ボクのモンハン見聞録!〜ただそれだけの、物語〜 作:リア充撲滅委員会北関東支部筆頭書記官
読み飛ばしても意外と話が繋がるようになっています。
でわどうぞ。
……否!!
心の底から叫んだ。
いや、心よりも更に奥深く、根強い、『魂の底』とでも言うべき場所から、その叫びは溢れんばかりに飛び出したのだ。
それは即ち、生き物であるならば当然持つべき生存欲求というもの…。
【それが望んだ結末か?】
正直に言えば、ボクはボクの望む結末がどんなものなのか、現時点では皆目検討もつかない。今のボクは目の前の事に精一杯で、とても未来のことを考えるほどの余裕を持っていないからだ。
だが、
確かにそれを取ればひょっとしたら苦しむことは無くなるのかも知れない。無力感や悔しさを抱くことも無いのかもしれない。
そうだよ。ボクはこの世界にさしたる執着や思い入れがある訳でもなく、記憶も無いがために、その他の欲望だって希薄だ。ならばこんなにも苦しむ必要は無いのではないか?逃げていいのではないか?そんな思考も何処からともなく湧いて来たりもする。
だが、何かが違う。何かが違うのだと魂が叫び続ける。
この世界の命の価値は軽い。皆当たり前のように生まれ、当たり前のように死んでいく。って、語れるほどボクはこの世界にいる訳ではない…まだ半日も経っていないから……のだが、それだけは確信している。
だがしかし……いや、あるいはだからこそ、命というのはただそれだけで何より変えがたい奇跡なのだ。
幾星霜の年月と、途方も無い因果と、果てしない確率の果てに生まれた、ただ一つの奇跡なのだ。
だから、ボクもそれに向き合おうと思う。
生きるという行為に、逃げたり、目を背けたりする事なく、生き抜こうと思う。
この荒々しく、眩しく、美しく、残酷な世界を。
–––––––
と、言ったはいいものの……。
まず、ここからどうやって出るんだろう?
さっきから何の変化も無いんだけど、この空間。
いや、こういうのってさ、王道だとするなら主人公が何かしら決意すると崩れ落ちて元に戻るような仕様というかギミックというか、とにかくそんな感じのものがあるじゃん。
いや、そんなもの微塵の期待もしてないけどね。だってこの世界だし、ボクだし。
うん、でもさ。
相変わらず、視界…と呼んでいいのかもわからないそれは、限りない黒に閉ざされている。音などあろうはずもない。手足の感覚さえもなく、生きているという実感さえ希薄で、自分の命の鼓動さえも感じられない。
にも関わらず、何ら抗う術を持たないボクの身に、業苦の如き苦痛は延々と襲いかかってくる。
このままここで発狂エンドとかは一番やだよ?
悲鳴を出すこともできぬ身の上故、苦痛に呻いたり嘆いたりすることも無いのだが、人間というのは…というか生き物というのは悲鳴を出すことで痛みを和らげるという性質がある。つまり、何もできぬままただ苦痛だけが襲い来る現状は、精神的にかなり辛い。
…さっきまでのボク凄いな。こんな環境を故郷のように感じてしまうなんて…一種洗脳じみたものを感じるよ。
あ、洗脳といえば、ボクには五つも転生特典があるんだったね。そのうちのどれかが鍵になるのかな?
まず、そもそもこの状況になった原因が、たしか「処女の涙」の中の「諦観の涙」というものだったはずだ。それが一体どういう能力なのか…それさえ分かれば解決の糸口は見えて来ると思う。
…ただ、肝心の「処女の涙」という能力そのものが、最悪レベルに理解不能なんだよなぁ。
確か、「悔恨の涙」が時間を巻き戻す能力だっけ?
それが「諦観の涙」とどういう関係性があるのか…同列の能力なのだから何かしらの共通性はあるはずだ。
両者の共通性といえば、一つはっきりしているのは「発動条件が狂ってる」ことだろう。「悔恨の涙」なんか死ぬほどの後悔じゃないと発動しないし、「諦観の涙」に至っては恐らく心が折れかけてないと発動しない。
……ちょっと待って、ボクまだこの世界に来て半日も経って無いんだけど?それでどうして上二つの条件を満たせちゃってるのよ?
…なんて愚痴を言っても仕方が無いんだけど。
えーっと……他に共通性は…。
そもそも、今の状況とはなんなのだろう?完全に視界が暗転していて、音もなければ自分の感覚さえも無い。
そもそも、ブルファンゴにド突かれて死なないのは何故か?…ブルファンゴが止まっているから?
光が止まっているから目も見えなくて、空気の振動が止まっているから音もしない、電気信号も止まっているから感覚も無いし、鼓動も呼吸も無い。
…つまり、「精神以外の時間が止まっている」?
……そう考えるのが妥当そうだ。生憎、今のボクにはそれ以外の選択肢は思い浮かばない。
もしそうだとするならば、「処女の涙」の能力は、ズバリ「時間に関する能力」である。発動条件さえもう少しマトモだったら、さぞかし有用な能力だったことだろう。寧ろだからこそ発動条件があそこまで酷いのか…。
いや、あるだけでも十分すぎる程の甘え能力なんだけどね。
さて、もし時間が止まっているとするならば、脱出するためにはどうしたらいいか?
当然「破っ!!」なんてやってこの空間をぶち壊すことなどいろいろな意味でできようはずもない。
精神以外の時間が止まっているというのが本当に正しいのかという確証はないが、現状、この空間で自由に動かすことができるのは意思だけである。であるならば、この世界の脱出の鍵にはかならず意思が関わっているはずだ。
そうだ、せっかくなので、これまで色々とあって思考を裂く暇さえ無かったがために、あまりしっかりと確認できていない転生特典をもう一度よく調べて見よう。
自分の能力を知っておいて損は無いし、なによりも脱出の糸口が掴めるかもしれない。
問題は、その内容がろくなものじゃないということなんだけど……、まあ、それは今更だから気にならない。
さあ、能力詳細確認!
「
※対象の記憶、姿、存在を奪う能力。その者の生涯、そして命の尊厳をも犯す。嗚呼、罪深いナ。
・記憶を奪う。対象の記憶を知識として奪い取ることができる。ただし、この能力では蓄積された経験などは奪うことができない。発動条件は対象の頭に触れながら目を合わせる、脳を喰らう、そして接吻の三つである。
・姿を奪う。対象の姿を奪いそれに変身することができる。ただし、変身後は変身解除以外の転生特典は使用できず、変身対象がもつ能力にも一部制限がかかる。発動条件は対象の殺害、捕食、そして接吻の三つである。
・存在を奪う。存在を奪うと、例えば国王の存在を奪えば、その瞬間から使用者がその国の国王となる。誰もそのことに違和感を抱くことはない。人が変わっていることにすら気付かない。なお、奪われた者は誰にもその存在を思い出されなくなる。発動条件は対象の捕食、心臓を撫でる、そして接吻の三つである。
既に後悔し始めてるけど…。
チュー好きだなこの能力。
「
※相手の頭に触れることで、対象者の思考を操作し、ある程度自分の望んだ動きをさせることができる。ただし、命令の強制力を高めると副作用として頭痛が襲いかかる。醜き傀儡共は、意思を棄て、愚かなる奴隷と成り下がる。
相手が嫌がることだとそれだけ副作用は大きくなり、逆に相手が望んでいることならば副作用は小さくて済む。
一度でも数秒程度頭に触れれば操作可能。ただし、頭に直接触れて操作する場合よりも副作用が大きい。
頭痛の大きさP=強制力1/2c^2×絶対距離m
副作用さえ気にしないのならば理論上は星の裏側からでも操作は可能。ただしその場合即座に脳が沸騰する。
攻略法は意外と多いので、人間に対して用いる際はあらかじめ心理学的マインドコントロールを施してから使った方が良い。
転生特典の中では珍しく、能力進化以外で鍛えることができる。
マイナス効果が高いんだよこの能力。その分有用なんだけどさ。
そしてちゃっかり「能力進化」とかいう気になる単語が差し込まれているクオリティ。
「
※身体の一部をエネルギーを代償に好きな姿に改変できる。禁断の秘術によって生み出されし怪物は、虚ろにこそただ生きる。
主に自らの生命力を代償として、好きな物質や器官を作り出す能力。生命力を消費するという関係上、過度使用の代償は命となる。
基本的に自分の体組織と懸け離れた物を生み出そうとするほど、また、より多くの物を生み出そうとするほど、その代償は大きくなる。生物の器官などならば比較的低コストに、複雑な合金などならば代償は非常に大きくなる。
……使わなくて良かった。
これ絶対危ないやつだ。「もうやめろ!それ以上変質したらお前は……っ!」とかなるやつだよ。
「
※幾千もの骸と怨嗟を封じし朱き肉壺。恒久とも思えし時を超え、数多の影は、数多の御魂は、ここに歿す。
無生物、死骸、小型生物などの材料を入れ、自由に改造する能力。
材料さえあれば道具、武器、素材、自律行動死体、生物部位などを作り出すことができる。材料無ければただの壊れない壺。
生物の死骸はほぼ無条件に入れることができる。無生物ならば自身が持ち上げられる程度の大きさで、なおかつ使用者の血がついていれば可能。生物であれば、壺の入口より小さく、尚且つ使用者の血がついていれば可能。
収納量に限界は存在しない。使用者が存在している限りは決して壊れることはない。
多分これは、モンスターを倒して素材を手に入れ、その素材を使って強くなっていくっていう、モンスターハンターのゲーム性そのものをテーマにした能力……なのかな?だといいなぁ。
取り敢えず、転生特典の中では一番マトモだ。
そして最後に、ボクがこの状況に陥っている最大の原因にして、最凶災厄の能力である確率が高い…
「
※貴方が涙を流す時、世界は動き出し、
貴方が真の涙を流す時、全ては…解放される。
運命規律を超越せし◆◆◆の権能。「調和を乱す者」として存在し、◆◆を以って拒絶されて然るべき「FANT」に干渉する。
ほら見ろ、能力に関する説明が何も無いよ。
というかさ、ボクがやたらと苦難に襲われている原因が、この能力にある気がしてならないんだ。こう……世界に拒否されてるみたいな?
そうだね。ボクの持つ転生特典がやたらとファンタジックなせいで、リアルを旨とするモンハン世界に拒絶反応を起こされているとか、ありそうじゃない?
まあ、冗談だけど。
さて、転生特典は確認し終わったけど…相変わらず脱出の糸口は掴めないなぁ…。こんな時こそあの声が助けてくれるものなんじゃないの?ねぇ?なんとか言ったらどうだ!
なんて……答えるわけ、
【これから始まる物語は?】
あった。
しかし、言っていることの意味がよくわからない。これから始まる物語?
【これから始まる物語は?】
……。まさか、アレ?
それがキーになるの?
わからないけど、試してみるか。
–––––––アウィラ・タゴノ・モゥラミジャ・ハラヘットンナ
瞬間、暗黒に一筋のヒビ割れが生まれた。
物語が〜進まないルルル〜♪
超スロー展開にも限度がある気がしてきた。
それでも少しずつお気に入り登録してくれている人が増えている。それを原動力に頑張るぜよ。
因みに今のところこの小説、10話以上連載しているモンハン小説の中で、文字数と通算UAとの比率が多分一番低い可能性が微レ存。全然人気無いぜ!!
どうしたら皆んなあんな文才を得られるのだろうか?(そもそも需要と供給から学び直せと何度ry)