IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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後編その1


オレ×ワレ×ワタシのラストステージ20XX(1)

 騒ぎは一先ず収まり、学園の会議室には学園長の轡木十蔵を筆頭に学園の有力メンバーや騒ぎの当事者、更にイベント参加の為に別の場所にいた束や一夏が集まった。十蔵はスクリーンの近くでシュラと久々の立ち話をしていた。

 

 十蔵「久しぶりだね、シュラ君。まさか君が復活していたとは……」

 シュラ「うむ……確かに久しいな、轡木十蔵。二年前の夏以来か」

 十蔵「もうそんなに経つんだねぇ……」

 

 十蔵がシュラとの思い出を懐かしんでいるそこへ、千冬達が現れた。箒達の治療を行っていたのだが、唯一気を失っていた箒が目を覚ましたので、全員揃っての報告とシュラとの再会にやって来たのだ。

 

 箒「シュラ!」

 シュラ「む?おお、篠ノ之箒か、久しいな。それに……学園の有志達よ」

 シャルロット「お久しぶりです!」

 セシリア「またこのようにして出会えた事、誠に喜ばしい限りですわ」

 シュラ「うむ。ところで亡国の者達等姿が見えぬ者がいるが、ここにはおらぬのか?」

 束「亡国の皆は連絡したら後から遅れて来るってさぁ」

 楯無「簪ちゃんも同じくよ」

 シュラ「そうか」

 

 再会を喜んでいると、ふとシュラがある方向を見た。その目線の先には、少し緊張した面持ちのソウゴがいた。シュラは自ら歩み寄り、ソウゴの前に立つ。

 

 ソウゴ「えっと……貴方は一体……?」

 シュラ「なんだ、もう忘れたか?ーーいや、この姿なら分からぬも当然か」

 

 そう言うとシュラは懐を探り始めた。ソウゴ達が不思議そうに見ていると、シュラは懐からのっぺらぼうの白いお面を取り出してソウゴに見せた。

 

 シュラ「……これに覚えがあろう」

 ソウゴ「これは確か……俺が最初に会ったレイって人が付けてたお面ーーまさかあんた!?」

 シュラ「うむ。我がお前が最初に会った人物、すなわち『レイ』だ」

 

 思いもよらぬ事実にソウゴは驚き、他の学園メンバーは首を傾げる。

 

 ソウゴ「俺をこの世界に導いたのは、あんただったのか……」

 シュラ「そうだ。我がお前という存在に目をつけ、この世界に呼び寄せたのだ。世界の為……そして牙也の為に、な」

 ソウゴ「なるほど……ところであれ以降何か分かった事はあるの?」

 シュラ「いくつか分かった事がある。報告がてら話すとしよう」

 千冬「……シュラ、私達にも全て話してくれ。この二年の間、一体何が起こったのかを」

 シュラ「そうだな、お前達も知っておくべきか。皆、心して聞いてくれ。まずは……我がこの二年間何をしていたか話すとしようか」

 

 

 

 

 

 

 束「なるほどねぇ。つまり最初の内は、薄ぼんやりした感じでしか記憶が無かったのね」

 シュラ「そうだ。故に我は今の今まで、雷牙也として世俗より離れて生きていた。その間オーバーロードとしての記憶はちょくちょく夢に出てくる程度で、我もその時はこれが何なのか分からなかった。だがこの学園近辺を訪れた時、それが事実であった事をはっきりと思い出した」

 十蔵「なるほど。ところでシュラ君、ソウゴ君をこの世界に呼び寄せたのは君らしいけど、事実なのかい?」

 シュラ「うむ。記憶が戻った後、この世界の現状に違和感を覚えてな、独自に調査していたのだ。その過程において、かのアナザーライダーの存在、そしてそれを倒す存在ーーつまりお前の存在を知った」

 

 そう言ってシュラはソウゴを指差す。

 

 千冬「そしてお前は仮称として『レイ』を名乗り、常磐に接触した、と」

 シュラ「大まかに言えば、な」

 

 シュラはそこで一呼吸置くと、ソウゴに向き直った。

 

 シュラ「さて、常磐ソウゴ。改めて頼む、この世界を、牙也を、救って欲しい。この通りだ」

 

 シュラはソウゴに深々と頭を下げた。

 

 ソウゴ「勿論だよ。君達にとって大事な人の記憶もーー仮面ライダーとしての記憶も、絶対に消させはしない。同じ仮面ライダーとしてーー魔王として、彼を救う」

 シュラ「……ありがとう。我等も出来る限りお前をサポートする」

 ??「その戦い、俺も混ぜてもらおうか」

 

 突然聞こえてきた声に全員の目線が会議室の出入口に集まる。そこにはIS学園の男子用制服に身を包み、首にマゼンタの2眼トイカメラを提げた青年がいた。

 

 ソウゴ「門矢、士……!」

 シュラ「来たか。海東大樹は連れて来なかったのか?門矢士」

 士「生憎、俺はあいつの保護者じゃないんでな。まぁほっといても良いだろ、お宝を嗅ぎ付ければすぐに飛んでくるだろうさ」

 

 いつものように尊大な態度を崩さない士。対してシュラは「やれやれ」と首を振った。

 

 千冬「シュラ、こいつは……」

 シュラ「我の協力者だ。実力は我も認めているのだが……何故この学園の制服なのだ?」

 士「この世界での俺の役目、と言ったところか」

 

 シュラは「なるほど」と頷いて近くに置いてあった椅子にドカッと座り込む。士もそれにつられて近くの椅子に座る。

 

 シュラ「さて、本題に行くとしようか。今回の最終的目標は、アナザー零及びアナザーレオンの撃破。この二体を倒さぬ限り、牙也は永遠に戻って来ぬと考えておかねばなるまい。その為にはまず、『ライドウォッチ』とやらを早急に見つけなければならん。セシリア・オルコット、お前が捜索に尽力していると聞いたが、進展はあったか?」

 セシリア「いいえ、全く……常磐さんの話を聞くに、私達や今この場にいない方達の誰かが持っている、と見ているのですが」

 十蔵「持っている人は今のところ現れていない、と」

 シュラ「そうか……では引き続き捜索を頼む。次いで、アナザーライダー達の情報を大まかに纏めるとしよう。まずアナザー零だが、あの青龍刀の攻撃に加え、蔦を自在に操る能力を持つ。この辺りは牙也の力に酷似しているものだな」

 シャルロット「それでアナザーレオンは、あのガンブレードの攻撃と、クラック開閉による蔦やインベスの使役。なかなか厄介だね」

 ソウゴ「基本的にアナザーライダーは元となる仮面ライダーの力を踏襲してるんだ。余程の事がない限り、戦い方は本家とほぼ同じ認識で大丈夫だと思うよ」

 シュラ「そしてそのアナザーライダーの変身者だが……」

 

 シュラがそう言うと、士以外の全員が思わず顔を伏せる。アナザー零の変身者が牙也であり、なおかつ牙也はアナザーレオンに変身する何者かに操られているらしい、という事だから当然だろう。

 

 シュラ「……我は疑問に思う事がある」

 十蔵「疑問?」

 シュラ「うむ。まず我は牙也から生まれたオーバーロードだ。これは常磐ソウゴと門矢士以外は勿論知っている、そうだな?」

 

 ソウゴと士以外の全員が頷く。士はともかくソウゴは驚いていたが、シュラは気にせず続けた。

 

 シュラ「……問題はそこなのだ」

 全員『(゚Д゚≡゚Д゚)?』ドコナノダ?

 シュラ「違う、そうではない。我は牙也を形成する黄金の果実の一部を取り込んで生まれた存在。故に我は、ある程度だが牙也の体内にある黄金の果実を感じ取れるのだ」

 真耶「えっと……つまり?」

 シュラ「我はアナザー零の変身者が、我等の知る牙也ではない、と考えている。体内から黄金の果実の気配が感じられなかったからな」

 箒「では奴は偽物の牙也と言う事か!?」

 シュラ「いや、そうとも限らぬ」

 ラウラ「……何が言いたい?」

 

 ラウラの質問に、シュラはこう答えた。

 

 シュラ「……あれは確かに牙也だ。だが、牙也ではない」

 一夏「どういう事だよ?」

 シュラ「正しく言うなれば、あれは『この世界の』牙也ではない」

 箒「この世界の……では奴は!」

 千冬「なるほど、そう言う事か」

 束「え?ちーちゃん、どういう事?説明してよ」

 

 束に急かされ、千冬は回答を語り始めた。

 

 千冬「まだ牙也がオーバーロードとしての力を認知していなかった頃、牙也、篠ノ之、シュラ、そして私は、とある事情からクラックによって別世界に飛ばされてしまった事がある。その飛ばされてしまった世界というのは、この世界と同じようにISやアーマードライダーが存在していた世界なのだが、私達の世界とは異なる面もあった」

 束「例えば?」

 千冬「色々変わっていたな。一夏が女だったし、しかもオルコットと同性愛していたし……」

 一夏「はぁ!?」

 セシリア「にわかに信じられませんわね…」

 箒「牙也とカンナと私の三人で異世界を巡った時にも、同じようにISとアーマードライダーが存在する世界を訪れた。アーマードライダーではない、別の仮面ライダーが存在する世界にも行ったな。あそこの一夏は、いつぞやの姉さんを彷彿とさせるぶっ壊れゲームクリエイターだったしな」

 一夏「俺他所の世界でどんな扱いされてんだよ……」

 

 一夏が嘆息するのを「やれやれ」と言った表情で見つつ、シュラは続けた。

 

 シュラ「まぁつまり我が言いたいのは、あの牙也はおそらく別世界からやって来た牙也ではないか、という事だ」

 束「うーん……ちーちゃん達の話を聞くあたり、あり得ない話じゃないね」

 十蔵「なるほど。それで、シュラ君の言う疑問とは?」

 シュラ「……何故他所の世界の牙也を連れてきて、わざわざアナザー零に変身させたか、だ」

 

 その言葉に、その場にいる全員の目がシュラに釘付けになる。

 

 シュラ「アナザーライダーを生み出すのが奴等の目的ならば、わざわざ他所の世界の牙也を連れてくる必要はない筈だ。この世界の人間を適当に選び、そやつにアナザーウォッチを渡して使わせれば良い。がしかし、奴はそうしなかった。わざわざ牙也にそれを渡し、アナザー零に変身させた」

 ソウゴ「えっと……つまり?」

 士「……変身者がその牙也という奴でなければならない特別な理由がある、か」

 真耶「牙也君、特別な理由となると……私には彼が黄金の果実から生まれた存在だと言う事しか思い浮かびませんね……」

 シュラ「とにかく今は少しでも多くの情報が欲しい。何でも構わん、何か奴について気にかかる事が無かったか?」

 

 シュラの問いかけに全員が考え込む。と、セシリアが何かを思い出したような表情を見せた。

 

 セシリア「そう言えば……アナザー零ですが、何か食べていましたわね」

 ラウラ「そうだな。私達に追い詰められた際、クラックから何やら金色に輝く何かを取り出して食べていた。シュラも見ていたのではないか?」

 シュラ「む、確かに……一瞬の事だった故、それが何なのかは分からなんだが」

 楯無「もしかして、アナザー零が食べていたそれに何かあるんじゃないかしら?黄金の果実や禁断の果実みたいに特別な力が得られるとかーー」

 ??「それ自体が黄金の果実、という可能性もあるんじゃないかしら?」

 

 その声に全員が会議室の扉に目を向けると、亡国企業のスコールが扉から顔を出した。

 

 束「ミューちゃんお疲れ様~」

 スコール「束博士、その渾名は止めて頂戴……遅れてしまったわ、ザック達の回収に手間取っててね」

 

 スコールの入室に次いで、オータム・M・ザックの三人、更にもう一人細身で長身の男が入ってきた。その男を見て、楯無の顔色が変わる。

 

 楯無「貴方……ギリア・フレイア!?」

 

 現れたのは、福音暴走の一件においてザックと共に牙也を襲撃し、春輝に討たれた筈のギリア・フレイアだった。

 

 ギリア「はじめまして、と言うべきでしょうか……IS学園の皆さん」

 シュラ「貴様は確か死亡した筈では?」

 ギリア「そうなのですが……私にも分からぬままいつの間にか蘇っていまして。彼女達に色々教えてもらい、現在の状況はある程度理解しているつもりです」

 スコール「行く宛もないらしいし、ザックの仕事仲間だから取り敢えずこちらで預かってるの」

 

 そう言うとスコールはシュラに向き直った。

 

 スコール「話を戻すけど、そのアナザー零が食べていた物、金色に輝くって言ってたわね。もしそれが黄金の果実なのだとしたら?」

 シュラ「ふむ……無くはない話だが」

 士「なら、その黄金の果実とやらは何処から持ってきたんだ?」

 

 ここで士が口を開いた。

 

 士「この世界に存在する黄金の果実は、牙也という奴そのものだろう。だが、そいつは今存在していない。なら、その黄金の果実は何処から来た物なんだろうなぁ?」

 

 その問いかけに、全員がまた考え込む。

 

 シャルロット「何処かの世界から持ってきたとか?」

 箒「いや、それはない。黄金の果実は現状牙也のそれを含めて二つしか生まれていないと聞いている。残りの一つは信頼できる筋の者が所持している、盗まれたなんて事があったなら、早々に連絡の一つもあるだろう」

 士「だろうな。奴が所持している黄金の果実はまず簡単に盗めるような代物じゃない。他所の世界から持ってきたというのはまずないだろう」

 束「あんたの言う『奴』ってのが気になるけど……それなら人口物、とか?」

 一夏「いや、黄金の果実をどうやって人口栽培するんですか!?無理でしょ!」

 千冬「一夏の言う通りだ。それにコウガネの例もある、もし人口物なら、もっと惨事になっていてもおかしくはない」

 束「むー、そっかぁ……束さんなら出来そうだけどなぁ」

 ギリア「止めて下さい世界のバランスが崩壊するだけでは済まされません」

 オータム「ISを世に出した時の二の舞になるぞ、確実にな」

 ラウラ「となると、あと考えられるのは……」

 ソウゴ「……牙也君が、まだ生きている可能性は?」

 

 ここでソウゴも話に入ってきた。ソウゴの言葉に全員の目線が移る。

 

 ソウゴ「あんまり考えたくはないんだけど……牙也君はその、黄金の果実から生まれたんだよね?もしかして、アナザー零が食べていたのが、牙也君を産み出した黄金の果実の一部、って事は考えられない?」

 箒「つまり……牙也はまだ生きていて、何処かに捕らえられており、しかもその体の一部がアナザー零によって食べ尽くされようとしている、と?」

 ソウゴ「確証はないけど……もしかしたら、と思って」

 士「……ジオウ。もしそれが当たっていたとして、今そいつは何処に捕らわれているんだ?」

 ソウゴ「そこなんだ。牙也君が何処にいるのか、それが検討がつかない。それさえ分かれば動きやすくなるんだけど……」

 

 暗礁に乗り上げてばかりの会議に全員が頭を抱えていると、

 

 

 

 ドゴンッ!!

 

 

 

 ソウゴ「っ!?なんだ!?」

 十蔵「爆発音だね……!何かあったのかもしれない、みなさん、急いで対処を!」

 

 十蔵に急かされるように、千冬を先頭にして次々と彼女達は会議室を飛び出していく。

 

 

 

 

 

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