IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
牙也「はぁー……こりゃまたびっくりだわ」
カンナ「はい。このような事が……」
あの後色々あったが、取り敢えず全員が落ち着きを取り戻し、素っ裸同然の格好だった椿はちゃんと服を着た状態でセシリアと共にソファに腰掛けている。その向かい側には、牙也、箒、カンナの三人がその二人を見つめている。牙也とカンナが驚いている中、箒は冷静に二人を見ていた。
箒「さて二人共、全て話してもらうぞ。お前達二人に、一体何があったのか」
セシリア「箒さん……」
椿「はぁ……仕方あるまい。お前達には話しておこう。私達に何があったのか」
そう言って椿は、自分達が何者なのか、何故亡国企業に入っているのかを三人に説明した。
牙也「逆行者……未来を変える為に、魂と記憶だけが過去の自分に憑依した存在、って事か……それにしてもよ……」
箒「なんという事だ……その織斑正昌という奴は、どこまで腐った脳をしているのだ……」
カンナ「ふざけています……身内や仲間に対して、そんな事が当たり前のように出来るなんて……!」
椿の説明を聞いて、三人は怒りを抑えられずにいた。
牙也「はぁ……俺達の世界にもそれくらい脳が腐った奴がいたが、織斑正昌も相当だな……今になって、もう数発殴りたくなってきた」
椿「同情しろとは言わん。いや、して欲しくもない」
牙也「と言われてもねぇ……」
箒「牙也……」
セシリア「何か事情でも?」
三人の顔が曇る。気になったのか、セシリアが聞いてきた。
カンナ「牙也様も、同じような目に遭われているのです。死亡には至りませんでしたが……」
椿「お前の言う、『織斑正昌と同じくらい脳の腐った奴』によってか?」
牙也「ああ……自分の名声の為なら何でもやるような奴でな」
セシリア「どこの世界にも、同じような人間がいるのですわね……」
箒「今考えるとゾッとするな……あの夢が、まさかお前の……この世界の私の記憶だったとは……」
椿「お前……見たのか?私に何が起きたのかを、全て」
箒「全てではないが、気絶している間に断片的にはな」
椿「そうか……とにかく私とセシリアは逆行し、私は武神スサノオの力を手に入れ、亡国企業に入った、という事だ」
セシリア「私はつい最近、亡国企業に入りました。箒さんと同じように逆行して、冥王イザナミの力を手に入れて……」
牙也「大変、なんて言葉じゃ片付けられないな……あまりにも身勝手で、残酷で……」
カンナ「許せません……!彼は一体、人の命を何だと思っているのでしょうか……!」
箒「少なくとも、踏み台程度にしか見えていないという事だけは理解したぞ」
頭の痛みを感じながら、三人は怒りを通り越して呆れ果てていた。
椿「私達の事はこれで全て話した。次はお前達の番だ」
牙也「ああ。まずは俺達の世界について話そうか……」
今度は牙也が自分達や自分達の世界について説明した。
椿「ヘルヘイムの森、そこから現れるインベスという怪物、そしてそれら全ての元凶たる自分自身……お前達の世界も大概だな」
セシリア「さぞお辛かったでしょうね……」
牙也「全部ガキの頃の事で記憶の中にこれっぽっちも無かった事だから、本当にな。知った時はガチで大泣きしたよ、本当に気が狂いそうだった」グッ
箒「牙也……」ギュッ
苦しそうに胸を抑える牙也を、箒が優しく抱き締める。
牙也「ん、大丈夫だ。大丈夫……」
??「箒ちゃ~ん、束さんが遊びにkーー」ガチャッ
するとそこに、束が入って来た。いつも通りのテンションで入って来た束だが、部屋にいるメンバーを見て顔色が変わった。そして、
ガバッ
椿「うわっ!?」
箒「ひゃっ!?」
牙也から箒を引き剥がして脇に抱え込んだ。
束「お前、誰?箒ちゃんに気安く触って……ぶっ飛ばすよ?」ギロッ
牙也「……うん、流石のシスコン。平常運転だな」
カンナ「というより、箒様がお二人おられる事は疑問に思わないのでしょうか……」
束「え、箒ちゃんが二人?いやいや、そんなわけないって~」
カンナ「いえ、良くご覧になって下さい、ご自分の脇に抱えてらっしゃる箒様のお顔と、そちらにいらっしゃる椿様のお顔を」
カンナにそう言われて、束が脇に抱えた箒と隣にいる椿の顔を見ると、
束「え?ちょ、どういう事なの?箒ちゃんが二人なんて……ど、どっちが私の知ってる箒ちゃんなの?」
箒が二人もいる事に混乱し始めた。
椿「姉さん、本物は私の方だ……そっちも確かに私だが」
束「え、どういう事なの?」
箒「今から説明します」
~説明中~
束「へえ~、別世界から……それでお前、箒ちゃんに迷惑かけてないよな?」
椿「迷惑などかけられていないですよ。むしろ私達の方が迷惑かけてますから」
箒「同じくです。牙也には迷惑かけてばかりなので……」
束「それなら良いけど……」
牙也「理解して下さって何よりです」
うわああああああ!!
椿「叫び声……外からだな」
セシリア「何かあったのでしょうか?」
牙也「とにかく行ってみよう」
牙也達は叫び声の聞こえた場所へ急いだ。
牙也達がビルの外に出た時、そこはーー
牙也「野郎……!異世界にまでけしかけて来やがったのか……!」
応戦してきた亡国企業の兵士達を次々と襲う大量の下級インベスであった。スコール達も一緒に応戦しているが、形勢は圧倒的に不利であった。
箒「牙也、これは……!」
牙也「俺達の動きはあいつに筒抜けらしいな……やれやれ、今後も他の世界に迷惑をかけそうだ……」
椿「……つまりあれが、お前達が言っていたインベスと言う怪物か」
牙也「その通りだ。すまん、俺達の世界の問題にお前達まで巻き込んじまったみたいだ」
セシリア「全く、良い迷惑ですわ……ところで、あのインベスとやらはどれくらいの強さですの?」
箒「昆虫で言う幼虫のようなものだからな、大して強くはない。戦い方次第ではすぐに片付けられるだろう」
牙也「問題は、インベスを呼び出すあの裂け目だ」
牙也は空にいくつも開いたクラックを指差す。クラックからは次々とインベスが溢れだしていた。
牙也「俺は全部のクラックを破壊する、箒達である程度インベスを片しておいてくれ」
束「一人で大丈夫なの?」
牙也「問題ありません。俺にはこれがありますから」
そう言って牙也はガシャコンバグヴァイザーを取り出した。
牙也「……覚醒」
《Infection! Let's Game! Mad Game! Blood Game! What's Your Name!? The OverLoad!!》
Aボタンを押して持ち手にセットし、オーバーロードに変身する。
セシリア「っ!貴方、その姿……!」
牙也「これが俺自身だ。さて……さっさと終わらせるぞ」
椿「お前に命令されるまでもない……とっとと片付けるぞ」
箒・セ『ああ(はい)』
コラボは次で終わる予定です。