他シリーズとも平行で書くので、投稿は不定期になります。
では本編をどうぞ。
提督が着任しました!
「ここが鎮守府か……」
白い制服に身を包み、赤レンガ造りの建物の前に立つ青年。
彼は今日からこの鎮守府に着任する新米提督である。
「では提督さん、自分たちはこれで」
「はい、ありがとうございました」
彼を送ってきた憲兵が二人、車に乗って去っていく。
それを見届けると、提督は門に向き直る。
「さて、迎えがくると言われていたのだけど……」
そう言ってあたりを見渡すが誰もいない。
仕方なく、門を開いて中に入っていく提督。
その視界の先で、鎮守府の本館の玄関が開く。
そこから飛び出してきたのは涼しげな水色の髪をした少女だった。
「ごめんなさい!お迎えのことすっかり忘れて―――きゃぁっ!?」
「うわぁっ!?」
謝罪しながら走ってきた少女は途中で躓き――提督に衝突した。
そのまま二人は地面に倒れ込んだ。
「いたた……あっ、提督!大丈夫ですか!?」
「大丈夫……じゃない……」
提督の意識はそこで途切れた。
―――――――――
提督が目を覚ましたのは暖かいベッドの上だった。
「ここは……?」
「あっ、提督!目が覚めたんですね!」
ぼんやりと部屋のなかを見回す提督の枕元には先ほどの少女が座っていた。
提督はゆっくり起き上がると、少女の方を向く。
「えっと……君は?」
「はい!白露型駆逐艦の六番艦、五月雨です。あの……さっきはすみませんでした!」
そう言って五月雨は頭を下げる。
「え、いや、そんな謝罪なんていいよ!さっきのは不慮の事故じゃないか!」
提督がそう言うと、五月雨は頭を上げる。
「本当にごめんなさい。私、ドジばっかりで迷惑ばかりかけると思うんですけど……」
そう言って再び俯いていく五月雨の言葉を遮って提督が言う。
「僕だってまだ提督になりたてだから……こちらこそ、迷惑かけると思うけど……よろしく、五月雨」
そう言って手を差し出す提督。
その手をとった五月雨は少し照れ臭そうに笑ったあと、小さな声で返した。
「はい、よろしくお願いしますね、提督」
―――――――――
「それでは簡単な説明を始めますね」
「うん、よろしく頼むよ」
場所は鎮守府の執務室。
五月雨が一通りの説明をしていく。
「と、こんな感じでよろしくお願いしますね」
「わかった。ところで……」
説明を聞き終わると、提督がとある疑問を口にする。
「他に艦娘はいないの?」
「えっと……」
提督の質問に五月雨は困ったように視線をさ迷わせると、少し考えてから話し出す。
「この鎮守府は比較的安全な地域だったので、利用されていなかったんです。ところが先日、この付近の海域に姫級の深海棲艦が現れて……それで急遽提督を派遣したという訳です。なので艦娘の方は手配が間に合っていない状態でして……」
「なるほど……姫級か」
提督がそう呟くと、五月雨は慌てたように付け加える。
「ご安心ください!今後も随時艦娘が派遣されてくるはずですから!」
しかし、提督の表情は厳しいままだ。
「……提督?」
「ん?あ、いや……なんでもない」
提督はそう言って微笑むと、五月雨に一枚の紙を渡す。
「早速任務の遂行と行こうか。まずは装備の開発をしようと思う。工廠まで案内してくれないかな?」
「はい!お任せください!」
そう言って五月雨は廊下に飛び出した。
「提督!早くいきましょう!」
まるで子犬のようにはしゃぎながら駆けていく五月雨の背に声をかける。
「あんまり走るとまた転ぶぞ……「きゃぁっ!?」ほら言わんこっちゃない……」
そう言って提督は五月雨のところまで行くと、手を差し出す。
「すみません……」
五月雨は立ち上がると、今度は提督の隣を歩く。
「急がなくて良いから、怪我だけはしないようにしてくれ」
「はい、気を付けます」
「全く、そんなに落ち込まないでくれよ」
そう言ってすっかり落ち込んでしまった五月雨の頭を撫でる提督。
「も、もう!やめてくださいよぉ!」
「ははは。じゃあ、引き続き道案内を頼むよ」
「はい!」
そんなこんなで始めていきます新シリーズ。
ではまた次回!