IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
牙也vsラウラ、開始。
新たなロックシードがお目見えします。
では、どうぞ。
牙也side
アリーナに出た時には、そいつは両肩に装備されたレールカノンと言う武器を鈴達に向けていた。俺達は急いでそいつの前に立ち塞がった。そいつは俺を見るなり、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
ラウラ「久しぶりだな、アーマードライダー蝕よ」
「!?お前なぜその名を…………ってお前、いつかのドイツ軍の黒兎の長じゃねえか!なら知ってて当然か…………」
箒「牙也、ラウラを知っているのか?」
「一年前にな。ドイツを旅してた時に、軍の研究施設にクラックが開いた事があってな。その時に知り合った」
その時、クラックが大量に開いた事で、ドイツ軍は大混乱を起こしていたが、唯一ラウラが率いていた部隊「シュヴァルツェア・ハーゼ」だけはクラックから出現したインベスに果敢に立ち向かった。しかし、IS武装の効かないインベスの前に、部隊は壊滅寸前まで追い込まれた。
そこに、クラックの出現を察知した俺が乱入してインベスを掃討した、と言うわけだ。
箒「だが、ラウラは随分お前を敵視しているようだが………………」
「さあ、何でだろうな」
箒「インベスを掃討した後に、何かあったのではないのか?」
「何かあったかと言われてもな…………ああ、ラウラが喧嘩を吹っ掛けてきたから返り討ちにしたな」
箒「……………………絶対それだ」ガクー
箒は頭を抱えていた。なぜだ。
ラウラ「あの時の屈辱、ここで晴らす!私と戦え!」
(………………いやだと言っても、聞く耳は持ってそうにないな)
内心で俺も頭を抱えていた。やれやれ。
「取り敢えずは、鈴達を避難させなきゃな」
箒「では、それは私に任せろ。お前はラウラの相手をしてやれ」
「あ、もう決定事項なのね……………………」
箒は変身を解除すると、近くにいた人に救援を頼み、鈴達をそれぞれタンカに乗せてアリーナを出ていった。
「はあ、やれやれ。分かったよ、お望みなら相手してやる。来いよ」
ラウラ「…………今度こそ、貴様に勝つ!」
かくして、喧k――――もとい戦いが始まった。
牙也side end
三人称side
蝕とラウラの戦いを、アリーナにいる生徒はじっと見据えていた。
ラウラがレールカノンからビームを撃つと、蝕はそれを紫炎で切り裂いた。そしてそのまま、ラウラに向かって紫炎を突き出した。ラウラはそれを右手のプラズマ手刀で弾き、怯んだ蝕の体に蹴りを加えたが、これはギリギリ避けられた。蝕は一旦距離を取り、再び紫炎を構えて突進した。しかし、ラウラが右手を蝕に向かって突きだすと、突然蝕の動きが止まった。
牙也「これは……………………前は使わなかった能力だな」
ラウラ「これは我がドイツが誇るAIC(アクティブ・イナ―シャル・キャンセラー)!貴様は、AICの前に屈伏する運命なのだ!」
そのままラウラは、蝕に向かってビームを放った。身動きが取れない蝕にはこれは避けられず、これをもろに食らって吹き飛ばされた。
牙也「いてて…………そのAICとやらは、中々厄介だな。さて、どうするか………………」
ロックシードを漁っていた蝕は、一つのロックシードに目をつけた。
牙也「そう言えば、まだ使ったことのないロックシードがあったな。じゃ、使ってみるか!」
そう言いつつ、蝕はそのロックシードを解錠した。
『アーモンド』
頭上のクラックから現れたのは、巨大アーモンド。
『ロック・オン!』
牙也「使える力はどんどん使えってな!」
『ソイヤッ!アーモンドアームズ!Breaker of Drill!』
蝕は『アーマードライダー蝕 アーモンドアームズ』に変身。
ドリルランス『アーモンドリル』をラウラに向け、不敵な笑みを浮かべた。
牙也「さあ、破壊の宴の始まりだ………………!」
ラウラ「ふん、姿が変わっただけで!」
ラウラは両肩からワイヤーブレードを射出してきた。蝕はドリル部分を回転させることでこれを弾き、ランスを正面に向けて再びラウラに突進した。しかしラウラは、またもAICでその動きを止めた。
ラウラ「ふん、学習能力のない奴だな!食らえ!」
ラウラは嘲笑して、レールカノンを――――――
牙也「――――――誘いに乗ってくれて、ありがとうよ」
ドゴオオオオオオオオン!!!!!
撃とうとしたとたん、レールカノンが突然爆発した。
ラウラ「何!?一体何が―――――」
実は、アーモンドリルは先端を射出する事が出来、蝕はこれでレールカノンを貫いたのだ。しかも、AIC発動の為に前に突き出していた腕が邪魔してラウラには射出の瞬間が見えなかったため、ラウラにはレールカノンが突然爆発したらように見えたのだ。これは、ラウラの気を反らせるには充分だった。
牙也「――――軍人が隙を見せるって、どうよ?」
ラウラが気付いた時には、その首筋にはランスの先端が突き付けられていた。
ラウラ「ぐっ!」
牙也「お前の、負けだ」
ラウラ「何故だ、何故ドイツが誇るこの力を持ってしてもお前に勝てない!?」
膝をついてそう叫ぶラウラの目は、涙で濡れていた。
牙也「お前は…………」
ラウラ「?」
牙也「お前は、何故力を欲する?俺には分からない、それだけの力を持っていながら、何故さらに力を欲するのだ?」
蝕のその問いかけに、ラウラは涙を拭って言った。
ラウラ「簡単なこと、この世においては力こそ絶対!だからこそ、私は力を欲するのだ!それが何故貴様には分からぬ!?」
牙也「分からねえな」
蝕はラウラの言葉をバッサリ切り捨てた。
牙也「力ってのはな、どれだけの量があっても、どれだけの重みがあっても、それ以上の力があれば簡単に押し潰される物だ、あまりにも脆い物なんだ。どれだけの強さを持っていたとしても、いずれはそれ以上の物にあっさりと負けてしまう。今のお前のようにな」
そう言って蝕は変身を解除し、牙也に戻った。そして、ラウラを一瞥してアリーナの出口へ歩き出した。
ラウラ「待てッ!まだ勝負は――――――」
牙也「今のお前じゃあ、俺には『一生』勝てんよ。お前が俺に勝ちたいって言うのなら―――――」
そこで一旦言葉を切り、牙也はラウラに言い放った。
牙也「『力が欲しけりゃ、力を欲するな』この言葉の意味を、よく考える事だな」
ラウラ「…………………………何?」
そう言って、牙也はアリーナを出ていった。残されたラウラは、牙也の言葉を心の中で反芻していた。
ラウラ(『力が欲しければ、力を欲するな』?どういう意味だ……………………?)
三人称side end
牙也side
千冬「ラウラを止めるためとは言え、あれはやり過ぎだ、馬鹿者」
「ぐっ…………すいません」
時刻は既に21時を過ぎ、外はすっかり真っ暗。現在俺は、部屋で千冬さんに説教されてます。あの騒ぎの後で千冬さんがやって来て、生徒全員に学年別トーナメントまで「私闘禁止」を通告したそうだ。まあさすがにこれ以上は怪我人は増えてほしくないからねえ。
鈴とセシリアは、ISのおかげで怪我こそ軽かったものの、ISの損傷が激しく、学年別トーナメントの出場を辞退する事になった。さっきお見舞いに行ったが、とても悔しそうだった。
千冬「まあ、今回は大目に見てやるが、次はないと思えよ」
「申し訳ないです」
そう言って、千冬さんは部屋の冷蔵庫に向かい、中からお茶のペットボトルを取り出して飲んだ。
千冬「そう言えば、ラウラから聞いてみたのだがな、春輝を恨み、一夏を恨まぬ理由を」
「へえ、何だったんです、その理由ってのは?」
千冬「……調べたらしいんだ、一夏の経歴を」
「!」
千冬「一夏の経歴を見て、あいつも思うところがあったらしい」
「ラウラは一夏と自身を繋げてみたんですかね?」
千冬「恐らくそうだろうな。ラウラも一夏も、『出来損ない』の烙印を押されていたから、共感したのだろう」
そう言って、千冬さんはペットボトルを持ったままベッドに腰かけた。
「一度付けられたレッテルは、そう簡単には剥がせない。ラウラが力を欲するのも、頷けるな」
千冬「うむ、だが私は教官時代に、ラウラに大事なことを教え忘れていたよ…………それだけは、未だに後悔している……」
「大事なこと?」
千冬「人として生きることの、喜びと言うものを、私は教えていなかったのだ………………」
そう呟く千冬さんの顔は、どこか悲しげで、自責の念がその顔に映っているように見えた。
牙也side end
牙也がラウラに言い放った言葉の真意は――――ー?
次回、学年別トーナメント、開幕――――――。