IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 牙也の帰還ーーそれは、己の真の姿を受け入れた事を意味するーー。




第46話 真ノ名ハ……

 ゼロ「ば、馬鹿な……!貴様はあの日死んだ筈……なぜ生きている!?」

 

 ゼロは目の前に立っている牙也を見て驚きを隠せなかった。部下からの報告では、死体は見つからなかったものの確かに死亡を確認したとの事だった。しかし今現在、その本人が目の前に立っている。これは一体どういう事なのか。すると牙也は「ふん」と鼻を鳴らしながら答えた。

 牙也「海に転落した後でとある奴等に助けられてな、そいつらのアジトで傷を癒してたのさ」

 ゼロ「とある奴等、だと……?」

 牙也「すぐに分かるさ、すぐにな」バッ

 牙也が背中に羽織った黒いマントをはためかせると、牙也と一夏達を覆うように蔦が伸び、巨大なドームを形成した。

 ゼロ「っ!?しまった……!」

 

 

 

 

 

 

 

 ドームの完成を確認した牙也は、ゆっくりと一夏達に歩み寄っていく。そして千冬と箒の前にしゃがみこみ、

 

 

 

 牙也「約束通り、ちゃんと帰って来ました」

 

 

 

 そう言って頭を下げた。一夏達は何も言わなかったが、

 千冬「…………馬鹿者が」

 最初に千冬が口を開いた。

 千冬「馬鹿者が……!無事に生きていたのなら、なぜ連絡の一つも寄越さなかった……!」

 牙也「すみません……言い訳すると、つい最近まで意識が戻ってなかったもので……」

 千冬「馬鹿者……本当にお前は、馬鹿者だ……!」グスッ

 一夏「千冬姉の言う通りだぜ……声一言ぐらい聞かせてくれりゃ、箒があんなに苦しむ事なんかなかったのによ……」

 鈴「そうよ!あんたが死んだって聞いて、箒はずっと泣きじゃくってたのよ!?」

 牙也「……申し訳ない」

 牙也は三人に頭を下げ、今度は箒を見た。制服がボロボロになり、怪我があちこちにできている箒は、ずっと俯いたままだった。そんな箒の頬に、牙也はそっと手を伸ばして撫でた。軽く、そして優しく。ただそれだけをした後、そっと箒を抱き締めて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「だいぶ遅くなっちまったけど…………ただいま、箒」

 

 

 

 

 

 

 やがて箒がゆっくりと顔を上げた。その目にようやく光が灯ったかのようになり、そこから一筋の涙が流れていく。

 

 

 

 

 箒「あ……ああ…………!」

 

 

 言葉にならない声を上げ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「あああああああああああ!!!」

 

 

 

 

 箒は牙也の胸の中で泣きじゃくった。牙也をその手でしっかりと握り締め、我慢する事もなく大声を上げて泣きじゃくる。牙也もそんな箒の頭を優しく撫でてあげており、牙也のその目からも一筋の涙が溢れていた。

 箒「牙也ぁ…………牙也ぁ…………!」

 牙也「心配かけて本当にごめんな……ずっと心配してくれてたんだな……ごめんな」

 そうして牙也は箒が泣き止むまでの間ずっと頭を撫でていた。

 

 

 

 

 

 

 牙也「ご心配おかけしました、千冬さん」

 千冬「全くだ。また人にいらん心配をさせて……」

 牙也「申し訳ないです。一夏と鈴も、すまなかったな」

 一夏「はぁ……もう良いさ。とにかくお前が無事で良かったよ。束さんがこれ知ったら、どんな反応するかな……」

 鈴「いつもいつもあんたは……もう心配かけさせないでよね、特に箒に!」

 牙也「……返す言葉も無いや」

 ひとまず全員が落ち着きを取り戻し、なんとか仲直りした。その間も、箒はずっと牙也にしがみついていた。

 牙也「……まだしがみついてるか?」

 箒「……嫌だと言いたいのか?」ムッ

 牙也「いや、皆今の状況忘れてる?」ニガワライ

 一夏「今の……そっか、そうだったな」

 鈴「でも大丈夫なの?あんた傷は?」

 牙也「完治してる、大丈夫だ。それよりも皆が大丈夫かって事だろうに。ちょっと失礼するぞ」

 牙也が左手を四人に向けて翳すと、左手から淡い緑色の光が出てきて四人を包み込んでいく。やがて光が晴れると、

 

 一夏「脇腹の怪我が、すっかり治ってる……!」

 鈴「傷が……塞がっていってる……!」

 千冬「これは、シュラの治癒能力……!?なぜ牙也が……!?」

 一夏達の怪我があっという間に完治した。

 牙也「話はまた後で。今はーー」

 

 そこまで言ったところで、蔦のドームが半分に斬られた。ドーム状の蔦はあっという間に消滅し、やがて牙也達の目の前にゼロと春輝が現れる。

 

 春輝「お、お前は……!なんでだ……なんでお前が生きてる!?お前は、僕がこの手で殺した筈だ!!」

 牙也「さぁ、なんでだろうな……本来なら、お前の刃によってあそこで死ぬ筈だった俺が、今はこうやってお前らの目の前に立っている。あの傷は、完治しない筈だった。がしかし傷は完治し、俺は生きてる。何の運命の悪戯かな……」

 ゼロ「ふざけるな!貴様が生きている筈はない……!貴様はあの日、死んだだろう!」

 

 

 

 

 

 

 牙也「そうだな。あの日、『アーマードライダー蝕』は死んだ」

 

 

 

 

 

 ゼロ「なに?」

 牙也「あの日、そこにいる馬鹿が勝手に戦極ドライバーを製作して、俺のブルーベリーロックシードを勝手に使用した事で、蝕の力は全て無くなった。それは同時に、俺がアーマードライダーとしての力を失う事を意味した」

 そこまで言って、牙也は腰に提げたあるロックシードを手に取った。それは、『L-S-MESSIAH』と表面に書かれていた。

 牙也「が……どうやらシュラは、俺をなんとしてもこの世界に残そうとしていたみたいだ。あいつは薄々気づいていたのかも知れないな……俺の真実に」

 千冬「牙也……まさか、シュラは……」

 牙也「ええ、お察しの通り……俺がその最期を看取って来ました」

 それを聞いて、箒と千冬は目を背ける。

 牙也「一つお前に聞こう。シュラを倒したのは、お前だな?」

 ゼロ「ええ、そうよ。貴方の言う通り、確かに奴は貴方の真実を知っていたわ。でも私にとっては、それを知られる事は不味いのよ……という訳でーー」

 

 《ゴールデンエナジースカッシュ!》

 

 ゼロ「今度こそ、死んでもらうわ。はあっ!」

 ゼロはソードブリンガーから斬撃波を飛ばし、さらにそれを追いかけるように牙也に襲い掛かった。

 箒「牙也!」

 箒が叫ぶのと同時に、ソードブリンガーが振り下ろされーー

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロ「ば、馬鹿な……こんな、事が……!?」

 牙也の目の前で止まった。いや、正しくは「これ以上振り下ろせなかった」だろう。ゼロが金縛りに遭ったかのように動けなくなっている。そして飛ばした筈の斬撃波もいつの間にか消えてしまっていた。

 牙也「……フッ!」

 ゼロ「ぐあっ!」

 牙也はがら空きとなったゼロに蹴りを入れて吹き飛ばした。

 

 春輝「てめぇ……もう一度殺してやる!」

 その声に牙也が見ると、いつの間にか再び赤零に変身した春輝がソニックアローを構えて突進してくるところだった。

 

 ??「あら、させないわよ?」

 ??「食らいやがれ!」

 

 がそこに、春輝に向かって上空から銃弾の雨が降り注ぐ。

 春輝「ぎゃああああああ!!」

 銃弾の雨がもろに被弾した春輝は苦しそうに呻いてその場に膝をついた。銃弾が飛んできた方向を一夏達が見ると、

 

 

 

 

 

 スコール「ふふ、間に合ったみたいね。良かったわ」

 ザック「ハッハッハァ!あいつらも度肝抜かれてるみたいだぜ!」

 

 ヒガンバライナーにスコールとザックが乗車していた。

 千冬「ザック・ヴァルフレア……!それにお前は、スコール・ミューゼル……!?」

 一夏「千冬姉、あの女の人を知ってるのか?」

 千冬「スコール・ミューゼル……奴はISテロ集団『亡国企業(ファントムタスク)』の幹部だ。委員会や我々と敵対している奴等が、なぜここに……?」

 ヒガンバライナーが地面に降り立つと、スコールとザックは一夏達に歩み寄ってきた。そしてスコールは千冬に手を差し出して挨拶した。

 スコール「久し振りね、ブリュンヒルデ」

 千冬「私をその名で呼ぶなと言っただろう……しかし、貴様らがなぜここにいる?」

 千冬がスコールの手を借りて立ち上がり、ここにいる理由を聞くと、スコールは答えた。

 

 

 

 

 スコール「ふふ……あの坊やと、オーバーロード・シュラとの約定よ。さて、これより私達亡国企業は、IS学園に加勢して敵の鎮圧を進めるわ。ISはオータムやMがなんとかしてくれるから、私達は彼女を撃退しましょうか」

 

 

 

 

 そう言って、スコールは懐から戦極ドライバーを取り出した。

 千冬「な……貴様、なぜ戦極ドライバーを……!?」

 牙也「俺が渡しました。ここに俺を運ぶ事への交換条件として要求されたので……スコール、ザック、これを使え」

 牙也はそう言って腰に提げたチェリーロックシードをスコールに、別の戦極ドライバーとアンズロックシードをザックに投げ渡した。

 スコール「ありがと、坊や」

 ザック「恩に着るぜ、牙也」

 牙也「礼は後で良い。それと箒。お前、ヨモツヘグリ持ってるな?」

 箒「っ、なぜそれを……!?」

 牙也「お前の戦極ドライバーに付いてるロックシードが、明らかにマスカットじゃねぇのはすぐに分かったさ。箒、前にラズベリー渡したよな?あれを一緒に使うんだ。多少は制御出来るようになるぞ」

 箒「……分かった」

 箒は頷いて、腰に提げたラズベリーロックシードを取り出した。すると、

 箒「っ!ラズベリーが……!」

 ラズベリーロックシードが紫電を発しながらその姿を変えていく。やがて紫電が消えると、ラズベリーロックシードはヨモツヘグリエナジーロックシードに変化していた。

 牙也「それで良い。さて、行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 ??「ーー力を」

 

 

 

 

 

 箒「む?今誰か喋ったか?」

 スコール「いいえ、私達は何もーー」

 ??「彼に、力を」

 牙也「この声……カンナか!」

 その時、

 

 

 

 パァァァァァーー

 

 

 

 一夏「っ!なんだ……!?」

 鈴「一夏の胸から、光が……!」

 突如一夏から光が放たれ、周囲を覆っていく。がすぐに光は晴れ、視界は良好になった。

 一夏「こ、これは……カンナって子から貰ったロックシード……!」

 いつの間にか、一夏の手にはロックシードが握られていた。

 牙也「へぇ、カンナからのプレゼントか……一夏、パス!」ポイッ

 牙也は笑みを見せると、小型のクラックを開いて、中から別の戦極ドライバーを引っ張り出して一夏に投げ渡した。

 一夏「牙也、これ……!」

 牙也「せっかく手に入れたお前の力なんだ。使わなきゃ持ち腐れだろう?さあ、やるか」

 ゼロ「ふん、数が増えてもどうって事ないわよ!」バッ

 ゼロがソードブリンガーを掲げると、大量にクラックが開き、インベスが溢れるように出てきた。

 

 千冬「ちっ、やはりインベスは奴が呼び出していたのか……!」

 スコール「あのインベスは私達が相手するわ。坊やとお嬢ちゃんはあのゼロって奴をお願いね」

 牙也「ああ。箒、あの屑の相手を頼む」

 箒「分かった」

 

 牙也達は横一列に並ぶ。

 

 《ザクロ》

 

 《ヨモツヘグリ》

 

 《ヨモツヘグリエナジー》

 

 《ミラベルエナジー》

 

 《チェリー》

 

 《アンズ》

 

 《スターフルーツ》

 

 《ロック・オン》

 

 

 

 

 

 

 『変身!!』

 

 

 

 

 

 

 

 《ハッ!ザクロアームズ!乱れ咲き・Sacrifice!》

 

 《ミックス!ヨモツヘグリアームズ!冥界・黄泉・黄泉・黄泉……ジンバーヨモツヘグリ!ハハァーッ!》

 

 《ソーダァ!ミラベルエナジーアームズ!Light Load!Light Load!Li-Li-Li-Li-L-L-L-L-Light!》

 

 《ソイヤッ!チェリーアームズ!破・撃・棒・術!》

 

 《カモン!アンズアームズ!Power of Fighter!》

 

 《カモン!スターフルーツアームズ!Shine of SuperStar!》

 

 

 

 それぞれのアームズを被ってアーマードライダーに変身した六人。

 ゼロ「ふふ……かかってきなさい、アーマードライダー蝕!」

 牙也「その名はあの日に捨てた。今の俺の……こいつの真の名はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーマードライダー……零だ!」

 

 

 

 

 

 牙也は黒いソニックアロー『セイヴァーアロー』を構え、一番にゼロに向かって駆け出した。

 

 

 

 




 牙也のザクロロックシードは、原作とは別のオリジナルです。原作と音声が違うのはご了承下さい。

 次回、牙也のもう一つの力が明かされるーー。

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