IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 始まります。




第68話 別レ/全テハ芝居

 

 次の日。

 

 牙也「……もう行っちまうのか」

 カンナ「出来る限り早く戻るように、と言われていましたから」

 

 第二アリーナには、牙也を始めとしたいつものメンバーが揃っていた。牙也と話しているカンナの後ろには、牙也達が異世界を旅する際に使った闇を吐き出すクラックが口を開けていた。カンナはこれからここに入り、夜月の世界とアリスの世界を経由して主の元へ戻るのだ。

 

 雅樹「いや~、最初はどうなる事かと思ったけど、帰れる手段があって助かったよ。ありがとうね、カンナちゃん」

 カンナ「お気になさらず。ところでアリス様はどちらに……?」

 

 カンナの言葉に牙也達が辺りを見回すが、確かにアリスの姿が見えない。

 

 アリス「……待たせたな」

 セシリア「お、お待たせ致しました~!」

 

 と、ようやくアリスがセシリアを伴って合流した。その背中には、巨大な袋が背負われている。

 

 束「あれ、アリスちゃん、その袋は?」

 セシリア「中身は全てアリスさんの人形ですわ。アリスさんがここに来る際、一緒に来てしまったのだとか」

 スコール「凄い沢山あるのね……プレゼント入れた袋を背負ってるサンタクロースみたいだわ」

 セシリア「私はトナカイではありませんわよ!?」

 牙也「誰もそんな事言ってねぇよ……」アキレ

 

 牙也のツッコミはさておき、

 

 カンナ「お揃いになりましたね。それでは皆様、大変お世話になりました。またいつかお会い致しましょう」

 雅樹「良かったら今度はこっちの世界にでも遊びに来て下さいね!」

 牙也「その時はそっちの世界の『デュプリゲーム』とやらを教えてくれよな!」

 箒「カンナも元気で!」

 アリス「……」

 

 皆が思い思いに言葉を交わす中、アリスだけは黙っていた。それを見て、セシリアがアリスに声を掛ける。

 

 セシリア「またいつでもいらして下さいね。その時は、アリスさんのお人形の数々を見てみたいですわ」

 

 そう言ってセシリアが右手を差し出す。と、アリスはその手を掴んで、

 

 アリス「……あ、ありが、とう。私の人形、直して、くれて」

 セシリア「!?」ズキューン

 

 恥ずかしいのか俯きながらボソッと言う。

 

 セシリア「ああもう可愛過ぎますわアリスさんは!!この私を萌え殺すおつもりで!?」ギュムーッ

 アリス「く、苦しい……!は、離せ……!」ジタバタ

 箒「おいオルコット、アリスが窒息するからそれくらいにしておけ。それに早く行かないと三人共帰れなくなる」

 セシリア「あっ……と、そうでしたわね。名残惜しいですが、また次の機会にでも」パッ

 アリス(次が無い事を祈るか……)ハイライトオフ

 

 ようやくセシリアから解放されたアリスは、人形の入った袋を背負い直し、クラックへと近寄っていく。

 

 アリス「……また、な」

 

 そう一言だけ言い残し、アリスはクラックに入っていった。それを追って夜月も手を振りながらクラックに入る。続いてカンナがクラックに入ろうとした時、ふとカンナが足を止めて牙也に駆け寄った。

 

 カンナ「牙也様、ちょっとお耳を……」

 牙也「?どした?」

 

 牙也が首を傾げながら耳を貸すと、

 

 カンナ「……最後に、牙也様だけには、私が何者なのか話しておこうかと思いまして」

 牙也「カンナの正体?」

 カンナ「はい。私カンナはーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カンナが耳打ちすると、牙也は驚いたような顔をしてカンナを見た。箒達が何の事なのか首を傾げているのを尻目に、カンナは「えへへ」と笑顔を見せながら牙也の頬にそっとキスをした。そしてほんのり顔を赤らめながら牙也の元を離れ、クラックへと入る。そして振り向いて一言、

 

 カンナ「それでは……また機会がありましたら、主と共に来させていただきますね」

 箒「その時は沢山お礼させてもらうぞ」

 

 カンナが一礼すると、ゆっくりとクラックが閉じていく。アリスはそっと目を背け、夜月はクラックが閉じる直前まで手を振り、カンナはクラックが閉じる直前にまた笑顔を見せーークラックは完全に閉じていった。

 

 一夏「……行っちまったな」

 箒「そうだな……寂しくなるな」

 千冬「だがこれからは、カンナの力を借りず私達だけで何とかしなくてはならない。皆、一層頑張らねばな」

 スコール「そうね、それじゃあまずは全体的な強化からかしら?」

 

 鈴「あたし達も強くならなきゃね。牙也達ばかりに活躍なんてさせないわよ」

 ラウラ「ああ、その通りだ。ただただ守られてばかりでは、私達の気が済まん」

 簪「……強くなる。これからも」

 楯無「ふふ、負けてられないわね。お姉さんも頑張っちゃおうかしら」

 

 皆が思い思いに言葉を交わす中、牙也だけは先程までクラックが開いていた場所をじっと見つめていた。それに気づいたシャルロットが牙也に声を掛ける。

 

 シャルロット「どうかしたんですか、牙也さん?」

 牙也「ん?ああ、シャルか。ちょっとな」

 

 牙也は去り際にカンナが耳打ちした事を思い返していた。

 

 牙也(……次会う時は、幼い頃ってか?全く……だが、これでカンナが何者なのか、何故ゲーマドライバーとガシャットとガシャコンバグヴァイザーを使えたのか、ようやく分かったな)

 

 牙也は曇り無き青空に目を向けながら、いずれまた出会うであろうカンナに思いを馳せた。

 

 牙也(それじゃ、また会おうぜーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バグスター、カグラ)

 

 

 

 カンナが去り際に話したのは、自身の出生についてだった。

 

 

 

 

 カンナ「私カンナはーー牙也様、貴方から生まれたバグスターであり、本名は『カグラ』またの名を『仮面ライダーカンナ』と言います」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロ「あったあった。束ちゃんがお墓を移したって聞いて、急いで探させた甲斐があったわね」

 

 一方ゼロは、束が以前新しく移し替えた牙也の家族の墓ーー実際は父親と妹のだがーーを訪れていた。手に持った小さめの花束を供え、墓に手を合わせる。そしてゼロは、懐から何かを取り出して墓に置いた。それはロックシードのようであったが形が鍵のようで、無色透明であった。

 

 ゼロ「ふう……これで私の役目はおしまいね。後は……」

 

 そこまで言って、ゼロは後ろを振り返る。そこには、黒いローブに身を包んだ人物が立っていた。

 

 ゼロ「私を殺して、黄金の果実を奪いに来たの?そう……奪ってみなさいな、貴方自身の力で」

 

 ゼロは『仮面ライダーマルス ゴールデンエナジーアームズ』に変身し、黒いローブの人物に攻撃し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その様子を、木の陰から二人の人物が見つめていた。

 

 ??「黄金の果実、そして禁断の果実……パーツは揃いつつあるな」

 ??「パパ……」

 

 40代くらいの中年の男性と、10代くらいの少女。二人はゼロと黒いローブの人物が戦う様子をじっと眺めていた。

 

 男性「お芝居もこれで終幕になる……ゼローーいや、茜。君は私が頼んだ苦しい仕事を、よくぞ無事に成し遂げてくれたね。感謝してもしきれないよ」

 少女「パパ……これからどうなるの?」

 男性「ふふ……すぐに分かるさ。すぐに、ね。さ、早く行きなさい。お前には最後の役目があるだろう?」

 少女「うぅ……一人で大丈夫かな……?お姉ちゃん、怒ったり、しないかな……?」

 男性「大丈夫、あの子なら笑って許してくれるさ。何せ我が息子の自慢の嫁だからね。さぁ、これを持って早くお姉ちゃんの所に行きなさい」

 

 男性はそう言って、自分の胸に左手を当てた。そこから淡い光が溢れだしたかと思うと、その左手には一部が食べられたかのように欠けた果実が握られていた。男性はそれを少女に差し出す。

 

 少女「う、うん……じゃあ、行ってくる」

 男性「行ってらっしゃい」

 

 少女はそれを受け取り男性に向かって小さく頷くと、粒子となって消えた。それを見送り、男性はゼロと黒いローブの人物の戦いに目を向ける。そこにはーー

 

 

 

 ゼロ「ああ……終わっちゃったのね……私」

 

 

 

 瀕死の重傷を負ったゼロが変身解除された姿で倒れていた。使っていたゲネシスドライバーとゴールデンエナジーロックシードは黒いローブの人物によって持ち去られたのか、陰も形もない。男性はそれを見てゆっくりとゼロに近づく。それに気づいたゼロは、僅かに動く顔をその男性に向けた。

 

 ゼロ「あ、あら……見てたなら、止めてよね……」

 男性「何言ってんだ、結果は知ってただろ?」

 ゼロ「それは、そうだけど……まあ、良いわ……私の仕事は、もう終わった、から……」

 男性「そうだな……後の事は私に任せて、お前はゆっくり休め。お疲れ様、よく頑張ってくれたな」

 ゼロ「そう、ね……それじゃあ、後の事、よろしくお願いするわね……あなた」

 

 ゼロはその言葉に弱々しく微笑み、やがてその体は粒子となって消えていった。その粒子は男性の体へと吸収されていく。全て吸収し終えて、男性は一息ついた。

 

 男性「さぁ……あと少しだ。私はここでゆっくりと待つとしよう」

 

 男性は墓の近くに腰掛ける。ふと墓を見ると、さっきゼロが置いていった筈の鍵の形をしたロックシードが無くなっていた。恐らく黒いローブの人物が、ゼロとの戦いの後で奪い去ったのだろう。

 

 男性「やはり奪われたか……フン、まあ良い。どうせ奴には使えん代物だ……」

 

 男性はそう言ってある方角を見つめる。その目線の先には、小さくだがIS学園が見えていた。男性はおもむろに自分の胸に右手を当てた。そこから金色の光が溢れだしたかと思うと、その右手には金色に光り輝くリンゴーー黄金の果実が握られていた。しかしその果実は、そのほとんどが削り取られたかのように無くなっている。

 

 男性「終演まで、あと少し……せいぜい最後まで私の手の内で踊っていてもらおうか、織斑春輝……いやーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コウガネ」

 

 

 

 

 





 という事で、本編&コラボ章はおしまいです。カイト・レインさん、三日月オーガムさん、武神鎧武さん、ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いします。

 今後ですが、少し裏の章を書いていきます。ここではコラボ章の間に、元の世界の裏で起こっていた出来事をある人物視点から執筆します。時系列で言うと、学園祭後、牙也達三人が異世界に渡ってから~この話までの間です。

 これからも『IS×仮面ライダー 紫の世捨て人』をよろしくお願いします。では、また次の話にてーー。

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