成り上がりの息子と赤龍帝     作:ケツアゴ

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姉より優れた弟は居ないけれど、姉の上にも姉が居る

 魔王の娘で美女で万能多才の私が言うのはどうかと思うけれど、世界ってのは不平等なもんだ。

 

「まあ! お父様ったら大変ね。そんなに強くって忠誠を向けて来る子達のお世話をしなくちゃならないなんて」

 

「話を聞く限りでは知識と知恵と力を持った赤ちゃんと同じですよね? 義父様ったら旅行先でそんな苦労をするだなんて」

 

 今日は姉妹揃ってのお茶会の日。同行を望んだナザリックの面々には守るべき領分があると説き伏せ、私達の茶会の為に働くのはウチの使用人達だ。紅ちゃんとかエヴァにゃんとか連れて行きたいけれど、ナザリックに関わる仕事はその為に生み出された者達の領分だからね。

 

 ……それはそうと二人の胸、大き過ぎでは?

 

 血の繋がらないアーシア姉様は別として、異母姉のレイメル姉様とも差が激しい。私はスレンダー美人だし? 別に胸の大きさを気にしはしないけれど、圧倒的な差があるのって不思議。母様の従姉妹であるエヴァにゃんも本来の姿は大きいんだぜ?

 

「それでちゃんとやってるの? ドロシー。お父様に気苦労かけちゃ駄目よ?」

 

「ドロシーちゃんは優秀だから大丈夫だとは思うんだけれど、一誠さんと同じで欲望に流されやすい所があるから……」

 

 うーん,出会う度にこうだ。完全無欠の私でも姉二人を前にしたら妹でしかない。堅物のモモン兄様や末っ子次男のアルトなら雑に扱えるんだけれど、姉には逆らえないんだよね。

 

「あの世界の物を何か売るにしても馬鹿金持ちに異世界産ってラベル貼って売るのが精々な感じだし、ドラゴンやドワーフの技術を調べたら本格的にバカンスで良いかな?」

 

 あー、姉妹のお茶会は楽しいけれど気が疲れる。後で弟弄りとして隠してるエロ本を読む机の上に出しておこうっと。血筋なのか父さんも兄様も巨乳好きなんだよね。

 

 

「てか、本来は全員で集まる筈がドタキャンしやがった男二人に何か制裁する?」

 

「ドロシーったら、駄目よ。 二人とも外せない用事なんだから仕方がないでしょう?」

 

「ドロシーちゃんったら相変わらずモモン君とアルト君には容赦が有りませんね。でも、駄目ですよ。めっ!」

 

「……はーい」

 

 うーん、この力関係よ……。姉に勝てる妹は居ないのさ。そして弟も姉である私には勝てやしない。

 

 

 

 姉様達との談笑を終えて戻って来ましたエ・ランテル。父さん達は今頃は冒険者組合に行っている頃だけれど、どんな依頼を受けているのやら。

 冒険がしたいんだし少し遠出して景色の良い所を目指すって所かな?

 

「どうせならバイクでも持ち込めれば……調査って名目上は悪目立ちは避けたいから無理か」

 

 既に調査ではこの王国が腐っていて滅亡間近なのは分かっている。貴族の横暴に収穫時期を狙った戦争と悪魔の契約をするのなら入れ食い状ってのは酷いな。

 問題は他の神話に五月蝿く言われかねないリスクを犯してまでこっちに手を伸ばす価値があるかどうかだけれど……。

 

「タレントや武技については興味深いし、父さんが使えない系統の魔法についてサンプルが多い方が良いんだけれど……」

 

 その辺は流石に魔王である父さんの指示を仰ぐ必要がある。私はあくまで秘書であり一部を任されているだけ。実験を握っているのも肝心な場面の判断を下すのも父さんがすべき事だ。

 指示待ちオンリーはNGでも報連相を欠かして事後連絡とか手際や結果が良かろうと……。

 

 此処迄考えた所で足を止める。人混みに紛れて僅かに感じる殺気。一瞬だったからプロの類いなんだろうけれど、はてさて。

 

「大型新人に立場を脅かされるのを案じた同業か、それとも盗賊団に関わる奴か」

 

 もしくはタレントとやらで私の正体を見抜いた法国か……。

 

「うへぇ。死ぬ程面倒臭い」

 

 うぇっと舌を出しながら路地裏へと入って行く。法国って宗教国家だし、神が居たみたいだけれど現在は不在。つまり信者を増やしたい神話連中+天界からすれば垂涎物な場所な訳で、それと揉めるとか勘弁だよ。

 そういう風に創造された人形が意思を持ってしまった守護者達を抑え込むのが厄介そうだと思いつつ、同時に私は歓喜していた。

 

 そうでなかったら人が斬れる。

 

 珍しい武器を美術品として収集する父さんと違い、私は収集した武器は使ってこそ価値が在るって考えているんだ。コレクターとして武器を本来の目的で使いたいって欲求と母さんから受け継いだ吸血鬼として人の血を好む本能。

 

 父さんには後で怒られそうではあるけれど、私は殺気を送ってきた相手を誘い込む様に路地裏へと向かう。通りの喧騒が聞こえなくなった頃、その相手は服にジャラジャラと着けた冒険者プレートを鳴らしながら現れた。

 

「はぁーい。アンタがブレインを倒したって剣士だよねぇ。ちょっと死んでくれないかな?」

 

 あー、これは倒した相手の持ち物を戦利品として集めるタイプ。しかも戦いじゃなくって殺しを楽しむタイプか。

 

 スティレットを構えた女の顔から大体どんな相手かを察した時、急激な勢いで突進しながら刃先を突き出す。『流水加速』とか言っていたし武技の使い手、そてもこの世界の人間だったら上位だね。

 

「まあ、墳墓に籠ってばかりの連中にも仕事が必要だしね」

 

 女の横を歩いて通り過ぎる。向こうからすれば私をすり抜けたみたいな感覚に戸惑いつつも方向転換、流石に本気を出そうとしたのか二本目の武器を取り出そうとしたけれど掴めない。

 

「これ、なーんだ?」

 

「は? 私の腕が……」

 

 見せびらかしたのは女の両手の手首から先の部分。すれ違いざまに切り落として掴み、それを見せびらかす。斬られた事に即座に気が付けない程の抜刀。まあ、紅ちゃんの弟子ならこんなもんさ。

 

「どれどれ。……不味っ! やっぱり血は養殖したホムンクルスが一番か……」

 

 手首から溢れる血を舐めてみたは良いけれど、毒の訓練なのか長年毒を接種したらしい上に処女でもない。何よりも幼女じゃないから面白くない。

 

「化物がぁ……」

 

 それでもプロなのか私に勝てないと見るや背中を見せて逃げ出す。不利と見るや逃げ出すのは良い判断だけれど、鬼ごっこは美幼女以外とはしたくないんだ。

 

 

「その化物に喧嘩を売ったのはそっちだろう? ほら、捕まえた」

 

 だからさっさと女の足を掴んで握り潰し、無理やり視線を合わせればもう終わりだ。此れで私の催眠の元、少し質問をさせてもらおうか。

 

 

 

 

 

 

「君の立場次第で死体を処分して証拠隠滅にはならないよ。まあ、モルモットとしての生涯だろうけれどさ」

 

 さて、もう少し刻んで遊ぼうかな。

 

 

 

 

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