開発を終え、執務室に戻った提督を待ち受けていたのは書類と一人の艦娘だった。
「えっと……、この書類の山と……貴女は……?」
提督が困惑しつつ聞く。
すると、すかさず五月雨が紹介をする。
「こちら、軽巡洋艦兼任務担当の大淀さんです。大淀さん、こちらは新しく着任された提督です」
「はじめまして、提督。軽巡洋艦大淀です。これから宜しくお願いします」
そう言って大淀が頭を下げる。
「こちらこそ宜しく。で、君もまだ艤装が――」
「はい。なので、暫くは大本営と提督の間で任務のやり取りをする際のお手伝いをさせていただきます」
「うん、わかった。じゃあ早速任務を」
そう言って提督は書類の山を見る。
とてつもない量である。
「これ、全部今日の?」
提督が大淀に聞く。
「いえ、本日分と今週分、あとは月の任務とその他の書類ですね。今日は主に新規着任後の細々とした手続きになります」
大淀がすらすらと答える。
「よく噛まずに言えるね……」
「私もお手本にしたいです……」
提督と五月雨が顔を合わせて肩を落とす。
そんな提督に大淀が声をかける。
「すみません、提督」
「ん?」
「大本営からの連絡です。着任後の連絡が入っていないとのことなのですが……」
「着任後の連絡……?」
提督が首を傾げる。
すると、五月雨の顔が真っ青になっていく。
「ん、どうした五月雨」
「す、すみません提督……」
五月雨が真っ青になりながら言う。
「提督と秘書艦が合流したら、そこで大本営に連絡を入れることになってるんです……」
「あー……なるほど」
提督は少し考えてから、大淀に言う。
「大淀さん、大本営にこう伝えてくれる?『提督は着任後、貧血で意識を失っていて、つい先程目覚めた』って」
「了解しました……あと提督、数日したら出撃任務を開始するので兵装の準備をしておくようにと」
「わかった。ありがとう、大淀さん」
提督はそう言うと、五月雨の方を向く。
「五月雨」
「は、はい……」
先程からしゅんとした様子の五月雨に、提督は言う。
「大丈夫だよ、これからまた頑張ってくれ」
そう言って提督は五月雨の頭を撫でる。
「提督……」
「ほら、落ち込んでる暇があるなら出撃の準備だ。今ウチの鎮守府で出撃出来るのは君だけなんだ」
提督は五月雨の肩に手を置く。
「君にしか出来ない任務だ……頼めるな?」
「は、はいっ!一生懸命頑張ります!」
「その意気だ。じゃあ準備してきてくれ」
「了解しました!」
そう言って執務室を出ていく五月雨。
「……提督は、学校の先生でもやっていたのですか?」
「いや、兄弟がいただけだよ」
そう言って提督は書類を手に取る。
「さて、大淀さん。書類の書き方を教えてくれるかな?」
「わかりました」
大淀に教えてもらいながら書類仕事に勤しむ提督であった。
プロローグのようなところはこれで終わりです。
ではまた次回。