コズミックプリキュアS   作:k-suke

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第8話 その名に思いを(後編)

 

 

 

 

 

甲子市内

 

 

 

ソーラー「くっ!! このこの!!」

 

 

重機ドラフターの上に飛び乗り、何発も拳を振り下ろしていたキュア・ソーラーだが、その装甲はとてつもなく強靭であり傷ひとつまともにつかなかった。

 

 

ソーラー「くっ、なんて丈夫なのよ。これじゃどうにもこうにも… でも早くなんとかしないと…」

 

 

早くしなければドラフターが究極成長し、世界が暗黒に染め上げられてしまう。

 

焦って攻撃を繰り返すものの、全く状況が好転せず、それがさらに焦りを生み攻撃が雑になっていき…

 

 

ソーラーの戦いは負のスパイラルをたどっていた。

 

 

重機ドラフターはそんなソーラーを振り落とすと、旋回してキャタピラで押しつぶしてきた。

 

ソーラー「キャアアアア!!!」

 

 

 

 

そんなソーラーの悲鳴を聞いて、セーリは口元を歪めた。

 

セーリ「ふふ。多少はマシになっていたようだが、あのドラフターに踏み潰されたのでは耐えきれまい」

 

 

 

しかし、重機ドラフターの下で少しずつ何かがうごめいたかと思うと、その巨体を押しのけるようにして這い出してきた。

 

 

ソーラー「ま、まだまだ…」

 

セーリ「チッ!! 潰されていないとはな。腐ってもプリキュア、しぶとい」

 

 

 

 

なんとか押しつぶされないよう踏ん張ったソーラーだが、本当になんとかといった感じだった。

 

ソーラー「クッソ〜。パワーのコントロールがうまくいかないから派手に動けないし。いくら変身できてパワーが上がってもこれじゃうまく戦えないよ」

 

 

ようやく憧れのプリキュアになれたというのに、理想通りにいかない事にソーラーは悔しがっていた。

 

 

ソーラー「って言ったって、変身を解いたらそれこそ手も足も出ない。一体どうすれば…」

 

 

その時、多少雑音混じりにリリーフとダイダーの通信が届いた。

 

 

 

リリーフ『ソーラ、…最後…コーチを…るよ』

 

ダイダー『どん…相手…も、必…弱点…ある。それ…見極め…、それ…つきな…い!!』

 

 

ソーラー「弱点… そうか!! あいつにだってどこかに必ず!!」

 

 

 

 

 

河内「いかん!! プリキュアがかなり苦戦してる、助けねば!!」

 

志夜「警部どの、落ち着いてください。 レスキュー隊の装備でも無理なのに、今我々にあるのは通常の拳銃のみ。 とても太刀打ちできるとは…」

 

 

志夜の言う通り、今彼らの所持している武器といえば通常の拳銃のみ。

 

これで立ち向かうのは、はっきり言って蟷螂の斧もいいところである。

 

 

河内「馬鹿野郎!! 無力は百も承知。しかしだからと言って何もせん理由にはならん!!」

 

志夜「勇気と無謀を履き違えないでください!! 今我々ができることは応援を要請し到着を待つこと…」

 

河内「そんな悠長なことが、この状況で言ってられるか!! もういい、俺は行くぞ!!」

 

志夜「待ってください!! そもそも上からの命令で我々は避難誘導等裏方に徹しろと…」

 

この場合、どっちが正しいかは意見の分かれるところであろうが、兎にも角にも河内警部は部下兼お目付役である志夜の制止を振り切って、拳銃を片手に飛び出した。

 

 

 

 

ソーラー「うがあっ!!」

 

 

リリーフとダイダーに言われた通り弱点を探していたもののそう簡単にわかれば苦労はせず、攻め手を欠いてしまっていたソーラーは重機ドラフターの繰り出してくるショベルアームの攻撃にいいように嬲られていた。

 

 

ソーラー「く、くそ…負けてたまるか…」

 

 

 

 

河内「プリキュア、援護するぞ!!」

 

そんなソーラーを援護せんと河内警部は銃を手に飛び出し、重機ドラフターに対して何発か発砲した。

 

 

当然、それらはドラフターの装甲にかすり傷一つつけられなかったが、その内の一発がたまたまクレーンの可動部に入り込み、一時的にだが動きを鈍らせる事に成功した。

 

 

そのため、ソーラーはどうにかだが危機を脱することができた。

 

 

もっとも、その攻撃を仕掛けた河内警部は、直後ドラフターの怒ったような攻撃に吹き飛ばされたが。

 

 

 

ソーラー「河内警部!!」

 

慌てて駆け寄ったソーラーに、河内警部は檄を飛ばした。

 

 

河内「俺は大丈夫だ。それよりこいつ、装甲は丈夫だが駆動部分の強度はそれほどでもないぞ。 この銃で傷つくぐらいだ」

 

 

ソーラー「駆動部分…」

 

 

それを聞いたソーラーは重機ドラフターの全身を改めてじっくり見回すと、キャタピラの上にある先回用の駆動部分を見つけた。

 

 

ソーラー「すると… 一番大きなあそこが弱点だ!!」

 

 

ソーラーがそれに気がつくと同時に、重機ドラフターは雄叫びのようなものをあげて少しずつ大きくなり始めた。

 

 

ソーラー「いけない!! これ以上成長させたら… もう時間がない!!」

 

時間がないことに気がつくと、ソーラーはクロムスティックを一本構えてスティック部分に電撃を纏わせると同時に、グリップを強く握りしめ光のエネルギーを注入した。

 

それによりクロムスティックはただの電磁警棒から光輝くスティックへと変化した。

 

 

 

ソーラー「一撃でブチ抜くしかない!! いっくぞ〜!!」

 

 

そのスティックを手に、重機ドラフターのショベルアームの攻撃を大ジャンプでかわすと同時に一気に懐に入り込んだ。

 

 

ソーラー「うぉおおりゃあああ!!」

 

そしてそのままスティックを胴体の駆動部分に力の限り突き刺した。

 

 

すると重機ドラフターは、スティックを突き刺されたところから光の火花を飛び散らして苦悶の叫びをあげた。

 

 

 

セーリ「何!? ドラフター、そんなものは振り払え!!」

 

 

その慌てたようなセーリの命令に応えるように、重機ドラフターは力を振り絞るように小型アームでソーラーに殴りかかってきた。

 

 

ソーラー「ぐっ…ああ、あ…」

 

 

かなりのダメージを負った中、駄目押しのような攻撃を受け苦悶の表情を浮かべたソーラーだが、最後の力でそれを振り払った。

 

 

ソーラー「〜!! 負ける、かー!!!!」

 

 

その気合を込めた言葉と同時にもう一本のスティックを取り外し同じように光り輝かせて突き刺した。

 

この二連攻撃には流石に参ったか、重機ドラフターは突き刺された場所だけでなく、その反対側からも押し出されるように火花を吹き出し始め。ひときわ大きな悲鳴をあげた。

 

 

 

セーリ「チッ!! まさかあんなやつに倒されるとはな」

 

もはやここまでと悟ったセーリは悔しそうに引き上げて行った。

 

 

 

ソーラーが突き刺した二本のスティックを引き抜くと、重機ドラフターは吹き出した火花を全身に浴びながら倒れこみ、大爆発を起こして木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

そうして爆発が収まった後には、刺々しい金属の玉のようなものがゴトリと降ってきて地面に転がった。

 

 

その金属の塊は少しずつ溶けるように形を変えていき、最終的には一人の中年男性へと姿を変えていった。

 

 

 

河内「やれやれ。どうにか勝ったみたいだな」

 

志夜「結果論じゃないですか。勝手な行動をした挙句、発砲までして。理由書をきちんと書いてくださいよ」

 

河内「全くガミガミとやかましいな。少し先輩を立てろ」

 

 

うるさそうに顔をしかめた河内警部をよそに、志夜はドラフターに変えられていた男性の介抱を始めた。

 

 

志夜「この人は確か、日中建設の社長… 最近業績が落ちているそうですが…」

 

河内「なるほどな… それに目をつけられたか…」

 

 

 

 

 

 

一方エネルギーを使い果たし、へたり込んでしまっていたソーラーだが、ようやく勝利の実感が湧き始めた。

 

ソーラー「か、勝った… 立派にやったんだ!」

 

それを自覚すると、ガッツポーズを取って立ち上がった。

 

ソーラー「ワーッハッハッ!! ど〜だ〜!! 私の実力を見たか〜!!」

 

 

 

 

 

 

そこに遠藤博士の必死の叫びが届いた。

 

遠藤『喜んどる場合ではなーい!!』

 

 

ソーラー「へっ?」

 

 

遠藤『非常事態じゃ、至急リーフとダイーダのところへ行け!!』

 

 

ソーラー「先輩… そうだ、確か最後って…」

 

 

 

豪『姉ちゃんたち、火口に飛び込んだんだよ。早く行って!!』

 

ソーラー「何ですって!?」

 

 

 

 

すると、そこにリリーフとダイダーの声が今にも途切れそうに弱々しく聞こえてきた。

 

 

リリーフ『大丈…です。ドラ…ターにされ…いた人は浄化完…しま…た…』

 

ダイダー『これ…らこの人を最後…力で地上ま…運び…す。 何とか光…力で保護で…まし…から…』

 

 

 

ソーラー「何でそんな!! 先輩達も早く脱出を!!」

 

遠藤『そうじゃ!! いくらお前らでも溶岩の中では長くもたん』

 

ラン『リーフさん!! ダイーダさん!!』

 

 

 

皆が悲痛な叫びをあげたが、リリーフとダイダーの声は小さくなっていく一方だった。

 

 

リリーフ『そ…した…んだけど、溶岩…流さ…ちゃ…て…』

 

ソーラー「先輩達が言ったじゃないですか!! 私に何かあったら意味がないって!! 自分の言ったことも守れないんですか!!」

 

 

ダイダー『見くび…ないで!! 私たち…こんな…とでやら…たり…ない。必…帰っ…くる。だか…それ…で、あな…がこの世…をあい…らから守…の』

 

 

ソーラー「わ、私…が…」

 

 

リリーフ『あなた…らできるよ。遠藤…士、豪く…、ラン…ゃん。私…ちの後輩を、キュア・ソーラー…よろ…くお…いし…す…』

 

ダイダー『頑張…なさ…ね。あな…もプリキュアの一…なんだ…ら…』

 

 

 

ソーラー「先輩…センパーイ!!」

 

 

悲しみに満ちた叫びも虚しく、その言葉を最後にリリーフとダイダーの通信はぷっつりと途切れた。

 

 

 

豪『ね、ねえちゃーん!!』

 

ラン『リーフさん!! ダイーダさん!!』

 

 

 

 

 

皆が悲しみにくれる中、ソーラーは改めて自分の姿を確認すると真剣な顔で空を見上げた。

 

 

ソーラー「頑張ります、私。キュア・ソーラーっていうプリキュアの名前に恥じないように」

 

 

 

 

 

 

世界を死守したキュア・リリーフとキュア・ダイダーは、溶岩の中に消えていった。

 

その思いを継いだ戦士、キュア・ソーラーの本当の戦いがこれから始まっていく…

 

 

 

続く

 

 

 

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