好きな言葉はパルプンテ   作:熱帯地域予報者

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暴走する反抗期

○月○日

 

こういった日記をつけるのもいつぶりだろう。軽く100年以上は経っているだろう。

思えば、アクノロギアを追っていた時は恨みを忘れないようにと書いていたのだが、昔のを見て再び熱が再燃した。

 

それに、最近では忙しくなってきたからこそ、過去を振り返って自分の行動を顧みようというのも目的だ。

具体的な内容はまた後日にでも書こう。

 

言い忘れたが、フェアリーテイルに新人として入ったジュビアという子に挨拶に行ったら予想以上に頭を下げられた。何だか怖がっているように見えたが、心当たりがない。とりあえず挨拶だけはしておいた。

 

 

○月×日

 

今日まで普通に穏やかな日が続いたため、間が空いた。このままでは日記の意味がなくなるのでとりあえず書いてみる。

特に興味の惹かれるクエストもなく、研究も急ぐ用事もないので久々にナツたちへドラゴンスレイヤー講座を開いた。昔は来ていたのにラクサスは来なかった。長期クエストに行っているというのもあるが、それだけではない気がする。あれからどれくらい強くなったか、楽しみだ。

 

 

ナツは明らかにサボっていたのが分かったので後日、念入りに指導することとなった。

 

 

○月△日

 

ギルド前でナツとハッピーを揉んでやった後で小休止といこうとした時、騒ぐギルドとは別の場所で雷が爆ぜた。爆発の地点に行ってみると、ガジルがラクサスの前に倒れ、何もできずに止めろ、と叫ぶレビィたちシャドウ・ギアの面々がいた。

 

明らかに穏やかではないことと、様子がおかしいラクサスと私たちの施設の仲間であるガジルを放っておくという選択肢はない。大技をぶつける気であろうラクサスへと向けて地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラクサスは怒りと屈辱に溢れていた。

 

 

フェアリーテイルは自分の祖父が支配するギルドであり、今まさに勢いのあるギルドと言える。

そんなギルドマスターの孫であるが故に幼少から色眼鏡で見られ、『ギルドマスターの孫』というフィルターでしか見られなかった。

 

多感な時期の青年にとって自分を自分として見られないということは苦痛の極みである。特に自分の功績を素直にみられないという事実は心を荒ませるには十分すぎた。

 

そんな難しいときに実父のイワンがギルドから追放された。

自分の父親だとしてもギルドから追放されたことは問題ではない。元から言動的に問題があったため、そこは納得できていた。

 

しかし、追放したのが自分の祖父であり、イワンの父であるマカロフであることが問題だった。

自分の息子を追放したギルドマスター、それが祖父である以上、ラクサスに降りかかるのは根も葉もない噂という名の罵倒だった。

 

祖父やギルドを罵倒されて拳を振るい、それがラクサスの悪名を広めることとなった。どんなに嫌おうとしても祖父に対する愛情に無自覚なラクサスは自分を貶めようとしたことへの怒りだと『納得させて』きた。

 

 

そんな彼の前にフェアリーテイルに唾を吐こうとした旧敵のガジル、反撃しないガジルに対して痛めつけるギルドのメンバー

 

 

その姿にラクサスは怒りを爆発させた。

 

 

何もできない弱者をいたぶるしかできないギルドメンバー

 

 

何もせずに黙ってやられるガジル

 

 

 

同僚には情けなさを、ガジルには怒りを募らせた。

ギルドを襲おうとしたことに対してもだが、それよりも許しがたいことがある。

 

 

「人のギルドに手を出した挙句、無様に負けた奴が……あいつの下で何してやがる」

 

ガジルに落雷が降り注ぎ、ガジルの体を焼く。

シャドウ・ギアが唖然としているが、ラクサスにとっていないも同然の連中だった。

 

「てめえのせいでフェアリーテイルは舐められてんだぞ!? 雑魚のくせに粋がりやがって!!」

 

倒れたガジルへ執拗に蹴りを入れ、苛烈に責め立てる。親の仇とでもいうかの猛攻にシャドウ・ギアは恐れ戦きながらも違和感を覚える。

幾らガジルが強いからといっても手も足も出さない様子は異常だった。

 

考えれば先ほども自分たちの報復に対してほとんど無抵抗だった。

悔しいが、自分たちが格下なのは理解している。普通なら反撃一発で終わるほどだ。

それでも無抵抗な理由をレビィたちは悟った。

 

「私たちに仲間と認められたいから……!?」

 

外見から分からないが、あまりに一途な想いにレビィたちは唖然とする。

 

そんな想いも関係なしにラクサスはガジルへの暴行をやめない。鉄の鱗を持つガジルであろうとそれ以上は危険だと分かる。

 

ドロイたちが止めるように言うが、一切耳を貸さずに凶行を止めない。

 

フェアリーテイルは強くなければならない、無意識的に抱くギルドへの愛着が歪んだ形で顕現し、本心だと思い込んでいるからこそラクサスはドロイたちを仲間だと認めなかった。

彼らにラクサスを止めるのは不可能である。

 

唐突に手を止め、トドメと言わんばかりに膨大な魔力を込めた雷を込め始めた。

普通の魔導師であっても致命傷は免れないと分かる程だ。それが息絶え絶えのガジルにとっては即死は免れない。

 

「だめ、やめてえぇ!!」

 

レビィの制止も空しく特大の落雷が放たれた。

自分の力量では防ぐこともできず、庇おうにも間に合わない。

これから起こる凄惨な光景に目を逸らす、その直後だった。

 

 

 

「ぐへえ!?」

 

瞬間移動で現れた『先生』からとび蹴りを顔に喰らった。

白目を向いてバウンドしながら飛んでいき、塀の壁に激突して止まった。

 

「えぇ!? トドメ刺したぁ!?」

 

レビィの突っ込みを余所にどこかやり遂げたような『先生』はやり遂げたように一息ついた。

ラクサスでさえも顔をひきつらせていても一切気にすることなくのうのうとほざいた。

セーフだった、と。

 

「アウトですよ! 今日一番の重症じゃないですか!!」

「死ぬな! ガジル!!」

「おい、これ、変な方向に曲がってないか?」

 

普通に吹っ飛ばす程度で抑えたつもりだったが、それでも死にかけてるという。

 

そこまで痛めつけたのか、ギルド同士の喧嘩ならともかく仮ではあるが施設スタッフへの暴行を見逃すほど私はお人好しではない。許さんぞ。

 

「何食わぬ顔で冤罪押し付けるな! どう見てもお前のせいだろ!」

 

横槍入れられたことよりも、あまりの言い分にラクサスは焦っていた。

相変わらず常識を知らない奴だ。こんなことで勝負挑まれても勝敗は不本意ながら見えている。

ラクサスの言い分にレビィたちも納得する中、『先生』は冗談と言った。

 

曰く、一応は稽古を付けているからこれくらいどうということはない、とのことだった。

 

レビィたちが顔を引きつらせている間にガジルを回収して仕事のキャンセルと治療しようと考えていた。

 

「待てよ」

 

呼び止められて振り返り、ラクサスを見据える。

先程までの剣呑な気配はないが、その表情は不満に歪んでいた。

 

「そんな雑魚を鍛えてなんになる? どんなに手を尽くしたところで才能の前にはどうにもなんねえよ。見たところ、ナツにすら負けてるんじゃねえのかよ」

 

肩に担ぐガジルから舌打ちが聞こえた。

僅かな間にラクサスとの差を感じ取ったのだろう、本来であれば噛みつく所なのに何も言えずにいる。

 

だが、それは私から言わせれば早計と言える。

少なくともガジルは私とエリックたちからの修行に喰らいついている。誰もかれも逃げ出した程度の修行に喰らいついているのだから根性はあるに違いない。

 

そして、言わせてみればガジルはドラゴンスレイヤーとしての力を上手く引き出せていないだけだ。ここで矯正していけば絶対に化けると思っている。

 

「あんたの目は曇った。強者を求め、ひたすらに自分を磨き続けたあんたに憧れたときだってあった……それが今はどうだ。覇気も感じられねえ、宝探しにかまけてそこらで遊び回るだけで満足するような奴に成り下がった……!!」

 

それを言われると痛い。最近ではアクノロギアのことも頭から離れていたのは事実だった。

それに、従来のコレクター気質故に施設をエリックたちに任せっきりだったのはつい最近のことだ。

 

図星を突かれて何も言えずにいると、ラクサスはもう用がないと言わんばかりに背中を見せて離れていく。

 

 

 

 

 

 

あいつが腑抜けたんじゃなくて、周りがそうさせたってことを。

 

俺達と違ってあいつは強い。俺もギルダーツでさえもあいつを本気にさせることができないでいる。

強いからこそ張り合う相手がいなくて絶望しているのだろう。

 

かつて、マカロフの孫というフィルターで正当な評価をしてもらえなかった自分だからこそ感じるシンパシー

 

 

マカロフの孫でなく、ラクサスというありのままの人物を見てくれた恩師……もとい、憧れ

 

 

 

 

そんなに退屈なら俺があんたを倒してやる。

 

あんたが無視できねえくらいに強くなって、認めてもらう。

 

 

 

 

あんたと肩を並べるためには強くならなきゃならねえ。

 

 

俺自身も、今の腑抜けたギルドも

 

 

 

 

もう我慢の限界だ。

 

 

 

 

 

俺がギルドを取る。

何にも負けねえ、強いギルドをこの手で作る。

 

 

 

 

自分自身でいびつに歪めてしまった愛着と憧れが暴走を始める。




ゼレフ「自分の気持ちを押し付けて好意の押し売りなんて気がしれないね」
ラクサス「まったくだ」
私「こっちくんな」
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