コズミックプリキュアS   作:k-suke

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第31話 絶望からの大逆転(前編)

 

節子「テレビをご覧の皆様。お久しぶり、突撃レポーターの甲斐 節子です。先ほど電波ジャックされ、全国に行き渡った映像をご覧になられたかと思います。何と、あの忌々しいテロリストDr.フライが脱獄したのです。そしてそれだけならまだしも…」

 

 

そこまでレポートを行なったところで、節子は悔しそうに俯いてしまったが、すぐに気を取り直してレポートを続けた。

 

Dr.フライの流した映像のため今現在市内どころか日本中がパニックになっており、そんな中でも冷静にレポートを行えるのはさすがベテランといった貫禄があった。

 

 

節子「何と、この世界を守り続けてきてくれたプリキュアが完全敗北し、今まさに処刑されんとしているのです。無論、警察や自衛隊とて黙って見ているわけではありませんが…」

 

 

一刻も早くプリキュアを救助に向かいたい。

 

それは節子のみならず国民全ての願いだったのだが、市街地では全高約30メートルといったサイズにまで巨大化した戦車ドラフターが傍若無人に砲撃を行なっており、そちらの対処を最優先にせざるを得なくなっていた。

 

しかし、自衛隊の戦闘機も正確かつ強力な砲撃の次々と撃ち落とされており、かろうじて命中したミサイルでも傷一つつくことがなく、もはや敵はなしといった状態だった。

 

 

 

 

 

そんな光景を、市内の高層ビルの屋上から磔にしたソーラの前で見下ろして眺めながら、Dr.フライは一人悦に浸っていた。

 

 

Dr.フライ「ヒャッハッハッ!! アホどもが。プリキュアも敗北し、対抗できるだけの力もわしに奪われたというのに、無意味な抵抗を続けおるわ。無力なものが無意味に足掻く姿を見るのは痛快じゃのう」

 

 

人々の必死の抵抗も、Dr.フライにとっては嗜虐心を煽るものでしかなく、下劣な嗤い声をあげていた。

 

 

ソーラ(なんてやつ。頑張ってる人たちを嘲笑うなんて絶対に許せない!!)

 

 

そんなDr.フライをソーラは怒りを込めた目で睨みつけて、何とかして脱出しようと足掻いていた。

 

 

ソーラ(ダメだ… エネルギーが全然ないんだ。逃げるどころか指一本動かすことも喋ることもできない…)

 

 

しかしエネルギーを全て使い果たしてしまったこの状況では、もはやどうすることもできなかった。

 

 

Dr.フライ「ん? お前も無駄な抵抗をしとるのか? やはり遠藤のところにおるだけあってアホじゃのう。 あやつも才能ならわしに劣らぬ物を持ちながらアホのために使うなどという無意味なことをしとる。わしと組めば世界を自由にすることもできたというのに」

 

その言葉にソーラはDr.フライを怒りの形相で睨みつけた。

 

 

Dr.フライ「おお、怖い怖い。そう睨みつけんでもいいじゃろ。わしは哀れみ深〜い性格でな。ちゃーんとお前の最期は華々しく飾ってやるわ」

 

 

いやらしげな笑みを浮かべつつ、Dr.フライは全身からマイナーを生成すると強奪してきたトリプルPをソーラの足元にセットし始めた。

 

 

Dr.フライ「後一時間。人類の希望とやらの新兵器が、人類の希望のプリキュアを吹っ飛ばす。それと同時に暗黒世界となる記念すべき一日が始まる。実に素晴らしい、最高の記念日じゃ!!」

 

 

大仰なポーズとともに、プリキュアが処刑を待つ以外どうすることもできなっている状況に、こみ上げてくる嬉しさが我慢できないというように興奮して叫んだDr.フライだったが、セーリとパーリは離れた場所から冷めた目で見ていた。

 

 

 

 

パーリ「ふん。無意味なことをしているのはどっちだ。やつを捕まえたのならさっさと破壊してしまえばいいものを」

 

セーリ「まぁいいさ。どうせプリキュアが消えればやつも用済みだ。最期ぐらい好きにさせてやればいい。俺たちは哀れみ深〜い性格だからな」

 

パーリ「違いない」

 

 

そうして皮肉げな笑みを浮かべ笑いあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

遠藤「よーし、準備はできた。もう時間がない、急がんと…」

 

 

地下の研究室でずっと製作していたものを車に詰め込み、遠藤博士が今まさに出発しようとしていた。

 

するとそこに猛スピードで一台の覆面パトカーが突っ込んできた。

 

 

河内「遠藤!! お前こんなとこで何をやっとるんだ!!」

 

志夜「警部殿のおっしゃる通りです。あなたにはするべきことがあるでしょう!!」

 

覆面パトカーから飛び降りるや否や、凄まじい形相で怒鳴りつけてきた。

 

遠藤「何とは何じゃ!! お主らこそこの非常時にこんな何をやっとるか!!」

 

 

河内「非常事態はどっちだ!! 京香先生から聞いたぞ、お前の孫たちが重体だとな!! こんなところで油を売っとらんで病院に行かんか!!」

 

至極真っ当なセリフを叫んだ河内警部だったが、遠藤博士もまた真剣な表情で返した。

 

 

遠藤「行ってどうなる!!」

 

志夜「なぁっ!? あなたはどういう…」

 

 

遠藤「怪我をしとるのは豪とランじゃ。医者でもないわしが行っておっても何にもできん。合理的に考えれば、最優先ですべきはあいつらが生き延びられる可能性が少しでも高まるよう世界を守ってやることじゃ!!」

 

 

遠藤博士の迫力に押し黙りつつも、河内警部も言い返した。

 

河内「う、うむ。一理はある。で、何をしようとしとるんだ」

 

遠藤「ソーラが抵抗できんまま捕まっとるところを見ると、ボディのエネルギーが完全にゼロになっとるんじゃろう。こんな真夜中に太陽電池は期待できんから、以前開発したものを応用した太陽光線スペクトル砲でエネルギーを照射してやるんじゃ」

 

 

志夜「彼女のエネルギーを回復させられるんですか? それなら…」

 

まだ希望があるというよう志夜刑事はホッとしたような表情を浮かべた。

 

 

遠藤「じゃが急ごしらえなもんでな。有効射程がせいぜい百メートルといったところじゃ。今から現地まで車を飛ばして間に合うかどうかがギリギリじゃな」

 

 

河内「そういうことならこっちに乗れ。パトカーなら一番早い」

 

 

河内警部の言葉に最もだというように頷くと、光線砲を急いで積み替えた。

 

 

遠藤「よし、いいぞ!!」

 

志夜「飛ばしますよ!!」

 

 

志夜刑事がアクセルを思い切り踏み込むと、猛スピードで覆面パトカーは走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦車ドラフターの攻撃を受けないよう、多少遠回りしつつ市内を猛スピードで進み、何とか目的のビルの近くまで遠藤博士たちはたどり着いた。

 

 

河内「よし、何とかここまでたどり着いたな。しかし流石に見張りぐらいはいるか…」

 

河内警部の言葉通り、目的のビルの周辺や入口にはマイナーが陣取っており、猫の子一匹入れそうもなかった

 

 

遠藤「うむ。じゃが危険は承知。0時まで後15分じゃ。急がんと!!」

 

トランクに積み込んだ光線砲を取り出しながらの呼びかけに、志夜刑事はふと今更のようなことに気がつき、不安そうに返した。

 

志夜「しかし、大丈夫でしょうか。もし行動を早めるようなことがあれば、ソーラさんは…」

 

 

遠藤「いや、それは心配いらん。フライは自己顕示欲とプライドの塊みたいなやつじゃからな。0時ちょうどにソーラを破壊することで暗黒の日が始まるということを是が非でも強調したいじゃろうしな」

 

河内「確かにな。あいつのやりそうなことだ」

 

 

善かれ悪しかれDr.フライのことをよく知っているこの二人は、苦笑いをしつつ準備を進めて行った。

 

 

遠藤「よし、準備できたぞ」

 

河内「ならば突撃あるのみ。覚悟はいいな!!」

 

遠藤博士から受け取ったアンチマイナーガンを構えつつ、河内警部は志夜刑事に呼びかけた。

 

志夜「一生分なら!!」

 

河内「上等!!」

 

 

そうして今まさに飛び出そうとした瞬間、後ろから三人は肩を掴まれた。

 

 

遠藤・河内・志夜「「「!!!」」」

 

慌てて振り返り銃を構えた三人だったが、後ろにいた存在に叫び声をあげるとともに心臓が飛び出しそうになった口を塞がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dr.フライ「ヒャハッハッ!! 後1分で暗黒の世界となる日が始まる。それを貴様に見せてやれんのが残念じゃが、記念のカウトダウンダウンは聞かせてやるわ」

 

 

勝利を確信しソーラを見下すように高笑いをしていたDr.フライだったが、セーリとパーリが口を挟んだ。

 

 

パーリ「おい、いい加減にしろ。とっととそいつを破壊してしまえ」

 

セーリ「何かがこのビルに侵入してきたようだ。万が一があったらどうする」

 

 

 

Dr.フライ「ふん。大天才のわしに抜かりはない。ビルの中にはマイナーを多数配置してある。凡人以下のアホどもにあれを蹴散らしてここまで来れるはずがないわ」

 

二人の忠告を自信満々な態度で切り捨てると、ソーラに向かって下劣な笑みを向けた。

 

 

Dr.フライ「さーて、あと30秒。エネルギーがあれば遺言も聞けたのじゃが、残念残念」

 

ソーラ(くっ…)

 

 

その自分を嬉しくて仕方がないというような、無念さのかけらもない言葉にソーラの怒りは頂点に達していたが、睨みつけることしかできない自分の無力さも嫌という程わかっていた。

 

もし彼女が人間ならば流した血の涙で顔は真っ赤になっていたであろうことは想像に難くないことが、ソーラの表情からは感じ取れた。

 

 

 

Dr.フライ「さぁカウントダウンじゃ。10、9、8…」

 

ついに読み上げられたカウントダウンにソーラは硬く目をつぶった。

 

 

ソーラ(これで終わり… 私には守りきれませんでした。先輩、すみません!!)

 

 

ソーラが心の底から詫びたと同時に、Dr.フライのカウントダウンは終わりを告げた。

 

 

Dr.フライ「3!!、2!!、1!!、ゼロ!!」

 

 

 

Dr.フライがゼロカウントをした瞬間、大爆発が起きた。

 

 

 

 

続く

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