それは、一人の剣士の物語。
人々の想いを力に変える聖剣を手にした彼女は、その想いに答えて悪逆の獣へと闘いを挑む。
それは、一人の弓兵の物語。
百発百中の弓の腕を持つ彼は、投げた石が偶然当たった獣に恨まれ狙われることになる。
それは、一人の槍兵の物語。
姫に使える騎士であった彼は、主君である姫に獣の毛皮を望まれた。
それは、一人の騎兵の物語。
半神である彼は、獣に騎獣を食べられ復讐を誓った。
それは、一人の術師の物語。
世界の深淵を追求する彼女は、研究の触媒として獣の血肉を必要とした。
それは、一人の暗殺者の物語。
信仰に生き神の加護を受けた彼女は、主神の宝を奪った獣を許せなかった。
それは、一人の狂戦士の物語。
過ちを犯し神に呪われた彼は、贖罪の為に獣へと挑んだ。
七人の運命は交差し、人類史上初の偉業が始まった。
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人に黒歴史あり。
何かの言葉をもじって芸能人の黒歴史を晒す番組の題名だった言葉だが、実際それは正解だ。
人は皆多かれ少なかれ忘れたい過去の一つは持っているものであり、黒歴史なんて持ってないと本気でいう奴は更年期障害でボケてる奴かあるいはーー進行系で黒歴史を更新してる奴だ。
つまり何が言いたいのかって………?
ーーこうして走馬灯を見て初めて黒歴史に気づいた俺の人生は、その全てが黒歴史だったって事だ。
俺の黒歴史を語るなら、それが人生そのものだって言った以上は俺の事を語らざるおえないだろう。
俺はいわゆる転生者だった。2015年に大学に進学したどこにでもいる学生の一人。それが俺の前世だ。まあ死んだきっかけは記憶にないが、どうせトラックだがなんだかに轢かれて転生でもしたのだろう。とにかく2015年の初夏、俺はこの過去の時代へと転生した。
詳しい年代なんかはよくわからないが、神だの魔物だのが彷徨いていて俺の住んでるこの国が最初の国と呼ばれている以上、俺の時代から見て過去であることは間違いないだろう。そしてこの時代は魔法だの神の奇跡だのがありふれていて、誰もそれについて疑問を抱かないし疑いもしない。そういう時代だった。
俺は町人の次男として生まれ、町人の一人として育った。前世でよく見たネット小説に比べれば地味というか、驚くほど平和で生まれになんの秘密もなく、貧乏でもなければ驚くほどの金持ちでもない、そこそこ裕福な家庭で平凡な人生を歩んでいた。
未来からの転生者なんてのはいなかったが、神から転生した奴や転生を繰り返して何百年は珍しくもなく、俺も転生者っぽい事なんて酒の席で歴史の授業で聞いた話を偉そうにかたったりするだけだった。
まあ、それはそれでよかったんだろう。特殊な力も非凡な運命も持たず、その変わりなのか平穏でありふれた人生を送っており、そしてそのまま死ぬ。やる気になれば俺でも徒歩であの世まで行けるこの時代、死への恐怖もなくこのままそうして平凡に死ぬものだと思っていた。
ところが、だ。俺は本当に、マジでガチで真剣に余計な事を思い付いてしまった。ガキの頃は唯一の未来人としてそれはそれで恥ずかしい事なんかもしていたもんだが、先程語った黒歴史な人生はむしろ、ここからが本番だと言える。
まあその時は「おお!これ世紀の閃きじゃね!?俺もしかして天才じゃね!?」なんて思ったりもしたもんだ。ちょっとした悪戯心だったんだろう。
その天才的な世紀の閃きというのは、予言書を書いて歴史に名を残すというものだった。最初は俺自身の自伝でも盛りまくろう何かとも思ったのだが、それは流石に自重した。まあそんで覚えている限りの事を市場で買った何枚かの石版に魔術で刻み、酒場で仲良くなった仲間と協力して各地に埋めた。
この時点でかなりやらかした感はあるが、それは全てが終わって仲間と一緒に何時もの酒場で飲んでいるときの事だった。
「お前結構面白い文書いてたよな。本にでも纏めて売ってみたら売れるんじゃないか?」
誰が言ったかは覚えていない。しかしそれは酒が入った俺にはとても良い思い付きに思えて。煽てられて調子に乗った俺はそのまま市場で大量に白紙の本を買って家に帰ってしまったのだ。
当然次の朝には酒も抜けて
「いやマジでどうしようこれ…………!」
白紙の本は結構高いし、売るのに許可も必要だから転売もできない。それからはもうヤケクソだった。
どうせなら今世でも最高の作家として名を残してやるぜヒャッハー!!
と勢いのままに筆を走らせ、できてしまったのが『英雄の証』。七人の英雄がそれぞれの人生を歩む中、偶然が重なり七人で巨大な獣を打倒する。そんな話をヤケクソの勢いのまま複製の魔術で量産し、知り合いの商人に配って周る。そしてそれが思いの外ウケた結果。
社 会 現 象 に な り ま し た
いや、予想外だったのはこの時代に英雄という概念がなかったことだ。神に選ばれた一部の人間は勇者と呼ばれていたが、英雄なんて存在はいなかった。そこで俺の出版した本だ。無駄に設定に凝ったお陰で全員がバラバラの生い立ちと理由、価値観を持って獣に挑んだ物語。それをを人々はどんな人間であろうとも偉業をなせば名声を得られると理解したらしく、まず武芸の修練が流行った。そして神々も悪ノリして偉業にたる『ぼくがかんがえたさいきょうさいあくのてき』をそこら中に放った結果、治安が悪化した。さらに俺は続きを求められーーー
それぞれの人生を本にして七シリーズ同時進行とかいう馬鹿をやらかした。
それからの人生は壮絶だった。自らの中にあったらしき文才を発揮しまくった俺の作品は増刷に次ぐ増刷が繰り返され、俺自身は締め切りに追われる日々。そうして気づけば寿命を迎えた俺は、ようやく自分のしてきたことのイタさに気がついたというわけだ。
そして段々目の前が暗くなり……………
えっ!?復活させてくれる?いやいやもう無理ですって。ネタギレですよネタギレ。全部完結したしいいじゃないですか。……………それなら新しく書けって?いやいや、それなら現実の方が面白いでしょうよ。英雄に憧れる人間はそこらじゅうにいるんだ、適当に煽てればなんでもやるでしょうよ。
そうして俺は死んだ。
サーヴァント:オーサー
真名:無銘
身長:176cm
体重:70kg
出典:不明
地域:不明
属性:混沌・中立
特技:追い詰められた状態での創作活動
好きな物:酒、平穏な暮らし、美味しい料理
嫌いな物:極端な人間(神)、黒歴史、テスト
〈人物〉
2015年の夏頃に死亡し、紀元前の更に前である神代に偶然記憶を保持したまま転生したごく平凡な人間。
性格は温和であり、バカっぽいことやノリで行動することも多いがシラフでなら大それたことはできない常識人。
20代半ばまでは大工を生業していたが、酔った勢いで白紙の本を大量に購入したことで彼の人生は変わる。
ヤケクソで書いた長編小説が大ヒットした彼は周囲の声に押されるようにして大工を引退し、本格的に作家の道へと歩み始めた。
見た目は何処にでもいるような日本人。
彼は生涯に八冊の本を書いたが、初めて書いた本の題名である『英雄の証』はシリーズ名となったため、後に書いた『剣士の書』『弓兵の書』『槍兵の書』『騎兵の書』『術師の書』『暗殺者の書』『狂戦士の書』と比較して無印は『獣の書』と呼ばれていた。
この大ヒットによって人理に英雄や正統なる七騎、人類悪たるビーストが刻まれたのだが、本人はそれに気づいていない。
なお、各地に埋めた預言の石版は白き巨人セファールの襲撃によって全て消し飛んだ模様。
〈能力〉
彼自身は戦士ですらない作家であるが、セファール襲来前のいわば神代前期の人物であるため、神秘が濃かった分URUKU人より身体能力を含め色々な能力が高い。少年時代に編み出した自己流剣術を始め、趣味で始めた魔術や狩りなどの腕はサーヴァントとしても上位に位置する。
また、英雄という概念自体が彼の知名度となるため彼が召喚されうる範囲では彼は常に知名度補正が最大で現界する。
特殊な能力等は一切持たないため戦闘手段は魔術と剣術を組み合わせたモノが基本であるが、そもそも魔物や野獣といった人外を相手にするための技であるため対人戦においてはフェイントに悉く引っかかったり読み負けるなど、ある程度以上のステータスがある戦士ならば負けはない。
が、宝具を使えば解決する。
〈固有スキル〉
対魔力(EX):神代前期に生まれたことによって持つ生来のエーテルに対する耐性。厳密には体内の神秘濃度が高いことでそれより低い神秘では傷を負わないという能力であり、サーヴァントとして持つ神秘の薄いモノへの耐性を極限まで強化したスキル。
趣味人(A+):B+相当の魔術、剣術、体術、錬金術、狩猟スキルの複合スキル。技量はさほど高くはないが神代前期の技であるため後の時代においては対処や再現が不可能である理不尽な技術が多い。
苦境突破(C+):自身の人生が具現化したスキル。本人の精神的動揺や状況の悪化、劣悪な環境に比例して性格と宝具を除くあらゆる能力や人間としての性能が上昇する。
〈宝具〉
『
「ああもうヤケだ!!英雄って奴を見せてやる!」
ランク:EX
種別:対人理宝具
レンジ:∞
最大補足:∞
オーサーが成した偉業である人理に英雄という存在を刻んだということに起因する宝具。人理に直接介入して発生する。
彼の書いた物語の登場人物である英雄を設定通りの能力でサーヴァントとして召喚する。また、作中で登場する技や武具だけを宝具として召喚することも可能。
その真価は最大開放時に発揮され、莫大な魔力消費を代償に主人公である七人の英雄を対応するクラスでグランドサーヴァントとして全員召喚し、その敵たる獣をもクラスビーストとして召喚し使役できる。実質ビースト2体分の戦力である。
書いてみたら完全にチートになってしまった…………。
まあこの宝具の最大開放って聖杯何個いるんだって感じの魔力消費ですがwww