成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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合体技と騎士の前世

「グゥガァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 冥界の森にドラゴンの咆哮が響く。更には足元を埋め尽くすほどのミノタウロスの群れ。野生のドラゴンとミノタウロスの大規模な群れが縄張りを争って周辺に被害を出しているから倒して来るように父さんが課題を出してきた。

 

 失敗したり拒否したら以前のエロ本を晒した時のようにペナルティが有るから受けるしかない。幸い、ドラゴンは翼の無い地龍と呼ばれるタイプだから飛んで逃げられる心配はないけれど、代わりに地面に潜られたら厄介だ。

 

「ドラゴンアッパー!!」

 

「グオッ!?」

 

 ゼスティを圧し潰そうと腹の下敷きにした地龍の体が浮き上がる。自分の十倍以上もあり、取り込んだ鉱石で途轍もなく頑強で重厚な巨体を片手で真上に殴り飛ばしたゼスティは振り上げた腕を下ろすと真上を睨みつける。漸く上へと飛ばす力と重力が拮抗して落下を始めた地龍に対し、両腕を引き絞る様に構える。

 

「ハムスケ、あの技行くっす!」

 

「了解でござる!!」

 

 落ちて来る地龍とゼスティの間に飛び込んだハムスケ目掛けゼスティは拳を振り抜いて、ハムスケはその拳を踏んで一気に跳躍した。砲撃の様な音が響き、二人の力が合わさってハムスケは回転しながら砲弾の様に飛んで行く。

 

 

「「ハムストライク!!」」

 

 ハムスケの体は地龍の胴体を穿ち、血肉と鱗を撒き散らす。当然落下してきた死骸はゼスティが難なくキャッチし、降り注ぐ鱗にミノタウロス達に混乱が広がった。

 

 

 

「さあ。蹂躙を始めよう」

 

 僕は鎖の先に繋がった棺桶を振り回しながらミノタウロスの群れへ突撃する。魔力に覆われた棺桶は触れたミノタウロスを挽肉に変えて行く。範囲外に逃れたミノタウロスは僕が鎖を引っ張って棺桶を担ぐなり周囲から一気に襲ってくるが、僕はそれを上へ跳んで避ける。

 

 無数の岩斧が僕を叩き落とす為に投げ付けられるけど、僕が左手を下に向けると空中で止まり勢いよく落下し行く。悪魔の魔力を模して生み出した力である魔法が存在けど、僕は重力魔法を習得している。自分が投げた岩斧の下敷きになってもがくミノタウロスに向けられた棺桶の先が変形し、魔力が散弾の様に吐き出された。

 

 

 

 

 

「あっちも終わったようだね」

 

 離れた場所で地面から天へ向かって伸びていた赤雷が止んだのを見て息を吐いて気を抜く。後始末は大変そうだ。

 

 ミノタウロスの群れは広範囲に散らばっているから僕達も幾つかのチームに分かれた。僕とゼスティとハムスケ。イッセーは今回はお留守番。少しくらい鍛錬の成果が出ても戦場じゃ動けなくなるのが素人だ。もう少し安全な相手に経験を積んでから……非公式のレーティング・ゲームでも誰かに頼んで相手してもらおうかな?

 

 向こうの森ではフランと僧侶ともう一人の騎士が向かい、本命である僕達が相手をした地龍の親である二匹は女王にお願いしている。

 

 

「じゃあ、帰ったらご飯にしようか」

 

 今日のご飯は獲れたて新鮮なミノタウロス肉。それにしても少し離れた場所にある隣接し合った領の領主の間での争いで此奴らがこっちに逃げ込んで来たんだから迷惑な話だよ。幸い僕達の領地には被害が出なかったけどさ。

 

 これで領主同士が互いの不正を暴露し合って失脚しなかったら憤慨モノだよね。まぁ、漁夫の利を得る形でウチの商売と関係している所と関係している所が大きく商売の勢力を伸ばしたから、結果的にウチも儲けを増やせるんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「×××! お前はまた!」

 

 ……違う。

 

「×××。駄目ですよ、女の子が暴れちゃ」

 

 違う。俺は×××何かじゃねぇ。幼い頃から俺は自分の名前が周囲が呼ぶのとは違うって分かっていた。ただ、本当の名前が何なのかは分からなかった。

 

 

 

 

「どうだ! これが私に……」

 

 物心付いた頃から何度も同じ夢を見た。死体が散乱する夕暮れの丘、俺は誰かに何かを言っている。内容は自分の言葉なのに全部聞き取れず、最後はその誰かに胸を槍で貫かれて死ぬ。

 

 この夢から感じたのは夢の中の俺が誰かに向けた感情。怒り、憎しみ、憧れ、愛情。夢の中の俺はその誰かに愛して貰いたかった、認めて貰いたかった……。

 

 

 

 

「あー、糞! また怒られるな、こりゃ」

 

 兄貴の誕生日に珍しく親子でピクニックに行ったのは良いんだけど、口煩い使用人達を撒いた先でウリボウを見付けた俺は興味を惹かれて後を追い、気付けば道に迷っていた。何時も遊びに来てる山の中だからって油断したぜ。

 

 

「腹、減ったな……」

 

 さ迷い歩き、何時の間にか天高く昇っていた太陽は西に沈みかけてやがるし、腹が空くのは仕方ない。木の実も食べられそうなキノコも無いし、マッチなんか持ってねぇし武器もないから獣も狩れねぇ。……あれ? むしろ獣に襲われたらヤバくね?

 

 事態に気付いた俺は流石に慌て、痛む足を無理に動かして荒れた道を歩く。さっき木の根に躓いて擦りむいた膝が痛むし、喉も乾いた。

 

 

 それを見付けたのはもう夜も更け、梟の鳴き声が聞こえて来た頃だ。月明かりが眩しい位に照らしていたおかげで前が見え、その朽ちた石像を見付けてしまった。

 

 どうしてそんな所に石像が有ったのかは知らねぇ。もしかしたら家庭教師が言っていた昔の祭壇だとか神殿跡だったのかもしれないが、基本的に授業中は外を眺めていたからな。

 

 

「なんだよ、ボロい石像……」

 

 

 

 

 その石像は二つあった。その石像は剣を持っていた。その石像は二つとも倒れていて、片方の剣がもう片方の頭に入った罅に入り込んで頭を割っているように見えた。

 

 

「あっ、あああああああああっ!?」

 

 体が震え、思わず尻餅をつく。石像から逃れるように俺は後ずさった。……全部だ。全部分かっちまった。どうして俺は自分の名前が自分の名前ではないと感じたのか。あの夢で俺は誰に何を言っていたのか。

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()全部分かっちまった。

 

 

 

 

 

「ちっ! 見た目で判断せずに雇ってみろってんだ」

 

 あれから俺は家に戻らず、家族から逃げるように放浪の旅を始めた。戻りたくなかったし、戻っちゃ駄目だと思った。だって俺が俺だって事は×××の人生を奪っちまったって事だ。親にも兄貴にも妹にも合わせる顔がねぇよ。

 

 自分が誰か思い出した時に完全に名を捨て、本来の名前を名乗った。記憶が戻った際に力の使い方も思い出したおかげで食べられる野草や獣の狩り方や捌き方も思い出したんだが、金を稼ぐ手段がねぇ。この時の俺はまだちっこい餓鬼だったから雇ってくれる所なんか無かったんだ。

 

 

 

「偶にはちゃんとした料理食いたいよな……」

 

 追手が掛かるといけないからあまり目立つ真似は出来ないし、子供を雇ってくれる日雇いの仕事も滅多に見つからねぇ。偶に裏の仕事をしても目立ちたくない事情を察してか足元を見られて安い金しか貰えなかった。一度切れてボッコボコにしてやったら大勢の追手が掛かって焦ったぜ。

 

 鼻を擽る甘辛そうな串焼き肉のタレの香りに思わず涎が出そうになるが買う金がねぇ。近くに山もないし、水道の水で我慢しようと思った時、俺の目の前に胡散臭いオッサンが立って串焼き肉を差し出して来た。

 

「食べるかネ? 今日は息子が居ないのに、つい買ってしまって困っているのだよ」

 

「……アンタを助けるためだ、礼は言わねぇ」

 

 俺は騎士だから物乞いはしない。これはオッサンが困ってるって言うからだ。肉は美味かったが、オッサンが隣に座ると変な感じがした。それが何かは直ぐに気付く。

 

 

 

「アンタ、悪魔か」

 

「正解だ。少しだけ気配を漏らしただけなのによく気付いた。花丸をあげよう」

 

 警戒する俺が馬鹿みたいにおどけた様子のオッサンに毒気を抜かれた俺は警戒を解く。少し気を張り続けて疲れたってのも有るけれどな。

 

 

 

「それで俺に何の用だ?」

 

「君の強さは風の噂で聞いていてネ。丁度()()()年の頃も息子と同じくらいだし、護衛兼遊び相手に雇いたいのだよ。嫌なら直ぐに帰ろう。どうするネ?」

 

「……別に構わねぇ。俺の直感が受けとけって告げてるからな」

 

 このオッサン、短時間で俺の事を見抜いたみてぇだ。だが、直感が依頼を受けろと言っているのは本当だし、ムカつく餓鬼なら殴って出て行けば良いだけだしな。

 

 

 

 

「所でオッサンの名前は?」

 

「これは申し遅れた。私の名はジェームズ・モリアーティ。只の模範的で品行方正な紳士さ」

 

「いや、絶対嘘だろ」

 

 

 

 

 この後、善は急げって事で俺はオッサンの息子、ジェイルに出会った。なんかオッサンに似て飄々とした何を考えているか分からねぇ餓鬼だったけど、生意気な事は言わなかったから殴って出て行く気も起きなかった。

 

 

 

 

「凄く強いんだね! 尊敬しちゃうよ」

 

「あははは! なに、俺が強いのは当然だ!」

 

「ウー!」

 

「いや、何言っているか分からねぇよ」

 

「……ウ、ウゥ」

 

「はいはい、俺が悪かった。だから落ち込むなって」

 

 変な奴だけど一緒に居て悪い気はしねぇ。……アレだな! 護衛対象だけど弟分みてぇなもんだ。当然兄貴分の俺の方が偉いに決まってる。

 

 

 

 

 

 

「おい、駒貰ったんだろ? だったら騎士の駒を寄越せ。さっさとしろ!」

 

 ったく、何時まで経ってもしっかりしやがらねぇ。俺が支えてやらなきゃどーしようもないじゃないか! まったく! ……まったく!

 

 

 

 

 

 

 

「これからも宜しくね、モードレッド」

 

「任せときな。何せ俺は最強だからな!」

 

 俺は前世で反逆の騎士として名前を残している。でもよ、お前が俺を信じる限りは守ってやるよ。剣と名誉だって預けてやる。だからもっと立派な王になれ。大丈夫だ、俺が付いてるからな!

 

 

 

 

 




モーさんのHSDD世界での過去、こんなもんで良かったかな? 前世のせいで紺瀬が狂ってます 

感想お待ちしています


因みにアストルフォだった場合はコカビー戦で登場 結界を突き破り

やあやあ! 遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 僕こそはかのシャルルマーニュ十二勇士が一人アストルフォの魂を継ぐもの! その名も誇り高きアストルフォ!

って派手な登場をする予定でした
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