IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

26 / 174

 番外編の投稿を始めます!
 第1段は牙也のある一日。

 少し短くなりましたが、頑張ってまとめました。

それでは、どうぞ!




番外編 トアル一日
番外:episode牙也 墓参リ


 

 牙也side

 

 某県某市にある山の中。俺は、景色の綺麗な丘の上にひっそりと作られた立派なお墓の前に立っていた。墓石には、

 『雷準也 享年34  茜 享年30  瑞穂 享年6』

 と彫られていた。

 ちょうどこの日は、あの会社襲撃事件があった日、そして、俺が家族という光を失った日。

 「ありがとう、束さん。こんな立派な墓を作ってくれて」

 束「お礼はいいよ、牙君。これぐらいしか、束さんに出来ることはないんだから」

 束さんはそう言って、墓石に水をかけた。

 元々俺の家族の墓は、こことは別の場所に作られていたのだが、親族がおらず、更に唯一生き残っていた俺は世捨て人としてひっそりと生きていたので、墓には束さん以外誰も来ず、段々廃れてきていたのを束さんが遺骨を引き取って新たに墓をたてたとのこと。俺は今日初めて、新しく作られた家族の墓を訪れた。

 「……見てくれてるかな、父さん達。俺達を、俺達が変えようとしてる世界を」

 束「……見てるよ、絶対。準也さんはいつも、牙君の事を気にかけていたからね。仕事中も、私と話しているときも」

 束さんはそう言って、弱々しい笑みを見せた。

 束「毎回何かにつけては、牙也はどうたら、牙也はこうたらと牙君の話になってたんだよね。懐かしいなぁ……」

 「へぇ……父さんが、そんなことを……」

 そう言いながら、俺は線香に火を付け、お墓の前に立てた。

 束「でも、失われた命はもう二度と戻っては来ない。準也さんの豪快な笑い声を聞くことも、茜さんの穏やかな笑みを見ることも、瑞穂ちゃんを抱っこすることも、出来ない。私が見捨ててしまったから、私が――」

 「言わないで下さい」

 俺は、束さんの言葉を手で制した。

 「もう、今さらなんですよ。今さら嘆いたところで、死んだ人間を助けることなんて出来はしない。助けられるのは、今を生きている人だけです。後悔なんて、あまり役には立ちません。なら、俺達には何が出来るでしょうか?」

 そこまで言って、俺は墓に手を合わせた。束さんもそれに続いて手を合わせた。そして俺は、顔をあげて言った。

 「答えは既に見えているはずです。『生きる』ただそれだけ。死んでしまった人の分まで、最後まで生きる事。俺達がすべきは、それだけなんです。何をすべきかじゃない、これからどうすべきかが一番大事なんです」

 俺は懐からブルーベリーロックシードを取り出した。

 「『呪われたロックシード』と呼ばれるこいつは、それを俺に教えてくれました。吹いてくる風に流されるんじゃなく、抗って生きろ、と。追い風じゃなく、向かい風の中を進め、と」

 俺は、そこから見える景色に目を細めた。

 束「……牙君は強いね。とても」

 「強い?そんなことないですよ、俺はまだ弱い。体も、精神(こころ)も。俺自身が変えるべき事は、どれだけの時間が経っても尽きはしません。強さってのは、あくまで人の表面上の物。強さの本質は、人それぞれです。俺は、その本質がない空っぽの状態。こいつによってやっと立っていられる状態。いつこの器が壊れてもおかしくないんです」

 束「……」

 「こいつが壊れるか、器が壊れれば、俺はもう二度と立ち上がれないでしょうね。そんな中で俺は生きてる。貴女はどうですか?」

 束「私は……」

 束さんからは、次の言葉が出てこなかった。

 「……まあ、すぐには見つからないでしょうね。ゆっくり探しましょう、俺達の強さってのを。それが見えれば、まだ強くなれるんですから」

 束「……そうだね。ありがとう、牙君。少し、元気がでたよ」

 束さんはそう言って、勢い良く立ち上がった。

 束「また来年も来よう、ここに。そして、今度こそ伝えるんだ。『私の夢が、やっと叶いました』ってね」

 「そうですね。そのためには、一層俺達が奮起しなきゃいけませんよ」

 束「うん。それじゃ、束さんはもう行くね。クロちゃんといっくんを待たせてるから」

 「お出かけですか?」

 束「うん。久しぶりに三人で買い物に行くんだ!あー、楽しみ~!それじゃ牙君、ばいばいび~!」

 束さんはそう言って、近くに停めてあったニンジン型ロケットに乗り込み、飛んでいってしまった。

 束さんを見送った後、俺は墓に近づいてもう一度手を合わせた。

 (父さん、母さん、瑞穂。今はゆっくり休んでいてくれ。俺は、この命が尽きる時まで生き抜く。父さん達の遺志を、これからの世界に繋げるために。そして、俺の生き様を、貫くために)

 心の中でそう呟いて、俺はその場を後にした。

 

 

 

 牙也side end

 

 

 

 

 三人称side

 

 その日の夜。牙也の家族の墓に、一つの小さな光が灯った。暫くの間その光は輝き続けたが、やがてその光は徐々に輝きを失っていった。そして、その光があった場所には――-ーー

 

 

 

 

 

 

 

 虹色に輝きを放つ、鍵のような物が墓石に置かれていた。

 

 

 

 

 三人称side end

 

 

 

 





 というわけで、番外編第1段でした。

 ここでやっと牙也の家族の名前を全員出せました!あー、良かった。

 オリロックビークルとかも考えてみようかな…………と思っています。何かリクエストがあるなら、オリロックシードと同様に活動報告欄へどんどんお願いします!

 では、次回の番外編でお会いしましょう!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。