IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
武神鎧武さんの『IS絶唱エグゼイド』にてコラボ実施中です。是非ともどうぞ。
牙也「いだだ……」
カンナ「もう少し我慢して下さい。後少しですから」
箒B「だからあれほど自重しろと言っただろう……」
牙也「面目ねぇな」
学園の医務室のベッドの上で、牙也は自身の治癒能力にカンナの治癒能力を加算して治療を受けていた。淡い光が牙也を覆い、傷を内側から癒していく。その様子を唖然としながら一夏達が見守っていた。
シャルロット「ふえ~……魔法みたいだね」
カンナ「魔法……確かに魔法に近いものでしょうね。生き物が生来持つ治癒能力を、私の力で底上げしておりますので」
ラウラ「うーむ……益々貴様等が何者なのかが分からん。篠ノ之が二人いる事も驚きだが、何よりあの戦闘力……」
一夏「ラウラの言う通りだ。牛ールは捕獲レベル74だぞ、それをあんな簡単に鎮めるなんて……並の人間じゃ出来ないぜ。向こうの人達なら簡単にあしらえるだろうけど」
鈴「あんたまさか人間じゃないの?」
牙也「うーん……強ち間違っちゃいないな」
ラウラ「どういう事だ?」
養護教諭「すみません、織斑先生。ちょっといいですか?お伝えしたい事が……」
千冬「分かった」
千冬が一旦医務室を出ていくのを見届けると、牙也は体を起こして一夏達を見た。
牙也「そう言えばまだ自己紹介してなかったな。俺は雷牙也。名字だと呼びにくいだろうから『牙也』か『キバ』で良い」
カンナ「私はカンナと申します。牙也様のサポートをさせていただいております」
箒B「私は……別に必要ないな」
箒A「もう一人ここにいるからな」
一夏「俺達の紹介は……必要ないか」
牙也「悪い、一人知らんのがいる。そこのお前だ」
春十「え、俺?」
牙也が春十を指差すと、春十はキョトンとして「知らないの?」みたいな顔をした。
春十「俺は一夏の兄の春十だ!牙也、よろしくな!」
牙也「ああ、よろしく」
二人が握手を交わした時、千冬が戻ってきた。
千冬「貴様、雷牙也と言ったな……お前に聞きたい事がある」
牙也「……俺が答えられる範囲でなら」
千冬「そうか。では単刀直入に聞こう。お前ーー
人間ではないな?」
『え?』
千冬のその言葉に、一夏達はキョトンとして千冬を見、次いで牙也を見た。
牙也「何故そうだと言い切れる?」
千冬「お前の体を調べていたら、血液に異常な点が見つかった。本来人間の血液に流れている赤血球・白血球・血小板等の数が異常に少ないのだ。他にも骨格も明らかに人間のそれではなかった。これがその全ての検査の結果だ」
千冬から渡された結果報告の書類を受け取り、牙也はそれら全てに目を通す。それを見て牙也は溜め息をつき、書類を箒達にも見せる。
牙也「やれやれ……いつの間にかここまで怪物化が進んでたのか」
カンナ「予想よりも早いですね……長らく気づかずに放置していたのもそうでしょうが……」
箒B「牙也……」
牙也「こればかりは俺も止められねぇ。経過を見守るしかーーっ!?ぐ、がが……っ!」ドクンッ
カンナ「牙也様!?いかがなさいました!?」
突如牙也が胸を抑え苦しみ始めた。さらに胸辺りから紫電が迸り、医務室の壁や棚を破壊していく。そして牙也の体にも変化が現れ始めた。両腕が怪物のそれになり、目は黒く濁り、全身から蔦が伸びていく。
カンナ「いけません!皆さん、ここから逃げて下さい!」
鈴「な、何が起きてんのよ!?」
一夏「皆危ねぇ!伏せろ!」
一夏の言葉に全員が伏せると、牙也から伸びた蔦が一気に伸び、医務室の天井や壁に突き刺さっていく。
牙也「グ……グアア……!ガ、ググ……!」
箒B「牙也、しっかりしろ!私達が分からないのか!?」
カンナ「いけません、箒様!今近寄っては蔦が……!」
尚も苦しむ牙也に近付こうとする箒Bをカンナが引き留めるが、箒Bは尚も抵抗し、牙也に近付こうとする。
箒B「離してくれ!止めなくては、いけないんだ……!私が、今度は牙也を救わなくては……!」
カンナ「ですが……っ、箒様、危ないです!」
牙也「ガ……グアアッ!!」ガブッ
箒B「ぐっ!」
するとなんと、牙也が箒Bに飛び掛かり、首筋に噛み付いた。そして首筋を食い千切らんとさらに噛む力を強めていく。
セシリア「箒さん!?」
箒B「だ、大丈夫だ……!牙也は、私が助ける……!」ギュッ
シャルロット「だ、だけど……!」
箒B「は、早く皆は逃げろ……!ここは、私が……!」
箒A「馬鹿を言うな!お前を置いてきぼりにして逃げられる訳がないだろう!」
箒B「私の事は、良いから……!牙也、落ち着け……!私はここだ……!篠ノ之箒はここにいるぞ……!」ギュッ
牙也「グルル……!」
未だに首筋に噛み付いている牙也を必死に抱き締め、なんとか落ち着かせようとする箒B。その間にも、牙也は蔦をあちこちに伸ばして天井や壁を破壊したり、箒Bの腕の中でジタバタもがいたり、抵抗の意志を見せていた。
牙也「フーッ、フーッ……!」
箒B「大丈夫、大丈夫だ……!お前は一人じゃない、私が、皆がいる……!だから落ち着いてくれ……!」
尚も噛み付く牙也を、首筋の痛みを堪えながら必死に抱き締め、落ち着かせようとする箒B。しかし、牙也は一向に落ち着く気配を見せない。噛む力はさらに強くなり、箒Bの首筋からの出血はさらに増えていく。
カンナ「このままでは箒様が……箒様、そのまま抑えておいて下さい!」
カンナは箒Bにそう言うと、何かを唱えて牙也にその右手を向けた。するとカンナの手から淡い光が溢れてきて、未だ箒Bに噛み付く牙也を包み込んでいく。やがて光が完全に牙也を包み込むと、牙也から伸びていた蔦は引っ込み、牙也本人は元の人間としての姿に戻り、魂が抜けたかのように箒Bからずり落ちた。そのままスウスウと穏やかな寝息を立て始める。
カンナ「はあ、はあ……半分賭けでしたが、なんとか上手くいきました……良かった」
箒B「落ち着いた、か……良かっ、た……」ドサッ
緊張の糸が切れたのか、箒Bは膝から崩れ落ちるように倒れ、そのまま気を失った。
春十「お、おい!しっかりしろ!」ユサユサ
千冬「春十、体を揺するな!首からの出血が酷い、早く止血しなければ手遅れに……!」
カンナ「お任せ下さい!」
出血の酷い箒Bの首筋にカンナが手を当て、その傷を癒していく。やがて傷は完全に塞がった。
カンナ「こ、これで大丈夫、です……すみません、治癒能力の使い過ぎで疲れました……」バタッ
鈴「ちょ、ちょっと!?」
倒れ込むカンナをなんとか鈴が受け止めた。そしてそのまま別のベッドに二人を寝かせた。
春十「なんとか治まったけど……医務室が……」
ラウラ「ボロボロではないか……」
セシリア「一体このお方は何者なのでしょうか……?先ほどの暴れようと言い、この検査結果と言い……」
千冬「聞きたい事は山ほどあるが、取り敢えず学園長に報告をせねば。山田先生、学園長にこの事を報告しに行ってくれ。お前達は一旦部屋に戻り待機だ」
『はい』
結局この騒ぎもあってその後の授業は休みになり、生徒達は食事以外では各部屋で待機を命じられた。今回の騒ぎの報告を受けた学園長は、ひとまず牙也を地下独房に移して様子を見、先に目を覚ました箒Bとカンナから詳しい事情を別室で聞くように千冬に命令した。箒Bとカンナは自分達が話せる範囲で自分達の事情を千冬達に話した。
束「平行世界の住人……なるほどね、それで箒ちゃんが二人もいるんだ」ギュムーッ
箒A「姉さん、嬉しいのは分かるけど……苦しい」
箒B「こっちの姉さんもこんな感じなのか」
束「あー、箒ちゃんのおっぱいが~」ムニムニ
ゴンッ!
箒A・B『殴りますよ?』
束「殴ってから言わないでよ!」
セシリア「息ぴったり……」
鈴「同一人物だから当たり前でしょ」
カンナ「コホン……と、とにかく私達は、様々な世界を旅する旅人のようなものです」
真耶「そうでしたか……ところで、お連れのあの男の子は一体……?」
カンナ「それにつきましては伏せさせていただきます……私達の世界の問題ですので。ですが、牙也様が化物かと問われれば、それには半分yesとお答えしましょう」
真耶「そうですか……織斑先生、この方達はどうしましょうか?」
千冬「取り敢えず、学園長の指示を仰ごう。話はそれからだ」
結局その後、箒Bとカンナは敵意なしと学園長に判断され、ひとまず寮の空き部屋でしばらく暮らす事になったが、牙也は今回の騒ぎもあって危険性ありと判断され、未だ眠った状態のまま地下独房で暮らす事になった。
こうしてひとまず騒ぎは収束ーー
したかに見えたのだがーー。
目を覚まさない牙也、その理由とはーー?