IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
箒side
私は今、信じられない光景を目にしている。クロエが報告してきたあのジッパー形の歪みから、謎の生物が現れたのだ。更に私を混乱させたのは、牙也が懐から出したベルトのようなものと錠前のようなものだ。牙也はベルトを腰に装着し、錠前を解錠してベルトに装着した。すると、その頭上から巨大な紫色の丸い物体が牙也に向かってゆっくりと降りていった。そして次の瞬間、それは鎧のようになって展開された。
私の目の前に、今―――――
―――――『紫の武者』が現れた。
箒side end
三人称side
牙也――――アーマードライダー蝕は紫炎を構えて怪物に斬りかかった。突然背後から斬られた怪物は、その場に倒れてそのまま爆散した。それに気付いた他の怪物達が蝕に向かって来たが、蝕は慌てる様子もなく怪物の攻撃を次々といなしていくと同時に、怪物達を切り裂いていく。何度も攻撃を受けた怪物は、すでに満身創痍であった。
牙也「さて、さっさと片付けるか」
そう言って蝕は、『カッティングブレード』でロックシードを3回切った。
《ブルーベリースパーキング!》
すると、紫炎に紫色のエネルギーが迸った。蝕が袈裟斬りの要領で紫炎を2回振るうと、エネルギーが斬撃となって飛んでいき、歪みごと怪物達を切り裂いた。
『フシャアアアアアアアアアアアアアアア!』
怪物達は断末魔の叫びをあげて爆散した。と同時に、怪物が出てきた歪みも壊れて爆発した。
他に怪物がいないことを確認した蝕は、ドライバーからロックシードを外して変身を解除した。
牙也「…………………………ふう」
箒・束「――――――――牙也!」「牙君!」
そこに、近くでその戦いを見ていた箒と束が駆け寄ってきた。
束「牙君、大丈夫?怪我してない?」
牙也「大丈夫です。束さん達は?」
箒「私達は大丈夫だ。しかし何なのだ、あの怪物は?それにあのジッパー形の歪み……………牙也、お前は知っているのか?」
牙也「ええ、知ってます。ひとまずラボに戻りましょう。説明はそこで」
三人はラボに戻っていった。
ラボに戻ると、束は再び一夏達と通信して、無事を伝えた。そして、『ゴーレム』を使って録画した蝕の戦闘風景を二人に見せた。この映像の内容には、二人とも驚きを隠せず、牙也に説明を求めた。
牙也「じゃあまずは―――――」
そうして牙也は話を始めた。その話は、驚きの連続だった。襲撃事件で敵から逃走中、気づかぬうちにあのジッパー形の歪みに入ってしまったこと、ジッパー形の歪みの中は、『ヘルヘイムの森』と言い、襲ってきた怪物『インベス』の住みかであること、森の中で『戦極ドライバー』を二つと『ロックシード』を四つ拾ったこと、そこでインベスとの戦闘になり、それらを使って変身したこと、戦闘後に最上位インベス『オーバーロード』が現れ、自分達の世界と『ヘルヘイムの森』が意図せずに繋がってしまったと教えてくれたこと。
四人は、牙也の話をじっと聞いていた。
牙也「そして、オーバーロードの計らいでこの世界に帰ってきた。その後は皆が知っての通りです」
全て話し終えた牙也は、箒が用意したお茶を一すすりした。モニターに映っている一夏やクロエは、未だに信じられないというような顔をしている。
一夏『ヘルヘイムの森にインベス、オーバーロード。なかなか信じられないな。でもなんでこの世界とヘルヘイムの森が繋がったんだ?』
牙也「さっきも言いましたがオーバーロード曰く、今回の事は向こうからしても予想外だったらしいんです。本来なら、絶対繋がるはずのないもの同士が繋がってしまったんですから」
クロエ『あのクラックと言う歪みが開くのは、未然に防げないのでしょうか?』
牙也「無理ですね。クラックは、何時、どこで開くかが分からないんです。被害を抑えたいのなら、開いたクラックを閉じるか破壊するしかないですよ」
箒「…………だったらISを使ってそいつらを倒せば――――」
牙也「それも無理ですね」
牙也は箒の話を遮って言った。
牙也「ヘルヘイムの森に迷い込んだとき、僕を殺そうとしたIS搭乗者も一緒に迷い込んでいたんです。最初はそいつがインベスの相手をしましたが……………………あれはもう、一方的な蹂躙に見えましたね。ISの武器の一つもインベスには効果がありませんでした」
そう言うと、牙也は懐から『戦極ドライバー』と四つの『ロックシード』を取り出して机の上に置いた。
牙也「今、インベスに対抗できるのはこれを――――アーマードライダーの力を持つ僕だけです。今の世界は、ISを過信している人が多い。そんな人達が大勢いる場所にインベスが現れる、何てことになったら………………………」
箒「最悪、多くの死人がでる…か」
箒が牙也の言葉を繋ぐように言った。すると、
束「困ったなあ、箒ちゃん四月からIS学園に通うんでしょ?」
今まで黙っていた束が箒に聞いた。
箒「ええ、『要人保護』の名目で」
束「あそこは只でさえ女尊男卑の傾向が強い上に、IS過信者が多くいる場所。そこにインベスってのが現れたらと思うと……………束さん、心配だよ~~~」
その言葉に、全員が身震いした。最もだ。ISの攻撃が効かないインベス。ISを過信する女達。戦えばどちらが勝つかなど、目に見えて分かるだろう。
牙也「そうならないためにも、クラックは絶対に塞がないといけない。皆さん、お願いします。クラックを閉じるために、僕に力を貸して下さい!」
そう言って牙也は頭を下げた。
束「…………ここで断れば、私は一生『負け犬』…………私はこれ以上、大切な人を失いたくない………………!分かった!束さんは、牙君に協力するよ!」
箒「私も戦う。牙也ばかりに重荷を背負わせるわけにはいかないからな。出来る事があるなら、どんどん頼ってくれ!」
一夏『俺もだ!一緒には戦えないが、サポートくらいなら出来るぜ!』
クロエ『私も、微量ながら力をお貸しします。私のような人が出るのは、もういやですから………………』
牙也「皆さん………………ありがとうございます!」
すると、牙也は何か思い出したかのように懐からもう一つの『戦極ドライバー』を取り出し、『マスカットロックシード』と共に箒に差し出した。
牙也「箒さん、貴女にこれを渡しておきます。インベスを呼ぶクラックはいつも一つしか出ないとは限りません。もし僕が戦っている時や近くにいない時に他のクラックが開いた時は、これを使って下さい。持っているだけで、十分な盾になるでしょう」
箒はそれらをじっと見つめていたが、すぐに決意のこもった顔を見せ、それらを受け取った。その目や背後に、炎が燃え盛っているように皆は見えていた。
そして牙也は、さらに付け加えるようにこう言った。
牙也「あ、それともう一つ。それはISとは形は違えど『兵器』となる、ということを絶対に忘れないで下さい。やろうと思えば人を簡単に殺せるものという点で、それとISは同じですから」
この言葉に、ここにいる全員が大きく頷いた。
そして、その日から数ヵ月後の、20××年、四月。
世界は、大きく動き出す。
三人称side end
次回からいよいよ原作!
戦闘描写、今度こそうまく描けるといいな…………………