「ふたりの奇跡!! キュア・ミラクル!!」
「ふたりの魔法!! キュア・マジカル!!」
「「魔法つかいプリキュア!!」」
変身して名乗りを挙げるや否や、あんぐりと口を開けていた豪とランをよそに、フェリーチェを押し倒していたソーラを蹴り飛ばした。
ソーラ「うあっ!!」
突然予想外の方向から攻撃を受けたソーラは大きく吹き飛ばされる形になってしまった。
ミラクル「フェリーチェ、大丈夫!?」
マジカル「もう安心して」
フェリーチェ「ええ、お二人ともありがとうございます」
ミラクルとともにフェリーチェを気遣ったマジカルは、そのままソーラを睨みつけた。
マジカル「まさか、本当にまたあなたと会うことになるとはね。あの時とは違うって見せてあげるわ!!」
ソーラ「だから、あんたたちは一体なんなのよ!! さっきから訳のわかんないことばっかり言って!!」
我慢の限界に来たのかソーラがイラついた様にそう怒鳴ったが、ミラクルもまた怒った様に返した。
ミラクル「何言ってるの!! 前に私たちにいきなり攻撃して来たこと忘れたとは言わせない!!」
ソーラ「はぁ!? 知らないわよそんなこと!!」
マジカル「とぼけないで!! プリキュアを破壊するとか言ってたじゃない!!」
ソーラ「…なんでそんなこと私がしなきゃなんないのよ。これ以上変ないちゃもんつけるなら…!!(とは言うものの、空がこれじゃ変身できるかどうか… でも黙ってやられるわけにも!!)」
怒鳴り返しつつも、曇り空をちらりと見上げ内心ソーラは不安がっていた。
だが、この一連の会話を聞いて豪とランはようやく事情を察した。
ラン「プリキュアを破壊…って、まさかあの人たちの言ってるのって!!」
豪「完全に人違い、いやロボ違いじゃねぇか!! 早く止めねぇと!!」
睨み合いに入り、一触即発状態だった四人の間に割って入ろうとした豪だったが、それより早くランがバッグからボールの様なものを取り出した。
ラン「待ちなさい豪!! ソーラさんも伏せて!!」
その叫びとともに四人の前にランの投げつけたボールから、大地が震えるほどの巨大な爆発音が起き、同時に太陽を間近で見た様な強烈な閃光が一帯を包み込んだ。
とっさに目をつぶり耳も塞いだ豪とランだったが、それでもキーンと耳鳴りがしている上、目もチカチカして星が飛んでいた。
豪「な、なんなんだよ今の…」
ラン「おじいちゃんが護身用にってくれたこけおどし爆弾よ… 光と音だけで殺傷力はゼロだって言ってたんだけど…」
豪「どこがだよ… さすがじいちゃん、相変わらずどこかズレてる…」
モフルン「み、みらい… リコ… はーちゃん…」
ひっくり返り目を回していたモフルンの先には、突如目の前で起きた爆発の音と光のショックで変身解除してへたり込み、頭の上にひよこを飛ばしている三人の姿があった。
みらい「い、今のは…」
リコ「い、一体何が…」
ことは「はー…」
ソーラ「きょ、強烈…」
ソーラもダメージこそなかったものの、アイカメラや集音器に多少なりとも一時的な異常が出たらしく、目の焦点が合っていなかった。
豪「まぁとりあえず、戦いは止まったけど…」
ラン「逃げた方が良さそうね…」
とりあえず先ほどの一触即発の状態は回避できたものの、遠くの方からパトカーと消防車のサイレンが聞こえて来たため、ふらつく足取りながらも全員慌てて逃げ出した。
ラン「ハアハア、こ、ここなら…」
豪「ひ、ひとまず大丈夫かな…」
騒ぎになるとまずいとばかりに近くの公園に逃げ込んだところで、ようやく一息ついたため、改めて豪とランはみらい達に向き合った。
豪「あ、あのさぁ… ちょっと聞きたいんだけど、さっきあんた達が言ってたプリキュアを破壊するって言ってた人って… 色白で銀色の長い髪した… えーっと、つまりこんな顔して、四季ゆうって名前の…」
ソーラを指差した豪を見て、リコが食ってかかった。
リコ「そうよ、この顔よ!! なのにすっとぼけて!!」
ソーラ「だから何度も言わせないでよ!! 知らないって言ってるでしょ!!」
そんなリコをルビーの様に「赤い両目」で睨みつけたソーラだが、ランに咎められた。
ラン「ソーラさんも落ち着いて。でも思い出してください、多分その人ソーラさんと違って赤と青のオッドアイだったと思うんですけど…」
みらい「へっ?」
その言葉に必死にみらいは記憶を辿り、自分たちに襲いかかって来た少女のことを思い出した。
みらい「そういえばそうだった様な… それにもっと冷たい目だった…」
ことは「…じゃあ人違いなの?」
モフルン「モフゥ… やっぱり」
みらい達の言葉を聞いて、豪とランもどこかホッとした様に呟いた。
豪「やっぱしゆう姉ちゃんか…」
ラン「でもよかった。ゆうさんが無事で…」
リコ「よくないでしょ!! 一体どういうことなのよ、何を知ってるのあなた達は!?」
ソーラ「それはこっちのセリフ!! 人違いだったってんなら、いきなり襲いかかられた私の方が先に聞く権利はあるはずよ!!」
リコ・ソーラ「「〜っ!!!」」
今にも噛みつきそうなほどギリギリと歯噛みをしつつ睨み合った二人の間に、豪とランは割って入りなんとかなだめた。
豪「お、落ち着いて。ねっ!!」
ラン「とりあえず自己紹介からしましょう。えーっと、私は遠藤ランって言います。こいつがいとこの…」
豪「あ、ああ。俺、速田豪ね。よろしく」
みらい「あ、はい、こちらこそ。私朝比奈みらいって言います」
リコ「ちょっとみらい!! 〜っ、十六夜リコよ」
丁寧にお辞儀をして自己紹介したみらいを見て、多少抵抗はあったもののやむを得ないとリコも続けた。
ことは「花海ことは、はーちゃんだよ。よろしくね」
元気よく返事をしたことはに続けてモフルンもにこやかに挨拶した。
モフルン「モフルンモフ。よろしくモフ」
リコ「ちょっ、いきなり話したら混乱するんじゃ…」
ラン「ふーん、よくできたぬいぐるみですね」
豪「結構高いんんじゃね。よく知らないけど」
リコ「へっ?」
普通ぬいぐるみが喋ればほとんどの人間が驚き、事実これまでそういうリアクションばかりだったため、素で接する豪とランにいささか拍子抜けしていた。
ソーラ「でも可愛い。これどこで売ってるの、私も欲しい」
みらい「いや、モフルンは私たちの大事な友達で、売り物じゃなくて… いや売ってたんだけど…」
モフルン「モフルンはただのぬいぐるみだったモフ。でもみらいとずっとおしゃべりしたくて、みらいが魔法使いになったおかげで喋れる様になったモフ」
ソーラ「魔法使い?」
リコ「オホン。そうよ私達、魔法界の伝説の魔法使い プリキュアなんだから」
咳払いを一つして、自慢げかつドヤ顔で言い放ったリコだったが
ラン「ああ、それでさっき箒で飛んでたの」
豪「随分テンプレートだね、イメージまんまというか。 で、他に何ができんの?」
驚きの声ひとつあげない二人に、さらりと流されてしまい、一瞬反応に困ってしまった。
リコ「そ、それは… 水をすぐに凍らせたり、重いものを軽々と持ち上げたりとか…」
それでもなんとか気を取り直して、魔法の自慢を始めたリコだったが、豪とランは顔を見合わせるだけだった。
ソーラ「へぇーっ、すごいな!! じゃあこのぬいぐるみが歩いたりできる様になったのも魔法なんだ!!」
リコ「そ、そうよ。魔法ってすごいんだから(ホントはモフルンは少し違うけど…)」
興奮気味にモフルンを抱え上げたソーラとは対照的に、豪とランは冷めたものだった。
豪「それだけ?」
みらい「えっ? ま、まぁそうですけど…」
ラン「何それ? 別にそれほど大したものじゃないし、ソーラさんもそんな程度で驚かなくてもいいじゃない」
ことは「そ、そんな程度って…」
さすがにこのリアクションには、みらい達もショックだった様だが、ソーラも不満げに怒っていた。
ソーラ「何言ってるの!! 動くはずもないただのぬいぐるみが動くんだよ、しゃべるんだよ、それにこの子達空だって飛べるんだよ!! すごいじゃない!!」
その言葉に二人は頭を抱えた。
豪「姉ちゃんが言うか、それ…」
ラン「そんなの前からあるじゃない…」
みらい「えっ? この世界にもモフルンみたいなのがいるの?」
ソーラ「ううん、知らないよ。ねぇどこにあるのそんなの!!」
興奮気味な質問に大きくため息をついた後、豪とランは揃って指差した。
豪・ラン「「ここ!!」」
一瞬の沈黙の後、指差されたソーラは考えを巡らせた。
ソーラ「…動くはずのなかったもので」
豪「じいちゃん言ってたじゃん。もともとただの動作確認用のロボットだって」
ソーラ「…喋って」
ラン「ペラペラ喋ってるじゃない」
ソーラ「空も飛べる…よね」
エアークラフトで軽く空を飛びながら呟いたソーラに、豪とランはウンウンと頷いていた。
ソーラ「そういえばそうか。でも、これ可愛いなぁ… やっぱり欲しい」
ラン「まぁ、そりゃ可愛いけどね。ダメよちゃんと返さなきゃ」
一応納得はしたものの名残惜しそうにモフッているソーラから、モフルンを取り上げながらランは小さく戒めた。
みらい「あ、あのちょっとすみません。今、ロボットって言いました!?」
そこに驚きの声とともに割って入ってきたみらいに、説明がまだだったことを思い出した豪はほっぺたをポリポリとかいた。
豪「あ、あ〜説明まだだっけ。ソーラ姉ちゃんとあんた達の会ったゆう姉ちゃんは、おじさん つまりランのお父さんの作ったロボットでさ…」
ラン「それに宿った精霊の国の特別警備隊員がソーラさんで、その…ゆうさんは…」
豪の説明に目を丸くしているみらい達に対して、ランは多少暗い顔になりつつも、説明せねばならないと意を決してゆうのことを説明した。
リコ「そ、そうなの。もともと正しいことに使うためだったのに、悪い奴らに奪われちゃったってことね…」
ソーラ「先輩達も言ってたけど、やっぱりかわいそうだね…」
暗くなってしまった空気を察し、豪は話題を変えた。
豪「あ、でさ。ゆう姉ちゃんって今あんた達の世界、えーっと魔法の世界だっけ、そこにいんの?」
みらい「う、ううん。夏休みに入る前に一回会っただけで、今どこでどうしてるかは…」
ことは「みらいとリコをひどい目に合わせたかと思うと、すぐどっか行っちゃったんだよね」
その話を聞いて、ランと豪はなんとなくゆうの行動が読めた。
ラン「ははぁ。多分ゆうさんにとって、相手をするまでもなかったってことじゃない。 ゆうさん弱いものいじめはしないから」
豪「まぁ、ゆう姉ちゃん相手じゃ負けても仕方ねぇよな」
だが、元来負けず嫌いなリコが噛み付いた。
リコ「弱くないし!! だいたい負けてもないし!! 向こうが勝手に戦いやめてどっか行っただけなんだからね!!」
ソーラ「…だからそれが負けたって言うんじゃない? それよりあなた達、プリキュアだっていうけど、一体何しにここにきたの?」
みらい「えっ!? あっそうだった。実は…」
?????
城と見間違えるほどの大きな洋館。
どこか不気味な色の空が広がる中、空に浮かんだ岩の上に建っているその洋館の本で埋め尽くされた部屋の中。
赤いトラ模様をした灰色の馬のような姿をした怪物が、巨大な鏡にみらいの姿が映し出していた。
「発見いたしました、あれがプリキュアでございます。いかがいたしましょう、魔女ソルシエール様」
その怪物の問いかけに、ソルシエールと呼ばれた赤紫色のロングヘアにハートを飾っているカチューシャをつけていた少女は、冷たい目で言い放ちステッキを一振りした。
ソルシエール「聞かれるまでもない。 その記憶見せてもらおう」
それと同時に、みらいの目から光が消え黒いモヤのようなものが全身を包み込んだ。
リコ「? みらい、どうしたの?」
リコが心配そうに問いかけると同時にみらいを包んでいた黒いモヤは離れていき、四つに別れ、だんだんと形を成していった。
ラン「な、何!?」
豪「どうなってんだ一体!?」
ソーラ「こ、このマイナスエネルギーは…」
「ふっふっふっ。久しぶりですねぇ、プリキュア!!」
続く