IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 『人と化物は同じ存在』

 そうだと言う証明は出来ないであろうが、そうだと言えない証明もまた出来ないであろうものだ。私達は一体何なのかーーいずれ分かる時は来る。




コラボ5 抜錨!Build Up Fleet Girl's (11)

 

 牙也「ぜやあっ!」ブンッ

 ヲ級「フン!」ガキンッ

 

 牙也が飛び掛かって振るったセイヴァーアローがヲ級の持つ杖を捉える。その勢いで牙也は左足で膝蹴りを入れるが、ヲ級はそれを素手で掴んで防ぐ。やむを得ず右足でヲ級を踏み台にして後方に宙返りして距離を取る。

 

 影徳「そこっ!」

 惣輔「そらっ!」

 

 それを壁にして、影徳と惣輔がトランスチームガンで弾をばら蒔いて牽制する。無造作にばら蒔かれた弾が、他の深海棲艦やスマッシュの体を撃ち抜き、ダメージ超過で爆散・撃沈していく。

 

 ヲ級「邪魔ヲスルナッ!」

 川内「邪魔するよっ!」

 

 《分身の術!》

 

 ヲ級「ッ!?」

 

 いつの間に後ろに回り込んでいたのか、川内が『四コマ忍法刀』のトリガーを一回引いて分身の術を発動、五人に分身した。

 

 ヲ級「ナ!?同ジ艦娘ガ五人ダト!?」

 川内『さあ、どれが本物でしょうか!?』

 

 そう言って一斉に複数の川内がヲ級の回りをグルグルと回り始めた。

 

 ヲ級「クッ……調子二乗ルナ!」

 

 ヲ級が杖を振り回すと、川内の分身の内の一人がそれを四コマ忍法刀で受け止め、

 

 川内『せいっ!』

 ヲ級「グワッ!ク、クソッ!」

 

 残りの四人が一斉に攻撃を仕掛け、ヲ級を怯ませた。そこにヲ級を庇うように他の深海棲艦が立ち塞がる。

 

 影徳「お前達の出番は、無い」

 惣輔「早々にご退場願おうか!」

 

 《アイススチーム!》

 

 影徳と惣輔がスチームブレードのバルブを捻ると、ブレード部から冷気が吹き出てきて、深海棲艦達の足元を凍らせた。身動きが取れないところに、二人がスチームブレードを振るって斬り裂く。

 

 リ級「クソッ!何トシテモヲ級ヲカバースルンダ!」

 

 重巡リ級達が魚雷を至近距離から投げ付けるが、

 

 牙也「没収。ついでに沈め」ゴキッ

 リ級「ギャッ!?」

 

 着水する前に牙也が回収し、さらにその魚雷でリ級やその他の深海棲艦を殴打して沈めた。殴打に使用した魚雷は爆発する前にダーツの要領でぶん投げて、駆逐艦をまとめて沈めた。次々と沈んでいく仲間を見ながら、ヲ級は悔しそうな表情を見せる。

 

 ヲ級「クッ……ココハ駆逐艦ト軽巡シカイナイト偵察ノ飛行機カラ聞イテイタガ、マサカコレホドノ実力ヲ持ツ者ヲ有シテイルトハ……!」

 牙也「当てが外れたみたいだな。お前さん達が何の目的で動いているのかは知らねぇが、とっととご退場願おうかねぇ!」ダッ

 

 牙也が接近戦を仕掛けようとしたその時、

 

 

 

 

 ガシッ

 

 

 牙也「うおっ!?なんだ?何かが俺の足をーーっ!?」

 

 

 転けそうになった牙也が足元を見ると、海中からダイバーのような格好の深海棲艦が二体、牙也の足をがっしりと掴んでいた。潜水カ級だ。

 

 牙也「怖っ!?なんだこいつ怖っ!?」

 ヲ級「隙ヲ見セタナ……!暗イ海底ヘ沈メッ!」

 

 その隙を見逃さず、ヲ級は艦載機を向けて爆撃を行った。

 

 影徳「牙也逃げろっ!」

 牙也「無理だ、こいつが引きずり込もうとしてきやがるから動けねぇ!」

 惣輔「くそっ、間に合わない!」

 川内「危ないっ!」バッ

 

 咄嗟に一番近くにいた川内が牙也の前に立ち塞がり、

 

 川内「きゃああああああ!!」

 牙也「川内!?」

 

 牙也を庇って艦載機の一斉爆撃を受けた。爆撃によって川内の装甲はボロボロになり、所謂大破状態になった。

 

 川内「だ、大丈夫、牙也、さん……?」

 牙也「大馬鹿野郎が!お前こそ大丈夫じゃねぇだろうが!」

 ヲ級「余所見シテイル暇ガアルノカ?」

 

 ヲ級はさらに艦載機を向けてくる。

 

 牙也「ちっ、石動!川内を頼む!」

 惣輔「お、おい!お前はどうすんだよ!?」

 牙也「こうすんだよ!」

 

 川内を惣輔に預けた牙也は、自身の足から二体の潜水艦を引き剥がし、艦載機の爆撃の雨に向かって放り投げた。投げられた潜水艦は爆撃の雨に晒されて、あえなく撃沈。二体の潜水艦が盾となって牙也達は爆撃の雨を防ぐ事が出来た。

 

 影徳「くっ、一旦退くぞ!」

 惣輔「多分そろそろ他の皆が別動隊を片付け終わってる筈だぜ」

 牙也「なんとか合流しなきゃな!」

 ヲ級「ソンナ事ハサセン!」

 

 四人の撤退を止める為、ヲ級はさらに艦載機を差し向けてきた。

 

 牙也「意地でも押し通る!」

 

 《ロック・オフ ロック・オン》

 

 《ザクロチャージ!》

 

 セイヴァーアローにザクロロックシードをロックし、セイヴァーアローから矢を放つ。赤黒い矢は一直線に飛んでいき、やがて数百本単位に分裂して次々と艦載機を撃ち落としていく。

 

 牙也「氷室、石動!ここは俺が抑えるから、早くあいつらと合流するんだ!」

 影徳「いや、だが……!」

 牙也「早く行け!川内背負った状態で戦える訳がねぇだろ!」

 惣輔「くっ、最もか……!エイト、退くぞ!」

 影徳「仕方ない……なんとか頼んだぜ!」

 牙也「おうよ、また後でな!」

 

 影徳と惣輔は川内を背負い、急ぎ撤退していった。

 

 牙也「さてと……これでタイマンだ。お前をこれ以上進ませる訳にはいかない。ここで沈んでもらう」

 ヲ級「愚カナ……沈ムノハ貴様ダ!」

 

 ヲ級が杖を振ると、艦載機は牙也を囲うように陣形を整えた。

 

 牙也「はあ……甘いんだよ」

 

 《ブルーベリー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ハッ!ディープザクロアームズ!狂・乱・舞・踏!ハッ!ディープブルーベリーアームズ!冥土道・Dark・Stage!》

 

 牙也はブルーベリーロックシードを使い、『仮面ライダー零 ディープザクロアームズ』にフォームチェンジした。

 

 ヲ級「フン、姿ガ少シ変ワッタダケデ!」

 

 それを鼻で笑い、ヲ級は艦載機を差し向ける。

 

 牙也「と、思うよな?」

 

 《ディープザクロスカッシュ!ディープブルーベリースカッシュ!》

 

 カッティングブレードでロックシードを一回切り、体を縮ませて力を溜める。そして、

 

 

 牙也「はあっ!!」

 

 

 自身を中心とした小爆発を引き起こした。爆風に飲まれて、牙也を囲っていた艦載機は炎が上がり、次々と墜落していく。

 

 牙也「……強さは、別格だ」

 ヲ級「ッ!少シハ骨ガアルノカ。シカシ哀レナ奴等ダナ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 化物ト共二戦ッテイルトモ知ラズ二……」

 

 

 

 

 牙也「あ?」

 

 ヲ級のその言葉に、牙也は顔をしかめた。牙也は自身がオーバーロードである事は話していない。何故このヲ級はそれが分かるのか。

 

 ヲ級「何故分カッタ、トイウヨウナ顔ヲシテイルナ。私ガオ前達人間ガ言ウ化物ナノダカラ、他ノ化物ノ気配クライナラ感知スルノハ容易イモノヨ」

 牙也「ふん……馬鹿ではない事はよく分かったぜ」

 ヲ級「フン、ヨクモマア愚カナ人間共二、貴様ノヨウナ化物ガ手ヲ貸ソウトシタナ」

 牙也「何?」

 

 怪訝そうな顔を見せた牙也に対し、ヲ級は「簡単ナ事ダ」と前置きして答えた。

 

 ヲ級「人間トハ、傲慢デ身勝手ナ生キ物ヨ。タダ己ノ利益ノ為二物ヲ作リ、ソシテ使エナクナッタトナレバスグサマ捨テル。ソシテソノママ放置。人間トハ、愚カナ生キ物ヨ。ソレガ、ソノ身勝手デスグニ新シキ物ニ目移リシ古キ物ヲ見ナクナルトイウ哀レナ心ガ、我等ヲ生ミ出シタトモ知ラズ二ナ……人間ノ世界二オイテハ、我等ハ人間ノ手二ヨッテ沈ンダ人間ヲ乗セタ舟ノ怨念ガ集マッテ生マレタト言ッテイルヨウダガ、アナガチ間違ッテハイナイナ、ククク……」

 牙也「積年の恨みって奴か……随分口がベラベラと回るもんだな」

 ヲ級「フン。デハ、貴様ハ何故人間二味方スル?貴様ノヨウナ化物ガ人間二手ヲ貸ス道理ハアルマイ」

 

 牙也「そうさな……可能性に賭けてみた、って所かな」

 ヲ級「可能性ダト?」

 牙也「ああ。確かにお前の言う通り、人ってのは身勝手で馬鹿みたいな生き物さ。けど人ってのはな、そうやって自分達の身勝手さに目を瞑ってばかりじゃない。いずれは今みたいに現実を……自分達の身勝手さを直視しなきゃいけない時が必ず来る。その度に、人は変わってきた。同じ身勝手さに呑まれないように……俺は、そうやって変わっていく人の可能性に賭けてみたんだよ」

 ヲ級「可能性、カ……クク……ククク……ハーッハッハッハッハッ!!」

 牙也「何がおかしい?」

 

 ヲ級「何ガオカシイダト?コレガ笑ワズニイラレルモノカ!ソウヤッテ幾年モ時ハ過ギテイッタ。ガ、果タシテ人間トイウ存在ガ変ワッタトイウノカ!?ドレダケ月日ガ経トウトモ、人間は変ワッテイナイ!イヤ、変ワル訳ガナイ!イツモイツモ、同ジ事ノ繰リ返シダ!一度酷イ目二遭ッタトシテモ、イズレハソノ恐怖ハ忘レ去ラレテシマウ。人間トハ忘レル生キ物ダ。ソレガ何故貴様ニハ分カラナイ!?」

 牙也「だから、自分達が人を痛い目に遭わせて、意地でも分からせてやる、ってか?」

 ヲ級「ソウダ。ソウスレバ人間ハハッキリト理解スルダロウ、己ガ目ヲ反ラシテキタ現実ヲ、己ガ犯シタ罪ヲ!ナントシテモ分カラセテヤル、人間トハドレダケ愚カナ生キ物カ、ソシテーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「……なんだ、お前達こそ全く変わってないじゃないか。むしろお前達の言う人間そっくりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヲ級「……何?」

 

 ヲ級には訳が分からなかった。突然牙也が言い放った言葉の意味が。しかし構わず牙也は続ける。

 

 牙也「そうやって自分達に積もった恨みのままに行動してるところとか、武力によって世間に訴えかけるところとか。お前は知らねぇとは思うが、もろにお前達の言う人間がやってる事そのものだぜ?この事をそっくりだと言わないで何て言うんだよ?」

 ヲ級「フザケルナ!我等ヲアンナ下等生物ト一緒ニスルナ!ソンナ下ラナイ事デーー」

 牙也「舟ってのはな、事故とか敵の攻撃による撃沈が付き物だ。それに舟ってのは人が動かすもんだ、撃沈とかの時に一緒に沈んでいった人だって沢山いた筈だ。沈んだ舟の怨念だって言うのなら、人を乗せた経験のあるお前達に少しくらい人に似通った面があっても別におかしくはあるまい」

 

 

 

 

 

 

 ヲ級「違ウ……!我等ハ、人間等ト言ウ存在トハ違ウノダッ!!」

 

 

 

 

 

 ヲ級の指示によって艦載機の爆撃が牙也を襲う。爆弾が次々と牙也の真上から降り注ぎ、大爆発を起こした。

 

 ヲ級「フザケルナ……!我等ハ人間トハ違ウ……絶対二違ウノダ……!」

 

 それを見ながら、ヲ級は肩で息をしながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 《Infection!Let's Game!Mad Game!Blood Game!What's Your Name!? The OverLoad!》

 

 

 

 

 

 

 ヲ級「ッ!?」

 

 電子音声に気付き、未だ爆撃による煙が立つ場所を見ると、

 

 牙也「いってぇなぁ……その無駄にデカイ頭、粉々に砕いてやろうか」

 

 煙を掻き分け、オーバーロードとなった牙也が姿を現した。

 

 

 





 次回もお楽しみに。コラボを希望される作者の方、まだまだ募集してますので、宜しくお願いします。


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