな言葉はパルプンテ 作:熱帯地域予報者
この話ではゼレフのターンというだけです。
ぶった切った感が凄いですが、やはり原作に入りたかったんです。許してください。
この場所に留まり、どれほどの時間が経ったのだろう。もはや自分のことさえも忘れてしまうくらいの刻を生きてきた。
死にたくても死ねない、そんな人生は嫌だった。
全ての始まりは、当時を考えれば普通のことだった。
まだドラゴンが地上を統べ、闊歩しいていた時の人間は小さいものだった。
奴らからすれば人間など取るに足らず、ただのエサか玩具くらいにしか思われていなかった。だから、僕の家族は皆死んだ。
運良く、いや、運悪く生き残ったのは僕一人。本来ならここで天涯孤独となり、ただ残された寿命を過ごすか、家族の後を追うかのどちらかだ。
ここで最大の不幸は僕が可能性を見出したことだ。
自慢ではないが、僕は他の人よりも早く魔法に関しての 理解が早く、知識を多く生み出すことができた。
だから僕は諦めきれなかった。
希望を生みだせたからこそ、絶望を受け続けた。
僕の頭の中には夢物語を現実にできる理論が組み立てられ、それを実現させようとした。
死者を蘇らせる禁術
時を遡る秘術
その全てを僕は形にし、世に説き続けた。
いつの日か、僕の意思を汲み取ってくれる者が現れると信じて。
人の生死を追求し続けた果てに得たのは、人々からの畏れだった。
周りは僕の研究を命に対する冒涜だと思っていたのだろう。その認識は間違ってない。異常だったのは僕だって自覚もある。
ただ、当時の僕は納得できず、心の底から憎んだ。
僕の研究を否定する奴らへ心の中で憎しみを募らせた。
そして、僕はアンクセラムの呪いを受けた。
それからというもの、学園の人間を始めとした人々の命を奪ってきた。いや、人間だけではなく、種族問わずの無差別的なものだった。
受けた呪いを一言で言えば、“矛盾”
今まで命に関する研究を行ってきた僕だからわかる生命の尊さ
この呪いは僕が人の命を尊いと思うと、この呪いは僕の意思に関係なく死を撒き散らす。
僕は独りだ。
神を怒らせた人間に救いなどない。この永い刻の中で一番身に染みたことだ。
僕の歩いた跡は全て屍に埋もれていった。
幾度も自殺を図り、全てが失敗した。
神からの呪いを学問では太刀打ちできず、その尽くが失敗した。
不老不死となった身体で、僕の心は死んでしまった。
これは矛盾の呪い
生命で言えば僕は生きている、だけどその過程で全てがどうでもよくなったのだ。
かろうじて僕の大切な人を生き返らせるという野望だけが原動力に生きてきた。
それすらも死にたいという僕の矛盾でもあるというのに。
家族の他にも友はいたが、既に魂を抜かれてしまった。
本当に僕は独りだった。
代わり映えしない毎日、孤独に慣れてしまった。
ただただ頭の中で真理をお追い求めるだけ。飲まず食わずの日が続いた。
雨の日も風の日も、ただ彷徨って探し続けた。
僕の求めていた何かを
そんな時、僕は彼に出会った。
僕はいつものように他人と関わらず、ただ自分の理論を追い求めていた時だった。
誰も踏み入れないような山奥の秘境の中で瞑想をしていた時、なんの前触れもなく彼がやって来た。
また、命を奪ってしまうと思い、僕は拒んだ。
だが、呪いは僕の思いなど知らないと言わんばかりに“死”を叩きつけた。
もうダメかと思い、目を背けようとした時だった。
今まで誰にも防げず、僕でも止めることができなかった死の波動を彼は、全身で受け止めても死ぬことがなかった。
初めての出来事に反応も思考も止まってしまった僕に近付き、急に言った。
ーーー今から君をぶん殴る。
それを最後に僕の頭は鈍痛と共に僕の意識は闇の中に落ちたのを覚えている。
その後、起きたら目の前には料理を作っている君がいた。
それがきっかけで僕たちはお互いのことを話し尽くした。
僕の呪いがなぜ効かなかったかをきっかけに、僕は君に親近感を覚えた。
彼も僕と同じく神に取り憑かれた存在であり、不老不死に近いほどの寿命と不死性を身につけていた。
ただ、僕と違うのは無闇に死を撒き散らすことはない。ただし、彼は生涯でたった一つの魔法しか使えなくなった。
もっと細かく言えば、色々と違いはあるかもしれないけど僕は嬉しかった。
ずっと死ぬことができない苦痛を共有している、僕と同じ境遇の者がいたことに。
最初は同情心と同族意識があった。そして何より、彼の魔法に僕は心を惹かれた。
彼の言うパルプンテには無限の可能性があった。
時を止め、戻し、加速させるだけには飽き足らず、生命さえも無差別に生き返らす理不尽さ
『魔法』などとはもっと別の概念を備え付けた道具や武器などのアイテム、財宝を作り出す。
この世界とは別の次元に存在するような生き物、もしかしたらドラゴンよりも高次元で、強大かもしれない超生物の召喚
話を聞く限り、実際に見た限りではそんな理不尽などと言う範疇には留まらない。
それらはこの世界の理論では覆すことはできない概念すら捻じ曲げる。
それは僕が求めた答え、いや、僕の求める以上の可能性が確かにあった。
人類が必死に追い求めても到達できないであろう神の領域
それさえあれば僕の求める物、失った物を全て叶えてくれる
そう思って僕は彼との旅を始めた。
彼から無限の可能性を少しでも手に入れるために。
結果、その可能性を手に入れることはできなかった。
その代わり、僕は人生で初の友を手に入れた。
彼は破天荒で、行動力のある努力家だった。
突飛もなく魔法を使って僕たちもろとも自爆したこともあった。魔法から作り出された兵器の暴発で吹っ飛ばされたこともあった。世界を滅ぼしかねない存在を召喚して二人で共に戦い、死にかけたこともあった。
彼は魔法に憧れていて僕の話を目を輝かせていた。僕が学問を教えているときは自分が先生になったような気がした。未開の地に踏み込んで冒険したこともあった。僕さえも知り得なかった発見をしてきた。
その間に僕はどれくらい怒って、呆れて、騒いで、笑ったのだろう。
一生分の感情を爆発させ、矛盾の感情など全速力で振り切っていた僕はその時だけ普通の少年でいられた。
そう、楽しかった。矛盾も何もない素直な気持ちだ。
彼には神の呪いに対して何らかの作用があるのだろうか。
多分、そうじゃない。
彼は僕とは違い、いろんなことに興味を抱き、それに一直線に挑む努力家だった。
僕は物覚えが良かったけど、彼は数をこなして身につける努力型人間だった。
彼は自分の中にやりたいことを見出し、それに対して愚直に目指すことができた。
自分の中に個性をしっかりと持っていた。
呪いで感情が揺れ動く僕にはない強さを持った彼が羨ましくて、そんな彼といる時間がどうしようもなく楽しかった。
今日まで生きてきた僕はその思い出だけが強く残っている。メイビスも僕の愛した人だ。忘れるわけがない。
でも、僕の心を支えてきた彼の姿だけが鮮明に映る。
今すぐにでも会いたい、会って、何でもいいから何か話したい。
またそばにいてほしい、冒険がしたい。
また、一緒に笑い合いたい。
そんなことだけを思い、僕は色んな旅をしてきた。王国も作った。
彼が望むなら僕の知識も、王国も全て捧げる。
だから僕は今日まで願ってきた。また君に必ず会えるようにと。
そして、君は約束を決して違えない人だと言うことも知っている。
「また、会いたいな」
僕の願いは呆れるほどに青い青空の向こうへと静かに溶けていった。
ある程度の金が手に入ったので私は足を運ぶ。目指すはフィオーレの首都であるクロッカス。
そこに私の求めるものがあるかは不明だが、首都ということだけあってそこに集まる情報は莫大なはずだ。
人の集まるところに文化が集まり、学問が生まれ、情報も集まる。
今はこの時代で学べることは片っ端から学ぶしかない。
手元にある資本金を将来的には増やさなければならない。
とりえず数年くらいはフェアリーテイルのギルドマスターを信じ、よりよい所があったらそこへ移してもらうことも考える。
そのためにもたまに連絡を取り合うのも必要だろう。もしかしたらやるべきことも見つかるかもしれない。
私は初めての首都に少し気分が高揚しながらも空を見上げる。
漠然と思い浮かべた未来は青空の中へと消えていった。
繰り返しますが、今回で過去編は終わりです。過去編についてはすでにミラ編からネタ切れだったというのが本音ですが。
とりあえず、今話から次回の原作突入編では文章にはしないけど色々と状況が変わり、一部は原作乖離しますのでご注意を。
ようやくここまで来れました。これも応援してくださった皆様の励ましのお陰です。
ようやっとパルプンテも本領発揮です。
それでは、また次回にお会いしましょう!