コズミックプリキュアS   作:k-suke

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第30話 太陽が消える日(後編)

 

 

 

 

甲子市上空 静止衛星軌道上 ブルペノン

 

 

 

機械に組み込まれていたDr.フライだったが、作戦の提案があるということでようよう解放されていた。

 

Dr.フライ「よしよし。この次元皇帝の情報収集力をなめるなよ。これで面倒なものが一つ減った」

 

そんなDr.フライは強奪してきたトリプルPを見て、悦に浸っていた。

 

 

 

パーリ「おい、そんなものを奪ってきてどうするつもりだ」

 

セーリ「ただでさえ貴重なダーククリスタルを浪費したんだ。これ以上無意味なことをするな」

 

 

Dr.フライ「黙らんか!! あれは無駄ではない。新しいプリキュアとやらの能力の分析用に使ったまでのことじゃ!!」

 

 

 

そう叫んだ瞬間、Dr.フライの首にはめられた枷から電流のようなものが流れた。

 

パーリ「口の聞き方に気をつけろ。貴様はこっちの質問に答えていればいい」

 

 

電撃のショックで倒れこんでしまったDr.フライは憎悪に満ちた目でパーリを睨みつけつつも、作戦の概要を説明した。

 

 

Dr.フライ「い、いいか… ドラフターとやらを破壊できる可能性のある液体爆薬は奪った。あとはプリキュアさえ仕留めれば世界を暗黒に染めるのも容易い。そのためには奴の能力さえあらかじめ分析しておく必要がある」

 

セーリ「ほう。で、勝算の方は?」

 

 

Dr.フライ「ドラフターにするやつの候補は目星をつけとる。だが、あやつの能力も想像以上じゃな。勝率はせいぜい五分五分といったところか」

 

 

そこまで告げた瞬間、Dr.フライの土手っ腹に蹴りが突き刺さった。

 

セーリ「馬鹿が!! それじゃ意味がねぇんだよ!!」

 

 

Dr.フライ「話は最後まで聞かんか!! ボディの性能が互角ならば、それをうまく使えんようにしてやればいい。簡単なことじゃ!!」

 

 

 

 

 

 

童夢小学校

 

 

 

一日の授業が終わり、生徒たちが下校を始める中、豪とランが話し合いながら通学路を歩いていた。

 

 

豪「なぁ、ラン。もうすぐ節分でじいちゃんの誕生日だけど、プレゼントどうする?」

 

ラン「そうよね。おじいちゃんってば難しい年頃なのよ。年寄り扱いしたら怒るし、かといって若い人向けのものなんてね…」

 

豪「だよなぁ。一応商店街行って色々見てみようぜ」

 

 

節分でもある遠藤博士の誕生日も近くなっており、プレゼントをどうしたものかと考え事をしながら商店街の方に向かっていた二人だったが、大通りにさしかかろうとした時だった。

 

 

 

豪「えっ?」

 

ラン「何?」

 

 

 

突如車のエンジン音が聞こえたかと思うと、猛スピードで突っ込んでくる車が視界いっぱいに広がった。

 

 

直後二人の体は宙に一転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子市立病院

 

 

 

遠藤「翔子!! 豪は、ランは!?」

 

下校途中に二人が車にはねられたとの連絡を受け、転がるようにして病院に飛んできた遠藤博士とソーラは、手術室の前で京香先生に励まされている豪の母に息急き切って尋ねた。

 

 

豪母「幸い、人通りの多い道で発見と通報が早かったんですけど、二人ともかなりの重態で… 助かる確率は五分五分だと…」

 

ソーラ「そんな… なんで」

 

 

 

京香「あの、博士、ソーラさん。ちょっとこちらへ…」

 

京香先生は遠藤博士とソーラを別の場所に通して小さな声で話し始めた。

 

 

京香「実は、ただの事故じゃないみたいなんです。先ほど警察からも連絡があったんですが…」

 

 

遠藤「と、いうと?」

 

 

京香「現場を何度調べて見ても、プレーキ痕がなかったそうです。つまり始めから…」

 

遠藤「二人を轢き殺す気だったと!? 馬鹿な!!」

 

ソーラ「まさか、これもあいつらが…!!」

 

ソーラは先ほどの襲撃時に犠牲になった人のことも含め、怒りをこらえきれないというように拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

直後、巨大な地響きとともに揺れが病院を襲った。

 

 

ソーラ「こ、これは。ドラフター!!」

 

マイナスエネルギーを感知したソーラは、怒りの形相で病院を飛び出そうとした。

 

 

遠藤「ま、待たんか!! どうする気じゃ!!」

 

そんなソーラを見て、遠藤博士はとっさに肩を掴んで呼び止めた。

 

 

ソーラ「決まってるじゃないですか!! あいつら、絶対に許すもんか!!」

 

 

肩の手を振りほどきソーラは、怒りに身を任せて怒鳴り走り出した。

 

 

遠藤「いかん!! 冷静になれ!! 戻ってこい、これは命令じゃ!!」

 

 

しかし遠藤博士の静止に耳を貸そうともせず、ソーラは病院を飛び出すと両腕を頭の上でクロスさせ力の限り叫んだ。

 

 

ソーラ「モードプリキュア、ウェイクアップ!!」

 

掛け声とともに両腕を大きく開くとソーラの全身は万華鏡のような幻想的な光のオーロラに包まれていった。

 

その光のオーロラを身にまとうかのようにすると、彼女は深緑のフリルのついた黒光りのするドレスのようなコスチュームに変身して市街地のドラフターに一直線に向かって行った。

 

 

 

 

遠藤「ば、馬鹿モンが!! 今朝のドラフターの戦いで消耗したエネルギーとて完全には回復しとるまい。おまけにもう陽も傾きかけとるんじゃぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市街地では何本も砲塔をつけた巨大な戦車とでもいうドラフターが、その巨体を利用してビルや民家を押しつぶし、絶えることのない砲撃を行っていた。

 

 

 

ソーラー「ダァアアア!!」

 

そんな戦車ドラフターに対して、上空からソーラーがドロップキックの体勢で猛スピードで突っ込んできた。

 

 

空気との摩擦で足先が赤熱するほどのスピードではあったが、戦車ドラフターの装甲はそれをはじき返してしまった。

 

 

ソーラー「うわっ!!」

 

地面に転がったソーラーに対して、戦車ドラフターの砲撃が次々と行われ、彼女は必死になってそれをかわそうとしたが

 

 

 

ソーラー「えっ!? キャアアア!!」

 

回避行動を読まれてしまい、直撃を受けることになった。

 

 

ソーラー「な、なんの!!」

 

 

爆発に吹っ飛ばされながらも、ソーラーは空中で姿勢を立て直しなんとか戦車ドラフターの上部に取り付いた。

 

 

ソーラー「この!! この!!」

 

 

ソーラーは怒りに任せて何発も拳を振り下ろしたが、戦車ドラフターにはまるで通じなかった。

 

 

ソーラー「許さない!! あんたたちを絶対に許すもんか!! 倒す、絶対に!!」

 

 

怒りのあまり状況が判断できず無駄な攻撃をしていることにも気がつかなかったソーラーに、戦車ドラフターはワイヤーのようなものを射出してソーラーを縛り上げてしまった。

 

 

 

ソーラー「くっ、こんなもの… うあああっ!!」

 

とっさに引きちぎろうとしたソーラーだったが、そのワイヤーを通じてエネルギーが一気に吸い取られていった。

 

 

 

 

ソーラーが苦戦している光景をセーリとパーリは満足そうに眺めていた。

 

セーリ「ふふっ、あいつの調べたデータもなかなか役に立つじゃないか」

 

パーリ「ああ、プリキュアのデータを全て覚えこませたやつをドラフターにするとはいい判断だ。おまけに奴が取り乱すように関係のある人間を始末しておくとはな。勝負は見えたな」

 

 

今回ドラフターにされているのは、中年のミリタリーオタクであった。

 

 

趣味を周りから白い目で見られ、近所づきあいや職場でもうまくいかずストレスが溜まっていたところに目をつけられたのだ。

 

 

エネルギーを吸い取られぐったりとし始めたソーラーを見て、セーリとパーリは力強く頷いた。

 

セーリ「頃合いはよし、行くぞ!!」

 

パーリ「ああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーラー「あ、ぐ…」

 

エネルギーを失い、自分を拘束しているワイヤーを振りほどくこともできなくなったソーラーの目に、セーリとパーリが高笑いしている光景が映った。

 

 

パーリ「いいざまだな」

 

セーリ「貴様の最期だ!!」

 

 

そうして拘束されたソーラーに対して、日頃の恨みとばかりに一方的に殴る蹴るの暴行を加えて行った。

 

 

ソーラー「ガハッ!! ゲボッ!!」

 

 

うめき声をあげながら、ソーラーは必死に懇願するように叫び出した。

 

 

 

ソーラー「太陽エネルギーを、もっと光を!! 私はここで負けるわけには!!」

 

 

その叫びも虚しく、太陽は地平線の彼方へと刻一刻と沈んでいき、それとともにソーラーのエネルギーも急速に失われ、ついに変身解除してしまった。

 

 

パーリ「トドメだ!! やれ!!」

 

そのパーリの命令に応えるように、戦車ドラフターはワイヤーを大きく振り回して変身の解けたソーラを投げ飛ばし、一斉砲撃を行った。

 

 

京香「ああっ!!」

 

遠藤「ソーラ!!」

 

 

 

 

ソーラ「あ、うぁ…」

 

 

大爆発の爆煙が収まった時には、見るも無残なほどにボロボロになったソーラが横たわっていた。

 

 

 

 

戦車ドラフターは戦闘機のような形に姿を変えると、ズタボロになり動けなくなったソーラを十字架に磔にして、日の沈んだ市内上空を旋回し始めた。

 

 

遠藤「ソ、ソーラ…」

 

その光景に凄まじい絶望感を覚えていると、上空のドラフターから聞き覚えのあるダミ声が響いてきた。

 

 

 

Dr.フライ『愚かな人間の諸君久しぶりじゃな。わしの名は貴様らの足りない脳みそにも残っておるじゃろう。史上最高の大天才にして次元皇帝Dr.フライ様じゃ』

 

 

遠藤「なっ、フライ!? やはりあやつ…」

 

 

Dr.フライ『この世界の守護者にして唯一の脅威、プリキュアはたった今わしの作戦により完全に敗北した。よって本日深夜0時、プリキュアの処刑を執り行う』

 

 

京香「何ですって!?」

 

 

Dr.フライ『今日をもって諸君らの世界は終わりを告げる。プリキュアの死を持って、新しい暗黒の世界の日々が始まるのじゃ!! ヒャーッハッハッハッ!!』

 

 

その声が月はもちろん星ひとつない真っ暗な夜空に響き渡った…

 

 

 

続く

 

 

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