ボクのモンハン見聞録!〜ただそれだけの、物語〜 作:リア充撲滅委員会北関東支部筆頭書記官
懐かしのあのモンスター、登場!
ほら、やっぱりボクは運が良かった。
かなり運任せだったが、結果的にはエリア10の上空をうまく通過することに成功し、そこからアオキノコに変身することによって落下。水の上に落ちたものの無事エリア10に辿り着くことができた。
ただし、地味に溺れかけた。
……全然無事じゃないのはご愛嬌。
人間の姿に戻り、水の上から陸上まで這い上がる。何故かローブはボクの手元に戻っていた。
陸に上がると、ローブを羽織り直し、周囲の安全を確認する。…ちなみにローブはついさっきまで水の中にあったのに濡れていなかった。
リオレイアの攻撃には耐えるし、何より一番の謎はこのローブの正体だね……。
「へ、ヘグチッ!」
はあ、思ったよりも水温が冷たくて、体が冷えてしまった。まあ、ここは温暖な気候だし、さしたる問題では無いんだろうけど。
ローブを深めに羽織り直して、寒さを堪える。
「森丘」エリア10は、鬱蒼と生い茂る木々と、広い水場、そしてエリア中に点在する身を覆い隠す茂みが特徴のエリアだ。
ゲームだと視界が遮られるだけだったが、こうして実際に来てみると枝が引っかかって進むのさえ難しい。というか痛い。
大型モンスターもしっかり登場するけど、そこまでの頻度ではなく、エリア2、3、4、5に比べればその危険性は非常に低い。
ただ、万が一もしここで大型モンスターに遭遇した場合、中心付近以外は視界は遮られるわ動きは制限されるわで散々な目にあうことも多い。
まあ、今回は流石に大丈夫だろう。
そう何度も何度もモンスターに襲われるようなものでもない。もしそうだったらボクの運の値は-53万になってしまう。
そもそも、森丘というのは他のフィールドに比べればモンスターの数は多くない。ポンポンとモンスターに会えるようなことは無いのだ。無いよね?
エリア10を見回す。
……地形的にエリア11はあっちか。
水場や木の位置からエリア10のマップを思い出し、エリア11の位置を割り出す。そこまで遠くは無かったので、ボクは小走りに其方へと駆け出した。
ヴヴヴヴヴヴヴヴ↑
………。
しかし、そんなボクの目の前に、一匹の人よりも大きい虫が立ちはだかる。言わずと知れたランゴスタだ。
……ボクはそんなに虫は苦手ではない。好き好んで触ったりはしないが、視界に入れるだけで悲鳴をあげるような可愛らしい精神はしていない。
だけど、これはだめだ。
人間よりデカいランゴスタは流石に無理だ。
本物の蜂や蟻のようにスタイリッシュでメタリックなデザインの虫なら、或いは人間よりデカくても問題ない。多分アルセルタスを見たって普通に大丈夫だと思う。
カンタロスは許せるデザインしてるし、ブナハブラだってそこまでではない。オルタロスは若干キモイが、それでも大丈夫だ。
近年のモンハンに出現する虫系モンスターは寧ろカッコイイデザインが主流。セルタス鬼畜夫婦や虫ではないけどネルスキュラ、ラスボスにまで成り上がったアトラル・カなんかはむしろ秀逸なデザインをしていると言っていい。
クンチュウちゃんはかわええから許せる。(狂人)
大雷光虫?アレは別にいいだろ。
でも、ランゴスタは……ランゴスタだけはキツイんだ!
本当に!マジで!!
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ↑↑
「ひにゃぁぁぁあああ!?!?」
羽を震わせて迫ってくるランゴスタに、ボクはモンハン世界に来て恐らく初めての悲鳴を上げ、クルッと180度回転して逃げ出した。すげぇ!ランゴスタ!
ランポスでもドスランポスでもリオレウスでもリオレイアでも悲鳴を上げなかったボクに悲鳴を上げさせたな!
しかし、ランゴスタはボクの賞賛のセリフを羽音で受け流し、一直線に逃げるボクを一直線に追いかけた。虫に無視されたよ畜生!
余裕は無いよ?たださ、人間の緊張って長続きしないんだ。この辺で茶々を入れておかないと鬱になりそうで…。
はあ、なんでボクがこんな目に……おっといかんいかん。ポジティブに考えるんだ………………こんな死にかける(或いはほぼ死ぬ)ような貴重な体験を連続で経験できるなんて、滅多に無いことだぞ!(苦し紛れ)
ランゴスタの飛行速度は、実を言えば人間よりずっと速い。
ボクがどんなに必死で逃げても、ボクとランゴスタとの距離は縮まる一方だ。
「はっ!!」
しかし、ボクも何も無策に逃げていたわけではない。
掛け声と共に跳び上がると、横に伸びた木の枝に両手で掴まり、走った勢いのまま木の枝を回転の軸にして鉄棒のように回り、ボクを追っていたランゴスタの背後に回ってその背中を思いっきり蹴り付けた。
体の軽いランゴスタは、蹴り飛ばされて吹き飛び、茂みの中に落下する。ボクは木の枝から宙返りをするように降りて着地し、前のめりに倒れそうになる勢いをそのまま速度に変換して走り、「
やはりランゴスタの甲殻は固く、二段階劣化のドスバイトダガーでは中々上手く刺さらなかったが、甲殻の隙間に差し込むように刃を入れ、切り裂くと、嫌な感触が「焦げたドスバイトダガー(劣化型)」から自分の手に伝わり、それと同時にランゴスタは緑色の体液を吹き出したまま動かなくなっていった。
……いや、正確には絶命させた後もまだしばらくの間はピクピクと足が動いているのだが……。
この世界に来て初めてこの手で生き物を殺したが、特に感慨も達成感も抱かなかった。
あるのは、ただ淡々とした義務感のみ。
相手が虫であるというのもあるが、それにしたってもう少し感想があっても良いはずだ。まあ、恐怖や混乱に固まる事がないというのは、有難い話ではあるのだが。
ボクは「焦げたドスバイトダガー(劣化型)」と、ランゴスタの死体を「
……え?
ランゴスタのことが苦手なんじゃ無かったのかって?
うん。苦手だよ。だから殺す。
不快なものは自分から積極的に片付けないといつまでも無くならないんだよ?汚物は消毒だよ?
その理論はおかしいって?
そんなことないよ。
さて、気を取り直して、エリア11に行くとしよう。
そう思い、踵を返したその瞬間。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ↑↑
ヴヴヴヴヴヴヴヴ↑↑
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ↑
ヴォヴォヴォヴォヴォヴァヴォヴォヴォ↓↓
一匹のランゴスタを討伐し、ようやくエリア11に向かえると嬉々として立ち上がったボクの視界に入ったのは、五匹の通常ランゴスタよりも一回り大きいランゴスタと、その中心に護られるように飛ぶ、イャンクックサイズの超巨大ランゴスタだった。
…つまり、さっきのランゴスタは斥候に過ぎないと…。
特徴的な異常に肥大化した腹部。
蝶のように美しく、虹色に輝く大きな翅。
まるで、我こそは統治者であると示すかのような、冠のような形状の胸郭。
………。
いや、ちょっとまって、タンマ。
おかしい。明らかにおかしい。
まさか…!
おい、まさかだよな!?
アイツか……!ここでアイツなのか…!?
いや、なんというか…運営にも忘れられて、最近は出番がないせいか……その存在をそもそも今日の今日まで忘れていたというか…脳が覚えるのを本能的に拒否していたというか……いや、というかそんな奴出すなよ。
ここ「森丘」ですよ?
貴女の出ていい場所と違いますよ?せっかくモンハンダブルクロスでテロス密林が復活したんですから、世界観護ってそちらに引っ込んでいてくださいよ?
重々しい羽音を立てて降臨したのは、高貴なる女王。
その羽は美しく七色に輝き、金色に光る刺々しい胸殻は、王冠のごとく女王の風格を引き立てる。
二度と視界に入れたくないモンスターランキング、及び、デザインが醜逸なモンスターランキングの上位に位置する、甲虫種最古の大型モンスター。
普段は巣の中に引きこもり、その目撃例は極めて稀。
ごく偶に、配下のランゴスタが何者かによって極端にその数を減らされた時にのみ外出し、そのときは巣の中で待機する無数のランゴスタと数匹の親衛隊を引き連れ、それらを操って戦局を抑える、ランゴスタの統治者。
…ある者は言った。「女王なんて名前に騙されるんじゃなかったです!!」………と。
…またある者は言った。「動きをよく観察して行動を読むんだ。…俺は無理だったがな。うぷっ……。」………と。
かつて、多くのハンターの記憶に恐怖と嫌悪の象徴としてその名を深々と刻み込んだ、女王の名を冠する、その気高き統治者の名は……!
"女王虫、クイーンランゴスタ"っ!!
ボクの最大レベルの天敵が、その姿を現した。
クイーンランゴスタを知らないという人は検索検索ぅ!
(虫が苦手な方は誤って画像を見ないようくれぐれもご注意ください。)