リリーフ・ダイダー・ソーラー「「「ピンチ一発、大逆転! コズミックプリキュア!!」」」
変身し名乗りを上げた三人だったが、それを待っていたかのように二体のドラフターが音波のようなものを発し始めた。
リリーフ「何この音…」
ダイダー「なんとなく耳障りのする音ね…」
ソーラー「でも、それだけでどうってことないですよ。今のうちに…」
クロムスティックを構えて、ドラフターに飛びかかろうとしたソーラーだったが、突如として近くに止まっていた車が爆発した。
ソーラー「えっ?」
突然のことに驚いていると、続けて周辺のビルの窓ガラスが次々と割れ始めガラスのかけらが降り注いで来た。
リリーフ「わわわっ!!」
ダイダー「くっ、これは超音波」
ダイダーの分析通り、二体のドラフターが発生した音波が共鳴しあい、強烈な破壊音波となっていた。
そしてその影響は二体のドラフターの中心にいた三人のプリキュアにも影響を及ぼし始めた。
リリーフ「うわぁあああ!!」
ダイダー「音波で体がバラバラになりそう…」
ソーラー「せ、先輩大丈夫で… ああっ!!」
強烈な破壊音波を全身に浴び、三人は全身が砕けそうな苦痛を味わっていた。
パーリ「くっくっくっ。いい様だな、コズミックプリキュア。 死の子守唄の味はどうだ」
ソーラー「パ、パーリ…」
苦しみもだえている三人を見下すようにドラフターの上からパーリとセーリが下劣な笑いを投げかけて来た。
セーリ「なまじっか機械の体なんて持ってるもんだから、そういうことになるんだよ。そんなものに憑依した自分たちの判断ミスを呪いな」
それとともに、二体のドラフターの発する音波は一層激しくなっていき、三人は地獄の苦しみを味わい始めた。
リリーフ・ダイダー・ソーラー「「「あああっ!!!」」」
セーリ「ふふっ、もう一息だ。プリキュアは間も無く破壊される」
パーリ「最後のダーククリスタルを惜しみなく投入した甲斐があったな。あとはこいつらが究極成長するのを待つだけだ」
その言葉通り、二体のドラフターは少しずつ巨大になっていき、それと同時に発する音波も大きく、そして強力なものになっていき、ついには周辺のビルまでもが共鳴を起こして揺れ始めた。
ソーラー「えっ?」
リリーフ「この音…」
必死に耳を塞ぎ、音波攻撃に耐えていたところで、周辺から聞こえ出した異質な振動に三人は気がついた。
ダイダー「まさか!!」
そしてそれに気がつくと同時に、周囲のビルが轟音とともに倒壊し三人の上に瓦礫がガラガラと崩れ落ちて来た。
だが、その轟音により二体のドラフターによる音波攻撃は一部がかき消され、崩れて来た瓦礫により音波が乱反射した結果、三人は気力を取り戻した。
セーリ・パーリ「「しまった!!」」
リリーフ「よし、チェンジハンド・タイプブルー!! エレキ光線発射!!」
チャンスと見たリリーフは両腕のマルチハンドを稲妻模様の走った青い腕に換装し、電撃光線を拡声器ドラフターに浴びせた。
ソーラー「こっちも!! クロムスティック・ブーメラン!!」
ソーラーもまた負けじと二本のスティックを柄の部分でくっつけて一本の棒のようにすると、力を込めて光を纏わせてスピーカードラフターに向かって投げつけた。
電撃光線を浴びたことで拡声器ドラフターはショートしてしまい、スピーカードラフターもまたボディを切り裂かれたことで、各々音波を発生させられなくなった。
ダイダー「今だ!! チェンジハンド・タイプグリーン!! 超高温プラズマ火炎、超低温冷凍ガス、同時発射!!」
右手から噴射したプラズマ火炎によってショートしていた拡声器ドラフターは炎上してしまい、左手からの冷凍ガスによりスピーカードラフターはボディを切り裂かれた状態で凍りついてしまった。
セーリ「くっ、こうなったら」
パーリ「ああ、やるしかない」
セーリとパーリは覚悟を決めたように頷きあうとボロボロになっていたドラフターにそれぞれ飛び込んでいき一体化した。
ソーラー「なっ、あいつら何を!?」
驚くソーラーをよそに、さらに二人が一体化したドラフターは重なり合うように移動していくとともに合体し、全身から拡声器を生やしたより巨大なドラフターとなった。
リリーフ「合体した!? まずい!!」
リリーフの懸念通り、合体ドラフターは全身に生やした拡声器からより強力な破壊音波を今まさに発車しようとエネルギーを溜め始めた。
ダイダー「発射される前に一気に決めるしかないわ。リーフ、ソーラ、いくわよ!!」
ソーラ「はい!!」
リリーフ「よーし、ライナージェーット!!」
そのリリーフの呼び寄せの呼びかけに応えるように、ライナージェットが降下してきた。
そしてゆっくりと降下してきたライナージェットを、リリーフとダイダーが両翼を肩に担いだ。
するとライナージェットの左右からトリガーのついた小さなグリップが飛び出すと同時に、機首が開き何かの発射口のようなものが現れた。
リリーフ「ライナージェット、カノンモードスタンバイ!!」
ダイダー「ターゲットロック!! プラスエネルギーチャージ!!」
そしてソーラーもまたライナージェットを後方で支えると、リリーフとダイダーがチャージを始めたプラスエネルギーに負けじと自身のソーラーエネルギーをチャージし始めた。
ソーラー「ソーラーエネルギーフルチャージ!!」
セーリ「負けるかー!!」
パーリ「コズミックプリキュアー!!」
こちらも合体ドラフターの一部となりながらも凄まじい形相をそのボディに浮かび上がらせ、コズミックプリキュアを破壊せんとマイナスエネルギーを充填し始めた。
そして双方のエネルギーがフルチャージを迎えた。
セーリ・パーリ「「消えろー!!」」
その叫びとともにどす黒いマイナスエネルギーの本流とでもいうような破壊音波が放たれたが、それと同時に三人も発射トリガーを引いていた。
リリーフ・ダイダー・ソーラー「「「プリキュア・シャイニング・グランドスラム!!!」」」
三人分のプラスエネルギーとソーラーエネルギーとを充填、圧縮・増幅した上でライナージェットから放たれた、辺り一面を光に染め上げるのではないかというほどの極太の強烈なビームは、同時に放たれた破壊音波をすべて打ち消しながら合体ドラフターへと向かって行った。
セーリ・パーリ「「なにぃ!?」」
驚きの声を上げた時にはすでに遅く、発射されたビームは一体化していたセーリとパーリごと合体ドラフターを飲み込んだ。
セーリ・パーリ「「ぎゃああああ!!!」」
その攻撃を受けた合体ドラフターは一撃で消滅し、同時にドラフターにされていた人たちも完全に浄化完了していた。
リリーフ「ふうっ、やった」
ダイダー「ドラフター浄化完了っと。よくやったわソーラー」
ソーラー「はい!! 一件落着ですね。あいつらもこれでひとたまりもないですよ」
勝利した喜びを噛み締めると同時に、ふと三人は思い出した。
リリーフ「おっと、早くランちゃんを迎えに行ってあげないと」
ソーラー「あっ、そうだった。美味しいって評判のもの見つけたんだった」
ダイダー「それはいいことだわ。ランや豪を傷つけたのは私たちみたいなものだし、せめてものお詫びと日頃のお礼をきちんとしましょう」
すっかり陽も沈み夜の帳が降りた街中で、ボロボロになった黒づくめの二人の男が体を引きずるようにして路地裏を歩いていた。
セーリ「く、くそ… コズミックプリキュアめ…」
パーリ「こんなところで終わらんぞ。必ずこの世界を暗黒に染め上げて… ん?」
そんな二人の背後から静かに足音が聞こえてきたため、思わず振り返るとそこにいた存在に目を見開いた。
そこにいたのは、透けるような白い肌をしたプラチナブロンドのロングヘアの少女であり、それを見た二人は一気に頭に血が上った。
セーリ「てめぇ、キュア・ソーラー… さっきはよくも…」
パーリ「だが、バカなやつめ。太陽も沈み、こんな場所では光線の補充もきくまい。しかも一人だけでくるとはな」
たとえダメージを受けていても今ならば勝てると踏んだ二人は、先ほどのお返しとばかりに雄叫びをあげて突っ込んで行った。
そしてその少女はそんな二人を「赤と青のオッドアイ」で静かに睨みつけた。
遠藤平和科学研究所
リーフ「ランちゃん。退院おめでとう」
ダイーダ「大事にならなくて何よりだったわ」
まだ松葉杖は手放せない状態ではあるものの、久しぶりにこの二人のいる自宅に帰ってきたランは嬉しそうに微笑んだ。
ラン「心配かけちゃってごめんなさい。リーフさんもダイーダさんもありがとう」
遠藤「よーし、準備ができたぞ。退院祝いのパーティじゃ」
台所から紅茶を持ってきた遠藤博士に続いて、嗅いだことのある甘い香りが漂ってきた。
ラン「ん? この匂いは…」
遠藤「ははっ、ソーラのやつうまいものを見つけたと言っておったが、確かにこれはうまそうじゃ」
遠藤博士が微笑むとともに、ソーラが温め直した焼き芋を持って台所から出てきた。
ソーラ「はーい。あったかいうちに食べてね」
皿の上に山盛りにされた焼き芋を見て、ランは多少引きつったような笑みを浮かべた。
ラン「あ、ありがとう、ソーラさん。すごく美味しそうだわ…」
「ルビーのように赤い両目」で悪気などなくニコニコと笑うソーラを見て、ランはむげに断ることもできずに、焼き芋にかぶりついた。
ラン「…甘くて美味しい」
そんなこんなで、研究所内には久方ぶりに明るい空気が戻っていた。
パーリ「グハァ…」
セーリ「ゲボォ…」
惨殺という言葉がしっくりくるほどにズタズタにされ、地面に叩きつけられてしまったセーリとパーリはうめき声をあげていた。
自分たちを赤子の手をひねるかのように一方的に叩きのめした目の前の少女は、近くに山積みにされていた段ボールに腰掛け、二人に興味をなくしたかのように背負っていたハープを弾き始めた。
パーリ「う、うああ…」
セーリ「ひ、ヒィ…」
その冷たいメロディーは死神の奏でるレクイエムのようにも聞こえたか、二人はそこ知れぬ恐怖を感じ、もはやプライドもなく地面を這いずり、少しでも遠くに逃げようとしていた。
パーリ「し、死んでたまるか… 俺たちは世界を…」
セーリ「そ、そうだ… 暗黒に… あれ?」
パーリ「なんのために… だ…」
セーリ「そもそも… 俺たちは… 何… だ…」
しかし、二人の体はグズグズと崩れ落ち始めており、ついにはただの泥のようになって溶け落ちた。
「嘲笑する。己が何者かもわからんとはな、くだらん奴らだ」
そんな光景を何の感慨もないように横目でチラリと一瞥だけした少女は、静かにハープを奏で続けた。
「認識する。 破壊ターゲット、キュア・ソーラー…」
続く