機動戦艦ナデシコ コハクのモノガタリ   作:ただの名のないジャンプファン

51 / 61
原作では銀河交差がおこり、ガルマン・ガミラス、ボラー連邦は滅び、ディンギル軍が襲来しますが、この作品のヤマトの世界では銀河交差は起こらず、地球連邦政府はガルマン・ガミラスと同盟を組んでいます。

また、ヤマトⅲにて、すでにケンタウルス座のα星は開拓がはじまっていましたが、同じくこの世界のヤマトの世界では、まだ開拓が始まっていない設定です。


第50話

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤマトが七色星団でクーギスの艦隊と戦っている最中、太陽系でも大きな戦いが行われていた。

山南司令率いる防衛軍主力がついに十一番惑星宙域へと進出したのだ。

まず山南司令は戦う前に十一番惑星に立て篭もる残党軍に対し降伏勧告を出したが、返答は拒否であった。

残党軍は残された最後の艦隊を出撃させ防衛軍に戦いを挑んできた。

 

残党軍 アポカリクス級空母 スコットル提督side

 

「全艦戦闘配備!」

 

旗艦である大型回転空母を後方に置き、全面に駆逐艦、戦艦を展開させ攻撃態勢をとる残党軍。

 

「艦載機発進!」

 

飛行甲板からデスバテーター攻撃機とイーターⅡ戦闘機が発艦し、先制攻撃をしかける。

 

 

防衛軍 臨時旗艦 戦艦 ネメシス

 

空母から飛び立った艦載機をネメシスのレーダーが捉えた。

 

「敵機大編隊接近!」

 

「司令、我が方も艦載機で迎撃しますか?」

 

副官が山南にまず艦載機戦を行うか聞く。

 

「いや、このまま当初の作戦通りでよい」

 

「了解しました。戦艦部隊はそのまま後方で待機、巡洋艦・駆逐艦部隊は密集隊形をとり、我に続け!」

 

ネメシスを先頭に速度の速い巡洋艦と駆逐艦が続く。

進撃してきた防衛軍に残党軍の艦載機が襲い掛かるが、所詮一隻の空母から発進した艦載機数ではたいした戦果を挙げられるはずもなく、防衛軍の激しい対空砲火に次々と打ち落とされていく。

 

「艦載機部隊、被害甚大!提督このままでは‥‥!」

 

「うろたえるな。地球艦隊はまだ第二次ラインに入らんか?」

 

「待ってください‥‥入りました。地球艦隊第二次戦闘宙域に到達!」

 

「フフフ‥‥思うツボだ。潜宙艦隊攻撃開始」

 

スコットル提督は両翼に展開していた潜宙艦隊に攻撃命令を出した。

潜宙艦は文字通り、潜水艦同様、宇宙を潜る艦である。

原理はワープに利用される空間歪曲を艦体の遮蔽に応用し、異次元空間への潜航が可能な艦であるが、攻撃時には通常空間へ浮上する必要がある。

攻撃の際、通常空間に浮上する必要があるとはいえ、その船体色は宇宙の闇に同化させるような色をしており、奇襲攻撃をより強力なものにしている。

なお、正確な位置がつかみにくいとはいえ、人が作ったモノなので、絶対に見つからないと言うわけではなく、センサー類に反応はする。

 

攻撃命令を受けた潜宙艦隊はまず左翼側から攻撃を開始、小口径ではあるが、正面に搭載されている砲と空間魚雷を進撃する防衛軍に向って発射した。

潜宙艦隊の奇襲を受け、左翼側を航行していた巡洋艦一隻と駆逐艦一隻が撃沈され、巡洋艦一隻が中破、駆逐艦一隻が大破した。

 

「潜宙艦か‥‥全艦、空間照明弾を打ち上げろ!」

 

左舷方向へと幾つもの空間照明弾が打ち上げられ、姿を隠していた潜宙艦の姿が露わとなった。

潜宙艦は照明弾を放たれ、咄嗟に攻撃を止め、回避行動に移る。

回避行動を取る潜宙艦に防衛軍艦艇はショックカノンを放つ。

元々駆逐艦より小型の潜宙艦は防衛軍の駆逐艦のショックカノンの攻撃でさえ、当たり所が悪ければ誘爆して撃沈する有様。

防衛軍が左翼側の潜宙艦に気をとられている中、右翼側に展開している潜宙艦が時間差をおいて攻撃を開始する。

この攻撃で駆逐艦三隻が撃沈された。

右翼側に展開する防衛軍も左翼側と同じように空間照明弾を打ち上げ、潜宙艦の姿を捉え砲撃する。

結果的に潜宙艦隊は壊滅したが、この奇襲攻撃で防衛軍の陣形に混乱が生じた。

この混乱を残党軍は見逃さなかった。

 

「よし、潜宙艦隊の攻撃で敵は乱れているぞ!全艦進撃!敵を踏み潰せ!」

 

スコットル提督が駆逐艦・戦艦部隊に号令をかけ、残党軍は混乱している防衛軍に接近戦を仕掛けてきた。

 

「山南司令、敵艦隊が急速接近してきます!」

 

「全艦反転180度!予定宙域まで敵を引き付けろ!」

 

「了解!」

 

山南の号令の下、防衛軍は転進行動に移った。混乱しかけていた艦隊もネメシスの動きに習って転進する。

 

「地球艦隊転進!」

 

「逃がすな!追え!」

 

残党軍は速度を上げ、防衛軍を追いかける。

 

「司令、まもなく予定地点です!」

 

「よし、全艦に通達!当初の予定通り艦隊を二つに分け、天底方向へ退避」

 

防衛軍は艦隊を二つに分け、上方と下方へと移動する奇妙な行動に出た。

 

突如前方を逃げていた地球艦隊が上と下に逃げる奇妙な行動をとり、残津軍将兵はそれを見て敵は形振り構わずにげているのか、それとも何か罠でもかと思った。

そしてそれは後者であり、自分達の前には敵の戦艦部隊が隊列を組んで待ち構えていた。それも波動砲にエネルギーを溜めて。

 

山南はかつて土星圏で行われた彗星帝国との戦闘で土方が打ち出した戦法をそのまま流用した。

つまり波動砲を搭載している戦艦と空母、巡洋艦をあらかじめ後方で隊列を組ませ、待機させておき、待機中にエネルギーを充填させいつでも波動砲を撃てる状況にさせておいた。

そして足の速い駆逐艦と巡洋艦、そして自らを囮役として敵を波動砲の射程まで誘い込んだのだ。

 

 

防衛軍 第二分隊  戦艦 ひえい

 

「各艦、波動砲発射準備整いました」

 

「味方艦、退避完了!」

 

「撃て!」

 

ひえいを始めとする戦艦部隊が一斉に波動砲を発射する。

 

 

残党軍 アポカリクス級空母 スコットル提督

 

「て、提督、敵の波動砲がぁぁぁぁぁー!!」

 

「バカな、こんな‥‥バカなぁぁぁぁぁぁー!!」

 

防衛軍の波動砲の一斉射撃を受け、回避に成功したのは後方にいた戦艦三隻のみでそれ以外の艦はすべて消滅した。

この戦いでスコットル提督も戦死し、残党軍は最後の主力艦隊を失った。

山南は残存艦に対し、再度降伏勧告を出し残存艦隊は降伏勧告を受諾した。

 

 

第十一番惑星 残党軍基地

 

残党軍基地では先の艦隊戦でこちらが敗北したとの情報が入り、今後どうすべきか、幕僚達が会議を開いていた。

降伏するか?または玉砕か?二者択一の選択だった。

 

「総司令‥残念ですがもはや降伏しかありません‥‥」

 

「‥‥‥」

 

「我々は十分に戦いました。もうこれ以上犠牲を出すわけには‥‥」

 

幕僚達は降伏を進言するが、基地司令キャンメルは、

 

「降伏!?降伏だと!あんな下等な蛮族に頭を下げるだと!イヤだ!私はイヤだ!」

 

キャンメルは半狂乱になりながら降伏を拒否した。

 

「ですが、総司令。戦うにしても我々にはもう戦闘艦がありません。基地の防空設備ではとてもあの艦隊を撃ち落とせません」

 

「それにここには帝国本土から避難してきた大勢の一般市民もいます。彼らのためにもどうか‥‥」

 

「総司令、上空の艦隊より通信です。『地球時間三十分後に返答無き場合は基地及び周辺施設に対し無差別の艦砲射撃を開始する』‥‥どうしますか!?」

 

通信兵が最後通告とも言える通信の内容を幕僚達に伝える。

 

「総司令!」

 

「基地の対空ミサイルを全て発射準備!」

 

「総司令?」

 

「奴らを一人でも多く道連れにしてやる!」

 

「おやめください!!総司令!我々は負けたのです!!ここは屈辱に耐え、生き延びる選択を!!」

 

「だまれ!私は卑怯者になりたくない!彗星帝国の将として一人でも多く道連れにし、華々しく散るのだ!」

 

「っ!?そのためにあなたは非戦闘員まで道連れにするおつもりですか?」

 

「黙れ!この敗北主義者が!」

 

キャンメルは降伏を進言する幕僚の一人に銃を向ける。

そして引き金を引こうとしたとき、別の幕僚がキャンメルに銃を向け、その引き金を引いた。

一発の銃声と共にキャンメルの体はグラリと傾き床に倒れる。

 

「‥‥うっ‥‥て、帝‥‥国‥‥万歳‥‥」

 

残党軍基地司令キャンメルはその言葉を最後に、息を引き取った。

基地司令も艦隊も失った残党軍は山南の降伏勧告を受諾し、ここに白色彗星戦役は終結した。

地球・彗星帝国両陣営で多くの死傷者を出した戦いは終わった。

第十一番惑星基地で行われた降伏調印式は残党軍基地司令部の幕僚と討伐指揮に当たっていた山南司令を含む艦隊司令部幕僚達との間で執り行われた。

彗星帝国本体が滅んでしまったため地球側が提示した条件は戦争責任を問わず、太陽系からの全面撤退及び今後、太陽系に対する永久不可侵など、地球側が被った被害からして、納得のいく条件ではなかったが、疲弊しきっている彗星帝国残党にはこれ以上、何も望めそうになかった。

残津軍側も地球連邦政府からの条件を承諾するしか道はなく調印式は何の問題も混乱もなく無事に終わった。

 

二月上旬、イスカンダルへ旅立ったヤマト以下の艦艇が全艦無事に地球へ帰還した。

ヤマトからの経過報告で、α星、七色星団、イスカンダルで遭遇した敵、暗黒星団帝国の目的は各惑星に存在する高エネルギー資源でその利用目的が侵略のために使用するためのものだとも分かった。

そして問題のイスカンダルの方はガミラスの技術によってマイクロブラックホールを使い軌道を安定させ、資源変換で暗黒星団帝国が欲するエネルギー源ではない物質へと変換した。

イスカンダルの女王スターシアはイスカンダルに残り、地球に帰還したのはスターシアの夫であり、古代の兄、守とスターシアと守との間に生まれた娘、サーシアの二人だった。

帰還したヤマトをはじめとする将兵には一時的な休暇が与えられ、ヤマトはドックで機関部と一部の施設の改修工事が行われた。

今回の改修作業でガミラスの優れた技術のおかげでヤマトは連続ワープが可能となった。そして作業の終わったヤマトは真田をはじめとする一部のヤマト乗員を乗せ、いずこかへと出港していった。

 

それから半年後、アンドロメダ・改級戦艦、春藍が就航した。

春藍就航からすぐにヤマトがイスカンダルで戦った暗黒星団帝国が突如、地球へ襲来した。

太陽系内の防衛軍基地は先兵として地球へ打ち込まれたハイペロン爆弾の影響で無効化された。

地球に打ち込まれたハイペロン爆弾に防衛軍が目を奪われている隙に、暗黒星団帝国は大型輸送艦で地上戦力を投入し、地球連邦政府、防衛軍の重傷拠点施設を次々と制圧していった。

地球の重要拠点である施設が次々と占領されていく中、最後の頼みであった無人艦隊もハイペロン爆弾後に襲来した暗黒星団帝国の艦隊の攻撃の前に全滅した。

たった一晩で地球は暗黒星団帝国の手によって占領されてしまった。

ガミラスにも、そして一度は降伏しかけたガトランティスにも占領されなかった地球が、こうもあっさりと外宇宙からの侵略者に降伏してしまった事は、地球連邦市民は大きなショックを受けた。

しかも暗黒星団帝国が打ち込んだハイペロン爆弾がもし、爆発した場合、ガミラスの遊星爆弾と異なり、地球の自然には一切影響を与えず、地球人類のみを抹殺できるように設定されていた。

地球人類を人質に取られたことで地球連邦政府は暗黒星団帝国に無条件降伏をするしかなかったのだ。

そんな中、密かに地球本土から火星のアステロイドの中に建設されたイカロス天文台に秘匿されていた宇宙戦艦ヤマトは、地球人類を救うため、暗黒星団帝国を目指し星の海へと旅立った。

途中シリウスにおいて、試験航海をしていた春藍率いる第七艦隊も暗黒星団帝国の奇襲に遭ったが、そこをヤマトに救助され、第七艦隊はヤマトと共に暗黒星団帝国本星へと向かった。

 

地球側も暗黒星団帝国に占領されていたとは言え、中には当然、反発する者も居た。

それは防衛軍の軍人だけでなく、警察官、民間人も大勢いた。

その者たちは抵抗組織、パルチザンを組織して、暗黒星団帝国の地球占領軍相手にゲリラ活動をした。

そのパルチザンの指揮をとっていたのが、他ならぬ防衛軍司令長官の藤堂だった。

 

暗黒星団帝国が地球へ襲来し、占領し他のはただたんにヤマトのイスカンダルでの戦いにおける報復だけではなかった。

彼ら、暗黒星団帝国の故郷‥デザリアム星は、科学技術が地球よりも進んだ星で、地球人と比べると高度な生命体であったが、生物としての種としての力は機械のせいで、地球人よりも衰えていた。

新たな生命を誕生させるのもクローン技術で、現存するデザリアム星人は首から上は本物の肉体だが、それ以下は全て機械からなるサイボーグだった。

彼らは種の保存のため、あちこちの星へ戦争を仕掛け、自分たちと適合する体をもつ星を捜していた。

そして、見つけたのが地球だった。

デザリアム星人は地球人の肉体を得るためにこうして地球へ襲来したのだった。

種を後世へ残したい‥‥

それは、生物として当然の本能であったが、彼らのやり方は決して褒められるようなやり方ではなかった。

 

ヤマトと第七艦隊は苦難の末、暗黒星団帝国本星、デザリアム星へとたどり着き、地球でも、打ち込まれたハイペロン爆弾の占領までこぎつけた。

そして、ヤマトはサーシアの活躍もあり、デザリアム星のハイペロン爆弾の起爆装置‥‥デザリアム星自体を破壊し、地球の危機を救った。

デザリアム星崩壊後、サーシアと古代守、大山トチローは雪風・改にて、イスカンダルへと向かった。

地球を占領していた占領軍も自分たちの故郷の崩壊、国家元首の死亡、ヤマトを始めとする生き残った防衛軍艦隊の前に次々と投降し、暗黒星団帝国との戦いは幕を下ろした。

戦後処理では、ガトランティスの残党同様、暗黒星団帝国の生き残りの将兵たちも太陽系からの強制退去となった。

 

地球が暗黒星団帝国と戦っていた中、新たなる故郷となる星を見つけるべく、宇宙を放浪していたデスラー総統率いるガミラス艦隊は銀河系中心部、核恒星部にて、新たな星を見つけた。

その星にはガルマン星人が住んでいた。

このガルマン星人は、デスラーたち、かつての故郷‥ガミラス星人と同じ民族だった。

ガミラスはこのガルマン星からマゼラン星雲へと移民した移民たちが建国した星だった。

しかし、デスラーたちがこのガルマン星へと来た時、ガルマン星は銀河系の半分を支配していたボラー連邦に占領されていた。

ガミラス艦隊は現地でレジスタンス活動をしていたガルマン星人と協力してガルマン星からボラーの勢力を一掃し、ガルマン星を解放。

さらに周辺の星々もガルマン同様にボラーの支配下から解放し、銀河系の中心部にて、一大決戦を行い、これに勝利。

デスラーはその後、ガルマン星をガルマン・ガミラスと名を改め、総統に選ばれた。

 

ガルマン・ガミラス建国後、デスラーは地球へ使者を送り、建国の報告を行った。

その後、地球連邦はガルマン・ガミラスと同盟関係を結んだ。

ガルマン・ガミラスも地球と比べると科学技術が進んだ星であり、地球にはガルマン・ガミラスの技術が数多く取り入れることが出来た。

 

ガルマン・ガミラスと同盟を組んでから幾年が経ち、コハクも成長し、防衛軍の軍人となっていた。

その間、コハクの容姿も美しく成長し、後見人を務める藤堂の下にはコハクの見合い話はかなりの数、持ち込まれた。

しかし、コハクはその見合い話をすべて断っていた。

本人曰く、色々と思う所があるのだとか‥‥

なお、あのヤマトで艦長代理、そして艦長を務めた古代進も同じヤマト乗員の森雪と結婚し、娘が一人いる家庭を築いていた。

 

 

地球がガルマン・ガミラスと同盟を組み、地球の技術もあがると、当然、艦船技術も上がる。

地球を何度も救ってきた宇宙戦艦ヤマトも記念艦として呉に残されて、これまでのヤマトのデータを基に新たにヤマト・改級としてグレート・ヤマトの建造を立案した。

またその他に防衛軍はグレート・ヤマトを建造する前に試験的に波動実験艦ムサシを建造しており、それに伴いヤマト・改級準同型艦の建造も行っていた。

ヤマト・改級準同型艦の建造に関しては、コハクが主任を務めていた。

 

ヤマト・改級準同型艦 (グレート・ヤマト二番艦)、銀河にはAIを搭載させることになり、アンドロメダ型同様、機械による自動管理方式を基本とし、無人艦隊旗艦としての運用も可能なようにAIと連携したワンマンオペレーションシステムを搭載しているが、人の手によるマニュアル操艦も可能な作りになっている。

船体の設計図は他専門の設計士が居るので、コハクは銀河に搭載されるAI製作を担当し、さまざまな情報を駆使しながら連日コンピューター画面とにらめっこする日が続いていた。

AIを製作するにあたってそのAIのシンボルキャラクターをどうするかをコハクは悩んでいた。

コハクは首からかけていたロケットペンダントのフタを開き中の写真を見る。

自分の隣に写っている満面の笑みの銀髪の少女。どこの誰か今の自分には思い出すことが出来ないが、過去の自分にとってこの少女はきっと大切な存在だったに違いない。

 

「‥‥大切な人‥か‥‥」

 

口元にフッとした笑みを浮かべ、コハクは写真を見つつキーボートのキーを打った。

 

こうしてグレート・ヤマトはヤマトの拡大・拡張艦

銀河はムサシの拡大・拡張艦として、それぞれ建造が進められた。

やがて、完成したグレート・ヤマト、銀河はまず、技術者立会いの下、太陽系内を試験航海し、ワープ、射撃、波動砲等の様々なテスト項目を順調にこなしている。

グレート・ヤマトにはかつてのヤマトの乗員たちが乗り込んで、銀河の運用にあたって、必要最低限の人員で試験航海に臨んだ。

グレート・ヤマト、銀河、両艦ともに順調にテスト航海の日程を消化していき、いよいよ最終項目のワンマンオペレーションシステムのみとなった。

その最終試験担当にはAI製作責任者だったコハクが担当することとなり、ドックでコハクは出港準備をしている銀河を不安げに見上げる。

 

「よぉ、緊張しているのか?」

 

背後から声をかけられ振り向くとそこには元ヤマト副長兼技術班班長の真田がいた。

コハクと真田は顔なじみの仲であった。

ガルマン・ガミラスと同盟を組んでから、真田はヤマトを降り、地上勤務となっていた。

その際、コハクと交流を深めていた。

 

「あっ、真田さん」

 

「ん?お前、メガネかけ始めたのか?」

 

「‥‥ええ、最近パソコンの画面とにらめっこしていたら視力が‥‥あと、緊張するのはこの格好がどうも私には不釣合いな感じがして‥‥」

 

コハクは銀河のテスト航海中は眼鏡をかけていなかったが、テスト航海終了後、眼に不自由を感じ、銀縁の眼鏡をかけはじめた。

そして今着ている服はいつも着ている白色の防衛軍本部制服から白いロングコート状の艦長服を着ている。

 

「軍服は体を合わせるものだ。最初は誰でも不釣合いに感じるが、時期に慣れる。いよいよワンマンオペレートテストか‥‥」

 

「ええ‥‥」

 

真田は元々、機械・コンピューター頼りな戦艦を戦艦とは認めず、かつてアンドロメダを「血の一滴も通わないメカニズムの結晶」と言い放った過去がある。

グレート・ヤマトはともかく、銀河についてはもしかしたら、真田は戦艦として認めていないのかもしれないと思っていた。

 

「真田さんはどうしてここに?」

 

「お前さんの見送りにな‥‥」

 

「わざわざ、すみません」

 

「長官ともしばしの別れを済ませたのか?」

 

「ええ、ついさっき」

 

「そうか‥‥それじゃあ気をつけてな‥‥」

 

「はい」

 

二人は互いに握手して別れた。

そしてこれが永遠の別れとなることを今の二人は知る由もなかった。

 

 

轟音をあげて空高く飛び立っていく銀河を真田は暫くの間見上げていた。

地球を飛び立った銀河は火星を少し過ぎた所にあるアステロイドへと向った。

このアステロイドの中には防衛軍が監視用に設置している天文台があった。

ラキシスは天文台にいる職員に必要な物資を渡すため、天文台へと寄った。

岩盤を削って作り上げた簡易ドックへその身を横たえる銀河。

物資の荷降ろし中、天文台の責任者と物資の内容を確認した。

物資を渡し、天文台を出港した銀河は針路をケンタウルス座方面へと向けた。

今回の航海はワンマンオペレーションシステムの試験と平行して惑星探査の任務もおっており、航海をしながら途中発見した惑星に立ち寄り光学測定を行って、有用な金属資源となる鉱物があるか、テラーフォーミングを行えば居住可能かを調査しながら進んだ。

地球を出港してから半月後、銀河はようやくケンタウルス座α星宙域へと到着した。

ケンタウルス座α星はケンタウルス座の恒星であり、太陽系から約4.5光年離れておりケンタウルス座で最も明るい。実視等級は0.01等と明るく、全天で三番目に明るい星である。

三重連星とされてきたが、近年になり四番目の惑星が観測され、今回銀河の探査目標の一つに指定されていた。

第四惑星はテラーフォーミングを行う前の火星のように赤い星で、大きさは土星衛星の一つタイタンとほぼ同じ大きさの星だった。

銀河は第四惑星の軌道上で停止し、探査機器を惑星へと降下させる。

探査機器からの情報をコンピューターで解析し、有用な鉱物資源があるかを探査する。

探査の結果、この星にはオスミウムが豊富にあることがわかった。

オスミウムは原子番号76の元素で白金族元素の一つで地球では貴金属とされている。

加熱すると生じる特有の匂いと耐食性に優れ硬いことが特徴である。

居住に関してもテラーフォーミングを行えばオスミウムの鉱山惑星として活用出来そうなので、コハクは惑星のデータを超光速通信で防衛軍司令部へと転送した。

暫くした後、司令部から『任務ご苦労、予定の航路を経由し、帰還せよ』と帰還命令が下された。

銀河は探査機器を回収し、これから地球に帰還するむねを司令部に伝え、地球への帰路についた。

出港前の航路計画で往路とは違うコースで復路は設定されていた。

そしてその中には銀河にとって始めての大ワープが設定されていた。

ワープ実験は太陽系内での試験航海で体験済みだが、今回は一人でそれを行わなければならず、銀河は緊張と不安で一杯だった。

 

「大丈夫だ。コハク、オレがバッチリサポートしてヤル」

 

そう言ったのは運航サポートロボットの98(キュウパチ)。

 

「ありがとう。キュウパチ‥‥それじゃあいくよ!」

 

「オウ!!」

 

コハクはワープ装置のレバーを引く、周囲に空間歪曲が働き銀河の姿は歪みやがて霧のように消えた。

 

ワープ自体は成功し、後は通常空間へと戻るだけであった。

まもなくワープアウト地点に着こうかというとき、銀河を異常振動が襲った。

 

「な、なに‥‥?」

 

『イレギュラー発生、航行用安全ソウチガ作動』

 

銀河が空間ウィンドウを表示して現状を報告する。

 

「コハク、コノままじゃ、マズイ‥‥強制ワープアウトをしよう‥‥」

 

「だけど大丈夫なの?大ワープ自体始めてなのに強制ワープアウトなんかして‥‥?」

 

「コノ状態が続けバ、艦自体がバラバラにナルかもしれない」

 

「っ!?‥‥分かった。‥‥銀河!キュウパチ!座標を転送するから減速ルートの確保を!」

 

「「了解!!」」

 

銀河は無理矢理通常空間へとワープアウトしたが、その際艦に大きな衝撃が発生し、コハクはシートから飛ばされ、壁に体を強く打ち付けられ床に倒れた。

 

「きゅ、キュウパチ‥‥銀河‥‥現状を‥‥報告‥‥」

 

頭から血を流し、薄れゆく意識の中、艦がどうなったのかを聞くコハク。

 

『通常空間を確認、ワープアウト成功』

 

「そ、そう‥‥よ、よかった‥‥」

 

銀河からの報告を聞き、コハクは意識を失った。

 

 

 

・・・・続く

 

 

 






ヤマト・改級準同型艦 (グレート・ヤマト二番艦)の艦影はヤマト2202の最終決戦仕様のヤマトの艦橋を波動砲実験艦銀河の艦橋に変えた感じをイメージしてください。

コハクの制服は宇宙戦艦ヤマト 復活編 にて、古代雪 (森雪)が来ていたベージュの艦長服を白くした軍服をイメージしてください。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。