IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 書き終わって気付いた…………めっさシリアスになってたよ。

 牙也は出ません。まだ目が覚めてないので。




コラボ2 異世界ニ立ツ侵食者(5)

 

 三人称side

 

 牙也達が別世界に飛ばされてから数日がたった。牙也は一夏達三人との戦闘の傷が大きかったのか、未だに目覚める気配がない。その為シュラ達三人は動くに動けず、IS学園の医務室に泊まり込んでいる。騒ぎを大きくしない為に医務室には一部の生徒・教員等の関係者以外は入室が禁じられ、ドアの前には黒影トルーパーが常に立っている(主に新聞部対策だが)。

 シュラ達は混乱を起こさないようにする為に医務室を出ることを一部の行為等(トイレやご飯といった、日常的な行為)を除いて禁止され、最早軟禁一歩手前である。やろうと思えばシュラにクラックを開いてもらって逃げることも出来るが、それだとまだ意識が戻らない牙也がお荷物になり逃げるのに手間がかかる事になるため、諦めた。三人は、たまに様子を見に来る一夏達と話をしながら、牙也の目覚めを待っていた。

 一夏「そっちの世界の束さんは、どんな人なの?」

 茜「姉さんか?どうかな…………多分こちらとあまり変わらないんじゃないかな。お調子者で、悪戯好きで、でも心の奥底に強い心を持ってる。そんな感じだ」

 鈴「私達の知ってる束さんと同じね……まあ同じだけど違う世界だから、そんなものかな」

 セシリア「という事は、私達も同じようなものなのでしょうか?」

 千尋「そう考えて間違いない。何が違うかと言えば、アーマードライダーとして戦っているか否か、だな」

 ラウラ「戦極ドライバーとゲネシスドライバーの数が少ないのだったな。量産出来ないというのは、大きな痛手とも言えるかもな」

 シュラ「我一人で組み上げたからな…………戦極ドライバーひとつ作るのに2~3週間は費やしたぞ」

 簪「だとすると、ゲネシスドライバーはもっと時間が掛かってそうだね」

 シュラ「戦極ドライバーよりもさらに複雑だからな……苦労したぞ、完成まで半年を要した」

 シャルロット「ISもそうだけど、アーマードライダーもブラックボックスだからね……余計に手間が掛かるんだろうね、一つ作るのに」

 楯無「そう言えば、三人のベルトはどうしたの?」

 千尋「戦極凌馬が解析中だ。彼曰く、『インベスとの戦闘データが欲しい!』との事だ」

 一夏「本当に良かったんですか、シュラさん。ベルトを簡単に凌馬さんに渡しちゃって」

 シュラ「別に構わん、何も細工をしないのならな。それに、インベスとの戦闘データはそちらにも有益だ。アーマードライダーは本来、インベスとの戦闘を想定して作られた物だからな。それよりも気になるのはーー」

 茜「私達がこの世界に来る直前に聞こえた少女の声、だな」

 千尋「あれの正体もまだ分かっていない。一体何故私達に助けを求めたのか…………」

 凌馬「ドライバーの解析、終わったよ」

 そこへ、凌馬が三人のベルトを持ってやって来た。

 シュラ「……変な細工をしていないだろうな?」

 凌馬「しないさ。君達の大事なベルト、勝手に弄って後々の戦闘に影響を与える訳にはいかないよ」

 凌馬はそう言って、三人のベルトを机に置いた。

 凌馬「ただその代わりと言ってはなんだが、少し劣化が見つかったから、それを直す序でにベルトを強化させてもらったよ。これで少しは体への負担が小さくなるはずだ」

 千尋「そうか。感謝するぞ、戦極凌馬」

 凌馬「お礼はいらないさ、科学者の気まぐれだよ。それじゃ、僕は一旦戻るよ。ゆっくりしていきたまえ」

 凌馬は医務室を出ていった。

 茜「あの戦極凌馬という奴は、随分飄々としてるな。雲のようだ」

 一夏「いつもあんな感じだよ、凌馬さんは。私の恩人でもあるから…………」

 千尋「恩人?何かあったのか?」

 千冬「一夏の過去については聞かないでくれるか?一夏にとってはトラウマだからな」

 千尋「む……そうか、要らぬ詮索をしたな、済まない」

 一夏「いえ……知らなかった訳ですし、気にしてませんよ。それに、何時までも過去に縛られるままにはいかないですから」

 シュラ「…………強いな、織斑一夏。牙也の本質にもよく似た強さだ…………」

 鈴「そう言えば、牙也っていつもはどんな感じなの?」

 シュラ「牙也か?……あいつは、一言で言うなら、『糸の切れかかった操り人形』とでも言おうか……」

 シャルロット「操り人形…………?」

 茜「牙也はまだ、あれを引き摺っている。だが心の支えがまだ残ってるおかげで、何とか立っていられる状態なんだ…………」

 茜はそう言って、ベッドで未だ眠っている牙也を見た。

 一夏「あれ?」

 セシリア「一体何があったのですか?」

 シュ・茜『…………』グッ

 鈴「や、やっぱりいいわ、話さなくて。牙也にとっても辛い過去なんでしょう?」

 茜「いや、話させて欲しい。こんな事を話しても牙也のためにはならないが、知って欲しいんだ、牙也の事を」

 そう言って、茜は自身が知る限りの範囲で牙也の過去を皆に話した。

 シュラ・茜以外『…………………………………………』

 一夏達はそれを黙って聞いていた。いや、そうする事しか出来なかった。一夏と千冬(千尋)は両親が蒸発し、セシリアは事故で両親を失った。鈴は両親が離婚し、シャルロットは義理の母に良いようにこき使われ、ラウラはそもそも親と言える存在がない。親・両親と言う言葉に対していい思い出のない彼女達からすれば、共感できる事ばかりであった。

 一方、楯無と簪は両親がまだ生きているから思い出の一つや二つ、無いこともない。しかし、対暗部用暗部の家系で育ったが故に、いつ両親を失ってもおかしくなかった。それ故に、自分達が彼だったらと考え身震いしていた。

 茜「牙也は、あの日からずっと自分を許せていない。牙也は世捨て人として生きている間、ずっと嘆いていた。自分が何かを、誰かを『守る』力を持っていなかった事を。そんな時に手に入れたのがーー」

 千尋「アーマードライダーの力、か…………」

 シュラ「……だが、手に入れるのがあまりにも遅すぎた。その時はすでに大切な物を奪われた後だったからな。だから、牙也は今もたまにだが、ぼそりと呟くんだ。『この力を早くに手に入れていたら……俺は壊れる事はなかっただろうな……』とな」

 全員が何も言えずにいたが、唐突にラウラが口を開いた。

 ラウラ「…………私は親・家族という存在がなかったから、牙也の言う家族のありがたさはよく分からない。だが、大切な人を奪われるという苦しみだけは、私も痛いほどに分かる。軍人として生きている以上、仕方のない事だがな」

 セシリア「大切な人を奪われる……それも突然に……私も彼と同じようになっていたかもしれませんわね……」

 一夏「セシリア…………」

 一夏は無意識に、その手をセシリアの手に優しく重ねていた。

 鈴「でもさ、茜は何でアーマードライダーになるって決意したのよ?」

 簪「……今までの話を聞いていても、茜ちゃんが戦う理由がない……どうしてなの?」

 茜「それは…………」

 そう言って茜は一瞬目を背けてから、今度は自分の事、束の事について話した。これには皆驚きを隠せず、箒に至っては「……そんな事が……」と呟いて、別世界の姉が犯した罪に困惑した。だがそれも一瞬の事で、箒は茜に聞いた。

 箒「……そっちの世界の姉さんは、大丈夫なのか?自殺とかしてないだろうな?」

 茜「落ち着け、そんな事はしてないから。ただ牙也に会うまでは、罪への意識からISが作れなくなったり、強引に全世界のISを機能停止させようとしたり、情緒不安定だったんだ。牙也の両親は、姉さんからすれば大恩人。それを知らなかったとはいえ、見殺しにしたんだから尚更な」

 茜は凌馬が机に置いていった自分の戦極ドライバーとマスカットロックシードを手に取り、じっと見つめた。

 茜「姉さんはずっと罪を数え続けてた。そして自分の愚かさをずっと嘆いてた。毎日のように泣き続けてた。でも、牙也の一言で救われた。ただただ一言、『生きていて欲しい』とな」

 茜は次いで牙也を見る。牙也は相変わらず意思は戻らないままだ。

 茜「私は牙也に初めて会うまで、姉さんがどれだけ苦しんでいるかを知らなかった。いや、知ろうとしなかった。思えば、私が姉さんとはIS関連ではそれほど話をしなかったからかもしれない。だから、私は姉さんの苦しみに気づけなかった。姉さんを長年の間ずっと苦しめてしまった。それが、私が背負った罪だ。だから、私も戦うと決意した。姉さんがこれ以上罪の意識に押し潰されないようにする為に、そして私も一緒にその罪を背負う為に…………」

 茜はマスカットロックシードを握り締めた。その目はいつの間にか涙で濡れていた。

 千尋「」カタトントン

 シュラ「」セナカポンポン

 茜「…………っ」ギュッ

 一・セ・鈴・シャ・ラ・楯・簪『……………………………』

 一夏達は、それを黙って見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 三人称side end

 

 

 





 人の苦しみは、他人にはなかなか分からないし気付けないから、どうしても溜め込んでしまう。常に気にする事も出来ないから、この小説の束さんのようになる人も少なくないですよね。

 次回、あのライダーの登場で、IS学園が再び大混乱にーー
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