「ここが工廠です」
五月雨がそう言って立ち止まる。
そこには小さな町工場のような施設が建っている。
「案外小さいんだね」
提督はそう言い、扉を開ける。
開けたときに聴こえてきたのは様々な機械が稼働する音。
そして――
「きゃぁぁぁぁ!?」
――そして、少女の悲鳴と何かが崩れる音だった。
「なんだ!?」
只事ではないと思い、急いで工廠に飛び込む提督。
しかし、そこにはガラクタが積み重なっているだけで人の姿はない。
「誰か、居るのか?」
提督がそう言うと、近くのガラクタの山の下から声がした。
「ここですー……ちょっと、上のガラクタどけてもらっていいですかー……」
――――――――――――――――――
「いやー、貴方が新しく着任された提督でしたか。いきなりお恥ずかしいところをお見せしました」
そう言って頭をかく少女。
「それは良いんだけど……君は?」
提督が戸惑いつつ聞くと、少女は姿勢をただして答える。
「失礼しました。工作艦兼酒保担当、明石です!よろしくお願いします!」
「工作艦?でもこの鎮守府には艦娘は五月雨しか着任してないんじゃ……?」
提督がそう聞くと、明石は苦笑いしつつ答える。
「あー……実は私の艤装、まだ完成してないんですよ。なので、正式に艤装が完成するまでは仮着任ってことになりますね」
「じゃあ、暫くの間は酒保の方だけを?」
「ええ、後は建造や開発の手伝いを少々って感じですかね」
そう言って明石は持っていたレンチを高々と掲げる。
「工作艦の名に懸けて!最高の仕事をしてみせます!!」
そんな明石に提督が声をかける。
「じゃあ明石、早速開発を頼んで良いかな?」
「もちろんです!どんとこいですよ!」
「じゃあ、燃料10、弾丸10、鋼材10、ボーキサイト10でお願いするよ」
「はい!完成次第連絡しますね」
「うん、よろしく」
そう言って提督は五月雨の方に向き直る。
「じゃあ五月雨、執務室に戻ろうか」
「はい、提督」
そう言って提督の隣に並ぶ五月雨。
二人は装備の完成を待ちつつ、執務室に戻るのであった。
――――――――――――――――――
「で、出来たのが……」
「これですか……」
「……はい」
三人の前には謎の綿の塊とペンギンのぬいぐるみなどが入った段ボールが置いてある。
「どうしてあの材料がこうなるんだ……可愛いけど」
「開発の機械って不思議ですね……」
「あんなに見栄を張っておいて……面目ないです……」
そう言って肩を落とす明石。
そんな彼女の肩を軽く叩く提督。
「大丈夫、君の責任じゃないよ。第一、材料の投入しかすることがないんだから」
「そうなんですが……何て言うか、悔しいじゃないですか」
そう言って頬を膨らませる明石。
「じゃあ、次の開発は上手くいくように皆で願おう」
そう言って笑う提督。
釣られて明石にも笑顔が戻る。
「……はい!あの、提督……ありがとうございます」
「お礼なんていいよ、誰だって失敗することはあるさ。
あ、五月雨、それは廃棄しないでくれるかな?」
「え、何かに使うんですか?」
五月雨が聞くと、提督は首を横に振る。
「いや、我が鎮守府の初開発の記念に執務室に飾っておこう」
「はい!わかりました!」
そう言って箱の蓋を閉じる五月雨。
そしてそこに提督がマーカーで字を書く。
{初!開発記念―明石、五月雨、提督}
中途半端な感じになってしまいましたかね?
では、また次回。